鉄道の要衝、ブルック・アン・デア・ムーアからもう1つの要衝のレオーベンまではSバーンで結ばれています。長距離列車の合間に乗ることもあるこの区間のSバーンに乗りました。

写真1. 流線形の4024型が使われる
復習:シュタイアーマルク州の地域交通
最初にシュタイアーマルク州の地域交通について簡単に紹介します。

図1. シュタイアーマルク州の地域路線図(オーストリア国鉄公式サイトより引用)
シュタイアーマルク州(グラーツを州都とするオーストリアの州)の路線図です。Sバーン網もそれなりに発達していますが、ドイツでのSバーンのイメージを引きずると、ある意味間違えてとらえてしまうかもしれません。
Sバーンといいながら、実際には30分間隔や1時間間隔の区間も多いです。そのため、日本でいう地方都市圏のシティ電車というほうが適切な例えかもしれません。
ブルック・アン・デア・ムーアとレオーベンの間はS8系統が30分間隔で結んでいます。
では、この区間のSバーンに乗ることになるのでしょうか。その理由は多くあるでしょうが、その1つが多くの長距離列車の路線網が交錯する地点であることです。

図2. オーストリア国鉄の路線網(オーストリア国鉄の公式サイトより引用)
オーストリア国鉄の路線網を示しました(図2)。これだと単純明快ですね!よくわからない?

図3. オーストリア国鉄の路線網(レオーベン付近強調、オーストリア国鉄の公式サイトより引用後加工)
図の右上がウィーン、下側がグラーツです。主要な長距離列車は以下の通り運転されます。
- ウィーン-グラーツ
- ウィーン-レオーベン-クニッテルフェルト(図の左下)方面
- グラーツ-レオーベン-ザンクト・ミヒャエル(図の左)方面
この3つの系統すべてが停車する駅はなく(例えば1と2の双方が停車するブルック・アン・デア・ムーアは、3は経由しない)、どれかの駅は経由しません。したがって、これらの連絡のためにSバーンが活躍するのです。
また、1は列車本数が比較的多い(毎時1本程度)ですが、2と3は列車本数がそこまで多くない(2時間に1本が基本)ため、Sバーンに連絡列車としての役割も与えられます。特に、2時間に1本のブルック・アン・デア・ムーア-フリーザッハのSバーンは終点まで後のICから先着し、ウィーンからの有効列車として機能しています。
ブルック・アン・デア・ムーアからレオーベンまで実際にSバーンに乗る
御託はこの程度にして、実際に乗ってみましょう!

写真2. ブルック・アン・デア・ムーアに停車中のSバーン
ブルック・アン・デア・ムーアに停車中のSバーンです(写真2)。ここで特筆するべき点は、ウィーン→グラーツの長距離列車と対面接続を実現し、ウィーンからレオーベン方面への移動に階段を使わなくて済む点です。

写真3. 車内はクロスシート主体
車内はクロスシート主体です(写真3)。

写真4. 床が高い部分と低い部分がある
床が高い部分と低い部分があります(写真4)。車内にこれだけの段差を生じさせるのであれば、いっそのことホームをかさ上げすれば今後の車両設計は容易になるのに、それをしません。確かに欧州全土で歩調を合わせるのは大変ですが。

写真5. ボックスシートでない区画もある
ボックスシートでない区画もあります(写真5)。運転室仕切壁に窓が設置されていますが、仕切窓はカーテンが閉じられ、前面展望は困難です。日本も国鉄時代はそうだったと聞きます。これは、国鉄だから、という理由ではなく欧州全般の傾向とも感じます。

写真6. 車端部(=台車がある)の座席
車端部の座席です(写真6)。かたさは感じるものの、座り心地は良好でした。いわゆる「通勤電車」としては接客設備のレベルは高く感じます。
その4024系電車の車内を紹介しています。

写真7. ブルック・アン・デア・ムーアを発車!
ブルック・アン・デア・ムーアを発車しました(写真7)。

写真8. すぐに右に曲がる
すぐに右に曲がります(写真8)。グラーツ方面は左に進んでいます。

写真9. ムール川を渡る
ムール川を渡ります(写真9)。

写真10. 郊外を小気味よく走る
郊外を小気味よく走ります(写真10)。
動画1. 小気味よく様子
動画で収録しました(動画1)。雰囲気が伝わると思います。ローカル線に乗りかえたつもりでしたが、ここはオーストリア南西部につながる幹線軸、この区間の最高速度は140km/hです。
車内で大きな声が響いていますが、お子さんのものでした。親御さんはしつけていましたが、結局レオーベンまでその元気なさまを周囲に見せつけていました。このような人たちと乗り合わせるのも地域列車ならではでしょう。

図3. このあたりの最高速度(OpenRailwayMapより引用)
このあたりの最高速度を示します(図3)。

写真11. 住宅街が現れる
住宅街が現れます(写真11)。

写真12. 郊外型の風景
郊外らしい風景です(写真12)。

写真13. 新しい駅に停車
新しい駅に停車します(写真13)。

写真14. 線路が分岐する
線路が分岐します(写真14)。

写真15. レオーベン中央に停車!
レオーベン中央駅に停車します(写真15)。

写真16. 停車時間もそこそこに発車!
停車時間もそこそこに発車します(写真16)。なお、直近の長距離列車は全てこのホームからの発車であり、乗りかえの利便性も考慮されていました。
ブルック・アン・デア・ムーアからレオーベンのSバーンの感想

写真17. トリエステ行きから対面接続
全体の需要が限られ、長距離列車の本数が限られるオーストリア南部。そのフォローも兼ね、通勤列車(Sバーン)が長距離列車に接続するように運転されていました。
日本、欧州ともに長距離列車と通勤列車ののりばを分ける傾向にあります。しかし、ここでは同じホームへの対面接続と、乗りかえが苦にならないように工夫されていました。この点は国鉄というよりも日本の大手民鉄に近いものを感じました。
また、車内の接客設備も長距離列車とそん色なく(むしろ窓ガラスの清潔さはユーロシティを上回っていました)、乗りつぎがあるから決して落胆することもありませんでした。
看板列車のサービスレベルが高いことはある意味当たり前です。しかし、オーストリア国鉄では地方の通勤列車もサービスレベルが高く、これはオーストリア国鉄全体のサービスレベルが高いことを示す1つの事例に感じました。
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ブルック・アン・デア・ムーアからレオーベンへのSバーン:現在地
※この旅行の全体像は25年夏中欧・イタリア旅行のまとめをご覧ください。