瀬戸大橋を渡る列車のなかである意味最もメジャーな存在、快速マリンライナー。そのマリンライナーにはややゆったりとした座席のグリーン車が連結されています。そんなグリーン車で瀬戸大橋を渡りました。

写真1. 高松に到着した快速マリンライナー
復習:快速マリンライナーの概要
まず、快速マリンライナーの概要を紹介します。
快速マリンライナーの概要
- 運転区間:岡山-高松
- 所要時間:52分~54分(日中時間帯)
- 運転間隔:30分間隔
- 基本停車駅:茶屋町、児島、坂出(そのほかに妹尾か早島に停車)
※朝夕は追加停車駅もあり - 運賃:1,660円
図1. 岡山と高松の位置関係(googleマップより引用)
岡山と高松の位置関係を示しました(図1)。この両都市の間には瀬戸内海があり、快速マリンライナーはその瀬戸内海を渡る列車です。岡山と四国を結ぶ列車は1時間に4本運転されます。うち2本は快速マリンライナーとして、岡山と高松を結びます。残りの2本は松山方面と高知方面が1本ずつです。
松山方面と高知方面は特急列車による運転ですが、岡山-高松は快速列車による運転です。そのため、特急料金はかからず比較的リーズナブルに利用できます。

写真2. 普通車の様子(2022年に撮影)
普通車の様子です(写真2)。基本的には223系6000番台に似た仕様の転換クロスシート車です。座れればそれなりに快適ですが、座れる保証はありません。とりわけ多客期はそうでしょう。多客期は一部列車だけでも7両編成に増結すれば改善するとは思いますが…。
そのため、着席保証サービスとしてグリーン車と普通車指定席が設定されています。

写真3. 普通車指定席とグリーン車の様子
普通車指定席とグリーン車は1号車に連結されています(写真3)。いいかたを変えると高松側の先頭車です。

写真4. グリーン車と普通車指定席はシートピッチが異なる
グリーン車(階上)と普通車指定席(階下)ではシートピッチが異なります(写真4)。眺望のほかにシートピッチも変えて、両者を差別化しているのです。
最前列の座席は前面展望を楽しめるパノラマグリーンです。こちらの座席は快適性より「楽しさ」を前面に押し出している印象です。
快速マリンライナーのパノラマグリーンを楽しむ(22年GW、車内と車窓を収録)
なお、各設備で岡山から高松まで移動した場合は、下記の価格です。
表1. 岡山と高松の価格(同区間の乗車券込み)
価格 | 設備 | |
普通車自由席 | 1,660円 | 転換クロスシート |
普通車指定席 | 2,500円 | 回転リクライニングシート |
グリーン車(指定席) | 2,920円 | 回転リクライニングシート |
着席保証と座席の違いで840円支払い、さらに420円支払うと眺望が確保されるということです。なお、青春18きっぷでは普通車指定席に乗れますが、グリーン車には乗れません(首都圏は自由席なので乗れますが、快速マリンライナーのグリーン車は指定席なので乗れません)。
快速マリンライナーのグリーン車の車内
その快速マリンライナーのグリーン車の車内を紹介します。

写真5. グリーン車の車内
グリーン車の車内です(写真5)。2番からスタートです(1番はパノラマグリーンです)。2階建てということもあり、座席上に荷棚はありません(車両の後ろ側に荷棚があります)。

写真6. 座席と窓割の関係
せっかくの新造車なのに、座席割と窓割が合致していません。2番~4番は比較的合致しています(写真6)。

写真7. 座席割と窓割の関係
8番席となると座席割と窓割の関係はだいぶ異なってきます(写真7)。新造車なのだから、窓割を座席に合わせれば良かったのに…。もともとのボディがE217系のものであり、そのE217系電車よりもシートピッチを広げたという事情がありますが、これは利用者にとっては関係ないことです。

写真8. 車両の岡山よりに荷物棚がある
車両の岡山よりに荷棚があります(写真8)。意外と利用されていませんでした。もっとも私は国内旅行は軽装なことが多く、スーツケースは持ちません。

写真9. 座席の様子
座席の様子です(写真9)。ちょっとした模様があります。

写真10. 背面テーブルとポケット
背面テーブルとポケットです(写真10)。普通列車グリーン車の座席としてはオーソドックスに見えます。

写真11. 座面スライド機能付きの座席
座面スライド機能付きの座席です(写真11)。2000年代のJR東日本の特急車のようです。快速マリンライナー用の5000系電車、2階建て車両はJR東日本の車両をベースに、普通車はJR西日本の車両をベースにそれぞれ設計されていますが、座席スライド機能もJR東日本譲りとは知りませんでした。
動画1. 快速マリンライナーの入線
岡山駅に入線する快速マリンライナーの様子です(動画1)。
2階席から車窓を楽しむ
さて、2階席から車窓を楽しみましょう!私は快速マリンライナー21号に乗りました。

写真12. 岡山を発車!
岡山を発車しました(写真12)。

写真13. 高架区間を走る
高架区間を走ります(写真13)。

写真14. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真14)。このあたりは民家が多いのですが、普通電車は1時間間隔のことがあります。ちょっともったいないと思います。

写真15. 川を渡る
川を渡ります(写真15)。

写真16. 畑がある
畑があります(写真16)。

写真17. 妹尾に停車!
妹尾に停車します(写真17)。単線が混じるなか、毎時6本運転しているので、運転停車も多いです。もっともこのマリンライナーは妹尾で客扱いします。

写真18. だんたんと開けてきた
だんだんと開けてきました(写真18)。

写真19. 茶屋町に停車!
茶屋町に停車します(写真19)。宇野方面の分岐点ですが、特急は通過です。
動画2. 茶屋町を発車!
茶屋町を発車後の動画です(動画2)。着実に加速し、速度が出ている様子がわかります。茶屋町までと異なり、線形が良く、速度が出る区間です。

写真20. トンネルを出るとまもなく児島
茶屋町からはトンネルが多く、それらを出ると児島です。児島周辺は建物が多いです(写真20)。

写真21. 海らしい光景もある
海らしい光景もあります(写真21)。

写真22. 児島に停車!
本州最後の停車駅、児島に停車します(写真22)。児島そのものが拠点な点もありますが、何よりも会社境界の駅であるため、特急含めて旅客列車の全列車が停車します。

写真23. 児島を発車!
児島を発車しました(写真23)。

写真24. いわゆる瀬戸大橋に入る
いわゆる瀬戸大橋に入りました(写真24)。上に道路橋があるため、そのトラスが視界に入りますが、意外と風景を楽しめます。

写真25. 下も見える
下も見えます(写真25)。ちょっとおっかないですね…。

写真26. 島も多い
瀬戸大橋の風景で特徴的なものは、島が多いことでしょう(写真26)。

写真27. 島を走る
島を走ります(写真27)。
動画3. 瀬戸大橋を渡る様子
瀬戸大橋を渡る様子を動画で撮影しました(動画3)。

写真28. 島を走る
島を走ります(写真28)。

写真29. 海を渡る
海を渡ります(写真29)。

写真30. 海を走る
海の上を走ります(写真30)。

写真31. 四国に上陸!
四国に上陸しました(写真31)。

写真32. 自動車専用道路が分かれる
自動車専用道路が分かれます(写真32)。

写真33. 海の上を少しだけ走る
海の上を少しだけ走ります(写真33)。

写真34. 予讃線との合流地点付近
予讃線との合流地点付近です(写真34)。瀬戸大橋線を直進すると松山・高知方面に向かいますので、予讃線と短絡する線路を走ります

写真35. まもなく坂出に停車!
まもなく坂出です(写真35)。

写真36. 坂出に停車!
坂出に停車します(写真36)。この駅は四国側の拠点にも関わらず、2面3線です。そのため、上下列車同時に待避できません。近くの鴨川では2面4線であり、坂出で必ずしも上下列車同時待避の必要はありませんが、坂出が2面4線であれば鴨川の待避線設置は不要だったかもしれません。

写真37. 坂出を発車!
坂出を発車しました(写真37)。次は終点の高松ですが、21.3kmもあります。この間を15分で走り抜け、表定速度は85.2km/hにも及びます。
動画4. ブンブン走る
ブンブン走ります(動画4)。

写真38. 鴨川を通過!
鴨川を通過します。坂出と高松の間は毎時2本の快速マリンライナー、毎時1本の特急、毎時1本の快速サンポート南風リレーが走り、速達列車は毎時4本運転されています。これらをスムーズに走らせるために、鴨川と端岡を2面4線相当の待避駅に設定しています。
ただし、わがマリンライナーは坂出から高松まで1本も抜かしません。沿線がこれほど都市化が進展しても普通は毎時1本で事足りる時間帯があり、快速マリンライナー21号の先行についても普通が設定されていないのです。

写真39. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真39)。

写真40. 香川らしい光景が展開する
香川らしい光景が展開します(写真40)。

写真41. 道路と並走
道路と並走する区間もあります(写真41)。調べると国道でなく、県道でした。道理で高速走行に適していない道路に見えたわけです。

写真42. 高松貨物ターミナル駅付近を走行中
鬼無を通過すると、左手に高松貨物ターミナル駅があります(写真42)。比較的新しく見えますが、ここに移転したのは2000年のことです。それまでは高松駅で貨物扱いがありました。

写真43. 住宅が増えてきた
住宅が増えてきました(写真43)。

写真44. 建物の密度が増えてきた
建物の密度も増えてきました(写真44)。高松駅に近づいたことがわかります。

写真45. まもなく高松に到着!
まもなく高松に到着です(写真45)。

写真46. 高松に到着!
高松に到着です(写真46)。

写真47. 改札に向かう
皆が改札に向かいます(写真47)。

写真48. 折り返し快速岡山行きになる
折り返し快速岡山行きに変わります(写真48)。
快速マリンライナーのグリーン車に乗ってみて

写真49. 荷物置き場も確保され、長距離輸送への配慮もある
列車の速度も速く、(停車駅が特急よりもやや多いと感じるものの)特急列車の指定席に乗っているような気分でした。ただし、料金設定は特急列車の普通車指定席よりもやや高くも感じました。
いずれにしても特急列車普通車指定席と同等の移動ができました。また、瀬戸大橋を渡るときを中心に眺望の良さを味わうことができ、普通車指定席との差額420円もそれなりに納得します。
ただし、せっかくの広いシートピッチも座席割と窓割が合致せずに残念に思いました(2番~4番であれば差は小さく、事実上の問題は小さいですが)。次世代車両ではグリーン車を残存させて窓割を合わせるか、いっそのこと2階まで普通車指定席に変更するかのどちらかでしょう。

写真50. 岡山で自由席に並ぶ人たち
当面の間は岡山と高松の間は快速マリンライナーが担い続けるでしょう。いつまでも30分間隔の利便性、ある程度の速達性を兼ね備えた、「便利で速い列車」として存在し、グリーン車はそこに華と着席保証を付加する存在であってほしいものです。そして、繁忙期の7両編成への増結も…。
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