小田急小田原線(過去ダイヤ)

記事上部注釈
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小田急小田原線のダイヤを2001年からまとめます。

写真1. 複々線開業後も7000形が活躍していた(新宿で撮影)

補足

管理人の所蔵時刻表の関係により、2001年~2019年については定点(2001年7月、2002年12月、2007年4月、2008年7月、2010年8月、2013年4月、2015年~2023年は毎3月ダイヤ改正)の紹介とさせていただきます。

ダイヤパターンとは?

都市鉄道のパターンダイヤを簡単にまとめたものです。都市鉄道ではダイヤは繰り返し単位になっており、そのようになっているダイヤをパターンダイヤと称します。また、パターンダイヤの周期をサイクルと呼びます。本記事はダイヤの繰り返しの単位とその内訳から、その路線のダイヤの骨格を理解することを目的としています。

例えば、20分に急行1本と各駅停車2本ならば、「20分サイクルのパターンダイヤでその内訳は急行1本と各駅停車2本」と表現できます。原則をつかむために、基本的には朝ラッシュ上り、日中時間帯、夕方ラッシュ下りについて述べます。

なお、厳密には大きいサイクルで論じるべき部分もありますが、厳密さを無視すると小さなサイクルで論じることができる場合もあります。この場合、小さなサイクルを疑似サイクルと称します。先の例だと、実は急行が1時間間隔で遠方に向かう場合、厳密には60分サイクルです。しかし、遠方に直通するか否かがあまり重要視されない場面だと、20分サイクルと考察することも可能です。このような場合、疑似20分サイクルと称するということです。

小田急小田原線の朝ラッシュ時のダイヤパターンの変遷

2001年7月時点では、代々木上原断面で7:41~8:40で以下の構成でした。

  • 急行:14本
  • 準急:3本(千代田線直通)
  • 各駅停車:9本

6~7分に各駅停車1本、速達列車2本の構成です。各駅停車は町田を発車すると鶴川で速達列車の通過待ち、そして和泉多摩川から複々線に入り、喜多見まで2本に抜かれ、複線区間の経堂で1本抜かれます。逆にいうと、成城学園前を発車する速達列車は新宿まで4分前の各駅停車さえ抜かさないということです。また、準急と同等の本数だけ唐木田始発の各駅停車があり、新百合ヶ丘以遠の列車本数を調整しています。相模大野以遠の急行は5~10分間隔でした。

2002年には湘南急行と多摩急行が運転を始めました。複々線延伸(2004年)を控え、速達性に舵を切ったダイヤ改正です。2004年9月~11月に複々線が延伸され、2004年12月に梅ヶ丘-和泉多摩川の複々線を前提としたダイヤ(湘南急行から快速急行への変更、区間準急の新設)に組み替えられました。

そのダイヤが定着したころの2007年4月時点では、代々木上原断面で7:41~8:40で以下の構成でした。

  • 急行:13本(新宿行き12本、千代田線直通1本)
  • 準急:5本(新宿行き2本、千代田線直通3本)
  • 各駅停車:9本

複々線が完成したといっても代々木上原よりは複線でしたから、列車本数は維持されました。6~7分に速達列車2本、各駅停車1本の構成も変わらず、準急の経堂通過や列車種別も維持され、この時代の複々線は列車増発用というよりも和泉多摩川から梅ヶ丘までの緩急分離にありました。とはいえ、複々線の延伸の効果は素晴らしく、速達列車は各駅停車に邪魔されないぶんのスピードアップ、各駅停車は速達列車通過待ちの激減によるスピードアップという効果です。

  • (2001年7月、各駅停車)登戸7:52→新宿8:30
  • (2007年3月、各駅停車)登戸7:56→新宿8:30
  • (2001年7月、急行)登戸8:03→新宿8:33
  • (2007年3月、急行)登戸8:07→新宿8:32

人によってはたかが3~4分というかもしれませんが、朝の3分が大事なことは多くの人が体感でわかっていることでしょう。

2018年3月3日に代々木上原-梅ヶ丘の複々線が開業し(ダイヤ改正の3月17日ではない)、それを十二分に生かしたダイヤに変更されました。停車駅は以下の通り変更されました。

  • 快速急行:登戸に停車
  • 通勤急行:登戸と経堂通過の急行、朝上りのみ設定
  • 急行:夕方以降の下りを除き、経堂に停車(朝上りはそもそも運転されない)
  • 通勤準急:従来の準急と同じ停車駅(経堂にも停車)、朝上りのみ設定
  • 準急:千歳船橋、祖師ヶ谷大蔵と狛江に停車

快速急行の登戸停車は環状軸の南武線の重要性が増したことに由来するでしょう。準急はどちらかというと通過駅のある各駅停車という位置づけであり、千代田線と世田谷区の利用が多いことを想定し、新規需要の開拓を狙った部分がありましょう。

朝ラッシュ時は従来と毛色の異なるダイヤが採用され、10分サイクルとなりました。10分サイクルの内訳は以下の通りです。

  • 快速急行:2本(小田原→新宿1本、藤沢→新宿1本)
  • 通勤急行:1本(多摩線→新宿1本)
  • 通勤準急:1本(本厚木→千代田線1本)
  • 各駅停車:2本(本厚木→新宿1本、向ヶ丘遊園→千代田線1本)

相模大野から新宿までの根幹をなすのが約5分間隔の快速急行です。ダイヤ改正前の急行と比較すると、従来の毎時12本運転から変わりませんが、向ヶ丘遊園と成城学園前に停車しないぶんだけ空き、速達性も向上しています。

その快速急行通過駅をフォローするのが通勤急行です。10分間隔と本数が少ないぶん、比較的乗客の少ない多摩線始発で、乗車の多い登戸も通過します。向ヶ丘遊園と成城学園前の対策列車ともとらえることが可能です。理論上まかなえても朝ラッシュ時に10分間隔なのはやや問題に見えますが、後述の通勤準急もフォローに入ります。

通勤準急は複々線区間では速達輸送、複線区間では各駅に停車するタイプで、複々線区間では通勤急行のフォローに入ります。すなわち、成城学園前で通勤急行の5分後に発車し、代々木上原で快速急行と相互接続を取ることで、新宿への先着列車としての機能も果たします。

各駅停車新宿行きは10分間隔でしかありませんが、向ヶ丘遊園までは通勤準急と合わせ10分に2回の乗車チャンスが確保され、向ヶ丘遊園-代々木上原で千代田線直通が入り、ここでも10分に2回の乗車チャンスが確保されます。代々木上原→新宿は10分間隔でしかありませんが、比較的利用が少なく、10分間隔でも何とかなります。

通勤準急は登戸で快速急行と同時に発車するために登戸断面で緩行線を走り、代々木上原断面でも(千代田線と直通しやすい)緩行線を走ります。成城学園前と経堂で各駅停車を抜かすためにこの間は急行線を通ります。経堂停車中に後の快速急行に接近されますが、経堂には上り通過線があるため、接近しても問題ありません。経堂の上りに通過線があるために可能なダイヤであり、設備を設計するうえでダイヤについても検討が加えられたことを想像できます。

なお、江ノ島線からの快速急行に連絡する急行相模大野行きも設定され、本厚木や新松田から新宿方面の乗車チャンスは10分に2回確保されています。

2022年ダイヤ改正で特急が20分間隔で設定され、終日で有料座席サービスを利用できる一方、急行相模大野行きが1本を残し廃止され、通勤車両の保有数削減に舵を切った印象があります。

小田急小田原線の日中時間帯のダイヤパターンの変遷

2001年7月時点では、60分サイクルで以下の構成でした。

  • 特急:4本設定
  • 急行:6本(新宿-相模大野は約10分間隔)
  • 準急:2本(千代田線-相模大野)
  • 各駅停車:8本(半数は新宿-向ヶ丘遊園、もう半数は新宿-本厚木)

代々木上原断面で10分に速達列車が2本(特急準急は連続しない)、各駅停車が1~2本の構成でした。急行は毎時4本が箱根湯本直通、2本が片瀬江ノ島発着でした。片瀬江ノ島発着は6両が江ノ島線内急行、4両が江ノ島線内各駅停車でした。各駅停車の東北沢待避が多用されていました。

各駅停車は向ヶ丘遊園以遠では毎時4本ですが、準急がフォローに入ります。その準急も相模大野までの運転で、相模大野以遠は町田-小田原の各駅停車が30分間隔で設定されていました。相模大野以遠は急行が毎時4本、各駅停車が毎時6本の構成でした。本厚木-新松田は急行が毎時4本、各駅停車が毎時2本と各駅に停車する電車は平均10分間隔が確保されていました。新松田-小田原は各駅停車が毎時2本設定され、町田-小田原と合わせ毎時4本でした。

分割編成を上手に活用したダイヤでしたが、連結・解放に要する時間による所要時間増や分割後の短編成が混雑の原因になっていたことも事実です。

2002年には湘南急行と多摩急行が運転を始めました。複々線延伸(2004年)を控え、速達性に舵を切ったダイヤ改正です。その2002年12月時点の日中時間帯は以下の構成でした。原則として30分サイクルでした。

  • 特急:2本(1本の時間帯もあった)
  • 湘南急行:1本(新宿-藤沢)
  • 急行:2本(新宿-小田原、6両は新松田-小田原は急行、4両は新松田-小田原は各駅停車)
  • 多摩急行:1本(千代田線-唐木田)
  • 各駅停車:4本(新宿-新松田1本、新宿-本厚木2本、新宿-向ヶ丘遊園1本)

基本的に湘南急行急行が平均10分間隔で運転され(小田原線内の停車駅は同じため小田原線内では等価)、そのほかに特急または多摩急行が挿入されます。つまり、乗客の多い代々木上原-新百合ヶ丘では(特急または多摩急行)と急行が各10分間隔で運転されました。下りは多摩急行と急行は続行運転され、下りは先行の急行が経堂を通過、続行の多摩急行が経堂に停車し、運転間隔が開きます。そして、先行の急行が向ヶ丘遊園に停車している直後で後続の多摩急行が通過し、間隔をふたたび詰めるというオペレーションでした。上りも多摩急行が続行であり、そのオペレーションは上手に機能していないように感じました。急行の間隔がやや開く箇所に多摩急行が挿入され、そのような意味では、混雑分散に役だった種別でしょう。

2004年9月~11月に複々線が延伸され、2004年12月に梅ヶ丘-和泉多摩川の複々線を前提としたダイヤ(湘南急行から快速急行への変更、区間準急の新設)に組み替えられました。

快速急行が定着した2007年3月時点では60分サイクルで以下の構成でした(平日)。

  • 特急:3本設定
  • 快速急行:3本(新宿-小田原1本、新宿-藤沢2本)
  • 急行:4本(新宿-箱根湯本1本、新宿-小田原2本、新宿-片瀬江ノ島1本)
  • 多摩急行:2本(千代田線-唐木田、30分間隔)
  • 区間準急:2本(新宿-唐木田、30分間隔)
  • 各駅停車:6本(新宿-本厚木)

上記を見ると難しいダイヤに見えますが、特急快速急行は新宿断面で約10分間隔で設定されており、これらをまとめると30分サイクルに近いものでした。ただし、小田原方面の快速急行特急が交互に設定されており、ここに着目すると60分サイクルです。新宿断面で急行は10分間隔と20分間隔の交互で、その間に区間準急(代々木上原で多摩急行に連絡)が入りました。いいかたを変えると、区間準急+多摩急行で新宿-新百合ヶ丘の速達輸送を担っていました。また、20分のダイヤホールの間には快速急行が必ず入り、新宿-相模大野の速達列車は平均10分間隔が確保されていました。

相模大野以遠では快速急行急行を合わせて毎時4本しか確保されていませんが、町田-箱根湯本の急行が30分間隔で設定され、相模大野以遠でも平均10分間隔の速達列車が確保されていました。このころになると相模大野での分割はかなり減少し、相模大野以遠での区間運転で輸送量を調整しつつ、複々線化による余裕を使って代々木上原-新百合ヶ丘の速達列車を増発するという手段で混雑を緩和しています。

各駅停車は経堂または成城学園前で急行と緩急結合、複々線区間で抜かれ、新百合ヶ丘で緩急結合というダイヤでした。

2007年3月時点の土曜・休日ダイヤは特急が毎時4本設定されており、小田原方面の快速急行は設定されていませんでした。かわりに急行が毎時4本の全てが小田原方面に向かい、江ノ島線内運転の急行が別途設定されていました。

2008年時点では基本的なパターンこそ変わらないものの、急行の箱根湯本直通は原則的に廃止され、各駅停車(新松田-箱根湯本)の直通になっています。また、新松田で分割し、6両が急行運転で4両が各駅停車という運用もなくなっています。6両編成と4両編成を連結したときの運転台スペースを減らすべく10両固定編成が積極的に増備され、分割・併合を廃止しつつある時期でした。

2013年時点では土曜・休日ダイヤでも快速急行が毎時3本に増え(かわりに特急は毎時3本に減便された)、本数は平日・休日ともに同様になりました。ただし、土曜・休日ダイヤでは新宿-片瀬江ノ島の急行は設定されず、新宿-町田(下りは相模大野行き)と相模大野-片瀬江ノ島に分断されていました。平日と土曜・休日で江ノ島線内の急行の運転時刻が異なっていた(し、休日は藤沢-片瀬江ノ島を各駅に停車していたという違いもある)という事情でしょうが、平日と同様のパターンにしなかったのは謎です。

2016年3月ダイヤ改正で日中時間帯に大きな変更がありました。速達列車を急行ベースから快速急行ベースに変更しました。さらに、従来の30分サイクルから20分サイクルに変更されました。これにより、遠方にも快速急行の恩恵が広がり、20分間隔で利用できるようになりました。サイクルの構成は以下の通りです。

  • 特急:1本設定
  • 快速急行:2本(新宿-小田原方面1本、新宿-藤沢1本)
  • 急行:2本(新宿-小田原方面1本、千代田線-唐木田1本)
  • 各駅停車:2本(新宿-本厚木)

快速急行は従来の毎時3本から毎時6本(いずれも新宿-相模大野)に倍増され、約10分間隔になりました。また、急行(改正前は多摩急行含む)は新宿発着が毎時1本減便されたかわりに千代田線が毎時1本増発され、多摩急行がなくなり(多摩急行そのものは存続)急行に統一されました。これは向ヶ丘遊園に停車する速達列車が毎時3本では少ないという判断でしょう。

一方、区間準急は全区間で廃止(多摩線内は線内運転の各駅停車が運行)され、梅ヶ丘-新百合ヶ丘の各駅停車のみの停車駅は毎時8本から毎時6本に減便されました。千代田線直通急行の新宿連絡は従来の区間準急から快速急行(藤沢系統)に変わりました。速達列車の新宿-代々木上原は比較的余裕があり、接続列車を兼ねた形です。まとめると、代々木上原-新百合ヶ丘で毎時1本、新百合ヶ丘-相模大野で毎時2本の増発です。

新宿-藤沢の快速急行は相模大野で新宿-小田原方面の急行に連絡し、新宿-小田原方面の速達輸送を10分間隔で設定していることと等価です。なお、快速急行急行とも小田原発着は毎時2本で、残りの毎時1本は新松田発着です(そのため、これまでは小田原方面と記しました)。新松田-小田原の各駅停車を毎時4本としているため、この区間だけ60分サイクルとなっていたのです。

なお、このときにJR東日本と小田急電鉄の相互直通運転が開始されました(従来はメトロと相互直通運転をしていたが、JR東日本車の小田急線内運用や小田急車のJR常磐線運用はなかった)。JR車による急行表示が開始され、奇しくもJRの定期急行がなくなったダイヤ改正からJR車の民鉄内急行が開始されたことになります。上りは新百合ヶ丘で唐木田発の急行と快速急行が緩急結合するダイヤです。

2018年3月3日に代々木上原-梅ヶ丘の複々線が開業し(ダイヤ改正の3月17日ではない)、それを十二分に生かしたダイヤに変更されました。停車駅は以下の通り変更されました。

  • 快速急行:登戸に停車
  • 通勤急行:登戸と経堂通過の急行、朝上りのみ設定
  • 急行:夕方以降の下りを除き、経堂に停車(朝上りはそもそも運転されない)
  • 通勤準急:従来の準急と同じ停車駅(経堂にも停車)、朝上りのみ設定
  • 準急:千歳船橋、祖師ヶ谷大蔵と狛江に停車

快速急行の登戸停車は環状軸の南武線の重要性が増したことに由来するでしょう。準急はどちらかというと通過駅のある各駅停車という位置づけであり、千代田線と世田谷区の利用が多いことを想定し、新規需要の開拓を狙った部分がありましょう。

日中時間帯は地下鉄直通の急行が地下鉄直通の準急と新宿発着の急行に分離されました。中距離区間は地下鉄よりも新宿志向が強いことを反映した結果のダイヤです。日中時間帯は20分サイクルで以下の構成です。

  • 特急:1本設定
  • 快速急行:2本(新宿-小田原1本、新宿-藤沢1本)
  • 急行:2本(新宿-新松田1本、新宿-唐木田1本)
  • 準急:1本(千代田線-向ヶ丘遊園、土曜・休日ダイヤでは千代田線-成城学園前が加わり、代々木上原-成城学園前は10分間隔)
  • 各駅停車:2本(新宿-本厚木)

結果的に新宿-向ヶ丘遊園で増発されました。2016年に区間準急が消滅し、複々線区間では各駅に停車する電車が10分間隔(それまでは平均7.5分間隔)になっていましたが、準急の設定により利用客の多い駅は20分に3本とかつての姿を取り戻した格好です。複々線区間では下りの急行の半数が経堂で各駅停車に連絡、もう半数が成城学園前で各駅停車に連絡とランダムさがありますが、成城学園前で各駅停車に連絡する急行は、経堂で準急に接続するので(経堂-成城学園前で準急は各駅に停車することから)結果的にすべての急行が経堂で各駅停車に連絡することと等価です。

上りの急行は始発駅によらず、快速急行と新百合ヶ丘で接続します。このことにより、上りの町田→新宿の先着列車は特急を別にすると約10分間隔の快速急行に限定されることになりました。

2019年ダイヤ改正で休日の準急の半数が廃止され、平日と同等の本数に整理されました。また、急行(日中の新松田-小田原は快速急行から変更されました)は開成に停車することになりました。

2020年ダイヤ改正で土曜・休日ダイヤに限り、日中時間帯の多摩線急行は多摩線内各駅に停車し、多摩線内の各駅停車は20分間隔に減便されました(平日ダイヤは2022年に実施)。

準急の利用が振るわなかったのか、2022年ダイヤ改正では千代田線直通の準急と新宿発着急行(新宿-新松田)が統合され、千代田線-向ヶ丘遊園の急行に変更されました。これだと相模大野-本厚木の速達列車が20分間隔になってしまいますので、町田-小田原の6両急行が設定され、相模大野で藤沢発着快速急行に連絡することになりました。これにより、新松田での双方向の折り返しがなくなり、新松田のオペレーションは改善されました。

まとめると、20分サイクルで以下の構成になりました。

  • 特急:1本設定
  • 快速急行:2本(新宿-小田原1本、新宿-藤沢1本)
  • 急行:2本(新宿-唐木田1本、千代田線-向ヶ丘遊園1本)
  • 各駅停車:2本(新宿-本厚木)

町田以西で急行が減車されて混雑が問題になる一方、向ヶ丘遊園-町田の複線区間の過密ダイヤが緩和し、スピードアップとなったのも事実です。

小田急小田原線の夕方ラッシュ時のダイヤパターンの変遷

2001年7月時点では、おおよそ30分サイクルで以下の構成でした。

  • 特急:1本
  • 急行:4本(新宿-小田原2本、新宿-片瀬江ノ島1本、新宿-相模大野1本)
  • 準急:2本(千代田線-相模大野1本、新宿-相模大野1本)
  • 各駅停車:8本

新宿を発車する急行は15分に2本程度で、半数は小田原方面、半数は相模大野行きか片瀬江ノ島行きです。片瀬江ノ島行きは相模大野で分割し、江ノ島線内急行と江ノ島線内各駅停車に分割されていました。

準急は新宿発と千代田線発が約30分間隔で設定され、いずれも相模大野行きでした。朝と異なり、経堂に停車しました。各駅停車は30分に4本設定され、向ヶ丘遊園以遠は30分に3本でした。準急が各駅に停車するので、向ヶ丘遊園以遠でも各駅にとまる電車は平均6分間隔でした。なお、唐木田行きがあるので、新百合ヶ丘以遠は30分に4本です。各駅停車は東北沢、和泉多摩川(複々線の終端)、向ヶ丘遊園、新百合ヶ丘、町田で速達列車を待つパターンが多かったです。

2002年には湘南急行と多摩急行が運転を始めました。複々線延伸(2004年)を控え、速達性に舵を切ったダイヤ改正です。

2002年12月時点では30分サイクルで以下の構成でした。

  • 特急:1本
  • 急行:4本(新宿-小田原2本、新宿-片瀬江ノ島1本、新宿-相模大野1本)
  • 多摩急行:1本(千代田線-唐木田)(準急のこともある)
  • 準急:1本(新宿-相模大野)
  • 各駅停車:4本(新宿-本厚木3本、新宿-向ヶ丘遊園1本)

基本的に急行が15分に2本運転され、1本は小田原方面、もう1本は相模大野(たいてい相模大野から各駅停車に化ける)または片瀬江ノ島行きでした。もう少し巨視的に見ると、急行と別の速達列車、そして各駅停車がそれぞれ1本が平均7.5分間隔で発車しました。ただし、特急の直前の急行にはペアとなる速達列車はありませんでした。複々線区間が限られていた点の制約でしょうか。

2004年9月~11月に複々線が延伸され、2004年12月に梅ヶ丘-和泉多摩川の複々線を前提としたダイヤ(湘南急行から快速急行への変更、区間準急の新設)に組み替えられました。

快速急行が定着した2007年3月時点では60分サイクルで以下の構成でした。

  • 特急:2本
  • 快速急行:2本(新宿-小田原1本、新宿-藤沢1本、合わせて30分間隔)
  • 急行:6本(新宿-小田原4本、新宿-藤沢1本、新宿-相模大野1本)
  • 多摩急行:2本(千代田線-唐木田2本)
  • 準急:2本(新宿-本厚木1本、新宿-町田1本)
  • 各駅停車:8本

速達列車と各駅停車はおおよそ7.5分に1組設定されていました。急行準急が合わせて7.5分に1本設定されていました。急行が発車する場合、特急が先行するパターン、快速急行が先行するパターン、多摩急行が続行するパターン(先行するパターンもあり)があり、急行への乗客集中を避けていました。逆に、遠距離客が集中しがちな快速急行のときには続行で急行を設定し、快速急行への集中を避けていたと表現したほうが良いかもしれません。快速急行の直前の準急は新百合ヶ丘まで先着していました。

各駅停車は新百合ヶ丘までは向かい、30分間隔で唐木田行きが設定され、新百合ヶ丘以遠は(準急を含め)30分に4本の設定でした。

快速急行は30分間隔で設定されますが、相模大野以遠は毎時1本の設定です。かわりに快速急行藤沢行きに連絡する相模大野始発の急行が設定され、快速急行の速達性はある程度波及するように配慮されていました。

新宿から登戸までの速達列車の所要時間は20分程度と複々線延伸前より若干スピードアップしていますが、そこまでではありません(0~2分程度)。東北沢で各駅停車を追い抜けなくなったぶんのスピードダウンが影響しています。かわりに各駅停車は40分程度から34分程度に短縮されています。

2008年時点では基本的なパターンこそ変わらないものの、急行の箱根湯本直通は原則的に廃止され、各駅停車(新松田-箱根湯本)の直通になっています。また、新松田で分割し、6両が急行運転で4両が各駅停車という運用もなくなっています。6両編成と4両編成を連結したときの運転台スペースを減らすべく10両固定編成が積極的に増備され、分割・併合を廃止しつつある時期でした。

2010年時点では快速急行の直前の準急が新百合ヶ丘先着から向ヶ丘遊園で快速急行に抜かれるようになっています。これによる所要時間短縮はありませんが、(先行の準急との運転間隔を狭められるので)快速急行は新宿を1分早く発車するようになり、前の急行と次の快速急行のダイヤホールは14分から12分に短くなっています。

2015年時点では準急急行に変更され、夕ラッシュ時は60分サイクルで以下の構成になっています。

  • 特急:3本
  • 快速急行:2本(新宿-小田原1本、新宿-藤沢1本、合わせて30分間隔)
  • 急行:8本(新宿-小田原6本、新宿-藤沢1本、新宿-相模大野1本)
  • 多摩急行:2本(千代田線-唐木田2本)
  • 各駅停車:8本

平均7.5分間隔で速達列車と各駅停車が設定され、速達列車には必ず急行が入ります。そのほかの速達列車も入ることが多く、特急快速急行が先行するパターン、多摩急行が続行するパターンがあり、30分に1回は急行単独で設定されます。各駅停車の多くは本厚木行きですが、毎時1本のみ町田行きであり、この直後に急行相模大野行き(相模大野から各駅停車本厚木行き)が設定されています。

2016年3月ダイヤ改正では千代田線-本厚木の準急が毎時1本増発された一方、準急が各駅にとまる向ヶ丘遊園-本厚木では各駅停車が毎時1本減便されました(結果として同区間は増減なし)。当該の準急は向ヶ丘遊園で後の快速急行に抜かれます。

2018年3月3日に代々木上原-梅ヶ丘の複々線が開業し(ダイヤ改正の3月17日ではない)、それを十二分に生かしたダイヤに変更されました。停車駅は以下の通り変更されました。

  • 快速急行:登戸に停車
  • 通勤急行:登戸と経堂通過の急行、朝上りのみ設定
  • 急行:夕方以降の下りを除き、経堂に停車(朝上りはそもそも運転されない)
  • 通勤準急:従来の準急と同じ停車駅(経堂にも停車)、朝上りのみ設定
  • 準急:千歳船橋、祖師ヶ谷大蔵と狛江に停車

快速急行の登戸停車は環状軸の南武線の重要性が増したことに由来するでしょう。準急はどちらかというと通過駅のある各駅停車という位置づけであり、千代田線と世田谷区の利用が多いことを想定し、新規需要の開拓を狙った部分がありましょう。

夕方ラッシュ時は30分サイクルで以下の構成に変更されました。

  • 特急:2本(毎時1本は千代田線からのメトロホームウェイ)
  • 快速急行:3本(新宿-小田原1本、新宿-藤沢1本、合わせて15分間隔、新宿-唐木田1本)
  • 急行:4本(新宿-小田原2本、新宿-藤沢1本、千代田線-伊勢原1本)
  • 準急:2本(千代田線-本厚木1本、千代田線-成城学園前1本)
  • 各駅停車:5本(新宿-本厚木3本、新宿-向ヶ丘遊園1本、千代田線-成城学園前1本)

ダイヤ改正前と比べ、新宿発の速達列車が30分に5本から30分に6本に増発されました。需要の高い新宿-藤沢・小田原の快速急行が各60分に1本、合計で相模大野までの快速急行が30分に1本が増発されています。また、新宿発の急行本厚木方面行きと千代田線発多摩急行唐木田行きが入れ替えられ、新宿発快速急行唐木田行きと千代田線発急行伊勢原行き(伊勢原で各駅停車連絡)に変更されました。

このほか、千代田線からの準急が毎時1本から4本に増発され、うち半数は成城学園前までです。向ヶ丘遊園以遠は各駅停車の置き換えであり、各駅にとまる電車は増発されていません。さらに、千代田線-成城学園前の各駅停車が30分間隔で増発されています。

これらをまとめると、新宿-相模大野の快速急行が30分間隔で増発、千代田線-成城学園前の準急各駅停車が各30分間隔で増発されている結果です。複々線区間の延伸による効果で新宿から町田の快速急行の所要時間が(登戸に停車するにも関わらず)38分から37分に短縮されています。

従前どおり、新宿発断面で速達列車は7.5分間隔で設定され、15分間隔で設定される特急と連続する際を除き、快速急行急行が続行するパターンです。また、快速急行唐木田行きは新百合ヶ丘で相模大野先着の準急に連絡します。

2022年ダイヤ改正で日中時間帯に準じた本数に整理されました。(千代田線直通特急が入る関係で厳密には60分サイクルですが、おおむね)20分サイクルで以下の構成です。

  • 特急:1本
  • 快速急行:2本(新宿-小田原方面1本、新宿-藤沢1本)
  • 急行:2本(新宿-小田原2本、新宿-唐木田1本)
  • 準急:2本(千代田線-向ヶ丘遊園1本、千代田線-相模大野1本※)
  • 各駅停車:2本(新宿-本厚木2本)

※千代田線直通特急が入るサイクルは成城学園前行き

ダイヤ改正以前と比較すると需要の少なかった快速急行唐木田行きは小田原方面と藤沢行きに統合されました。また、急行の行先が唐木田と小田原にまとめられました。このような変更があったものの、新宿発の速達列車は本数が維持されました。千代田線直通は各駅停車が減らされ、急行準急に変更されました。全体として分かりやすいダイヤに変更されています。また、急行も経堂に停車しています。

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小田急小田原線(ダイヤパターン紹介)

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