箱根登山鉄道への乗車(強羅→箱根湯本、21年秋、車窓も収録)

記事上部注釈
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箱根でも人気のある登山電車。その登山電車に強羅から箱根湯本まで乗車しました。車内や混雑、そして沿線風景を収録しています。

写真1. 強羅に停車中の箱根登山鉄道の旧型車両

復習:箱根登山鉄道の概要

まず、箱根登山鉄道の概要を紹介しましょう。

箱根登山鉄道の概要
  • 区間:小田原-強羅
  • 距離:15.0km
  • 形態:単線電化
  • 備考:箱根湯本を通しで運転する電車なし(箱根湯本で乗りかえ)

図1. 箱根登山鉄道の路線図(公式サイトより引用)

箱根登山鉄道は小田原-強羅の路線です(このほかにケーブルカーもあります、図1)。このうち、小田原-箱根湯本は小田急の路線のように見え、営業運転されている車両も小田急車だけです。箱根湯本-強羅は登山鉄道車が走っており、箱根登山鉄道の区間はここだけと錯覚する人もいるでしょう。

もともと箱根登山鉄道は山を走る(=モータ出力が必要)ことからか軌間は1435mmです。一方で、小田原で接続する小田急の軌間は1067mmです。そして、小田原で小田急に直通すると、東京都内に直結でき、観光面で有利です。そのため、小田急との直通がなされました。小田原よりの小田原-箱根湯本は勾配もゆるく、小田急との直通が可能です。したがって、小田急との直通区間は小田原-箱根湯本です。もしもここを通る車両を小田急車に統一できれば、箱根登山鉄道車に対応した軌間1435mmは不要となり、設備のメンテナンス費用が節約できます。また、小田急車のほうが車両が大型で、輸送力増強も可能です。このような背景から、小田原-箱根湯本は小田急車で統一されました。

一般にこのような直通運転は相互直通運転といい、相互の車両が相手に乗り入れます。そのため、このように片方の車両だけが乗り入れる「片乗り入れ」は珍しいです。小田急の車両を使って箱根登山鉄道の事業が運営されますから、これはフェアではありません。一方で、箱根登山鉄道は小田急グループの会社です。そのため、「赤の他人」ともいえる小田急と東京メトロとの直通運転よりもこの点で融通が利く一面もありましょう。

内容がややそれましたが、箱根登山鉄道の小田原-箱根湯本は小田急らしさを感じる一方で、箱根湯本-強羅が箱根登山鉄道らしさを感じる区間です。

余談ですが、小田原-箱根湯本には道路が並走しており、ここには伊豆箱根鉄道バスも走っています。このバス会社は小田急グループではなく、西武グループです。この点には注意が必要です。

箱根登山鉄道らしさを味わう

では、強羅から乗ってみて、箱根登山鉄道らしい区間を堪能しましょう!

写真2. 強羅の時刻表

強羅の時刻表です(写真2)。平日・休日ともに8時台から17時台まで毎時4本あり、6:00~22:00までが営業時間であることがわかります。なお、箱根湯本と強羅の所要時間は40分弱です。

強羅での入線

強羅では乗降分離がなされており、乗車ホームと降車ホームが分離されています。では、どのように運転されているのでしょうか。

写真3. 降車ホームに電車が到着!

降車ホームに電車が到着しました(写真3)。この多くの人がこちら側にあるケーブルカーのりばに移動してきます。

写真4. 踏切まで戻った

強羅の箱根湯本よりには踏切がありますが、この先まで動きます(写真4)。

写真5. 方向転換した

方向転換し、こちらに向かってやってきます(写真5)。箱根登山鉄道にはスイッチバックが3か所あり、進行方向を変えるのはお手のものなのでしょう。

写真6. 乗車ホームにやってくる

乗車ホームにやってきます(写真6)。

写真7. 電車が到着!

電車が到着しました(写真7)。箱根登山鉄道の車両にはうとく、この形状の車両は吊りかけ駆動と思っていましたが、現有する登山鉄道車はカルダン駆動に改造されているのですね。知りませんでした。

モハ2形の車内を眺める

モハ2形に当たりました。箱根登山鉄道の古めの外観の車両はオールロングシート車という印象がありましたが(実際にモハ1形にはオールロング車があります)、私が乗ったモハ2形はセミクロスシート車です。

モハ1形とモハ2形は車体こそ日本車両製で似ていますが、電装品が異なり、モハ1形はアメリカ製、モハ2形はスイス製です。私はアメリカよりスイスのほうが好きなので、そのような意味でもラッキーでした。

写真8. クロスシートから眺めた車内の様子

クロスシートから眺めた車内の様子です(写真8)。運転席後ろの窓も大きく、スイスの登山鉄道も思い出しました。

写真9. クロスシートの様子

クロスシートの様子です(写真9)。ボックスシートですが、シートピッチが広く、そこまで圧迫感はありません。進行方向を変えるので、転換クロスシートは不適切な路線かもしれません。

写真10. クロスシートの様子

別の角度でも撮影しました(写真10)。

強羅から箱根湯本までの風景を堪能する

せっかくクロスシートに乗ったのですから、風景を堪能しましょう!

写真11. 強羅を発車!

強羅を発車しました(写真11)。仙石原地区と強羅地区を結ぶバスはこの踏切を渡ります。

写真12. ホテルの前を通る

強羅地区はある程度の平地があり、ホテルなどがある場所です(写真12)。

写真13. とはいえ傾斜も多い

とはいえ、傾斜も多いです(写真13)。箱根登山ケーブルカーはこの傾斜を走ります。

写真14. 車内の混雑の様子

このときは日曜の午前中ということもあり、車内は席の半数程度が埋まっていました(写真14)。ただし、途中では降車より乗車が多かったこともあり、箱根湯本到着時点では座席が埋まる程度の混雑に変化していました。

写真15. コンビニエンスストアも看板の色が地味

観光地であれば、コンビニエンスストアを使う機会もあるでしょう。しかし、観光地ということに配慮してか、通常と色合いが異なります(写真15)。

写真16. 彫刻の森に停車!

彫刻の森に停車します(写真16)。ここは2面2線ですが、通常は駅舎側のホームを使います。これはこれで利便性が高いですね。

写真17. 観光地といえども絶景ばかりではない

箱根は大観光地なのは言うまでもありません。その観光地といえども全てが絶景というわけではありません(写真17)。

写真18. 森に入った

強羅地区はある程度の平地がありますが、ここから湯本地区まで平地がほとんどありません。その山地に入り、森の中に入り始めました(写真18)。

写真19. 森を走る

その森を走ります(写真19)。

写真20. 小涌谷に停車!

小涌谷に停車します(写真20)。ここで1000形とすれ違います。

写真21. 森を走る

森を走ります(写真21)。

写真22. 渓流の上を走る

渓流の上を走ります(写真22)。箱根登山鉄道でも風光明媚な場所ですね。

写真23. 渓流の上を走る

別の角度でも撮影してみました(写真23)。

写真24. 国道が眼下に広がる

国道が眼下に広がります(写真24)。

写真25. 森を抜けるような気配

森を抜けるような気配があります(写真25)。

写真26. 宮ノ下に停車!

宮ノ下に停車します(写真26)。ここでは3000形とすれ違いました。ここは斜面が迫っています。

写真27. 強羅行きの混雑状況

強羅行きの混雑状況です(写真27)。席が埋まり、立ちも発生していました。

写真28. 信号所が現れる

ほどなくして信号所が現れました(写真28)。仙石台信号所です。

写真29. 仙石台信号所の案内

仙石台信号所の案内表示です(写真29)。箱根登山鉄道のイメージキャラクターは旧型電車なのでしょうか。てっきり最新型かと思っていました。

写真30. 急斜面にも住宅がある

急斜面にも住宅があります(写真30)。

写真31. 上大平台信号所に停車!

上大平台信号所です(写真31)。ここで進行方向を変えます。このあたりの傾斜は厳しく、山の斜面をジグザグに進むしかないのでしょう。

写真32. 強羅方面の線路が分岐していく

強羅方面の線路が分岐していきます(写真32)。

写真33. 住宅もある

住宅もあります(写真33)。箱根には観光という大きな産業があり、定住するには良い場所なのでしょうか。

写真34. 大平台に停車!

大平台に停車します(写真34)。周囲の様子を見ると、「大きく平ら」という感じはありません。

写真35. 再び強羅方面の線路が分かれていく

再び強羅方面の線路が分かれていきます(写真35)。ここ大平台でもスイッチバックがあります。

写真36. 強羅方面の電車には立客が発生!

そして、すぐに出山信号所があります。ここでもスイッチバックがあります。つまり、合計3回進行方向が変わり、強羅発車時点での進行方向と変わります。たまたま運転台越しに反対方面の電車を撮影していました。けっこう混んでいますね(写真36)。

写真37. 国道1号線が眼下に見える

国道1号線が眼下に見えます。あちらもカーブが多いです。そして、こちらの登山電車も。車体が大きい小田急車が通れないわけです。

写真38. 出山鉄橋を渡る

出山鉄橋を渡ります(写真38)。確かに絶景ですが、写真に残そうとすると鉄橋のトラスが入ってしまいますね。

写真39. 塔ノ沢に停車!

塔ノ沢に停車します(写真39)。ここには深沢銭洗弁財天があります。

写真40. まもなく箱根湯本!

まもなく箱根湯本です。小田急車が入る箱根湯本の近くといえども80‰の勾配があり、傾斜の険しさが感じられます。

写真41. 箱根湯本に到着!

箱根湯本に到着しました(写真41)。

コラム.箱根登山鉄道の車両たち

箱根登山鉄道の車両を撮影していました。その姿を紹介しましょう。

写真42. 1000形が停車中

1000形が停車中です(写真42)。この列車は1000形だけで組成されているのでしょうか。

写真43. 2000形が組み込まれている

中間車には2000形が組み込まれています(写真43)。現在の箱根登山鉄道は1000系が2両×2編成ありますが、編成単位では、全て3両編成です。グループ会社の小田急電鉄も昔は様々な組成の車両を組み合わせて10両編成を組成していましたが、そのDNAはグループ会社に組み込まれているのでしょうか。

写真44. 2000系の先頭車

その2000形が先頭に来ることもあります(写真44)。

写真45. しかしもう片方の先頭車は3000形

しかし、もう片方の先頭車は3000形です(写真45)。このように、箱根登山鉄道は輸送力を確保するために努力なされているのです。

箱根登山鉄道に乗ってみて

今回、箱根登山鉄道に乗ってみました。風光明媚な車窓は大きな魅力ですが、混雑が気になりました(私が乗ったのは日曜の午前の箱根湯本行きでしたので、座れましたが)。一定以上の混雑は不快な旅行となってしまいます。とはいえ、定常的に4両編成にするのも、途中駅のホーム長さを考えると現実的ではありません。また、10分間隔への増発も交換駅の増加につながり、これまた現実的ではありません。

これを解決したところで、ケーブルカーやロープウェイが余計に混雑する懸念もあります。ところで、箱根登山鉄道-箱根登山ケーブルカー-箱根ロープウェイ-海賊船の「ゴールデンルート」で行きつく元箱根地区は、実はそこまで遠くありません。一般的な「ゴールデンルート」を回遊ルートに変えるだけで、箱根登山鉄道などの混雑は半減します。幸いなことに、該当するバスも小田急グループも運転しています。

今後は単体の輸送力増強だけではなく、ゴールデンルートという単振動型の旅行形態から回遊ルートの旅行形態にシフトさせる、そんな取り組みが必要なのかもしれません。

前後を読みたい!

さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?

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※それぞれ別ウィンドウで開きます。

※箱根旅行の基礎知識:箱根旅行の基礎知識とモデルコース

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