箱根。東京に近いながらも山、温泉、湖と見どころが多くあります。また、その観光客を対象とした多くの施設があり、そこを楽しむことも良いでしょう。そんな箱根の基礎知識をまとめます。
写真1. 大涌谷も独特の景観!
箱根の概要
まず、箱根の概要をまとめましょう。
図1. 箱根の位置(googleマップより引用)
箱根の位置を示します(googleマップより引用)。箱根は神奈川県の南西部に位置し、温泉と芦ノ湖、そして山々という自然に恵まれた場所です。そして、東京から100km程度で2時間程度で行けることも魅力です。
箱根はいくつかのエリアに分かれています。私なりにエリアをまとめてみましょう。
図2. 箱根でのエリア区分
ここでは便宜上、4エリアに区分しました(図2)。
- 湯本地区(箱根湯本):箱根の入口にあたり、旅行の最初と最後に訪問することが多い場所
- 強羅地区:箱根でも閑静なエリアに位置し、ゆっくり過ごすエリア
- 芦ノ湖地区:芦ノ湖周辺に位置し、風景が素晴らしい場所
- 仙石原地区:美術館が多く、芸術に興味を示す人が多い地区
この4地区の行き来については次の章で述べるとして、それぞれのエリアの感想をまとめます。
湯本地区:箱根の玄関口といえるエリア
箱根湯本の駅があり、多くの人にとっては箱根の玄関口です。とりわけ新宿から直通する特急はこね号はここまでの運転で(この先は線路条件が厳しいので車両が入れない)、箱根に着くのはここ、という印象の人も多いでしょう。
写真2. 箱根湯本の風景
ここまで「箱根湯本は入口の位置づけ」と述べましたが、もちろん単なる通過点ではありません。箱根湯本では川沿いに建物が所狭しと建っていたりして、独特の景観です(写真2)。
写真3. 湯本商店街
また、箱根湯本の商店街(写真3)は多くの名産品であふれており、それらを見る楽しみもありましょう。そして、ここには興味深い喫茶店があり、(帰りの特急の)出発までのひと時を楽しむこともできました。
写真4. イカした喫茶店、マイアミ
強羅地区:箱根の奥座敷とも呼べる落ち着いたエリア
その湯本から「登山電車」で向かうと、その終点が強羅です。その強羅にはこれといった有名な観光名所はありませんが、そのぶん人が少ない静かな空間を楽しむことができます。
写真5. 強羅地区で迎えた朝の風景
私は今回の旅行で強羅を宿泊地に選びましたが、落ち着いた場所でした(写真5)。また、必ず乗りかえが生じる場所ですので、混んだ交通機関の始発に乗れるというアドバンテージもありました。強羅駅周辺以外には飲食店は少ないですので、そのような場所で宿泊する場合は、食事付きのプランにするという工夫があると良いかもしれません。
芦ノ湖地区:風景を堪能できるエリア
写真6. 紅葉が映える芦ノ湖
箱根の楽しみかたはいろいろあると思いますが、湖を堪能することを忘れてはなりません。湖があると、風景が一気に華やぐように思います。また、水辺での時間も贅沢なものと思います(写真6)。また、芦ノ湖を一望できる箱根駒ヶ岳ロープウェイの存在も忘れてはなりません(写真7)。
写真7. 駒ヶ岳から眺める芦ノ湖の様子
仙石原地区:美術館がひしめく文教地区
仙石原は軌道系交通機関や船がなく、やや敷居が高く感じるエリアです。その仙石原地区には美術館が多くあり(写真8)、芸術に理解がある人や自らをそう認識している人が行くことが多いです。
写真8. 仙石原にあるラリック美術館
また、仙石原のススキは有名で、季節によってはここに行くのも良いでしょう。
箱根での移動手段
箱根での移動手段を述べる前に、前提条件を述べましょう。
箱根での交通は鉄道、バス、船とありますが、それよりも小田急系か西武系の2大陣営に分類したほうがわかりやすいです。箱根は東京近郊の有名観光地ですから、眼をつけた鉄道会社は1つではありません。それが西武と小田急です。競争が激しい時代は「箱根山戦争」と呼ばれ、その対立は厳しいものでした。今では対立が表向き終了していますが、その名残が現在でも残っています。
箱根を回遊するのであれば、フリーパスを活用するのがおすすめです。ただし、やっかいなことに西武陣営(伊豆箱根バス陣営)と小田急陣営(箱根登山鉄道陣営)の相互利用はできません(※)。別のいいかたをすると、フリーパスを購入する時点でどちら陣営に属するかを決めねばならないということです。
※もちろん別払いで乗ることは問題ありません。客はある意味最強の存在で、フリーパスを購入していても課金すれば反対陣営に乗ることができるのです。
小田急陣営のフリーパス
写真9. 小田急陣営のバスの箱根登山バス(箱根湯本近くで撮影)
小田急陣営のフリーパスといえば、箱根フリーパスです。箱根フリーパスの対象に含まれる交通機関を列挙します。
- 箱根登山鉄道(小田原-箱根湯本含む)
- 箱根登山ケーブルカー
- 箱根ロープウェイ
- 海賊船
- 箱根登山バス
- 東海バス(三島地区との行き来に活用)
小田急陣営であれば、箱根の主要エリアは網羅していますし、いわゆる箱根ゴールデンルートを網羅している点も大きいです。唯一カバーしていないエリアは、箱根園エリアです。ここは箱根プリンスホテル近くの領域です。プリンスホテルは西武陣営のホテルですから、小田急陣営としても手を出しにくいでしょう。
ここで、東海バスも使えるのが1つのポイントかもしれません。東海バスは三島駅から出ていますので、三島から箱根に出入りする場合に活用できます。三島から?そんなケースはそう多くないでしょうが、特別に利用できるケースがあります。
それは、名古屋・大阪地区との行き来です。小田原に停車するひかり号の本数は多くなく、2時間に1本しかありません。三島でもそれは同じですが、「小田原にとまるひかり号だと都合が合わない」場合のカードとして活用できます。
何も考えずに箱根を動くのであれば、とりあえず箱根フリーパスを購入し小田急陣営で動くのが王道でしょう。
なお、弊サイトではこれらの交通機関の詳細を述べています。以下のリンクからご覧ください。
西武陣営のフリーパス
箱根園や駒ヶ岳ロープウェイに乗るのであれば、西武陣営の箱根旅助けが有力です。ただし、強羅や仙石原に向かうことはできず(強羅地区でも早雲山付近は30分間隔のバスで向かうことができます)、効力がやや狭いのが正直な印象です。
それでも、国道1号線沿いに箱根湯本から元箱根地区に向かうことができたり、駒ヶ岳ロープウェイに向かうために船に乗ったりできる良さはあります。
なお、弊サイトではこれらの交通機関の詳細を述べています。以下のリンクからご覧ください。
箱根での楽しみかた
箱根での楽しみかたを考えてみましょう。
テーマ決めの重要性
では、箱根ではどのように楽しむのが良いのでしょうか。人の興味にはかたよりがありますから、各自のかたよりに合ったテーマを決めて、そのテーマに合わせてめぐるという旅行も良いでしょう。
では、どのようなテーマがあるのでしょうか。箱根での楽しみかたは以下のものがあると思います。
- 風景や乗りものを堪能するスタイル
- 美術館を堪能するスタイル
- 宿泊施設でゆっくり過ごすスタイル
- 体験に重点を置くスタイル
もちろん、旅行に求めるものは人によってさまざまですので、ここで述べるようなスタイルに分類されないこともあるでしょう。それでも、分類すると思考が整理できますので、分類してみました。
私は一番最初の風景や乗りものを堪能するスタイルを選択しました。
風景や乗りものを堪能するスタイルの例
では、風景や乗りものを堪能するスタイルでは、どこに向かい、何をしたら良いのでしょうか。私なりの目的を列挙してみます。
- 小田急ロマンスカー(GSEとVSEの両方に乗れればベスト!)
- 登山電車
- 箱根ロープウェイ
- 箱根駒ヶ岳ロープウェイ
- 芦ノ湖
- オリエント急行のサロンカーを味わえる施設
最後の目的地が乗りものと関係なさそうに見えますが、実は非常に深い関係があるのです。全世界があこがれるオリエント急行の車両が展示されており、カフェタイムでその車両を堪能できるのです!全世界があこがれる列車はナイトジェットだという人もいるのかもしれませんが…。
私のコースは以下の通りでした。
1) 小田急ロマンスカーGSEで現地入り
2) AMはラリック美術館とオリエント急行のサロンカー
3) PMは芦ノ湖と箱根駒ヶ岳
4) ホテル箱根my強羅で宿泊
5) 翌日は朝に大涌谷に見学(ただし強風だったので満喫できず)
6) 箱根湯本でのんびり過ごす
7) 小田急ロマンスカーVSEで帰宅
箱根旅行の概要のまとめ
箱根。ここには多くの自然があり、観光施設も多くあります。そのため、限られた日程で全てをこなすことは不可能です。それだけに、エリアの特性、移動手段の基本、テーマ別旅行などの基礎知識が必須となる場所でもあります。そこで、本記事ではそのような基礎知識を述べさせていただきました。
とは、旅行は行ってみての出たとこ勝負という部分もあります。本記事を参考にしながら、熱海や三島への通り抜けなど各自でアレンジしてみてください。
さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?
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