検索順位とクリック率の割合の関係

記事上部注釈
弊サイトでは実際に利用したサービスなどをアフィリエイトリンク付きで紹介することがあります

サイト作成や集客において、検索順位を上げることは重要とされています。では、検索順位ごとのクリック率はどの程度なのでしょうか。弊サイトの分析結果をまとめました。

写真1. この車両の人気の順位はどのくらいだろう(東武特急、春日部で撮影)

検索順位とクリック率の割合の関係まとめ

弊サイトの分析結果をまとめると、おおむね以下の通りです。

  • 1位で22%程度を占める
  • 上位3つで40%を占める
  • 上位5つで50%を占める
  • 上位10個で60%を超える

以下、その検討結果をまとめます。

分析方法の詳細

写真2. 混雑を分析する人もいる(日暮里で撮影)

弊サイトの集客状況を以下の通りにまとめました。

  1. 1か月のアクセス数をサーチコンソールで集計
  2. 検索クエリの分析結果をExcelに出力
  3. 検索順位とクリック率を散布図に出力
  4. 散布図に出力された図から累計近似で近似曲線とその式を求める
  5. その式から算出されるクリック率の理論値を1位から100位まで求める
  6. 5を合計し、合計が1(100)になるように規格化する

1か月のアクセス数をサーチコンソールで集計

別の目的のために、アクセス数をサーチコンソールで集計しました。すると、検索クエリ(大阪駅 梅田駅 行きかた)ごとに表示回数、平均検索順位とクリック率を分析することができます。

例えば、以下の表です(この表はとても適当です)。

検索順位 クリック率
大阪駅 梅田駅 行きかた 1.00 36.12
ロンドン 観光地 36.51 0.04

この表について、1000行ぶんをExcelに出力します。

検索順位とクリック率を散布図に出力

1000行あると人間の手計算ではとうてい散布図に出力できません。しかし、コンピュータは優秀ですから、この手の計算は得意です。1000個あるデータを散布図に出力しましょう。

補足:散布図とは

散布図とは、あるものと別のものの関係を推測するための図です。気温とアイスクリームの売上の関係がわかりやすい例かもしれません。あるアイスクリーム屋で1年通してある日の売上、ある日の気温(これは気象庁のデータから参照できます)を1:1で対応させ、「7/10は63個売れ、この日の最高気温は31℃だった。だから、31℃だと63個。7/11は10個売れ、この日は最高気温21℃だった。だから、21℃だと10個。」というデータを積み重ねます。

この場合、気温と売上の関係式を出すことができ、気温に応じた売上を予想することができます。すると、材料の仕入れや仕込みを制御でき、商売の準備をしやすくなるというものです。

ただし、その場所が公園であれば、休日に人が多く、平日に人が少ないかもしれません。そのため、売上は気温で全てが説明できるわけでもありません。そのため、相関係数rで「説明できる割合」を算出します。

(補足おわり)

その散布図で図を描くと例えば以下の図を描けます。

図1. サーチコンソールから得られた散布図

ここで、散布図から関係式で求めます。一般に関数は求めたいものをy、知っているものをxで表し、yをxの式で示します。今回の場合、求めたいものはクリック率ですから、クリック率をyとします。相関係数の2乗が0.49程度、つまり相関係数が0.7なので、それなりに説明できると解釈しました。

なお、近似式は線形近似など多くの形式があります。今回は範囲が0以上100以下であること、順位の数字が大きくなるほどクリック率が下がることを考慮し、累計近似(反比例的なグラフ)を選択しています。

私はこの操作を22年6月~8月でそれぞれ分析し、以下のような近似式が適切と判断しました。

(クリック率)[%] = 40×(検索順位の-1.1乗)

もちろん、この式は検索クエリや分野で異なることでしょう。あくまでも弊サイトの分析結果である点をご了承ください。

近似式から検索順位ごとのクリック率を算出

仮に上の章で示した赤字の式が正しいとしましょう。すると、検索順位が1位のときは40.00%であることが算出できます。2位のときは18.66%です。このようにして100位までのクリック率を算出できます。

幸いなことにある人が検索画面を見る際には、検索順位は1位、2位、…と整数の値をとります。私やあなたが何らかの検索をする際には1位や2位の結果を見ることができても、1.73位の検索結果を見ることができないということです。

後の手順で求めますが、厳密には無限位までの結果を出す必要があります。しかし、101位からの検索結果を見る人はほとんどいないでしょうから、ここでは100位までの算出にしています。

規格化:全体の割合を1にする

クリック率はあくまでもクリック率でしかありません。別のいいかたをすると、ある検索をする際に1回クリックすると決まったわけではありません。もしかしたら0回かもしれませんし、3回クリックするかもしれません。そのため、クリック率の合計は100%とも限りません。

ここで求めたいものはクリック率ではなく、検索順位ごとのクリック回数の割合です。つまり、全体の合計は1.00(100%)になるはずです。量子物理学の用語ではこのことを規格化といいますが、ここでも規格化します。

規格化の手順は簡単です。1位~100位のクリック率の総合計を算出し、各順位のクリック率をこの総合計で割ります。今回の計算では171.1%でしたから(つまり1.71回クリックする計算)、全ての数字をこれで割ります。

先に1位で40.00%と算出しましたが、これを1.711で割り、占める割合は23.38%になります。2位以下についても同様の計算で求められます。

つまり、検索順位とクリック率の割合は以下の近似式になるということです。

(クリック率)[%] = 23.38×(検索順位の-1.1乗)

あとはこの式に検索順位を代入するだけです。

表1. 検索順位とクリック率の割合(弊サイトの分析結果から近似式を計算)

順位 クリック率 [%] 累計 [%]
1 23.38 23.38
2 10.90 34.28
3 6.98 41.26
4 5.09 46.35
5 3.98 50.33
6 3.26 53.59
7 2.75 56.33
8 2.37 58.71
9 2.08 60.79
10 1.86 62.65
20 0.87 74.60
30 0.55 81.33
40 0.40 85.97
50 0.32 89.50
60 0.26 92.33
70 0.22 94.68
80 0.19 96.69
90 0.17 98.45
100 0.15 100.00

この表のデータを見ると、検索順位1位と8位の違いは重大ですが、検索順位40位と50位の違いは大きくないということがわかります。よって、検索順位11位~20位の記事を10位以内にすることには意味が大きいですが、検索順位90位の記事を検索順位50位にする意味はそこまで大きくないということです。

とはいえ、特定の1語の検索キーワードに対し90位の記事を50位に上昇させる努力が全く無意味ということではありません。特定の1語のキーワードでこの程度上昇するこということは、2語や3語での場合に20位以内になったりする可能性もあるためです。

検索順位とクリック率の割合の既存のデータとの比較

少し古いですが、GoogleAdSenseマネタイズの教科書にあった(詳細なデータはp55をご覧ください)データには1位が31.2%、2位が14.0%、5位が5.5%と記されています(2014年のもの)。弊サイトの分析結果では1位は23.4%、2位は10.9%、5位は4.0%とそこまで大きな(桁が異なる、2倍以上の違いがあるなど)違いはありません。

のんくら、a-ki、石田健介、染谷昌利(共著) 日本実業出版社

この書籍には5位までしかデータが掲載されておらず、本記事はその穴を埋める有用なデータとなりましょう。

検索順位とクリック率の近似式を算出してみて

今回、リライト基準に合致するか否か(検索順位の割にクリック率が低い記事を抽出する)を目的にこのような作業を実施いたしました。その過程で検索順位とクリック率の関係性を調べてみました。

思いのほか、有用なデータを採取できたと思います。弊サイトは記事数がそれなりにあり、ビッグデータとなりましょう。そのようなビッグデータを解析するには手計算では難しいです。今回はExcelによる計算でコンピュータの威力を感じました。

このようなデータは世の中になかなか出回りません。そのため、「私がやってやろう」という精神で筆をとった(実際はキーボード操作ですが)次第です。本記事をきっかけとして深い記事が多く執筆されてほしいとも思います。

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