マクサン式Webライティング実践スキル大全の書評と実践記

記事上部注釈
弊サイトでは実際に利用したサービスなどをアフィリエイトリンク付きで紹介することがあります

インターネット上で話題となっているマクサン式Webライティング実践大全。この書籍の内容をまとめるとともに、実践記を記します。

写真1. 表紙は緑色が使われ、やや目立つ印象

重要

本記事は深い内容まで触れています。また、(すでに実践していた内容が多かったので少ないのですが)実際にサイト運営に取り入れた内容にも触れています。そのため、世の中にあまたある書評と毛色の異なると自負しています。

マクサン式Webライティング実践大全の概要

本書の概要をまとめると以下の通りです。

  • 読みやすい記事のつくりかたを学ぶことができる
  • 記事の改善方法を知ることができる
  • ただし、この方法をとるひとばかりだとインターネットコンテンツが画一化する可能性がある

以下で詳細を示します。

注意

以下、本書の書いている内容と、この記事を書いている人の感想が混じります。ここでは、書籍の作者を「筆者」、本記事の作成者を「私」と表記いたします。

マクリン(新井涼太) サンツォ(吉岡智将)(共著) 大和書房

マクサン式Webライティング実践大全の解説

では、この書籍にはどのようなことが書いてあるのでしょうか。6つの章がありますので、それぞれの章の内容をかいつまんで示します。

step0 有益なコンテンツの考え方

まず、有益なコンテンツの考え方と称して「役に立つこと」の重要性が示されています。何か検索し、それで満足したら金銭につながる行為に至ります。また、インターネット上の検索で上位になるには役に立つことが必要ですから、このマインドは必要不可欠なことです。

また、後の章で示されていますが、3300PVで1つの成約(商品が売れたり申し込まれたりすること)となっています(筆者の経験則であり全てのサイトに当てはまるわけではないとの断りがあります)。そのため、キーワードを探し、多くの人が検索するキーワードを探すことが奨励されています。

その詳細は各章で書かれていますが、「多くの人の求める情報わかりやすく提供しよう」という点がこの章の要点です。

これは(サイト運営側にとっては)とても有用な考えかたです。ただし、これはインターネットコンテンツ全体の豊かさという意味では危険なことです。多くの人がこの考えを実用化した場合を考えます。多くの人が求める内容は多くの記事がある一方、少しマイナーな内容だと全く情報を得られない結果となり、インターネットコンテンツ前提への信頼性が低下してしまいます。

そのため、本書をうのみにするのではなく、(サイト運営者以外から)インターネットコンテンツを見放されないようにするために、マイナーな内容も取り上げる必要があるように感じました。

step1 読みたくなる記事の書き方

「読みたくなる記事の書き方」と書いていますが、どちらかというと「読まれない記事にしないための方法論」という印象を受けました。15の見出しで書かれていますが、私が印象に残ったのは、以下の3つです。

  • 箇条書きの活用
  • 結論ファースト
  • 図解の活用

箇条書きの活用

単に文章で書くのではなく、要所で箇条書きを入れて要点をわかりやすく示すということです。私は2020年ごろから実施していますが、これを継続しようと改めて思いました。

また、見落としやすいのはlistタグを活用することです。私は2021年にWebデザインに関する書籍を読んで学んでいましたが、確かにわかりやすくなります。listタグを使うにはHTMLをマスターする必要もありません。本書を読んでいる人の多くはWordPressを使っていると思いますが、記事の編集画面で「クラシック版の段落」を選択すれば、感覚的にこれを入れることができます。

★WebデザインやHTMLなどは以下の書籍を読むとわかりやすいです(弊サイトでもここで示した内容を一部紹介していますが)。

おのれいこ (著), 栗谷 幸助 (著), 相原 典佳 (著), 塩谷 正樹 (著), 中川 隼人 (著)

結論ファースト

一般的なWebライティングで多く語られていますが、結論を上に持ってきて下にその根拠を述べるということです。私はこれを2018年ごろから実施していますので、改めての確認でした。

一般的な鉄道ブログではこの取り組みをしているところは少なく、弊サイトの差別化要素の1つとなっているとの自負もあります。

図解の活用

文章だけではわかりにくい部分も表を活用するとわかりやすくなります。また、を入れたり、ポジショニングマップを入れることも有用との記述もありました。確かに(本書の)筆者のサイトにも積極的に取り入れていることを確認でき、大御所と小物を分ける1つのポイントであることを改めて認識しました。

step2 SEOライティング成功法則

写真2. 本書はタイトルの下に概要が書かれており、まさに本書の求めるブログ記事のひな型の見本を見せている

この章では、SEO最適化について記されています。簡単にまとめてしまうと、検索上位に入るための具体的な方法論を述べている章です。

ここでは15の章がありますが、私の印象に残った3つについて記します。

  • 階層構造を意識した見出し
  • 有益な発リンク
  • トピッククラスターの活用

階層構造を意識した見出し

Webライティングの心得を語るサイトや書籍で触れられていますが、記事に見出しは必須です。その見出しは階層構造を意識するようにとあります。話題ごとに小さなまとまりを作り、それにタイトルを付けるということです。

見出しは目次でも活用されます。目次で1行に表示するために見出しの文字数にも気を配ることも書いていました。この視点はありませんでしたが、私は以前から気を配っていたように記憶しています(記憶は都合よく改ざんされるけどね!)。

有益な発リンク

自分が持っている情報は限られたものです。そのため、その情報の出典を示すことも重要です。自サイトから他サイトへリンクを発するため、発リンクと呼ばれているのですが、その発リンクにより情報ソースを示すことも重要と書かれています。

これは怠りがちですが、サイトの信頼性を高めるうえで重要なことです。気づくと忘れるので、私も注意したいと思います。

トピッククラスターの活用

ここは納得したとともに、疑問を感じた章でもあります。トピッククラスターと大層な言葉を使っていますが、何のことはありません。個別記事まとめ記事のことです。(私にとってみたら)当たり前の内容に対し、大げさに横文字を使うほどがないと感じました。

簡単にまとめると、以下のような記事群のことです。

  • ベルリンの観光名所のまとめ(本書でいうピラーコンテンツ、まとめ記事)
  • ブランデンブルク門(本書でいうクラスターコンテンツ、個別記事)
  • イーストサイドギャラリー(本書でいうクラスターコンテンツ、個別記事)
  • ベルリン中央駅(本書でいうクラスターコンテンツ、個別記事)

まとめ記事で全体をまとめ(この例でいうとベルリンの観光名所のまとめ)、その下に個別の観光名所についての記事をぶら下げるイメージです。そして、個別記事とまとめ記事を内部リンクで結び、読者を誘導するということです。

本書の通り、1つの記事でインターネット上で戦いを挑むのではなく、多くの記事で戦いを挑むスタイル、集団戦ということです。

本書ではキーワードで考察されています。確かに多くのニーズがあるキーワードだけで閲覧数は稼げることでしょう。しかし、細かなキーワード(ニーズ)も拾うと、インターネット世界をより豊かにできると思いました。

また、カテゴリページの増強にも触れられていました。具体的にはカテゴリページをまとめ記事のようにするということです。サイト運営的にはそれでも良いのでしょうが、そのカテゴリの一覧を探すのに長々と文章が続くのは好ましくないと感じました。本書51ページの「読者の求める情報量を適切に与える」と矛盾していないでしょうか。

私はカテゴリ設計は以下の通りが良いと考えています。

  • まとめ記事は検索流入を見越して読みものとしてまとめる
  • カテゴリページはそのカテゴリの一覧を示し、ここでは検索流入は狙わない
  • カテゴリページの説明文からまとめ記事への内部リンクを整備し、リストを探す人と読みものを求める人をすみ分ける

手前味噌ながら、以下のカテゴリページはそのような工夫を凝らしています。

東急東横線撮り鉄スポット

step3 E-A-Tの強化方法

E-A-Tの強化方法を述べた章です。ここは自サイトが信頼できる媒体として認知されるための施策集という章です。個人サイトが対応可能な領域かどうかを判断し、その領域でやれることをやるという章です。

細かなテクニックが書かれていますが、重要なことは以下の2点と読み取りました。

個人が参入できる分野とそうでない分野
個人が参入できる分野とそうでない分野があります。そのため、そのキーワードで検索して個人サイトが上位に表示されない場合は、参入を見合わせるのが得策と読み取りました。私は基本的に好き放題書いていますが、リライトの際に手を加えるべきか否かを判断する材料に使っています。
サイトのポジショニングマップ
サイト全体のカラーをある程度決めるということです。(本書の)筆者は充電器などのレビューについて「このスタンスで書く」と決められているようです(サイトを拝見して私もそう思いました)。私のポジショニングマップはどこだろう?短期的なニュース記事ではなく、長期的な情報のストック記事、そしてやや硬め(深め)の内容ということかな?

全般的にこれから難易度が高くなる内容のように感じました。本書では細かなテクニックについても触れられています。

step4 推敲・リライトの手順

ここの章では推敲やリライトについて触れられています。記事は1回書いたらおしまいということでなく、「常に記事をアップグレードしましょう」ということです。

常に最新情報にアップグレードすることは大変ですが、年に1回程度のアップグレードであれば、個人の手でも対応できそうに思えます。ここではその詳細な手法が記されていますが、(本記事の)次の章で実際に取り入れた手法を記します。

step5 ブログ収益化の戦略

ここは私の最も苦手とする箇所です(得意ならば億万長者になっています)。非常に繊細な内容が記されていますが、私が印象に残ったのは以下の2つです。

購入前クエリで書く

実践するのは難しいのですが、「購入に検索すると想定する内容で書き、適切なサービスに誘導する」という内容です。

競合が多いなか、自分の言葉で書くことの重要性も記されています。私は自サイトで特定のサービスを売り込むことは苦手なのですが、1つの経験として挑戦するのも手と思いました。

まとめ買いを狙う

もう1つの気づきはまとめ買いを狙うということです。言いかえると、関連商品を紹介するということです。充電器を買いたい人にはケーブルを勧める(購入金額が高いほうがサイト運営者への実入りがあります)という具体例を紹介していました。

マクリン(新井涼太) サンツォ(吉岡智将)(共著) 大和書房

マクサン式Webライティング実践スキル大全の反映

写真3. 私が実践した記事-都営浅草線の混雑状況に関する記事-のイメージ

ここまで本書の概要を説明しました。この程度の内容であれば、誰にでも書くことができます(いくつかの書評を眺めましたが、ここまで書いている人は少ないですが)。このような書籍は単に読むのではなく、実践することが肝要です。では、実際に取り入れた内容はあるのでしょうか。私なりに3つ取り入れたので、その内容を記します。

実践1. 図解の活用

本書では図解の重要性が説かれています。上手な文章よりも下手な図のほうがわかりやすいことも多いです(余談ですが、新入社員研修のグループワークでそのことを言ったら講師陣は苦い顔をしていました)。図解は大変なことですが、難しい概念を説明する際には有用でしょう。

そこで、さっそく新しい記事で導入しました。具体的には以下の記事です。

都営浅草線の混雑状況(平日朝ラッシュ現場調査、本所吾妻橋→浅草)

従来の同様の記事では、混雑状況を表で示していました。しかし、種別や時間帯での混雑状況の分析は視覚的にわかりにくいことも事実です。そこで、混雑状況をグラフでも示しました(当該記事の図2と図3)。また、ダイヤパターンの概説についても簡単なイメージ図を取り入れました(当該記事の図1)。

これを既存記事にも適用することや、今後の新規記事にも適用することは大変です。しかし、読者ファーストの考えで今後も折を見て導入しようと考えています。

実践2. リライト対象の選定

本書ではリライトの重要性が説かれています。個人的にダイヤパターン紹介混雑基本データは毎年更新することにしています。これは本書と出会う前から実施していました。

このほかに、検索回数が多くて検索順位が惜しいキーワードでリライト対象を絞り込むというテクニックが紹介されていました。私はこれで1つのクエリに対応する記事をリライトし、平均順位が10.76位から9.88位にランクアップしました。

このほかにも、検索順位が高いのにクリック率の低いワードに対し、タイトルのみを修正し、より分かりやすく修正しています。このことによる即効性はありませんが、サイト全体の質には貢献していると思います。

実践3. 購入前クエリの想定

私が苦手とする分野です。弊サイトは商品のレビュー記事は少なく、収益性という意味では悪いサイトです(何とかサーバー代やドメイン代はまかなえていますが)。

その中でデジタルカメラのレビュー記事やホテル記事については、当てはまっています。しかし、当該の記事についてはPV数が少なく、収益を上げるには全くの力不足です。

一方、他の記事についてはPV数がある程度あり、そこから当該記事に流入があれば収益が上がるかもしれません。そのような意図で、以下の施策を実施しました。

  • PV数の多い乗り鉄関連記事からホテルレビュー記事やホテル予約へのリンク整備
  • 撮り鉄関係の記事からデジタルカメラレビュー記事やSDカードへの販路

前者については、本記事執筆直前に思い浮かんだことであり、本記事執筆時点では成果は出ていません。デジタルカメラは1回購入したらしばらく購入する機会はなく、成果発生につながりません。しかし、消耗品のSDカードならば継続的に成果につながると期待できます。ただし、この施策もそこまでの成果になっていません。

この点については私の今後の課題となりそうです。

番外. 本書に書いてありながら未導入のもの

逆に、本書に書いてありながら、あえて導入していない項目もあります。いくつかありますが、代表的には以下の通りです。

  • 吹き出しの導入:本書には吹き出し(マンガのように会話形式で進める)を導入するように勧めていましたが、弊サイトでは取り入れません。これはひとえに私の好みです。
  • キーワード分析:キーワードを分析し、検索需要の高い内容のみを書くことが勧められています。確かに一理ありますが、マイナーな内容であっても疑問に応えることはインターネット世界を豊かにするために重要と認識しています。よって、機械的な分析にするつもりはなく、あくまでも網羅性を重視いたします(これも私の好みです)。

マクサン式Webライティング実践スキル大全を読んでみて

写真4. 世界一最高速度の速い列車のTGV(以下の記述を読むと意図がわかります)

本書を読んでみて、以下の感想を抱きました。

  • 記事執筆に必要な知識を得ることができる
  • 記事の収益化の細かなテクニックを知ることができる(なかなか成約に至りませんが)
  • 1つ1つの記事を魅力的に仕上げる方法論を知ることができる

ただし、以下の点に触れていないことが疑問に感じました。

  • 記事の読み込み速度の向上(なかなか表示されないと読者は離脱します)
  • 文章だけでなく、ツールを整備することによる読者の定着

また、マイナーなことを取り上げることを是とせずに、インターネット世界の均一化・それに伴う広い意味でのインターネット離れ・検索離れを促進してしまう懸念も抱きました。

本書は基本的な内容の再確認という意味で強いバイブルとなり得ますし、基本的だからこそ気づかない内容を再認識することができます。

一方で、(どのような書籍であってもそうですが)、本書という1つの書籍だけをうのみにせずに、他の書籍から別の側面を吸収することも重要であることも事実です。

マクリン(新井涼太) サンツォ(吉岡智将)(共著) 大和書房

別の観点でまとめられた書籍は以下の通りです。

Google AdSenseマネタイズの教科書から読み取るサイト作成の哲学と実践記

のんくら、a-ki、石田健介、染谷昌利(共著) 日本実業出版社
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