ラピートの乗車記(19年秋、関西空港→難波)

記事上部注釈
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関西でも主要な空港である、関西国際空港。関西国際空港は大阪中心部から離れていますが、直結する鉄道が2つあります。そのうちの1つである南海電鉄の看板列車である特急ラピート号に乗りました。

南海50000系(難波)

写真1. 難波に停車中の特急ラピート号

復習:南海ラピート号の概要

大阪の「ミナミ」の中心部の難波から関西国際空港を結ぶ特急列車です。もともと30分間隔で運転されていましたが、新型肺炎ウィルスの脅威が語られて以来(2020年4月から)、平日の朝夕と土曜・休日の朝のみの運転にとどまっています。

南海電鉄の公式サイトの運休列車一覧に掲載されています。

αが速達型、βが主要駅停車型です。所要時間はα、βともに40分程度(公式サイトでは約38分と表記)です。運賃のほかに特急料金がかかります。特急料金は520円で、運賃と特急料金の合計は1450円です。本記事では乗っていませんが、空港急行に乗れば、特急料金はかかりません。

なお、関西地区ではJR、私鉄ともにきっぷ運賃とIC運賃が分かれていませんので、きっぷを買っても、ICカードで乗っても同額です。

特急ラピートの車内

特急ラピートは専用車両による運行です。濃青色が特徴的な外観の車両の50000系によって運転されています。では、どのような車内なのでしょうか。レギュラーシート車の車内を紹介します。

写真2. 雰囲気のあるデッキ部分

南海ラピート号は関西空港から大阪市内までの交通機関です。これは言いかえると、遠隔地から大阪にやってくる人が最初に乗る交通機関です。その第一印象を決定するのがデッキ部分です。そのデッキ部分は雰囲気があります(写真2)。諸外国から大阪に入る際の第一印象も良いものとなるでしょう。

写真3. 客室全体

写真4. 客室全体

客室全体です(写真3、写真4)。暖色系の照明と丸い窓、そして荷棚と通路の天井が一体となった形状が印象に残ります。関西民鉄の座席指定車の伝統なのか、座席の上にも照明があります。

写真5. 座席の様子

座席の様子です。1つの楕円の窓に1つの座席が対応しています(写真5)。国内において座席割と窓割を合わせることは基本中の基本といえましょう。

写真6. 座席から車内を眺める

座席に座った状態で車内を眺めます(写真6)。

写真7. 電球色の照明が美しい

電球色の照明が美しいです(写真7)。座席上の照明も明るく、全体で明るくする車内です。

写真8. 通路の天井と荷棚

通路の天井と一体化されたデザインの荷棚です(写真8)。空港アクセス列車なのか、荷棚は航空機のそれに近いデザインです。ただし、このような形状だと忘れ物に気づきにくい難点があります。なお、デッキ付近には大型のキャリーバッグを収納するスペースもあります。

写真9. 座席背面の様子

座席背面の様子です。テーブル類はありません(写真9)。これは団体客のことを考慮した結果でしょうか。座席背面にテーブルがあると、向かい合わせにした際にテーブルを使えません。

写真10. ひじ掛けの様子

ひじかけの様子です(写真10)。ここにテーブルが格納されており、リクライニングボタンもあります。

写真11. リクライニングボタン

ひじかけの先端付近に目立つ色でリクライニングボタンが付いています(写真11)。

写真12. テーブルが出てきた

ひじかけを開くと、テーブルが出てきます(写真12)。テーブルは小さいですが、移動時間の短さ(だいたい40分くらい)であれば、まとまった食事をすることもないので、この程度の大きさでも良いのでしょう。

ラピート号からの車窓

さて、ラピート号からの車窓を堪能しましょう!

写真13. 関西空港駅の発車案内

関西空港駅の発車案内です。空港急行が30分に2本、特急ラピートが30分間隔で運転されます。空港急行は難波まで先着し、安いですので、空港急行に乗る人も多いです。空港利用客が空港急行に乗ると、荷物によって車内スペースが占拠されるという問題があります。南海電鉄は空港急行の一部を6両編成から8両編成に増強し、この問題に対処したと聞いています。

確かに、先発の空港急行は8両編成ですね。

写真14. 特急ラピート号がやってきた

泉佐野方面から特急ラピート号がやってきました(写真14)。

写真15. ラッピング車両!

ラッピング車両がやってきました。外観こそラッピングされていますが、車内は何もされていません。どんなラッピングでも、好みが分かれます。しつこいラッピングを(長い間目に入る)車内に施さないのは賢明な選択と思います。

写真16. 関西空港を発車!

関西空港を発車しました(写真16)。関西空港は人工島にある空港です。周囲への騒音を考慮しなくて良いという長所はありますが、陸上との交通は橋1本に頼るという弱さもあります。

写真17. 海を渡る

海を渡ります(写真17)。こちら側は大阪市内を向いた側の景色です。

写真18. 本州に入った

本州に入りました(写真18)。このあたりは関西空港開設に合わせて整備されたりんくうタウンです。りんくうタウンには駅があり、ここでJRと離れます。そう、関西空港からりんくうタウンはJR線と線路を共有しています。りんくうタウンではJRと南海電鉄が同じホームを共有しています。

その現象は思わぬところに影響が出ています。お盆期間中、関西私鉄は休日ダイヤ、JR線は平日ダイヤです。しかし、南海電鉄は平日ダイヤで運転されます。鉄道ダイヤは(そのダイヤの完成度はともかくとして)辻褄の合ったものです。そのため、同じ線路に平日ダイヤと休日ダイヤを組み合わせることはできません。JRと線路を共有している南海電鉄はJRに合わせる必要があります。そのため、南海電鉄はお盆期間中もJRに合わせて平日ダイヤとしているのです。

写真19. 線路が合流してきた

線路が合流してきました(写真19)。南海本線に合流するのです。日本の多くの空港アクセス鉄道路線は幹線から外れた場所にあります。

ドイツには空港に幹線鉄道が直結している場所があります。このような条件だと、空港アクセス列車を別途設定する必要がなく、ダイヤ作成はラクでしょう。また、国際空港から国内各地に直結していると、海外旅行客の誘致にも有利でしょう。

写真20. 泉佐野に停車!

泉佐野に停車します(写真20)。ここで降りる人も見られます。関西空港から泉佐野までの特急料金は100円と安く、和歌山方面に向かう人がここまで特急ラピート号を使うのでしょう。

写真21. 泉州の郊外を走る

泉佐野から難波まで34.0kmあり、意外と遠いです。そのため、泉佐野付近は宅地化が進んでいない場所もあります(写真21)。

写真22. 小さな川を渡る

小さな川を渡ります(写真22)。住宅も多く、決して田舎という感じはありません。

写真23. 岸和田付近の高架を走る

岸和田に近づいてきました。高架区間に入ります(写真23)。

写真24. 岸和田に停車!

特急ラピート号といえども、沿線の都市を無視するわけには行きません。このような都市から細かく客を拾い、細かく収益をあげることも重要です。その都市の1つ、岸和田に停車します(写真24)。ラピート号のおかげで堺、岸和田、泉佐野では15分間隔で座席指定列車が使えるのです。

写真25. 高架を走る

高架を走ります(写真25)。高架によって踏切がなくなるというのは道路交通にとって効果があります。

写真26. 格安の殿堂の横を走る

格安の殿堂の横も走ります(写真26)。このように商業施設があるというのは、ある程度都市化が進んだ証でもありましょう。

写真27. 高架を走る

大阪市内に近づいたのか、建物が増えてきたように思います(写真27)。岸和田から難波までは26.0kmです。東京と横浜よりも短い距離です。

写真28. 堺を発車!

堺を発車しました(写真28)。堺市は人口が多く、大阪府内で2つめの政令指定都市です。堺市の中心部は高野線の堺東駅周辺とされており、車窓から見える景色も中心感はありません。

写真29. イオンモールがある

大和川を渡る手前にイオンモールがあります(写真29)。イオンモールは南海電車の七道駅から徒歩2分とされており、駅からのアクセスが良好な商業施設でもあります。

写真30. 大和川を渡る

大和川を渡ります(写真30)。ここ大和川を越えるといよいよ大阪市に入ります。

写真31. 天下茶屋付近を走行

大阪市内に入って最初の停車駅は天下茶屋です。高野線との分岐駅でもあります。ここで汐見橋方面の線路が分岐します(写真31)。天下茶屋から汐見橋までは高野線とされていますが、30分間隔でしか運転されていません。

写真32. 天下茶屋に停車!

天下茶屋に停車します(写真32)。天下茶屋で地下鉄堺筋線に連絡します。日本橋、堺筋本町方面にはここで乗りかえるのが便利です。これがラピートも停車する理由です。そう、都心へのアクセスのために停車しています。

写真33. 大阪市内を走る

天下茶屋まできたら難波まではもうすぐです。大阪市内をゆっくりと走ります。都会の住宅密集地という景色が広がります(写真33)。

写真34. 新今宮に停車!

新今宮にとまります(写真34)。新今宮では大阪環状線と連絡するため、その乗りかえの便宜をはかるための停車です。

写真35. 最後の1駅を走る

新今宮を出たら、次は難波です。地図で見たイメージですと大阪環状線の内側というと都心のように感じますが、ここはそこまで都心という感じはありません(写真35)。大阪環状線の一部区間は都心を通っていないことや、山手線の内側にも住宅街があることを踏まえると、納得できます。

写真36. まもなく難波

まもなく難波です。南海の駅が難波の端にあることを考慮しても、難波駅の近くに広い平面駐車場があることは(東京の景色を見慣れている)私には異色に映ります(写真36)。そして、大阪市中心部は東京都心とは異なり、あまり坂がありません。

写真37. まもなく難波

もう難波に着きます(写真37)。ここまでやってくると、着席していた人がデッキへ移動し始めました。航空機から大阪に入った人は観光なり業務なりの各自の目的となる行動が始まります。退屈な移動から解放されるという思いの人も多いことでしょう。

南海50000系(難波)

写真38. 難波に到着した特急ラピート号

難波に到着した特急です(写真38)。特徴的な前面形状、他にはあまり見られないカラーリング。登場して20年以上経過しても色あせることはありません。

特急ラピート号に乗ってみて

特急ラピート号はインバウンド需要で大変にぎわっていました(乗車は2019年秋です)。しかし、この乗車から半年も経たない2020年春からは世界的に新型肺炎ウィルスの脅威が語られて、国家間の移動が大きく制限される事態となってしまいました。それから1年、記事を執筆している2021年春には事態はやや落ち着いてきたように思われます。

いつまでも「鎖国」状態が続くとも思えません。ワクチンの普及(遠い国の接種率が上昇するだけでも感染症予防の効果はありましょう)、人間の生物としての順応、社会的な定着などで、徐々に国家間の行き来も増えてくるでしょう。そのあかつきには、特急ラピート号が本来の空港アクセス列車としての輝きを取り戻すことでしょうし、鉄道ファンの1人としてそれを願っています。

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