飯田線普通列車の旅(天竜峡→上諏訪)

記事上部注釈
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偉大なローカル線とも形容される飯田線。多くの地方路線では駅の数は多くないですが、飯田線の駅の多さは特異的なものがあります。そんな飯田線の盆地区間を堪能しました。

写真1. 天竜峡に停車中の普通

復習:飯田線の概要

まず、飯田線の概要を紹介します。

飯田線の概要

  • 区間:豊橋-辰野
  • 距離:195.7km
  • 形態:単線電化(豊橋-豊川は複線電化)

図1. 飯田線の経路(googleマップより引用)

飯田線は豊橋から辰野までの路線です。ただし、もともと地域路線として開業したこともあり、どんなに急いでも所要時間は5時間以上かかります。そのため、豊橋から辰野までの移動は別ルートのほうが便利なことがあります。そのようなこともあり、通り抜けるための路線というよりも、飯田線沿線に用があるための人の路線という役割が強いです。

飯田線南部の豊橋-飯田は特急列車が走ります。一方で、飯田以北は特急列車の運転はなく、普通と快速のみの運転です。その快速も停車駅は多くなく、地域輸送に徹しています。飯田市は人口10万人の都市ですが、近くに中央自動車道があり、広域輸送はそちらのほうが便利なためです。ただし、多くの列車が中央線の岡谷に直通し、一部は上諏訪まで直通します。また、松本方面への直通もありますが、辰野-岡谷を通り、辰野-塩尻を通りません。これは松本方面直通も岡谷を通らせるためと、所要時間差が5分程度のためでしょうか。

飯田線はもともと民鉄の路線でした。したがって駅の数は多いです。その多くの駅は無人駅です。

実際に飯田線に乗る

御託はこの程度とし、実際に乗ってみましょう。日程の都合で飯田で1日を超えましたので、天竜峡→飯田と飯田→辰野を別々に述べることにします。

ステージ1. 天竜峡→飯田

「秘境駅」と呼ばれる駅が多い飯田線ですが、その区間は天竜峡以南であり、天竜峡以北は伊那盆地を走行します。

写真2. 天竜峡に停車中の普通岡谷行き

天竜峡に普通岡谷行きがとまっていました(写真2)。313系3000番台による運行ですが、ワンマン運転ではありません。

写真3. 特急伊那路とすれ違う

特急伊那路とすれ違います(写真3)。

写真4. 天竜峡を発車!

天竜峡を発車しました(写真4)。天竜峡までの険しい風景と全く異なります。地域輸送もそれなりにある様子がうかがえます。

写真5. 天竜川が見える

天竜川が見えます(写真5)。愛知県内を除き、飯田線は巨視的には天竜川沿いを走ります。

写真6. 天竜川が見える

天竜川が見えます(写真6)。この先辰野まで天竜川を渡りません。

写真7. 天竜川の向かい側にも住宅がある

天竜川の向かい側にも住宅があります(写真7)。この先辰野まで、住宅がそれなりに広がります。飯田線が現在まで残っている大きな要因でしょう。

写真8. 時又に停車

時又に停車します(写真8)。飯田線には多くの駅があり、このあたりでも駅間距離は1.0km~2.0kmが主流で、JR線というよりも民鉄電車のようです。その多くが行き違いが可能で、高頻度運転が可能なインフラを有しています。

写真9. のどかな場所を走る

のどかな場所を走ります(写真9)。飯田線沿線はそれなりに住宅があるとはいえ、都市部ではありません。

写真10. 大きな病院の近くを走る

大きな病院の近くを走ります(写真10)。幸いなことに飯田線には駅が多くありますので、沿線の大きな施設はたいてい駅から離れていません。

写真11. 古い民家もある

古い民家もあります(写真11)。昔から人が住み、近年開発された住宅街とは性格の異なる場所なのでしょう。

写真12. 住宅の上を走る

飯田の駅は台地の上にありますので、それを目指して徐々に高さを上げていきます(写真12)。

写真13. 伊那八幡に停車!

伊那八幡に停車します(写真13)。このあたりから飯田の市街地に入ります。でも飯田付近は線路が大きく西に迂回しています(図2)。

図2. 飯田付近の様子(googleマップより引用)

これは現地の鉄道に乗ったり、現地を歩くと納得できます。伊那盆地といえども、それなりに高低差があり、直線状に線路を建設すると急勾配になってしまうのです。

写真14. 天竜峡方面行きとすれ違う

天竜峡方面行きとすれ違います(写真14)。私が見た限り、飯田線は各駅で乗り降りが多いわけではなく、降車客1人1人に車掌さんがきっぷを確認していますので、多ドア車のメリットは大きくありません。そんな路線に2ドアの213系電車は合致しているように見えます。

写真15. 周囲との高低差がある

徐々に高度を稼いできました(写真15)。

写真16. 下山村に停車

下山村に停車します(写真16)。

写真17. 飯田の市街地が見える

飯田の市街地が見えてきました(写真17)。向こうに密集している高層ビル群は何だろう?

写真18. 鼎に停車!

鼎に停車します(写真18)。鼎と書いて「かなえ」と読むとは、書きも読みもできません…。

写真19. 山が見える

伊那盆地の東西には赤石山脈や木曽山脈が伸びています。そのため、少しでも視野を別方向に移すと、山が広がります(写真19)。

写真20. 川を渡る

川を渡ります(写真20)。

写真21. 丘に登る

丘に向かって上っていきます(写真21)。これがまっすぐ進まない理由なのでしょう。近年の鉄道であれば、トンネルや高架橋を駆使して直線にするのでしょうが。

写真22. 丘にやってきた

丘にやってきました(写真22)。踏切待ちの車もいました。

写真23. 下の市街地を一望できる

下の市街地を一望できます(写真23)。個人的には、このような風景も飯田線の魅力であるように感じます。

写真24. 市街地を一望

このように市街地を一望できます(写真24)。

写真25. 飯田が近づいてきた

飯田が近づいてきました(写真25)。人口10万人近くで、長野県第5の都市の飯田、そして飯田線の主要目的の駅です。

写真26. まもなく飯田に停車!

まもなくその飯田です(写真26)。

写真27. 飯田に到着!

飯田に到着しました(写真27)。この日は天竜峡から飯田まで移動しましたが、小さな駅でも乗り降りがあったりと、それなりに地域に親しまれている印象がありました。

先頭にパンタグラフがある車両を見つけました。何だろう?

写真28. 車内は転換クロスシート

車内は転換クロスシートです(写真28)。

写真29. 先頭はパンタグラフあり

やはり先頭にはパンタグラフが付いています(写真29)。

写真30. 313系1700番台!

その正体は313系1700番台です(写真30)。2007年から営業運転を開始していますが、飯田線で運用されていた静岡地区の115系電車を置き換えるために、神領区に導入された車両です。現在は大垣区に転属されています。

もともと飯田線用の313系1700番台は3両2編成で足ります。そして、飯田線という寒冷地仕様という特殊仕様が付加されています。一方、中央線の313系1500番台(1600番台)も少数派です。両者の予備車を飯田線用としておけば、(寒冷地仕様は無駄にはなるものの)予備車を共通にできます。こうすることで、限られた車両を有効活用できます。

2022年3月ダイヤ改正で、神領区に籍を置き、中央線で活躍していた313系1500番台(1600番台)は大垣区に転属しました。そのため、予備車を共通にするために飯田線用の313系1700番台も大垣区に転属になっています。実際は、外泊先の派遣先の職場は変わらず、事務処理で戻る派遣元の職場が変わったというのが実態でしょうか。

ステージ2. 飯田→辰野

飯田から先に進みましょう!

写真31. 飯田に停車中の普通上諏訪行き

213系5000番台が普通上諏訪行きとして停車していました。この普通は天竜峡発飯田行きに接続してます。そうであれば、天竜峡発上諏訪行きとして運転すれば良いのに、と考えてしまいます。

写真32. 天竜峡発飯田行きが到着!

飯田行きが到着しました(写真32)。向こうから乗りかえてくる人もいました。

写真33. 飯田を発車!

飯田を発車しました(写真33)。飯田駅は天竜川の西側にありますが、飯田駅から東に向かうと坂を下る格好になります。

写真34. 広い道路を渡る

広い道路を渡ります(写真34)。

写真35. 桜町に停車!

桜町に停車します(写真35)。市街地の場所によっては、飯田駅よりもこちらのほうが近いこともありましょう。

写真36. 野底川を渡る

野底川を渡ります(写真36)。

写真37. 伊那上郷に停車

すぐに次の駅が現れます(写真37)。

写真38. 見晴らしの良い場所を通る

見晴らしの良い場所を通ります(写真38)。

写真39. 水田の横を走る

水田の横を走ります(写真39)。

写真40. 古い民家が広がる

古い民家が広がります(写真40)。

写真41. 黄金色の稲穂が展開する

黄金色の稲穂が展開します(写真41)。

写真42. 下平に停車

下平に停車します(写真42)。ここで数人降りました。近くにそれなりに大きな商業施設があるためでしょうか。

写真43. その大型商業施設が見えた

その大型商業施設が見えました(写真43)。

写真44. 果樹園が見える

果樹園が見えます(写真44)。長野県は寒暖の差が激しく、果物を育てるのに良いとされます。

写真45. 美しい風景が広がる

長野県を感じされる、美しい風景が広がります(写真45)。

写真46. 天竜川近くの平地が見える

と思ったら、天竜川近くの平地が見えました(写真46)。

写真47. また風景が変わる

また風景の様子が変わりました(写真47)。

写真48. 伊那大島に停車!

伊那大島に停車します(写真48)。遠くの山が良い味を出しています。

写真49. 住宅が広がる

小規模な集落が広がります(写真49)。

写真50. 川を渡る

天竜川の支流の片桐松川を渡ります(写真50)。

写真51. 高原的な風景が広がる

高原的な風景が広がる場所もあります(写真51)。

写真52. 上片桐に停車!

上片桐に停車します(写真52)。

写真53. のどかな風景が広がる

のどかな風景が広がります(写真53)。

写真54. 普通とすれ違う

普通とすれ違います(写真54)。飯田線といえば213系と313系というイメージがありますが、JR東日本車の211系電車も乗り入れます。このため、飯田線にはオールロング車も走っていることになります(クモハとモハにはトイレ前のクロスシートはありません)。

写真55. 稲刈りの時期

稲刈りの時期です(写真55)。

図3. 川を渡るのに迂回

川を渡るのに迂回する場所があります(図3)。これは天竜川に近い場所だと断崖絶壁になってしまうためです。田切と呼ばれる地形です。

写真56. その急カーブを走る

その急カーブを走っています(写真56)。

写真57. 与田切川を渡る

与田切川を渡ります(写真57)。

写真58. 飯島に停車

そんな急カーブを走り、次の飯島に停車します(写真58)。

写真59. 再び高い場所を走る

再び高い場所を走ります(写真59)。

写真60. 再び迂回する

先ほどと同じ理由で天竜川の支流を少し上流側に迂回します(写真60)。

写真61. 前方に線路が見える

前方に線路や架線柱が見えます(写真61)。このように見ると、迂回していることがわかります。

写真62. 上田切川を渡る

上田切川を渡ります(写真62)。

写真63. 小町屋に停車

上田切川を渡り、住宅が増えてきました。その中の駅、小町屋に停車します(写真63)。ホームが新しく、近年開業の駅のように見えますが、1914年開業です。ただし、ホームは21世紀になってからのものです。

写真64. 駒ヶ根の市街地を走る

駒ヶ根の市街地を走ります(写真64)。

写真65. 駒ヶ根に停車!

駒ヶ根に停車します(写真65)。ここは飯田線でもそれなりの拠点駅で、駒ヶ根始終着の設定もあります。

写真66. 車両とご対面!

車両の留置線もあり、ここで対面がかないました(写真66)。手前が313系3000番台、奥が213系5000番台です。

写真67. 立派な道路がある

駒ヶ根市の中心に近いという立地ゆえか、立派な道路があります(写真67)。

写真68. 大田切川を渡る

大田切川を渡ります(写真68)。この川の前後では極端な迂回はありません。

写真69. のどかな風景を走る

のどかな風景を走ります(写真69)。

写真70. のどかな風景を走る

のどかな風景が続きます(写真70)。

写真71. のどかな風景が広がる

のどかな風景が広がります(写真71)。この先にJR線最急勾配が控えているようには見えません。

写真72. 最急勾配付近を走行中!

その最急勾配付近を走行中です(写真72)。JR線最急勾配というと山間部をイメージしますが、ここは里という光景で、山間部にはほど遠いです。ここがJR線最急勾配になった理由は多くあるのでしょうが、飯田線の前身が電気運転の民鉄で、勾配に対する抵抗がなかったのが理由かもしれません。

写真73. 坂を下りた

その坂は一瞬です。すぐに坂を下りました(写真73)。

写真74. 郊外的な場所を走る

郊外的な場所を走ります(写真74)。

写真75. 大型商業施設が登場!

大型商業施設がありました(写真75)。ここだけ駅間が3.5kmもあり、この商業施設が駅から遠いのが残念なところです。

写真76. 伊那市に停車!

伊那市に停車します(写真76)。

写真77. 相変わらず車内は空いている

相変わらず車内は空いています。それでも、飯田時点よりも混んできています。

写真78. 伊那市の市街地を走る

伊那市の市街地を走ります(写真78)。

写真79. 伊那北に停車!

伊那市の市街地を走り、伊那北に停車します(写真79)。ここは立派な駅ですが、無人駅です。

写真80. 田園風景を走る

田園風景を走ります(写真80)。

写真81. 住宅のなかを走る

住宅のなかを走ります(写真81)。

写真82. 伊那松島付近の留置線

伊那松島に停車します(写真82)。

写真83. 稲刈りが終わった!

稲刈りの終わった水田を眺めながら走ります(写真83)。

写真84. 羽場に停車!

羽場に停車します(写真84)。

写真85. 天竜川が見える

久しぶりに天竜川が見えてきました(写真85)。

写真86. のどかな風景が広がる

のどかな風景が広がります(写真86)。

写真87. 広い駅構内が広がる

広い駅構内が広がります(写真87)。民鉄由来の飯田線にしては珍しいです。

写真88. 辰野に停車!

飯田線の終点の辰野に停車します(写真88)。ここはJR東日本管轄の駅で、かつては中央線の主要駅でした。現在は中央線の長距離列車は辰野を通らない短絡線を経由しています。運転系統としては、飯田線直通と辰野-塩尻の分岐点というイメージです。

ステージ3. 辰野→上諏訪

辰野からは中央線に入ります。ただし、辰野から岡谷までは中央線の長距離列車は走らず、飯田線系統がもっぱらの運転です。

写真89. 天竜川を渡る

天竜川を渡ります(写真89)。飯田線沿線とは異なり、盆地は広がっていません。辰野までのJR東海区間とは異なり、車掌さんは精力的に回ってきません。辰野までのJR東海区間で車内精算は終えられず、乗客に「辰野からの車掌に精算をお願いします」とJR東海区間の車掌さんは言っていたのですが、それはあまり果たせなかったように見えます(私はちゃんとした乗車券を事前に購入していました)。

写真90. 川岸に停車

川岸に停車します(写真90)。確かに駅の反対側は川岸なのですが、安直な駅名です。

写真91. みどり湖経由と合流!

みどり湖経由と合流します(写真91)。

写真92. 高架区間を快走!

高架区間を快走します(写真92)。

写真93. 岡谷に停車!

岡谷に停車します(写真93)。飯田以来の特急停車駅です。多くの飯田線列車は岡谷行きですが、私の乗った列車はもう少し先の上諏訪まで直通します。

写真94. 高架区間を快走!

高架区間を快走します(写真94)。飯田線内では発揮されなかった高速運転です。

写真95. 高架区間を走る

この辺りは都市が並び、その証拠に家も多いです(写真95)。

写真96. 下諏訪に停車

下諏訪に停車します(写真96)。ここは諏訪市にはなく、下諏訪町の駅です。

写真97. 市街地を走る

市街地を走ります(写真97)。

写真98. 市街地を走る

市街地を走ります(写真98)。近くに見える道路は国道20号線です。新宿駅南口を通っている道路です。

写真99. まもなく上諏訪

まもなく上諏訪です(写真99)。

写真100. 上諏訪に到着!

上諏訪に到着しました(写真100)。諏訪市の駅ですが、諏訪駅ではありません。飯田付近よりも(飯田線でいう)辰野付近のほうが混んでいました。乗客と車掌の会話を聞く限り、塩尻から特急に乗る人や、松本方面に向かう人が散見されました。飯田線そのものの速達性は劣るものの、中央線の速達性と合わせてトータルでは他交通機関との競争力がある程度存在するということなのでしょう。

飯田線に乗ってみて

今回、偉大なローカル線である飯田線に乗ってみました。多くの駅があり、数は少ないながらも利用があり、駅の多さによって地域に根付いている印象を受けました。また、辰野寄りでは中央線と合わせての利用が多く、鉄道はネットワークで生きているということも実感しました。

写真101. 車掌さんが車内を回る

車掌さんが車内を回っている様子です。多くの乗客が席を移らないという性質を生かし、新しい乗客が乗りこむたびに運賃を精算していました。また、無人駅では車掌さんが降りる人1人1人の乗車券を必ず確認し、運賃の取りこぼしがないように精力的に動いていました。これによって、正直者が馬鹿を見ることがないようになっていました。そのような意味では理想的な地方路線です。

飯田線沿線はそれなりに人口が集積しています。飯田線が廃止されずに残っている大きな理由の1つでしょう(もう1つの大きな理由は儲けの大きい東海道新幹線を運営しているJR東海の路線ということです)。長野県の南部を通る路線として中央線(塩尻以西)がありますが、中央線よりも格段に沿線に民家が目立ちました。

ここまでポテンシャルのある路線ですから、沿線住民に利用してもらうために60分間隔運転、そして1日数本の中央線特急の乗り入れも考えられるべきでしょう。中央線の特急は3両編成があるのですから、飯田線に直通することには大きな障害があるとも思えません。高速バスは点と点の輸送には強いですが、線の輸送には弱いです。中央線沿線と飯田線沿線を結ぶには、このようなことも考えられるべきでしょう。

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