現代は色彩にあふれています。その色彩をうまく操るには色彩学の基本知識が必要です。その1つの方法が検定試験を受けることでしょうか。200点の満点で合格した私が勉強法を共有します。
写真1. 高得点を狙うにはカラーカードが必須か?
勉強方法の概要
勉強方法に王道はありません。基本的なことをテキストで学び、その記憶が定着したかを問題集で確認するだけです。私は以下のスケジュールで取り組みました。
- 5.5か月前から公式テキストを3回読む。最初は頭に入ってこなくとも問題なし
- 4.5か月前から問題集に取り組み、間違いを繰り返し演習
- 2週間前には過去問に取り組む
また、使用した問題集は以下の通りです。
- わかる!色彩検定2・3級問題集:問題数が多く、基礎を付けるには良い問題集
- 色彩検定2級テキスト&問題集:問題数は多くなく難易度はやや易しめ、巻末の模擬問題は演習に役立つ
- 書き込み式 色彩検定2級 解いて・貼って・覚える!:実習型の問題集。難易度は高い。実力を付けるには良いか?
詳細は以下の章で述べます。
色彩検定2級の概要
まず、色彩検定2級の概要を紹介します。
- 出題範囲:色彩検定2級公式テキスト(実務に応用できるレベルの色彩調和について学びたい方におすすめ)
- 試験日:毎年6月と11月。協会側の表現では6月実施ぶんは夏期、11月実施ぶんは冬期。
- 合格基準:140点前後以上(200点満点)
色彩の知識について実務基礎レベルの内容を身に付けることができます。美的センスが問われると誤解されがちですが、中学校時代の美術の成績が3(やや劣る)で美的センスのない私でも合格できるので、美的センスは関係ありません。実務で「配色などを決める人と話す立場の人」にとってちょうど良いレベルではないでしょうか。私自身はプロフェッショナルとして配色を決めません(このような人は1級取得でしょう)が、配色を決める人と話するには色彩検定2級の知識が役立ちました。
合格基準は200点満点の140点以上です。ただし、合格最低点は変動します。私の受けた2022年夏期は合格点146点でした。そのため、問題演習をするなかでは、合格点は75%と認識するほうが得策でしょう。
勉強方法の詳細
では、具体的にどのようなテキストを活用して勉強したのでしょうか。私の体験記をまとめます。
ステップ1.基本をテキストで学ぶ
私は幸いなことに色相・明度・彩度や色相環の知識があり、色に対する興味もありました。そのため、公式テキストはすんなりと読めました。
とはいえ、1回目の通読で頭に入ったわけではありません。1回目は何が書かれているか、という確認という意味合いが強かったです。1回目の通読の際に特に難航したのは8章のファッションの章です。○○配色という言葉が並び、配色技法を覚えていなかった(5章で出てくる)ので、何を言っているのかわかりませんでした。
そのようなことを念頭に置きながら、2回目の通読に入りました。さすがに多少理解できるようになりました。この調子で1日1章分程度を通読し、3回通読が完了した時点でとりあえず内容を把握しました。
ステップ2. 問題集を解いて理解を定着(問題集1冊目)
試験4.5か月前から問題集を解きました。問題集の取り組み方法は以下の通りにやりました。
- 何も見ずにノートに解答を書き、模範解答と比べて正解か不正解かを判定する(1回2ページ程度)
※不正解の問題については問題集の該当にレ点付けて不正解であったことをわかるようにする - 不正解の箇所は模範解答や解説はもとより、公式テキストに戻って内容を改めて検討
- 1と2を問題集1周ぶん繰り返す
- 2周目は1でレ点の付いた不正解の問題のみ取り組む、やることは1と2の繰り返し
- 3~4周でレ点の付いた不正解の問題がほぼなくなるまで繰り返す
問題集の1つの目的が本番の試験を想定した環境に慣れることです。いくら教科書の解説を覚えていても、それだけでは心もとありません。そのため、問題集に取り組み、試験本番に強くなるのです。
もう1つの目的が理解している箇所と理解していない箇所の判別です。3回通読し、ある程度は頭に入っているはずです。忘れることがなければ、すでに記憶したことや理解したことはもうノーマークで良いはずです。そうであれば、問題を解けなかった箇所のみを集中して勉強するほうが効率が良いはずです。
最初の問題集は問題量の多いものを選択しましたので、繰り返しの終了まで2か月近くかかりました。
また、試験4か月前には慣用色の勉強も始めていました。でも、慣用色の勉強は大変ですよね?ランダム出題される勉強道具はないのだろうか?そう考えて、勉強ツールを自作してしまいました…。
ステップ3. 問題集2冊目で実力を確認
ステップ2でほぼすべての問題を解けているはずですので、理論上の理解度は100%です。しかし、問題に慣れた・他の観点の問題が出題されたら終了と心配し、次の問題集に取り掛かりました。ここで選んだ基準は実力試しの問題があることです。
この問題集でも1周目に不正解の問題にレ点を付けておき、2周目は不正解の問題を解きました。1周目で正解率は90%程度でそれなりの手ごたえがありましたが、これはかえって不安でした。問題レベルが低いから正解率が高いだけかもしれない。と裏を読んでしまったのです。
巻末の実力問題を解くと85%と合格点の70%を超えていましたが、配色技法について不安がありました。多くの人はここで満足するのでしょうが、私はまだ不安でした。
この問題集については1か月もせずに完了しました。
ステップ4:最後の問題集に挑戦!
最後の1か月半はハードな問題集に挑戦しました。配色技法の理解が不足しているということは、演習が足らないことを意味します。そこで、解く以外にもカラーカードを使用した自己演習ができる問題集に挑戦しました。
この問題集にはワークシートが付いており、自らで配色技法を学べるのが特徴と感じました。これで苦手な配色技法について多少実力が付きました。また、この問題集の問題レベルは高く、初回の挑戦では70%~80%しか正解しませんでした。前回の巻末問題で85%程度の出来なのに、それよりも低いのです。やはり問題集によって問題のレベルが異なるのです。
この章末問題で90%以上の正解率でようやく少し安心したのでした。
このほかに自らが間違えた箇所をフォローする目的で自分で配色技法をまとめるとともに、演習のために勉強ツールを自作してしまいました(やはり頭がおかしい)。
配色カードも忘れずに!
最終ステップ:過去問題集で実力を確認
そして最後の2週間に2020年以降の過去問題集(2019年以前は範囲が異なるのでやることは得策ではない)をこなし、実力を確認しました。2020年ぶん1回と2021年ぶん2回の合計3回の確認です。
だいたい95%以上の正解率で、3つ目の問題集をやっておけば、それよりも問題は平易なレベルと感じました。
継続実施:色のトレーニング
色彩検定では慣用色が出題されます(私が見た範囲では全体の6%)。試験範囲は63色で、3級の慣用色は出題されません(ダミーの選択肢に3級の選択肢が出題されることがありますが、正解は2級の63色です)。鳶色とマルーンなどの紛らわしい色の判別は出題されることがありませんし、色名の由来が問われることはありません。
慣用色については日々トレーニングを重ねるしかありません。
色彩検定2級対策:慣用色トレーニング(ランダム出題の問題)でトレーニングできるようにしたので、ぜひともご活用ください。
また、高得点をめざすには、PCCSがある程度わかっている必要があります。ただし、問題集や過去問題集を眺めるとdkgが出題されることはほとんどありません。dkgだと色相がよくわからず、出題するには不適切なためでしょうか。
色彩検定2級、色彩検定3級対策:PCCS問題もご活用ください。
勉強法と問題集のまとめ
色彩検定2級においては、本番の試験は章ごとに出ます(章をまたいだ融合問題は出題されません)し、配色技法についても紛らわしい選択肢は出題されません。また、出題される章の順番も大きく変わりません(たいてい大問1は色の機能で、景観色彩は最後のほうに出題されるなど)し、まんべんなく出題されます。そのため、試験に受かることは特に大変とは思いません。
本記事では私という満点取得者の勉強法を示させていただきました。もう1度問題集について軽くおさらいします。
- わかる!色彩検定2・3級問題集:問題数が多く、基礎を付けるには良い問題集
- 色彩検定2級テキスト&問題集:問題数は多くなく難易度はやや易しめ、巻末の模擬問題は演習に役立つ
- 書き込み式 色彩検定2級 解いて・貼って・覚える!:実習型の問題集。難易度は高い。実力を付けるには良いか?
テキストを読み、これらの問題集を解くうちにいつの間にか色についての造形が深くなっていることに気づくでしょう(実際には問題集のどれかを完成させれば合格基準に近づくことでしょう)。検定試験に受かるばかりが能ではありません。色彩についてある程度の知識を得たければ、試験を受けなくともテキストを読むだけでも充分だと思います。