函館本線の函館-長万部は海岸線を行く区間も多く、景色も美しい区間です。また、大沼-森には2通りの経路があり、マイナーなほうにも乗っています。GWにこれらの美しい車窓を満喫しましたので、ご紹介します。北斗の臨時列車も紹介します。
写真1. 八雲と森の間の崖の脇を走る
長万部での滞在
「山線」で長万部に着いた私は特急券を買うためにいったん改札を出ます。
写真2. 長万部の駅舎
長万部の駅舎は小さいもの(写真3)ですが、駅舎にはみどりの窓口のみならず、長万部のみやげ物などを売るアンテナショップも設置されていて、町の玄関にふさわしい装いです。
写真3. 臨時特急を見る
駅周囲に駐車場がありますが、そこに立っていると臨時の特急北斗91号がやってきました(写真3)。283系気動車による4両編成です。函館から札幌まで4時間11分もかかっていますので、あまり選ばれないだろうという判断なのでしょうか。そのため、通常の特急の7両編成か8両編成よりも短いです。長万部→東室蘭で所要時間が他の列車よりもかかっていることからして、単線区間での行き違いに時間がかかっているのでしょうか。それでも、臨時列車を運転して函館発12:15と13:53の98分のダイヤホールを埋めようという努力は利用者としてはありがたいものです。
写真4. 長万部の改札
再び長万部の駅舎に入りました(写真4)。特急の本数が多いことがわかります。この地域は人口が少なく(30km離れた森・八雲・長万部ともに人口が1万人少々しかない)、普通列車の需要が少ないためです。それでも、2時間間隔の運転を望みたいところです。
海岸沿いの旅:長万部→森
さて、特急函館行きと表示がありますので、これで森まで向かいましょう。普通列車の本数がまともだったら、乗る必要のない特急ですが、これはやむをえません。
写真5. 261系スーパー北斗が入線
長万部から森までは乗車時間はそう長くありません。そのため、自由席を選択しました。長万部で降りる人がいたので、海側の席を確保できました!乗車位置は決まっており、そこに多くの人が並んでいましたが、その列から外れた人がいました。案の上、その人は車内に乗り込むのが遅れていました。その人は倶知安でも同様のミステイクを犯していました。直前の失敗に学んでいないのでしょうか(私はたいてい列の先頭に並びます)。
写真6. 川を渡る
長万部から八雲まではいうほど海岸線沿いを走りません(写真6)。これは比較的平坦なので、わざわざ海岸線沿いを走る必要がないためです。
写真7. 海が見える
そうはいっても、海が見える区間はあります(写真7)。長万部から2駅めの駅は国縫といいます。ここから瀬棚までの瀬棚線が分岐していました。その国縫はローマ字表記するとKunnuiです。uを抜くと卑猥な意味になってしまいますね。
写真8. 八雲が近づくと海岸線から離れる
長万部と森の間の拠点は八雲です。私の肌感覚だと八雲はこの両者よりも中心感があります。
写真9. 八雲に停車!
八雲に停車します(写真9)。八雲の見どころが書かれていますが、あくまでも自然が中心ですね。八雲で一番の名所はケンタッキーファームだと思いますが、それが書かれていませんね!ブログ執筆に合わせて調べていたら、現在はハーベスター八雲になっていることに気づきました。
写真10. 海岸沿いを走る
八雲と森の間は地形が急なところも多く、海岸線に近いところを走る区間も多いです(写真10)。
写真11. 川を渡る
小さな川も多くあります(写真11)。意外とこのような川を超える道路が少なく、国道5号線以外ないところもあります。
写真12. 海岸沿いを走る
海岸沿いを走ります(写真12)。
写真13. 著名な撮影ポイントが見える
有名な撮影ポイントから撮影すると、このような背景が見えます(写真13)。野田生-落部の間ですね。私は鉄道ジャーナルの特集で、カシオペアが写っていることを思い出します。このページが詳しいです。
写真14. 落部(おとしべ)付近を走る
その落部は集落があります(写真14)。ここも八雲町です。
写真15. 海岸沿いを走る
写真16. 海岸沿いを走る
再び海岸沿いを走り、森に到着します。
脚光を浴びにくい路線:渡島砂原経由
函館本線は大沼-森で駒ケ岳経由と渡島砂原経由にわかれます。駒ケ岳経由のほうが距離は短いですが、勾配は厳しいです。一般に坂を下るよりも登るほうが厳しいです。そのため、坂を登る方向になる上り列車(森→大沼)は渡島砂原経由、坂を下る方向になる下り列車(大沼→森)は駒ケ岳経由が原則になっています。ただし、車両の高出力化が進み、坂の勾配よりも距離の短さが重要になってきましたので、ほとんどの特急列車が駒ケ岳経由になっています。したがって、渡島砂原経由の本数が少ないです。
今回は未乗車の渡島砂原経由の列車に乗ることにしました。前述の通り、特急列車はほとんど運転されないので、普通列車による移動です。今回の旅行では唯一の40系気動車による移動です。
函館地区普通列車のヌシ、40系気動車の車内
せっかくなので、函館本線函館地区のヌシ、40系気動車の車内を簡単に見てみましょう。
写真17. 40系気動車の外観
40系気動車の外観です(写真17)。2016年3月25日まで函館地区のJRの普通列車といえば、みんなこれでした。現在ははこだてライナーの運転開始に伴って、ごく一部で電車による運用も開始されています。
写真18. デッキ部分のロングシートを眺める
デッキ部分のロングシートを眺めます(写真18)。これは函館方先頭を眺めていますが、トイレもあります。トイレはデッキから出入りする構造です。これは54系気動車も同じです。
写真19. ボックスシートが並ぶ
ボックスシートが並びます(写真19)。紺色の座席が目立ちます。昔の写真を見ても同様の配色でした。つまり、JRになって30年以上経過するのに、カラーリングもそのままなのです。
写真20. ボックスシート
そのボックスシートです。見ず知らず(あるいはよく知った)4人が向かい合わせに座る配列です。日本では非常に採用例が多いですね。現代的な発想であれば転換クロスシートでしょうが、昔の車両なのでそんなもんです。
写真21. デッキ近くのロングシート
デッキ近くにはロングシートが並んでいます(写真21)。ロングシートの一部は優先席に指定されています。今回の乗車では優先するほどの乗客はいませんでしたが…。
このような昔ながらの車内が展開するのが40系気動車なのです。
森から新函館北斗までの景色を堪能する
このような古びた車両に揺られて真新しい駅である新函館北斗に向かいました。
写真22. 森を出発
森を出てすぐは海沿いを走ります(写真22)。ただし、海沿いを行くのはこれまでです。巨視的にみれば渡島砂原までは海岸沿いを行くように見えますが、海岸沿いからやや離れています。
写真23. 住宅を走る
森町の住宅街が広がるため、しばらくは住宅街を走ります。といっても、森町は人口2万人足らずなので、たかが知れていますが…。
写真24. 東森に停車
東森に停車します(写真24)。JR時刻表の「特定区間の運賃計算」の項目には「東森」経由と書かれているので大きな駅を想定してしまいましたが、小さな駅です。なお、この経路は国鉄~JRの都合で通るという建前ですので、短い駒ケ岳経由の距離で運賃や各種料金は計算されます。私もその特例を活用しました。
写真25. 貨車を改造した駅舎がお出迎え
このように貨車を改造した駅舎があるところもあります(写真25)。冬の北海道のことを考えると、貨車でも何でも室内で待てるスペースがあることが重要です。
写真26. 掛澗に停車
掛澗(かかりま)に停車します(写真26)。私なら読めない自信があります!有名な難読駅は覚えたので、このようなレベルの駅のほうがクイズの難易度は高まることでしょう。
写真27. 原野が広がる
森町の隣に砂原町がある(注.平成の合併で森町になりました)ことからして、小さな集落が続く中を走ることを想定していました。しかし、このような原野が広がるばかりです。
写真28. 踏切を渡る
そうはいっても、小さな道はあり、踏切もあります(写真28)。
写真29. 渡島砂原に停車
いわゆる「砂原線」の中心駅である渡島砂原に停車します(写真29)。それでもそこまで利用客は多くありません。ここからさらに田舎の景色になります。
写真30. 原野を行く
写真31. 原野を行く
写真32. 原野を行く
写真33. 原野を行く
みごとな原野です(写真30-33)。駒ケ岳に近いので、田畑を運営するにリスクがあるのかもしれません。
写真34. わずかに畑がある
畑もわずかに認められます(写真34)。
写真35. 大沼がチラ見で現れる
この付近の観光名所は大沼です。しかし、渡島砂原経由だと大沼はそこまで見られません(写真35)。メインルートとなるほうが大沼が見られる景勝路線なのは良いことでした。
写真36. 原野が広がる
リゾート地の近くでも原野は広がります(写真36)。
写真37. 大沼の住宅街の裏側を行く
リゾート地の近くには産業が生まれます。産業があるということは、それだけ就労者も住みます。そのため、住宅街もあります。でも、観光の拠点は駒ケ岳経由の大沼公園駅です。こちらは裏側を通るだけという感じです。
写真38. 駒ケ岳経由の線路と合流する
そうこうしているうちに、駒ケ岳経由の線路と合流します(写真38)。
写真39. 大沼に停車
大沼に停車します。この付近では珍しいみどりの窓口設置駅です(写真39)。この付近ではそれなりに駅前は発達していますが、それ以上に運転上の拠点なのでみどりの窓口が設置されているのでしょう。
写真40. 小沼を眺める
大沼を出ると、小沼を眺めることになります(写真40)。七飯-大沼は仁山を通らない経路(藤城線)が下り線として運用され、仁山を通る経路が上り線として運用されます。ただし、これでは渡島大野と仁山に停車する下り列車がなくなりますので、一部の下り普通も仁山を通る経路で運転されます。と昔の情報源には書いていますが、渡島大野が新幹線の駅(新函館北斗)になった以上、シカトするわけにはいきません。そのため、現在は藤城線を通る旅客列車はほとんどありません。何だかもったいないです。新幹線が七飯駅を通れば、問題なかったのに…。なお、偶然ながら七飯-大沼はどちらの経路でも同じ距離です。
写真41. 仁山に停車
今回の普通列車で通る最後の途中駅、仁山に停車します(写真41)。
写真42. 新函館北斗に近づいても市街地にはならない
写真43. 新函館北斗に近づいても市街地にはならない
新函館北斗に近づいても、まったく市街地の感触はありません(写真42-43)。新函館北斗じたいが郊外の何もない場所に建設されたためです。
写真44. 新幹線の高架橋が見えてきた
新幹線の高架橋が見えてきました(写真44)。これで今回の「函館本線の旅」はおしまいです。ただし、私の今回の北海道旅行はまだ続きがあります!
さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?
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函館本線の海岸沿いの旅(19年GW、長万部→新函館北斗)←今ココ!
★今回の旅行の全体的な計画~まとめは以下のページに記載しています。
北海道鉄道旅行の計画とまとめ(19年GW)
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