函館本線(山線)の旅(小樽→長万部、19年GW、車内や混雑は?)




名目上は幹線でありながら、実質的にはローカル線の函館本線の小樽と長万部の間。この区間は140km程度ありますが、3時間以上かかり、速度面からもローカル線といえます。しかし、最近は中間地点の倶知安が海外の人に人気になってきており、将来に明るい兆しが見えている路線でもあります。では、実際はどうでしょうか。実際に乗って確認したところ、驚くべき実態が見えてきました。

写真1. 山線のヌシ、150系気動車(長万部で撮影)


函館本線(山線)の概要

函館本線(山線)の概要を紹介しましょう。函館から札幌に向かう経路は大きく分けて2通りあり、1つは長万部から小樽を通り、札幌に至る経路です。もう1つが長万部から室蘭市を通り、札幌に至る経路です。前者は長万部から余市まで山を通るので「山線」と呼ばれ、後者は海岸線沿いを通るので「海線」と呼ばれます。ただし、私としては海岸線を通る小樽-札幌を「山線」と呼びたくない(余市-小樽は海岸から距離があって山の中を走るところが多い)ので、このページでは「山線」は長万部から小樽の間とします。

まず、若干不正確なことを承知で箇条書きにまとめます。

山線の概要
・区間:長万部-小樽
・運転本数:1日4往復(通しまたは乗り換えの列車)
 ※小樽よりはもっと本数が多いです。最も本数の多い余市-小樽は1日16.5往復です
・所要時間:最短2時間50分(長万部20:00→小樽22:50)、標準は3時間10分程度
・車両:150系気動車が主体

小樽から長万部、長万部から小樽へ行ける列車は1日4往復です。倶知安-小樽は本数が比較的多く設定されていますが、長万部-倶知安の本数は少ないです。その本数が少ない長万部-倶知安であっても、ニセコ観光でも利用される蘭越-倶知安はもう3往復あります。

小樽から長万部に向かう列車は以下の通りです。
10:53、13:59、16:49、19:30

長万部から小樽に向かう列車は以下の通りです。
6:00、13:18、16:39、20:00

参考までに、各区間の本数(上下線の合計)を示します。

長万部(9本)蘭越(15本)倶知安(25本)然別(31本)余市(33本)小樽

長万部-倶知安は下り4本、上り5本ですが、小樽から利用できる上り列車は4本だけです。早朝の1本は倶知安始発で倶知安までの接続列車がないので利用できないのです。

車両は150系気動車が使われますが、旧式の40系気動車も使われます。いずれもボックスシートが主体の車内で旅人向けの車両です。

函館本線(山線)のヌシ、150系気動車の車内

まず、150系気動車の車内をご紹介しましょう。

150系気動車

写真2. 150系気動車の外観

150系気動車は1両編成運転が可能な仕様になっています。そのため、両運転台仕様です。また、ワンマン運転に対応しており、その点も合理化がなされています。ただし、小樽-倶知安はおおむね2両以上なので、わざわざ両運転台仕様にする意味はあるのでしょうか。どうせなら、1両編成で本数倍増のほうが嬉しいですね!

外観は特に可もなく不可もなくというものです(写真2)。鉄道車両は道具ですから、この程度の外観で充分といえます。

150系気動車の車内

写真3. 入口にはステップがある

JR北海道の車両は入口にステップがあるのが普通です(写真3)。ステップがないのは、札幌地区で活躍する733系、735系電車とはこだてライナー(これも733系電車)と、北海道新幹線だけです。この他の車両はみんなステップが付いています。

150系気動車の車内

写真4. 出入口付近はロングシート

田舎といえどもある程度混雑する区間や時間帯があります。そのような場合にも対応できるように、出入口付近にはロングシートが並んでいます(写真4)。

150系気動車の車内

写真5. ボックスシートが並ぶ

車内中ほどにはボックスシートが並びます(写真5)。基本的には「山線」で運用される150系気動車は固定窓です。冷房が完備されているので、窓を開ける必要がないためです。でも、この車両は窓が内側に開く仕様になっています。これはおかしいですね。室蘭本線(長万部-苫小牧)に運用されている150系気動車は冷房なしの100番台です。私が乗った日は5/1と(北海道は)寒い時期に当たりますので、冷房の有無は関係ありません。そのため、車両のやりくりの都合上、100番台が入ったと理解できます。つまり、レア車両に当たったということです。

150系気動車の車内

写真6. 運転席付近は開放的な仕切

100番台だろうと、何だろうと運転台仕切は基本的に変わることはなく、客席との仕切は開放的です。

150系気動車の車内

写真7. 車内のボックスシートは1+2列配列

車内全体はこのような1列+2列配列のボックスシートです。一般的な2列+2列の配列にしないのは、通路幅を広く確保して、ワンマン運転で必須の車内の通り抜けをスムーズに行うためとしています。というより詰め込むことで最小限の車両で済ませようという会社側の思惑も見えてしまいます。

実際に車窓を堪能する

では、実際の車窓を堪能しましょう!

小樽→倶知安:札幌都市圏の外縁部を行く

小樽を10:53に出発する列車に乗りました。

写真8. 小樽発車直前での車内

小樽発車直前の車内です(写真8)。この列車は10:53発ですが、10:45に快速エアポートが着いてから混雑が増しました。座席確保したければ10:40までに小樽駅の3番乗り場に行くことです。小樽まではKitaca使用可能区間、小樽からは使用不可能区間になっています。そのため、運転士さんはしきりに「小樽からはKitakaが使えない区間です。Suica、PASMOなどの交通系ICカードではご利用いただけません。小樽駅でいったん精算してください。」と放送がしきりに繰り返されていました。

写真9. 小樽を発車

このようにして小樽を発車します。小樽発車時点では吊革の半分が埋まる程度の混雑です。

写真10. 小樽市内の住宅街を行く

小樽を出ると、坂道を登ります(写真10)。といっても、私の乗っている150系気動車はハイパワーなので、そこまでスピードが落ちることもありません。

写真11. 小樽市内の住宅街を行く

住宅街は結構長く続きます(写真11)。このあたりに1つ駅を設置すれば利用されることでしょう。

写真12. 日本海が見える

小樽市街の住宅街から抜けると、日本海が見えます。「山線」といえども、余市までは日本海側を通るのです。

写真13. 塩谷に停車

小樽の隣は塩です(写真13)。塩ではありません。塩屋だと兵庫県の駅になってしまいます。

写真14. 海が見える

塩谷を過ぎても海も見えます(写真14)。

写真15. 道路と並走する

道路と並走する区間もあります(写真15)。

写真16. 蘭島に停車!

小樽市内最後の駅、蘭島です。函館本線の旅という視点でいうと、この先新函館北斗まで「市」にある駅はありません(新函館北斗の手前の仁山は七飯町の駅です)。ただし、この駅周辺は非常にのどかな景色です。

写真17. 川を渡る

蘭島川を渡ります(写真17)。この先の崖(写真17の左上にある岬)が小樽市と余市町の境界です。

写真18. 余市の市街地に入る

余市の市街地に入ります(写真18)。余市は「山線」で有数の町です。

写真19. 余市に停車

余市に停車します(写真19)。函館-小樽の途中駅で最も利用者が多い駅は新函館北斗を除くと、ここです。わが普通からも多くの乗客が降りて、余市発車時点では座席の1/3程度が埋まる混雑までになりました。余市じたいがそれなりの規模な町であること、ニッカウィスキーを訪問する観光客がいるために、多くの人が余市に向かうのでしょう。観光客向けに1時間間隔で札幌から直通の快速を運転すれば喜ばれるでしょう。201系気動車による運転で良いでしょう。

写真20. のどかな景色が広がる

余市を過ぎると、のどかな景色を行きます(写真20)。小樽から余市までの険しい線路条件はまるで嘘のようです。もう山越えは終えたのでしょうか?

写真21. 仁木は果物の町

余市の次の駅は仁木ですが、その仁木町は果物の町です。その証拠に、果物農家が見られました(写真21)。果物は一般的に温度差が激しいとおいしくなります。ということは、仁木は温度差のある場所ということ?

写真22. 川を渡る

余市川を渡ります(写真22)。だんだん山がちになってきました。余市から仁木までは平地が広がっていましたので、認識を忘れてしまいましたが、長万部まで山あいを走ります。

写真23. のどかな車内

でも、車内はいたってのどかです。少年が前面展望に夢中になっています(写真23)。前面展望ができる車両なのは良いことです。

写真24. 銀山に停車

然別を過ぎ、銀山に停車します。進行方向右側は山肌しか見えません(写真24)が、進行方向左側は見晴らしが素晴らしいです。これは裏を返せば、駅が町より上にあって駅へのアクセスが面倒ということでもあります。

写真25. 山の中を行く

銀山を出ても同じような景色です。5/1だとまだ木々に葉が茂ってないので、どうしても車窓は単調になりがちです(写真25)。

写真26. 小沢が近づく

小沢(ざわ)に近づきます(写真26)。小沢は岩内線の分岐駅でした。岩内線の終点は岩内ですが、かつてのジョークで岩内駅で「ここはどこですか」「いわない」というネタがありました。岩内と言わないを掛けて、なおかつ国鉄のサービスの悪さが根底にあったから成立した内容です。

写真27. 40系気動車も連結!

150系気動車と40系気動車による2両編成の列車とすれ違います。150系気動車はJRになってからの車両ですが、国鉄型と連結できます。これはほかのJRの一般形気動車との違いです。3000形と5000形を連結していた小田急電鉄みたいですね。

写真28. 山中を行く

写真29. 山中を行く

小沢から倶知安まで1駅ですが、やはり山越えがあります(写真28-29)。然別-倶知安は間に2駅しかありませんが、この距離は30.8kmもあります。1駅10kmというスケールなのです。

写真30. 倶知安に近づく

倶知安に近づくと、住宅が見えます(写真30)。倶知安は後志振興局の行政の中心です。人口の多い小樽は後志地区の端なので、後志地区の中央にある倶知安が選ばれたのでしょう。

写真31. まもなく倶知安

倶知安に停車します(写真31)。よく見ると、駅舎に近い1番乗り場は使えないようになっています。倶知安駅利用者のことを考えると、1番乗り場を使うほうが良いはずです。わが倶知安行きは2番乗り場に停車し、3番乗り場に引き上げます。それであれば、最初から3番乗り場に到着させれば良いのに。

倶知安→長万部:後志と渡島の国境を行く

倶知安からは長万部行きに乗りかえます。倶知安までそれなりに本数がありましたが、倶知安からは本数が激減します。私の乗る12:35発長万部行きは6時間ぶりの長万部行きですし、小樽方面から長万部に向かうことのできる最初の列車です。

写真32. 倶知安で羊蹄山が見える

倶知安の駅構内から蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山がチラリと見えます(写真32)。それよりも私が気になるのが次の列車に座れるかどうかです。

写真33. 車内は混雑!

私は早めに乗車位置(1番と2番)に並んでいたので、何とか座れましたが、車内は混雑しています(写真33)。30人程度が立っています。これは混みすぎです。日常的にこのような混雑になっているとしたら、直前の蘭越行きを長万部行きにすることや、新たに快速か特急を設定するのがベストです。もしも、GWだけの混雑であれば、臨時に2両編成にするべきです。

写真34. 倶知安を発車!

列車は倶知安を発車しました(写真34)。さきほどまでの車両と異なり、窓は汚れています。

写真35. 川を渡る

川を渡ります(写真35)。倶知安から蘭越までは駅間距離はやや短いです。それでも7km程度あります。

写真36. 比羅夫に停車

倶知安の次は比羅夫です(写真36)。一時期、この地区の地価上昇率は日本でも有数のものとなっていました。オーストラリア人観光客にニセコが人気なためです。比羅夫は駅に宿泊施設があり、それが有名です。駅から徒歩0分という利便性を誇ります。もっとも、駅じたいが不便ですが…。

写真37. ニセコに停車

倶知安と長万部の間で一番有名な駅がここニセコでしょう(写真37)。ここニセコで立客が半減して、14人まで減りました

写真38. 川を渡る

自然豊かな景色を行きます(写真38)。

写真39. 昆布に停車

写真40. のどかな景色が広がる

写真41. のどかな景色が広がる

自然やのどかな景色の中、混雑した列車は走ります(写真39-41)。

写真42. かわいい駅舎

黒松内で地元民が降りました(写真42)。部活帰りでしょうか。

写真43. 二股の市街地

「山線」最後の駅、二股付近の景色です(写真43)。倶知安から長万部までの区間は山越えという風情はあまりありません。このようにのどかな景色と集落の繰り返しです。集落の近くに駅が現れるパターンです。

写真44. 森の中を行く

二股は長万部町の駅ですが、ここからもまた森の中を走ります(写真44)。

写真45. 長万部に近づいてきた

室蘭本線と並走すれば、長万部はもうすぐです(写真45)。

写真46. 長万部に到着

長万部に到着しました(写真46)。ここで乗りかえです。私は特急券を買うためにいったん駅の外に出ました。

写真47. 日高本線の車両もいた!

そうそう、日高本線の車両もいました(写真47)。でも、なんでここに?

山線の実態についてのまとめ

山線は意外と混雑していることがわかりました。特に、小樽-余市、倶知安-ニセコです。もともと長距離区間で最も利用の少ない区間の混雑を基準に考えられており、区間利用をさばけない面が強いのでしょう。東京の通勤電車のように10両や15両の電車がバンバン走っても混雑する状況と異なります。極端な話、全列車が3両編成になればこのような混雑は嘘のように消えることでしょう。また、小樽から長万部に抜ける列車が小樽基準で10:53発が最初というのも問題です。このようなことを考えると、増発がベストです。

例えば、小樽-倶知安は1時間間隔、倶知安-長万部は2時間間隔とするのはどうでしょう?いずれも1両編成でじゅうぶん(ラッシュ時間帯は2両編成)でしょう。ただし、これでは小樽-余市だけがピンポイントで混雑してしまいます。これに対しては、日中時間帯でも札幌-余市で直通の快速(名称は何でも構いません)を1時間間隔で設定すれば、札幌から余市に向かう人はこれに乗ります。余市に向かう人の多くがニッカウィスキーを訪問する人ですので、札幌から直通すると喜ばれます。この考えは朝夕にも適用できます。小樽から余市まで30分間隔で運転されれば、自動車利用の人も函館本線に乗ることでしょう。

また、小樽付近は住宅が広がっているので、小樽-塩谷に1駅を新設するのも良いです。これに合わせて、小樽発の終列車を22:30から23:30(余市行き)に繰り下げることも重要です。現在のダイヤだと札幌を21:38に出ないと終列車に間に合いません。終列車を1時間繰り下げることで、札幌を22:34まで滞在することができます。

このように、「山線」は観光客に脚光を浴びつつあるにも関わらず、ローカル線の地位に甘んじています。札幌近郊の観光地余市や、海外の人にも人気の比羅夫・ニセコ地区があるわけですから、もう少し便利な路線に脱皮してほしいものです。

前後を読みたい!
さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?

←(前)札幌から小樽までの海岸沿いの列車旅(19年GW)

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※それぞれ別ウィンドウで開きます。



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