長野県にはいくつか地方民鉄が存在します。その1つの上田電鉄に乗ってみました。夏らしい車窓をご堪能ください。
写真1. 別所温泉駅近くには丸窓電車も保存されている
復習:上田電鉄の概要
簡単に上田電鉄の概要を紹介します。
・区間:上田-別所温泉
・距離:11.6km
・所要時間:28分程度
・運賃:590円
上田電鉄線は上田-別所温泉の路線です。全長11.6kmの路線で、「信州の鎌倉」の別所温泉へのアクセスを担っています。この距離に30分近くもかけるのはどうかと思いますが、地方民鉄としては標準的でしょう。
車両は東急のお古を使用しています。車内は基本的にそのままでロングシートです。別所温泉に行くのにもロングシートで運ばれます。
日中の運転間隔はきれいな1時間間隔です。上田を毎時10分に出発しています。
図1. 上田から別所温泉までの経路(googleマップより引用)
実際に上田電鉄に乗る
実際に上田電鉄に乗ってみましょう!
ステージ1. 上田→別所温泉
上田から別所温泉に向かいましょう!
写真1. 上田駅の上田電鉄のりば
上田駅は頭端式ホームです。ここに向かう改札は1つだけです(写真1)。別所温泉の入浴券がセットになった企画乗車券がありますが、別所温泉で公衆浴場に入れば、もっと安く済みます。
写真2. 1000系電車が停車中
1000系電車が停車していました(写真2)。東急の1000系電車は緑色系の色の帯に変わっていますから、本場では見られない外観です。
写真3. 高架を走る
上田電鉄は地方民鉄ですが、上田から千曲川までは高架区間です(写真3)。地方民鉄であっても高架区間は増えています。
写真4. 千曲川を渡る
千曲川を渡ります(写真4)。新潟県に入ると信濃川と呼ばれ、信濃の国では「信濃川」と呼ばれていないことは有名ですよね!
写真5. 城下に停車!
城下に停車します(写真5)。大雨による千曲川の氾濫とそれに伴う鉄橋破壊によって、しばらくこの駅での折り返しを余儀なくされていました。
写真6. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真6)。これは上田原付近ですね。
写真7. 田園風景も見え始める
上田原を出たあたりで、田園風景も見え始めてきました(写真7)。
写真8. 畑も広がる
畑も広がります(写真8)。しなの鉄道線よりも駅の数は多く、地元密着型であることを感じます。
写真9. 川を渡る
用水路のような川を渡ります(写真9)。
写真10. 下之郷に停車!
下之郷に停車します(写真10)。かつてはここから西丸子への路線が分岐していました。現在でも拠点といえる駅です。
写真11. 川を渡る
また川が現れました(写真11)。
写真12. 田園風景が広がる
田園風景が広がります(写真12)。ここは休耕田でしょうか。
写真13. 八木沢に停車!
最後の途中駅、八木沢に停車します(写真13)。ここには鉄道むすめの絵が描かれていました。八木沢まい(公式サイトへのリンク)というらしいです。
写真14. 最後の1駅は勾配がある
最後の1駅は山に入る感覚があり、勾配があります(写真14)。
写真15. 別所温泉に到着!
別所温泉に到着しました(写真15)。上田と同じく片面ホームの駅です。
別所温泉の駅を堪能する:丸窓電車も観察
別所温泉は「信州の鎌倉」とされていますが、駅周辺はそのような風情はありません。温泉まで500m程度離れているためです。それでも、別所温泉への玄関口ですから、それなりの風情ある駅です。
写真16. 別所温泉駅の駅舎
別所温泉の駅舎は木造の洋風建築という感じです(写真16)。明治以降の日本の洋館に多い建築様式ですね。
写真17. 駅舎内部の様子
駅舎内部の様子です。券売機や窓口などの機能はそろっています(写真17)。
写真18. 駅舎内部の様子
改札のほうを向いてみました(写真18)。
写真19. 丸窓電車が展示されている
駅舎の脇に上田電鉄で昔に走っていた、丸窓電車が保存されています(写真19、図2)。この角度から見ると「丸窓」ではない?ですよね!
図2. 丸窓電車の保存場所(googleマップより引用)
写真20. 側面を眺める
側面を眺めます(写真20)。戸袋窓が丸いことがわかりますか?この丸さが「丸窓」電車の「丸窓」たるゆえんです。
写真21. 扉は閉まっている
中も堪能したいのですが、鍵がかかっていました(写真21)。よって断念です。
ステージ2. 別所温泉→上田
往路では西側の車窓を堪能したので、復路では東側の車窓を堪能することにしましょう!
写真22. 山間部から田園風景への転換
別所温泉は山あいに位置します。そこから盆地に降りていきます(写真22)。
写真23. 田園風景が広がる
田園風景が広がります(写真23)。良い景色でしょ?
写真24. 中塩田に停車!
中塩田に停車します(写真24)。この駅舎も別所温泉とキャラクターがかぶっていますね!
写真25. 田園風景が広がる
夏らしい美しい景色が広がります(写真25)。明るい光に山の緑や水田の緑が映え、夏の旅行のすばらしさを実感する瞬間です。もっとも、屋外に出ると、暑さによってこの思いは全て抹消されます。
写真26. 下之郷に停車!
下之郷に停車します(写真26)。ここでは、行き違いが発生していました。
写真27. 下之郷ですれ違う
下之郷で別所温泉行きとすれ違います(写真27)。この車両、見覚えありませんか?
写真28. (再掲)往路に乗った電車
往路に乗った電車と車両番号が一致していることに気づいたでしょうか(写真28)。
写真29. 大学前に停車!
大学前に停車します(写真29)。ここで多くの大学生(であろう)が乗ってきました。上田女子短期大学の最寄駅なのですね。このような需要は上田電鉄にとって貴重なものでしょう。友人どうしの会話が弾んでいるように見えました。
写真30. 田園風景が広がる
上田の市街地に近づいてきたのか、田園風景と住宅の競演です(写真30)。
写真31. 千曲川を渡る
千曲川を渡ります(写真31)。上田ももうすぐです。
写真32. 最後の高架区間を走る
最後の高架区間を走ります(写真32)。
写真33. 上田に到着!
上田に到着しました(写真33)。独特の外装ですね!
上田電鉄に乗ってみて
上田電鉄は典型的な地方民鉄という趣を感じました。速度が遅いこと、2両編成のロングシート車が走っていることが、その理由です。では、上田電鉄はなぜ現在でも生き残っているのでしょうか。これは上田市の尽力もあるでしょう。そして、別所温泉があり、確固たる「目的地」になっているという理由もあるでしょう。現に私が乗った際も別所温泉利用客はそれなりに見かけました。
しかし、本当の理由はそこにはないかもしれません。上田-城下には千曲川があり、ここを渡る道路は少ないです。そのため、千曲川を渡る道路が渋滞することは容易に予想できます。この渋滞を避けて上田電鉄を利用する人も多いでしょう。
今後は本数の確保やわかりやすいパターンダイヤの維持など、それなりに恵まれた条件に甘んじることなく、自助努力も重ねてもらいたいものです。