特別快速。どこか特別で洗練された、そんな響きがあります。「特別」だからか、特別快速が走る路線は多くありません。そんな特別な快速に乗ってみました。
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写真1. 名古屋に到着する8両編成の特別快速
復習:東海道線名古屋地区の種別
簡単に東海道線名古屋地区の種別をおさらいしましょう。
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図1. 東海道線名古屋地区の種別
東海道線名古屋地区の種別一覧を示します(名古屋以北の特急列車は省略、図1)。大まかには以下の通りです。
- 名古屋以北(図1でいう右側)は快速と名前が付くものは停車駅は同じ(一部の快速は稲沢に停車するという例外はあるが)
- 区間快速は岡崎-岐阜間のみ快速運転、他は豊橋-岐阜間快速運転
- 新快速を基準とすると、快速は共和に追加停車、特別快速は大府を通過(いずれの種別も幸田、三河三谷に停車する便もある)
簡単にいうと、岡崎-名古屋-岐阜(-米原)であれば快速と名前の付く種別であればほとんど変わらず、どの区間であっても区間快速以外の快速系であればどれでも大差ないということです。
また、ダイヤ作成上のテクニックとして、特別快速は武豊線直通の区間快速とセットで運転されるという特徴があります。大府-名古屋の速達輸送は武豊線直通の区間快速に委ね、そのぶん特別快速は大府を通過するというあんばいです。武豊線直通が加わる時間帯は混雑する時間帯です。その時間帯については、長距離客で混雑する東海道線系統は大府からの客を分離しようという意図を感じます。
つまり、いいかたを変えると、特別快速は混雑時間帯にしか運転されないということです。
全国の特別快速は以下の通りです。
- 湘南新宿ライン特別快速:高崎-新宿-小田原(高崎線、東北本線、山手線、東海道線)
- 常磐線特別快速:品川-土浦(東海道線、東北本線、常磐線)
- 中央特快、青梅特快、通勤特快:東京-河口湖・青梅(東北本線、中央本線、山手線、青梅線、富士急行線)
- 特快きたみ:旭川-北見(宗谷本線、石北本線)
以上の4系統が運転されています。東京圏は路線網が複雑なため、正式な路線名で記しました。2022年11月現在、湘南新宿ライン特別快速は1時間間隔でそれなりに走っていますが、常磐線関係は1日1往復だけです(2022年ダイヤ改正で減便されています)。また、同じく1日1往復運転は北海道を走る特快きたみです。この列車は特急を補完する役割があります。もともと「快速」よりも停車駅が厳選し、その識別のために中央線で走り始めたのが発端です。
関西地区は対東京の意識からか、特別快速ではなく新快速という名称でスタートしました。現在では○○路快速という名称で一般的な快速と識別することが多いです。
東海道線名古屋地区ではもともと新快速という名称を設定し、その10年後に大府を通過する新快速に対して特別快速という名称を付けました。
民鉄では快速の名称を複雑にはしていません。これは、特別料金不要列車に対し、急行という名称が使えるため、「快速」という名称にこだわる必要がないためでしょう。
実際に311系特別快速に乗る
さて、実際に311系特別快速に乗ってみましょう!
★311系電車の内装については、311系電車の車内で紹介しています。
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写真2. 先発の区間快速武豊行きが発車!
ホームで特別快速を待っていると、先発の区間快速武豊行きが発車しました(写真2)。なぜか特別快速が後発で区間快速が先発です。特別快速を先発にすれば、特別快速は大府まで先行列車に抜かれずに走れますが…。
なお、武豊線各駅のホーム延長の関係で武豊線直通区間快速は4両編成です。
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写真3. 特別快速豊橋行きがやってきた
特別快速豊橋行きがやってきました(写真3)。この列車は大垣を8:09に出発し、名古屋に8:42に着きます。日中時間帯の快速系は6両編成が基本ですが、休日(この日は土曜日ですが)の朝に都心に着くとあって8両編成としているのでしょう。とはいっても平日のように10分未満の間隔でやってくることはなく、約15分間隔です。
右に停車中の列車は普通豊橋行きです。1番線が使用できないので、名古屋での緩急結合は2番線(主に普通が使用)と3番線(このホーム)と別のホームです。乗りかえには不便ですが、名古屋で多くの乗客が乗りかえるので、これで良いと割り切っているのでしょうか。
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写真4. 名古屋停車中
名古屋停車中の様子です(写真4)。名古屋からは(名古屋を中心と考えた場合)実質的な下り列車になります。朝に都市部から離れる列車は空いていることが多いです。この列車もその傾向に見合い、名古屋停車時点では空いています。
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写真5. 名古屋を発車!
名古屋を発車しました(写真5)。ここから54分、72.4kmの移動がスタートします。かつての特別快速であれば、最速45分で結んでいたと記憶していますので、実に2割のスピードダウンです。それでも、表定速度80.4km/hは日本の(広義の)通勤電車の中では速いほうです。なお、日中時間帯の下りは52分、上りは53分で走ります(いずれも新快速)。
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写真6. 名古屋市内を快走!
名古屋市内を快走します(写真6)。
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写真7. 金山に停車!
金山に停車します(写真7)。ここで待っている人がいました。栄方面から岡崎・豊橋方面に向かうには金山乗りかえのほうが便利であるためです。もちろん、金山からの需要もありましょう。
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写真8. 次は刈谷の表示
次は刈谷の表示です(写真8)。車端部に電光掲示板があります。このころのクロスシート車の配置なのでしょうか。関東に住む私は鉄道雑誌でこの車両を見てあこがれたものです。
ところで、名古屋から刈谷までは21分かかります。日中時間帯の快速はこれより2駅多く停車し、21分です。日中時間帯の新快速は20分です。停車駅が少ないのに、だいぶ遅いです。
表1. 特別快速周辺の時刻表
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簡単に時刻表を示しました(表1)。前を走る区間快速があり、このせいで速度が上がりません。また、その区間快速はさらに1本前の普通の後追いです。8:46発の普通を1分程度繰り下げても後の新快速から逃げ切れますので、以下のようにすれば速度向上できるでしょう。
- 区間快速を8:40発に変更(日中時間帯の快速は大府まで17分で走行可能)
- 特別快速を8:45発に変更(刈谷まで19分に速度向上)
- 普通を8:47発に変更
抜本的には、315系導入による速度向上(313系以降は130km/h可能)による普通の速度向上による、全体的なスピードアップや、待避駅の変更(刈谷→大府)があり得るでしょう。場合によっては、普通の待避駅を共和に変更しても良いでしょう。
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写真9. 金山を発車!
金山を発車しました(写真9)。都市の駅前らしいやや乱雑な光景が広がります。名古屋の中心部は名古屋駅前~栄駅付近に広がり、東海道線はそこからはやや離れています。
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写真10. 熱田が見える
私は先頭車の電動車を選んでいましたので、先頭が見えます。目の前に熱田が見えてきました(写真10)。
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写真11. 名鉄線をくぐる
名鉄常滑線をくぐります(写真11)。豊橋に向かう路線ではなく、知多半島に向かう路線です。あちらも高頻度運転を実現しています。
私の感覚ですが、名古屋圏のJR線は列車、名鉄は電車という雰囲気を感じます。
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写真12. 高架区間を走る
高架区間を走ります(写真12)。金山出発時は速度を出していましたが、このあたりから遅くなってきました。
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写真13. 複線が伸びる高架区間
すっきりとした高架線を走ります(写真13)。複線電化の直線区間は速度が出せそうに見えますが、大都市圏で複線というのは、インフラとしてやや不足かもしれません。
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写真14. 天白川を渡る
天白川を渡ります(写真14)。
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写真15. 大高を通過!
大高を通過します(写真15)。
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写真16. 南大高が見える
南大高が見えます(写真16)。比較的新しい駅です。下り線には待避設備があります。このようなきれいな駅でも普通は15分間隔です。
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写真17. 大型の商業施設がある
南大高には大型の商業施設があります(写真17)。
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写真18. 313系の普通とすれ違う
313系の普通とすれ違います(写真18)。2006年10月ダイヤ改正から東海道線名古屋地区(豊橋-名古屋-米原)はクロスシート車で統一され(このときに211系5000番台の運用がなくなった)、2012年ダイヤ改正以降(211系0番台の運用がなくなった)はわずかな例外を除き転換クロスシートに統一されました。
ただし、短距離利用が多数を占める普通にロングシート車がないのはやや極端に思えます。315系導入でどうなるのでしょうか。
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写真19. 大府を通過!
大府を通過します(写真19)。
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写真20. 広大な大府駅構内を走る
広大な大府駅構内を走ります(写真20)。長距離列車が多数走った、昔の幹線鉄道の姿をしのばせる設備です。もしも今の姿(都市圏輸送+若干の貨物輸送)が昔からの姿であれば、大府駅は4面6線(阪神尼崎のような配線)であったでしょう。
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写真21. 武豊線が分岐
武豊線が分岐します(写真21)。
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写真22. 直線が続く
濃尾平野は細かな起伏が少ないと見え、直線が多いです(写真22)。関東平野といいながら、丘陵地帯が広がる関東地区の東海道線とは姿が異なります。
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写真23. 刈谷に停車!
刈谷に停車します(写真23)。名古屋市内を出発して最初の停車駅です。この駅は2面4線で普通を追い抜きます。
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写真24. 田園風景を走る
田園風景を走ります(写真24)。この区間は普通が30分開くこともありますが、大府までの風景よりも民家が少なく、本数が少ないのも納得できます。刈谷で前の普通を抜かしたので、走りは回復しました。
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写真25. 新幹線の高架をくぐる
新幹線の高架をくぐります(写真25)。
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写真26. 三河安城を通過!
新幹線の停車する三河安城を通過します(写真26)。もっとも三河安城にはこだま号しかとまりませんが…。感心するのは、新幹線の駅前には必ずビジネスホテルがあることです。
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写真27. まもなく安城に停車!
まもなく安城に停車します(写真27)。
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写真28. 多くの乗客が降りる
多くの乗客が降ります(写真28)。15分間隔で運転される列車から多くの乗客が降り、大都市圏の流動の多さを改めて実感します。
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写真29. 313系1700番台とすれ違う
313系1700番台を使った普通とすれ違いました(写真29)。前パンダがあるので、この車両とわかります。2022年3月ダイヤ改正で313系1000番台の3両編成は東海道線に転属しています。でも、この運用に6両が必要なのでしょうか。
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写真30. 田園風景の中を走る
田園風景の中を走ります(写真30)。
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写真31. 矢作川を渡る
矢作川を渡ります(写真31)。
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写真32. 広い鉄道用地が広がる
広い鉄道用地が広がります(写真32)。
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写真33. 岡崎に停車!
岡崎に停車します(写真33)。岡崎は名古屋と豊橋のほぼ中間に位置し、それなりの拠点でもあります。ただし、駅前はそこまで発展しているように見えません。それもそのはずで、岡崎の市街地はここから離れた名鉄線の近くです。あちらに停車しているのは名古屋方面に向かう普通でしょうか。
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写真34. 住宅街を走る
住宅街を走ります(写真34)。
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写真35. 田園風景を走る
田園風景を走ります(写真35)。
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写真36. 田園風景が広がる
岡崎以東よりものどかな風景が広がります(写真36)。この区間は普通は毎時2本だけですが、それも納得できる風景です。
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写真37. 古い家屋も多い
古い家屋も多いです(写真37)。
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写真38. 線路が合流した
線路が合流してきました(写真38)。これは名鉄蒲郡線です。
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写真39. 蒲郡に停車!
高架駅の蒲郡に停車します(写真39)。
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写真40. 海が見える
三河湾が見えます(写真40)。
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写真41. 海が見える
観覧車も見え、このあたりがちょっとした行楽地であることが読み取れます(写真41)。
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写真42. 田園風景を走る
海から離れ、再び田園風景の中を走ります(写真42)。
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写真43. 貨物列車とすれ違う
貨物列車とすれ違います(写真43)。ここが日本の物流の大動脈であることを思い出します。
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写真44. 豊川放水路を渡る
豊川放水路を渡ります(写真44)。
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写真45. 水田を走る
水田を走ります(写真45)。
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写真46. 豊川を渡る
豊川を渡ります(写真46)。新幹線も近づいてきました。もうすぐ豊橋です。
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写真47. 住宅が増えてきた
住宅が増えてきました(写真47)。
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写真48. 豊橋に到着!
豊橋に到着しました(写真48)。
311系特別快速に乗ってみて
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写真49. 折り返し大垣に向かう
311系特別快速。ある意味あこがれの存在でした。現在でもその速度や快適な設備は健在でした。しかし、高速走行時の窓のがたつきや揺れなど、現代の車両と比べて劣る部分もあるのが事実です。
一時期は(広義の)通勤電車としては最高級の設備、一級品の速度を誇ったのはその通りです。今やその部分に陰りが見えています。じきにJR東海はこの地区に新車を配備するでしょう。その車両はきっと静寂性に優れ、情報提供装置も洗練されていくでしょう。しかし、311系投入時の速度向上や増発への意気込みは忘れないでもらいたいものです。
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