213系5000番台の車内

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JR東海が投入した短編成2ドアの213系5000番台。座席数が多く2ドアであることから長距離用と認識されることもあります。実際は通勤利用も考慮された車内です。そんな213系5000番台の車内を観察してみました。

写真1. 2ドア車の213系5000番台(天竜峡で撮影)

復習:213系5000番台の概要

まず、213系5000番台の概要を紹介します。

213系5000番台の概要

  • 編成:2両編成
  • 形態:2ドアセミクロス(車両中央は転換クロスシート)
  • 運用:飯田線、中央本線

213系5000番台はもともと短編成・高頻度化を目的に関西本線に導入された車両でした。当時のJR東海の判断で3ドア車ではなく2ドア車として設計・導入されました。そのうちに関西本線に3ドア車が導入され、活躍の場はラッシュ時の車両不足を補う場面に限定されました。

そのうち、飯田線の旧式車両を取り替えるためにトイレを増設し、飯田線に転属されました。

関西本線の通勤利用も視野に入れたためか、ロングシート部分が多いことが特徴です。クロスシート部分は転換クロスシートで、長距離利用の快適性も確保されています。東北地方や北陸地方の413系や717系の車体もこれと同様であれば、普通列車の旅も快適になったことでしょう。(個人的所感ですが)このレイアウトの車両が普及しなかったのはつくづく残念に思います。

213系5000番台の車内を眺める

御託はこの程度とし、実際に車内を見てみましょう。

写真2. 転換クロスシートが並ぶ車内

車内の全景です。転換クロスシートが並びます(写真2)。

写真3. 車内全景

車内の全景を別の角度から撮影してみました(写真3)。ドア間に転換クロスシートが8列並んでいます。その8列とも転換可能で、理論上向かい合わせの座席がありません。これは快適性の確保には重要な要素です。ドアよりは立ちスペースで、補助いすが格納されています。ただし、私が乗ったときには使われていませんでした。それなら、ドアよりに2人掛けのロングシートを設置したほうが良さそうです。

後継の313系電車(5000番台)はドア間に転換クロスシートが10列ありますから、3ドア車よりも転換クロスシートの座席が少ないことになります。

写真4. 車端部のロングシート

車端部にはロングシートが並びます(写真4)。213系5000番台は2両編成でもう1両はトイレ付なので、ロングシートが並ぶ車端部はここだけです。

写真5. 車端部のロングシートは7人掛け

車端部のロングシートは7人掛けです(写真5)。313系1000番台の車端部は4人掛けですから、それよりも多いことになります。中間車だとすると、座席定員はロングシートの7人×4+転換クロスシートの8列×4=60名です。

写真6. 運転席直後は4人掛け

運転席直後は4人掛けのロングシートが展開されています(写真6)。向かって右側の窓ガラスの下辺が低く、座りながら前面展望を満喫できます。ワンマン運転を考慮した313系電車ではドアと運転席の間が短く、ここに座席はありません。

写真7. 転換クロスシート

転換クロスシートの端部の席です(写真7)。座席と仕切り板の間に空間があり、全席転換できることがわかります。

写真8. 転換クロスシートの仕切り板

その仕切り板を座席側から眺めてみます(写真8)。後継の313系5000番台も全席転換可能でドア寄りにこのような仕切り板がありますが、313系5000番台が足元が開いているのに対し、こちらは開いていません。車内保温をとった結果でしょう(足元が開いていると車内空間を広く使えるというメリットがあります)。当時はデッキ付きの165系電車の置き換えを考慮し、車内保温にも気を配ったとも解釈できます。

写真9. 転換クロスシートが並ぶ

その転換クロスシートが並ぶ光景です(写真9)。

写真10. 転換クロスシートを横から撮影

転換クロスシートを横から撮影します(写真10)。

写真11. 転換クロスシートを撮影

もう少し転換クロスシートを撮影しました(写真11)。座席の色は中彩度~高彩度の赤紫系を使用しており、直後に登場した311系電車(モノトーン基調)とカラースキームが異なります。

写真12. 天井の照明はカバーなし

天井に目を向けてみましょう。壁や天井は白系の色で統一されており、天井の照明にはカバーがありません(写真12)。明るいことに焦点を置いた車両であることが読み取れます。

2ドア車ということで117系電車と類似しているように認識されますが、117系電車は都市間用に最適化された「別格の」オールクロス車、213系電車はローカル輸送の車両で、格差があります。その一例が天井の照明であるように感じます。

写真13. 車端部の様子

車端部の様子です(写真13)。車両端部のドアも化粧板が貼られています。

写真14. ドア付近の様子

ドア付近の空間です(写真14)。補助いすが格納されていることがわかります。

写真15. ドアの様子

ドアの様子です(写真15)。JR東海車らしく、ドアに化粧板が貼られています。

写真16. ドアは単板ガラス

ドアは単板ガラスです(写真16)。複層ガラスだと結露しにくいという長所があります。ただし、複層ガラスが普及する前の車両ですから、これは仕方ないと思います。

写真17. 後付けトイレ

制御車のほうにはトイレが取り付けられました(写真17)。車いす対応の大型トイレです。車内空間が撮られるため、トイレ周辺に座席はありません。

写真18. 戸袋窓が埋められる

戸袋窓も埋められています(写真18)。閉塞感が増していて、ちょっとよろしくないように思います。ここの座席は残しても良かったかもしれません。

写真19. トイレ前の空間

トイレ前はこのような立ち空間になっています(写真19)。311系電車のような比較的コンパクトなトイレであれば、ここにクロスシートを設置できたでしょう。しかし、バリアフリーが叫ばれているので、そうはいかないのです。

写真20. トイレ内部の様子

トイレ内部の様子です(写真20)。

写真21. トイレ内部の様子

別の角度からも撮影しました(写真21)。広くて快適なトイレです。

213系5000番台に乗ってみて

写真22. 上諏訪に到着した213系5000番台

213系5000番台の旅は快適なものでした。地方の長距離運用として(乗る側としては)良い車両のように感じました。

213系5000番台は地方向けのレイアウトの車両です。国鉄末期の地方向け2ドア車を転換クロスシートに変え、ある意味地方向けの車両の究極版です。とはいえ、2ドアゆえの乗降性という課題は残り、近年の地方向け車両は3ドアに変わりました。3ドア車であれば都市圏でも運用でき、都市圏向け車両と車体設計を共通化できるという強みもあるでしょう。

このような背景から2ドア車の(広義の)通勤車は登場していません。かくいう飯田線も313系(か315系)に置き換わり、3ドア車に統一されるのは明白です。

乗降性を求めるのは編成両数や本数をおさえていることが原因ということができます。編成両数や本数を増強し、2ドア車で座席を多く提供するのが正道です。今後はこのような考えも取り入れてもらいたいものです。

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