地下鉄東西線(ダイヤパターン紹介)

記事上部注釈
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東京23区のなかで一番混む路線である地下鉄東西線。利用の多い時間帯のダイヤはどのようなものでしょうか。そのダイヤを簡単に紹介します。

メトロ05系(大手町)

写真1. 東西線の拠点、大手町に停車中の05系

復習:ダイヤパターンとは

具体的なダイヤパターンを紹介する前に、ダイヤパターンの基本概念について紹介しましょう。

多くの路線では鉄道ダイヤを作成する際に、基本的なパターンを形成しています。例えば、20分間隔で快速1本、各駅停車が2本が運転されている場合は、20分サイクルのパターンダイヤと呼びます。サイクルとは、列車の運転順序が1回りする時間を示します。例で示した路線の場合は、20分サイクルと呼びます。本記事ではこのような路線の場合、「20分サイクルで快速が1本、各駅停車が2本」というように呼ぶことにします。

多くの路線では、1サイクルを60の約数(何サイクルかすれば60分になる)としています。そうすると、毎時の発車時間が一定になります。

多くの路線では1サイクルに何本かの速達列車と各駅停車を混ぜています。(快速が各駅に停車する場合も含めて)各駅停車は平均10分に1本以上運転するようにしている路線が多いです。これは、どの駅でも10分程度待てば次の電車がやってくることを実現させるためです。

また、1サイクルの間に細かな繰り返しがあるパターンがあります。例えば、20分サイクルで快速2本、各駅停車2本が運転されていて、都心側は快速、各駅停車双方が10分間隔で運転されていて、郊外側で枝分かれするパターンです。この場合は厳密には20分サイクルですが、都心側のダイヤを論じる場合は10分サイクルと考えても差し支えはありません。このような、1サイクルの中で小さな繰り返しがある場合は疑似サイクルと呼ぶことにします。今回の例では、「疑似10分サイクルの中で快速1本、各駅停車1本が運転されている」と呼ぶという具合です。

ダイヤの実態は路線によって異なりますので、疑似サイクルの表記の方法については、適宜対応することにします。

直通運転と速達列車について

写真2. 大手町での停車駅案内

※西船橋方面に向かう通勤快速の設定はないので、写真2では省略されている

地下鉄東西線は両側で直通運転しています。西側では中央線各駅停車と、東側では総武線各駅停車と東葉高速鉄道と直通しています。特に東側は郊外側に伸びていますので、速達列車の運転もあります。

中野-東陽町は種別によらず各駅にとまります。一方、東陽町-西船橋は以下の停車駅となっています。

快速:浦安のみ停車

通勤快速:南砂町、西葛西、葛西、浦安に停車
※東陽町-浦安各駅に停車、浦安-西船橋ノンストップ

通勤快速は朝ラッシュ時のみの運転です。

東葉2000系(大手町)

写真3. 速達列車も運転される(大手町、東葉車)

地下鉄東西線の朝ラッシュ時のダイヤパターン

東西線は中野方向、西船橋方向から都心への流れがありますので、それぞれのダイヤパターンを紹介します。

西船橋方面から都心への流れ

門前仲町断面で7:50~8:49の60分間に25本が運転されています。以前は27本とされてきましたが、近年の遅延抑制の考えから、25本に減便されています。

この60分間に以下の種別が運転されています。

通勤快速:9本
※東葉勝田台始発5本、津田沼始発4本

各駅停車:16本
※東葉勝田台始発6本、津田沼始発1本、西船橋始発3本、妙典始発6本

2本~4本に1本の割合で通勤快速が運転されていて、残りが各駅停車です。基本的なパターンはありません。ピーク60分といえども、微妙に利用者の特性が異なるので、均一なパターンにはできないのでしょう。

通勤快速は遠方の速達性を向上させることを目的としています。そのため、東葉高速鉄道か総武線に直通します。一方、各駅停車は線内の利用者が利用することが多いので、西船橋始発と妙典始発が設定されています。妙典には車庫がありますので、着席サービスを兼ねて妙典始発も設定されているのです。

以前は快速も設定されていましたが、通勤快速に置き換わりました。これは快速各駅停車だと利用に差が生じてしまうためです。これは快速への集中ではなく、各駅停車への集中です。快速が間に入ると、都内の各駅の乗客がホームに集まり、快速の直後の各駅停車が混んでしまいます。その混雑を緩和するために、都内の各駅にとまる通勤快速に変更したのです。

速達列車ではなく各駅停車に乗客が集中する珍しいパターンです。

中野方面から都心への流れ

高田馬場断面で7:50~8:49に21本(2023年ダイヤ改正までは22本)が運転されています。西船橋方面とは異なり、そこまで混んでいません。そのため、本数も少なめです。こちらには通勤快速の運転はなく、各駅停車快速のみの運転です。

内訳は以下の通りです。

快速:6本
※三鷹始発2本、中野始発4本(2022年ダイヤ改正まで三鷹始発1本、中野始発5本)

各駅停車:16本
※三鷹始発5本、中野始発10本(2023年ダイヤ改正まで三鷹始発5本、中野始発11本、2022年ダイヤ改正まで三鷹始発6本、中野始発10本)

種別ごとに集計しましたが、中野や高田馬場から乗った人の多くは東陽町までに降りるでしょうから、ラッシュ輸送と種別はあまり関係ありません(多くの人が降りる都心部までは快速も各駅にとまるため)。

三鷹始発は7本しかなく、以前は20分以上も間隔が開くときもありました(現在は最大13分間隔です)。中央・総武線各駅停車のダイヤを考えると、東西線との直通を廃止して、そのかわりに中野での同一ホーム接続を約束する形態のほうが良いかもしれません。

地下鉄東西線の日中時間帯のダイヤパターン

E231系800番台(大手町)

写真4. JR車もやってくる(大手町)

日中時間帯は単純な15分サイクルのパターンダイヤで運転されます。1サイクル当たりの内訳は以下の通りです。

快速:中野-東葉勝田台1本

各駅停車:中野-西船橋1本、三鷹-西船橋1本

快速も各駅にとまる、中野-東陽町は5分間隔での運転、東陽町-西船橋は各駅停車が15分に2本、快速が15分に1本というダイヤです。

全般的に美しいダイヤですが、快速を葛西で待ち合わせる各駅停車は東陽町で2分時刻調整をしています。これは各駅停車どうしの運転間隔を10分-5分から8分-7分にするための工夫ですが、このせいで南砂町、西葛西と葛西から都心への所要時間が2分増えてしまっています。東陽町での時刻調整を1分に留め、南砂町、西葛西と葛西から都心への所要時間を短縮したほうが良いでしょう。

地下鉄東西線の夕方ラッシュ時ダイヤパターン

夕方ラッシュ時も朝ラッシュ時と同じく、両方向のダイヤパターンを紹介します。

都心から西船橋方面への流れ

基本的に10分サイクルのパターンダイヤを採用しています(一部は9分サイクルです)。行先に違いはあれど、1サイクル当たりの内訳は以下の通りです。

快速:1本
※津田沼行きのほうが本数が多く、東葉勝田台行きは少ない

各駅停車:2本
快速の直前が西船橋行き、もう1本前が東葉勝田台行きが基本

10分に快速が1本、各駅停車が2本というのが基本です。総武線に直通していた歴史が古いためか、快速の多くが津田沼に向かいます。しかし、総武線の船橋や津田沼から都心へは総武線快速が高速で結びます。そのため、快速の行先を津田沼から東葉勝田台に振り替えるほうが得策でしょう。

東葉高速鉄道線内の乗車チャンスを10分以内にするように、各駅停車が10分間隔で東葉勝田台に向かいます。快速も東葉高速鉄道線内の各駅に停車するので、場合によっては東葉高速鉄道線内で5分間隔になることもあります。

以前は東葉高速鉄道線内でも快速運転する東葉快速もありましたが、東葉高速鉄道線内での時短効果が低かったことと通過駅利用者が増えてきたこともあって、廃止されました。

都心から中野方面への流れ

こちらはやや本数が少なく、15分に4本の設定が基本です。ただし、18時台前半の間隔は短く、高田馬場断面で18時台で18本が設定されています。全般的に18時台前半の設定が厚く、後半の設定が薄い印象です。

だいたい2本に1本が三鷹に直通します。もう半数は中野行きです。中央線のバイパス路線として建設された経緯もあるのか、三鷹直通が充実している印象です。三鷹直通が朝ラッシュ時よりも多いのは何だろう?

基本的に15分間隔で快速が設定され、残りが各駅停車です。日中時間帯にはない、東葉勝田台-三鷹の通しの快速が設定されています。東葉高速鉄道にはJR車は入れず、JR線には東葉高速鉄道車は入れません。したがって、この運用にはメトロ車が充当されます。

東西線のダイヤパターンまとめ

東西線は朝と夕方の輸送量は多いものの、日中時間帯はそこまでではありません。東西線沿線はビジネス街が多く、日中時間帯の目的地となる駅が少ないためです。

とはいえ、日中時間帯でも都心部では5分間隔を実現するなど、最低限の利便性は確保されています。今後は三鷹方面への直通の意義の問い直しや、夕方ラッシュ時の快速の行先の見直しなどの必要があるように思いますが、それなりに利便性の高いダイヤであることは確かです。

今後も東京で最も利用の多い路線として、便利なダイヤを維持し続けるのでしょう。

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