さよなら!ロングシートの直通快速

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2023年3月18日。この日に新線開業や民鉄の新幹線駅直結などの変化があります。一方で消えゆくものもあります。その消えゆくもののうち、着目度が低いものに注目してみました。

写真1. 4ドア車の直通快速奈良行きの車内

復習:おおさか東線の直通快速

ここで、おおさか東線の直通快速について軽くおさらいしましょう。

おおさか東線の直通快速の概要

  • 区間:新大阪-奈良
    ※3/18以降は大阪始発に変更
  • 所要時間:55分程度
  • 本数:1日4往復
    ※平日・土曜休日で本数は同じ

おおさか東線の直通快速は関西本線(大和路線)からおおさか東線に直通する快速です。奈良と新大阪の間を直通する目的が大きいのでしょう(実際に乗ってみると乗り通しの乗客は決して多くなさそうですが)。その直通快速は平日と土曜・休日で運行形態が異なります。

  • 平日:朝に奈良→新大阪(3/18以降は大阪、以下同じ)に4本、夕方以降に新大阪→奈良に4本
  • 土曜・休日:朝夕に奈良-新大阪を2往復ずつ

平日は奈良地区から新大阪地区への通勤需要に重きを置き、休日は奈良地区と新大阪地区のお出かけ需要に応えた形です。

おおさか東線が新大阪に直通した時点ではオールロングシート車7両編成が充当されています。では、以前の使用車両はどうだったのでしょうか。

  1. 2008年:おおさか東線開業時は尼崎-奈良(JR東西線経由)で直通快速を223系6000番台で運転
  2. 2011年:JR東西線北新地駅ホームドア設置にともない、4ドアの207系・321系に変更
  3. 2019年:おおさか東線の新大阪-放出開業にともない、尼崎発着から新大阪発着に変更
  4. 2023年:おおさか東線の大阪-新大阪開業にともない、新大阪発着から大阪発着に延長、車両も221系8両編成に置き換え

直通快速は長距離客を想定していたのか、もともとはクロスシートの8両編成で設定されました。しかし、その直通先の北新地駅(直通快速の主要な目的地でしょう)に4ドア用のホームドアが設置されることになりました。それが契機となり4ドア車に置き換えられました。

その直通快速はおおさか東線の延長にともない、発着駅が尼崎から新大阪に変更されました。これは、JR東西線が通るエリアが大阪環状線の通るエリアに重なり、大和路快速(や区間快速)と役割が重なるという側面があったのでしょうか(新大阪であれば役割は重ならない)。

そして2023年のおおさか東線の大阪延伸で直通快速は再びクロスシートに戻ります。直通快速で使う車両は運用の都合で決まるとはいえ、車両が置き換わるとどんどん車両が古くなるのは何でしょうか?

実際に直通快速に乗る

では、実際に乗ってみましょう!

写真2. 新大阪のおおさか東線は今後1番のりばから発車!

現在はおおさか東線は2番のりばから発車していますが、これが今後1番のりばに変わります(写真2)。確かに日本は左側通行ですから、2番のりばからは大阪行きが発車するほうが理にかなっています。

写真3. 直通快速は1番のりばから発車!

その直通快速は1番のりばから発車します(写真3)。普通が15分間隔で発車し、その中間に直通快速が挿入される格好です。

写真4. ジャーナリストが集まる

ジャーナリストが集まっています。女優のお忍びデートの情報を聞きつけたのでしょうか?でも、ここにはそのような雰囲気はありません。直通快速が来るくらいです。

写真5. 直通快速奈良行きがやってきた

直通快速奈良行きがやってきました(写真5)。もしかしてジャーナリストのみんなこのために集まったの?

写真6. 直通快速奈良行きの表示

奈良行きの表示です(写真6)。おおさか東線経由と明示されています。

(参考)写真7. 奈良駅の発車標

参考までに奈良駅の発車標を示しました(写真7)。ここでは東線経由と書かれています。

写真8. ギャラリーに人が集結している

先頭部分のギャラリーには人が集結しています(写真8)。1軍ともいえる精鋭が並んでいます(ずっと風景を撮影している人もいました)。私は2軍ともいえる運転席後ろに陣取ることにしました。

写真9. 新大阪を発車!

新大阪を発車しました(写真9)。電車の外から私を撮影している…いや、わが直通快速を撮影している人がいます。

写真10. ポイントを渡る

ポイントを渡ります(写真10)。

写真11. ジャーナリストが集結!

最初の通過駅、南吹田です。ここはカーブなのか、ジャーナリストさんが集結していました(写真11)。

写真12. JR淡路付近を走行中

JR淡路付近を走行中です(写真12)。上に見えるのは阪急電車の高架線でしょうか。

写真13. 学研都市線と合流!

学研都市線と合流します(写真13)。

写真14. 回送電車とすれ違う

回送電車とすれ違います(写真14)。1時間後の直通快速に使うのでしょうか。この車両は近くの学研都市線の線路は通りますが、3/18以降はこの線路を通らないはずです。

写真15. まもなく放出に停車!

まもなく放出に停車します(写真15)。学研都市線とおおさか東線の電車がとまっています。これは相互接続を取り、両路線の利便性向上に寄与しています。

写真16. 放出に停車中

放出(はなてん)に停車中です(写真16)。ちょうど学研都市線の普通四条畷行きと相互連絡していました。かわりに午前中のこちらの接続はあまり良くないのですが…。

写真17. 放出を発車!

放出を発車します(写真17)。ここまでで気づかされるのは、わがおおさか東線が勾配が少なく、学研都市線のほうが立体交差での勾配が多いことです。これは明らかにおおさか東線の貨物列車に配慮した形です。

写真18. 高井田中央に停車!

高井田中央に停車します(写真18)。ここも直通快速が停車しますが、中央線との乗りかえが可能なことが重視されているのでしょうか。

写真19. JR河内永和に停車!

続いてJR河内永和に停車します(写真19)。JRと旧国名の双方が付く駅名はここだけです。これは近鉄駅と区別するためなのと、名古屋地区の永和駅と区別するためです。

写真20. JR俊徳道を通過!

続いてJR俊徳道を通過します(写真20)。ここも近鉄線と区別するためにJRという社名を付けています。余談ですが、JR○○という駅名はJR西日本だけの特権です。他のJRではJR○○という駅名を採用していません。

写真21. 大和路線に近づいてきた

大和路線に近づいてきました(写真21)。

写真22. 久宝寺に停車!

久宝寺に停車します(写真22)。ここでは大和路線の快速系と普通が緩急結合し、おおさか東線の電車もやってくるのですが、2面4線でさばいています。慣れた利用者にとっては便利ですが、運用するほうは大変そうです。

写真23. これより大和路線に入る!

久宝寺から大和路線に入ります(写真23)。引上線に久宝寺どまりがとまっています。

写真24. 大和路線に入る

大和路線に入りました(写真24)。おおさか東線とは異なり、ぐんぐん速度を上げていきます。

写真25. 大和路線を快走!

大和路線を快走します(写真25)。列車編成(8両編成に見える)的にすれ違う電車は大和路快速でしょうか。

写真26. 近鉄大阪線をくぐる

近鉄大阪線をくぐります(写真26)。JR俊徳道付近でくぐっていますから、直通快速に乗ると近鉄大阪線を2回くぐることになります。もしも直通快速が高田まで直通すれば、3回渡ることに!

写真27. 普通とすれ違う

普通とすれ違います(写真27)。こちらも徐々に221系電車に置き換わっています。この付近は大阪府と奈良県の府県境で山がちな場所を走ります。

写真28. まもなく王寺に停車!

まもなく王寺に停車します(写真28)。向こう側のホームに人が多く並んでいます。奈良県の多くの人は大阪に用があることがわかります。

王寺でお姉さま(婉曲)が発車ぎりぎりに乗ってきました。関西地区のお姉さまの図太さにあきれるとともに、直通快速が日常利用に定着している様子もわかりました。改めて車内を振り返ると、座席の8割が埋まっていました。

写真29. 大和路快速がやってきた

大和路快速がやってきました(写真29)。大和路快速がやってくる直前でホームに人が並んでいたのでしょう。

写真30. 和歌山線と分かれる

和歌山線と分かれます(写真30)。かつては和歌山線高田からJR難波まで20分間隔で快速が走っていたのですが、それも昔のことです。今や日中時間帯はワンマン運転の普通のみです。

写真31. 法隆寺に停車

法隆寺に停車します(写真31)。王寺から奈良まで基本的に普通の運転はなく、大和路快速や直通快速もこの区間は各駅にとまります。

写真32. 大和路線を飛ばす!

各駅にとまるとはいえ、駅間もそれなりに長く、スピードは侮れません。

写真33. 郡山に停車!

郡山に停車します(写真33)。福島県に同じような駅名の駅がありますが、こちらもそちらも福島駅まで1本で行くことができます。

写真34. 回送とすれ違う

回送電車とすれ違います(写真34)。

写真35. 奈良に停車!

終点の奈良に停車します(写真35)。

写真36. 回送表示に変わった

回送表示に変わりました。観光客と鉄道ファン(ジャーナリスト)という両極端の乗客を乗せた電車は、その役割を終えたのです。私はもちろん前者ですね!

なお、奈良駅からオールロングシート車の7両編成が消滅する(205系があるので4両編成は残る)のは重大な事態ですが、新大阪などの駅に多少のジャーナリストが集結している程度でした(南吹田で撮影してファンも安全な場所からの撮影に見えました)。

都会的な4ドア車両がなくなることによるショック、従来見られた車両が引退することによるショック、このようなものが重なり、むせび泣くなどさまざまな感情をあらわにする利用客やファン、そして感が極まったあまりに秩序を失う駅や沿線といった光景を覚悟していました。最悪、国家安全を最重視し、途中で運行停止が宣言され、奈良に行けないという事態も1つのシナリオとして組み込んでいました。しかし、そのような光景も想像でしかなく、肩透かしを食らったのも事実でした。

直通快速からロングシート車が引退するにあたって

JR西日本が大阪直通の直通快速からオールロングシート車を引退することは、比較的乗車時間が長い乗客へのサービス水準向上ととらえることができます。そのような意味で221系電車への置き換えは合理性のあるものです(置き換えのたびに古い車両に変わるのは釈然としませんが)。走行するおおさか東線や大和路線で使用される車両と同じものに統一されるという側面もあり、運用の合理性も確保され、車両運用もやりやすくなるでしょう。

大和路線の車両が221系電車に統一された日には、直通快速も221系電車で走るのが当たり前になった瞬間に、直通快速に4ドア7両編成が充当されていたことは忘れ去られ、歴史の隙間に埋もれるのです。

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