2021年3月ダイヤ改正後の相鉄の様子を確認する

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2021年3月に実施された相鉄ダイヤ改正。新宿直通の特急が各駅停車に振り替えられるなどの変化が見られます。そんなダイヤ改正後の姿を確認しました。

相鉄8000系(西谷)

写真1. 西谷を発車した快速横浜行き

復習:2021年3月相鉄ダイヤ改正の概要

2021年3月の相鉄ダイヤ改正の概要をまとめましょう。

・朝ラッシュ時の(いずみ野線通勤特急)+(海老名始発各駅停車)の組み合わせを(本線特急)と(いずみ野線各駅停車)の組み合わせに変更
※新宿直通は特急のまま変更なし

・日中時間帯のいずみ野線快速を廃止、新宿直通を各駅停車に統一、新宿直通各駅停車と横浜発着の本線特急を西谷で相互接続

・夕方ラッシュ時の各駅停車湘南台行きを快速海老名行きに変更。これにより、本線の速達列車は20分に2本から20分に3本に増発
※各駅停車は20分に3本から20分に2本に減便。ただし、朝ラッシュ時でも各駅停車は15分に2本の運転。

※ダイヤ改正の概要とその解析を以下の記事で詳細に記しています。ダイヤ改正の全容を知りたい場合は、以下のリンクをクリックしてください(別ウィンドウで開きます)。

2021年3月相鉄ダイヤ改正を解析する

2021年3月の相鉄ダイヤ改正。このダイヤ改正では2019年11月ダイヤ改正の大幅な手直しという一面が強いです。では、どのような手直しがなされたのでしょうか。詳細に解析してみました。

今回、私は日中時間帯の様子を観察しましたので、日中時間帯のダイヤについてもう少し詳しく記しましょう。

ダイヤ改正前は以下の構成で運転されていました。

・本線の速達列車:毎時6本(そのうち半数は特急)
・いずみ野線速達列車:毎時2本(本線の特急と続行運転)
・新宿直通:毎時2本(各駅停車と特急それぞれ毎時1本)
・各駅停車:毎時6本

新宿直通の扱いをどうするのかという模索が見えたダイヤでした。西谷で新宿-海老名と横浜-海老名が接続するダイヤであり、以下の組み合わせの交互でした。

・新宿発着特急と横浜発着快速(※)の接続
・新宿発着各駅停車と横浜発着特急の接続
※西谷-海老名は快速も各駅にとまります

一見、新宿発着には特急が適切なように見えます。都心直結(厳密には新宿は「都心」ではありませんが)に看板となる特急を充てたほうが良さそうなためです。しかし、よく考えてみましょう!相鉄線内の特急停車駅は二俣川、大和と海老名です。二俣川はともかく、新宿から大和や海老名に向かう手段に小田急もあります。相鉄経由だと新宿から海老名までは62~64分です。一方、小田急だと快速急行で46分であり、大いに劣勢を強いられます。

つまり、新宿直通に特急を充当することは、小田急と影響圏が重複し、得策ではありません。むしろ新宿直通の効果は特急通過駅のほうが大きいと想定できます。そのような意味で、新宿発着は各駅停車のほうがより良いです。とはいえ、需要を見極めるという意味で、新宿直通を特急と各駅停車に分散させたのでしょう。

2019年11月に直通を開始して1年以上が経過し、だいぶ定着してきたでしょう。そのタイミングでダイヤ改正を実施し、以下の構成に変わりました。

・本線の速達列車:毎時6本
・新宿直通:毎時2本(各駅停車に統一)
・いずみ野線各駅停車:毎時6本

利用の低いいずみ野線速達列車を廃止しました。従来、いずみ野線の速達列車は快速で運転されており、星川などの需要も担ってきました。その需要を満たすために本線の速達列車は基本的に快速に統一し、新宿発着と西谷で相互連絡するタイミング(30分間隔)のみ特急として運転という運転形態に変わりました。

最後に、横浜の発車時刻を示すことにします(表1)。

表1. 横浜下り発車時刻(日中)

横浜下り発車時刻(日中)

だいぶダイヤが単純化されたことがわかります。

実際に拠点で様子を観察する

では、実際に日中時間帯の様子を観察してみましょう!とはいえ、新規の行先が登場したわけではありませんので、象徴的な写真を撮影しておしまいというわけにはいきません。大和から西谷まで快速、西谷から横浜まで特急で移動し、気づいたことを観察しました。

大和での観察

写真2. 大和のホームに降りる階段

大和は地下駅です。その地下のホームに向かうところで路線図があります(写真2)。左側が横浜方面、右側が海老名方面と直感に合った向きの路線図です。反対側の階段は左右反転した路線図が掲げられており、乗客が迷わないような工夫があります。このような路線図は当たり前のように掲げられていますが、鉄道先進国日本ならではの設備のように思います。私の記憶では、パリ、ベルリン、ウィーンのようなヨーロッパの主要都市にはこのような案内図はありませんでした。

写真3. 大和で降りる人たち

ちょうど下り電車がやってきました(写真3)。私の記憶が正しければ、横浜からの快速です。けっこう多くの人が大和で降ります。小田急と連絡するという事情もありましょうが、人口23万人都市の中心部にあることもあり、ここを目的地とする人も多いことでしょう。ダイヤ改正前後でそれなりに運転間隔が変わるものの、横浜からここまで10分間隔で速達列車が運転されるという事実は変わりありません。

写真4. プロフェッショナル向けの掲示

人という生きものは何でも慣れるものです。その1つが仕事でしょう。多くの社会人は日々、専門の知識とスキルを有しながら社会を創造しています(私はどうでしょうか?)。その仕事に向かうタイミングは各自でコツをつかんでいるでしょう。ある意味通勤客は勝手知った「プロフェッショナル」な存在です。(趣味的な評価はともかく)ダイヤ改正前後で通勤のパターンが変わります。そのパターンの組み合わせを丁寧に記した掲示物があります(写真4)。

ここでは瀬谷、二俣川、西谷での追い抜きパターンが記されています。

・瀬谷:特急の待ち合わせをする急行があるため、順番を明確に示すために掲示
・二俣川:いずみ野線からの速達列車があるため、横浜連絡を明確に示すために掲示
・西谷:横浜方面と新宿方面の接続するため、横浜・新宿連絡を明確に示すために掲示

写真5. 快速横浜行きがやってきた

快速横浜行きがやってきました(写真5)。それなりに多くの人が待っています。私も乗りこむことにします。車内はそれなりに混雑していました。大和では何とか着席できましたが、各駅で少しずつ乗りこみ、西谷では立ちも出ました。相鉄は特急停車駅以外の利用もそれなりに多いという現実を実感いたしました。

写真6. 西谷を発車する快速横浜行き

西谷発車時点では座席前の吊革の1/4が埋まる状況に見えました(写真6)。ただし、先頭よりは混雑しがちであり、この写真は先頭よりの車両である点に注意が必要です。

西谷での観察

さて、新宿方面と横浜方面のジャンクションである西谷の様子を観察しましょう。

相鉄8000系(西谷)

写真7. 西谷を発車する快速横浜行き

先ほどの快速横浜行きです(写真7)。

相鉄8000系(西谷)

写真8. 各駅停車湘南台行き

各駅停車湘南台行きがやってきました(写真8)。相鉄の輸送体系の基本は横浜と結ぶことです。その輸送体系で考えると、西谷断面では各駅停車の役割は大きいものではありません。

写真9. 各駅停車湘南台行きの混雑状況

各駅停車湘南台行きはやはり空いています。座席の半分も埋まっていません(写真9)。

西谷の配線は合理的というか割り切っています。どう割り切っているのか、次の下り電車を通してみてみましょう。

相鉄10000系(西谷)

写真10. 快速海老名行きがやってきた

快速海老名行きがやってきました(写真10)。さっきの空いている各駅停車が10両編成で、混雑する快速が8両編成なのはどうかと思います。

この電車が通っている線路は横浜方面からの下り線です。その左隣が横浜方面への上り線です。そして、横浜方面をはさむように左右にトンネルが見えます。このトンネルが新宿方面(将来的には東急線目黒方面)につながる線路です。

横浜方面と新宿方面の渡り線はありません。つまり、新宿方面と横浜方面でホームが固定されています。これは乗客案内にとっては有利です。番線さえ明確に示せば乗り間違いは生じません。ただし、運転上はやや不利です。横浜方面どうしの緩急結合ができないためです。とはいえ、2つ隣の二俣川で同様の機能があるので、そこまで不利ではないのかもしれません。

写真11. 4番線の乗車目標

4番線(新宿方面)の乗車目標です(写真11)。直通線10両、直通線8両と直通線であることを明確に示しています。西谷から羽沢横浜国大までは「相鉄新横浜線」という名称ですが、現段階では新横浜には達していないので、路線名を示さずに「直通線」という表現が使われています。これはこれで賢いやりかたです。

写真12. 3番線の乗車目標

3番線(横浜方面)の乗車目標です(写真12)。横浜方面と明確に示されています。

写真13. 西谷ホームの発車標

同じホームから同じ方向に電車が発車する場合、1つのホームに1つの発車案内にするか、番線ごとに分けるかは長所と短所がありましょう。西谷の上りホームの場合は、別々のほうが望ましいです。その望ましい姿の発車標です(写真13)。横浜方面と新宿方面でのりばが明確に分かれているからです。

特急横浜行きと各駅停車新宿行きが同時刻に発車することがわかります。これはロスタイムを最小限にする良いダイヤです。

写真14. 各駅停車新宿行きがやってきた

各駅停車新宿行きがやってきました(写真14)。ここから「各駅停車」といっても、山手線内まで羽沢横浜国大、武蔵小杉、西大井と途中3駅しかとまらず、実質的には快速のようなものです。

写真15. 多くの乗客が降りる

各駅停車新宿行きから多くの乗客が降ります(写真15)。休日の相鉄利用客の多くは渋谷や新宿ではなく、横浜に行くのでしょう。

写真16. 特急横浜行きがやってきた

特急横浜行きがやってきました(写真16)。先ほどの各駅停車から乗りこむ人も多いことがわかります。

写真17. 特急に乗りこもうとする人々

特急に乗りこもうとする人々が多いです(写真17)。特急は西谷から横浜までノンストップです。先頭車両はある程度混んでいますが、これ以上混むことはありません。

写真18. 各駅停車新宿行きはガラガラ

各駅停車新宿行きはガラガラです(写真18)。このような様子を見ると、東急直通線の採算性も心配になってしまいます。東急直通線は新横浜を通るから、もう少し利用されるかな?

相鉄8000系(横浜)

写真19. 横浜に到着

横浜に到着しました。表示は快速海老名行きに変わっています(写真19)。降車ホーム側(電車の左側)に多くの人が歩いており、特急にそれなりに人が乗っていたことも読み取れます。この直後に向かった横浜駅直結の商業施設は大変な人通りでした。

相鉄のダイヤ改正を眺めてみて

2021年ダイヤ改正。新宿に直結したときのダイヤから眺めると、やや後ろ向きの内容と解釈することもできます。特に、日中時間帯の新宿直通の特急が消滅した点がこの印象を強めます。

とはいえ、現実には横浜への流動が非常に大きく、特急通過駅の利用も無視できないくらいにあるという現実もそこにはあります。どのような交通インフラを整備しようとも、利用客の動きはそのインフラ通りになるものではありません。相鉄のダイヤ改正を眺めてみてその思いを強くしたのでした。

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