写真1. 粟生駅
粟生駅での観察
粟生は加古川線の中間駅です。そう書くと特徴がない駅のように思えますが、同時に北条鉄道の始発駅、神戸電鉄粟生線の終着駅という側面も持っています。
そして、粟生駅周辺は拠点性がありません(というと地元の人は怒るかな?)。そこで重要になるのが、各線との接続です。北条鉄道ならばその傾向は顕著でしょう。
現実にはどうでしょう?例えば、平日の11時台を見ますと、北条鉄道→神戸電鉄の乗り換え時間こそ8分、神戸電鉄→北条鉄道の乗り換え時間は9分と長いですが、加古川線(加古川方面)→北条鉄道の乗り換え時間は2分(※)、北条鉄道→加古川線(加古川方面)の乗り換え時間は5分と適切なものとなっています。他の組み合わせでも7分以内に収まっています。
※加古川線西脇市方面行き(=加古川からやってくる電車)と北条鉄道は同一ホームのため、乗り換え時間2分でも問題ありません。
神戸電鉄との乗り換え時間はややありますが、いずれも1時間に1本なのに、10分未満で接続できるのはなぜなのでしょう?粟生駅を中心にダイヤを見てみましょう。
1) 11:00に新開地方面から神戸電鉄の電車が到着(列車Aとします)
2) 11:02に北条町から北条鉄道の列車が到着(列車Bとします)
3) 11:05に西脇市方面から加古川線の電車が到着(列車Cとします)
4) 11:07に加古川から加古川線の電車が到着(列車Dとします)
ここで各方面からの列車が勢ぞろいします。
5) 11:07に加古川への加古川線の電車が発車(列車Cが発車)
6) 11:09に西脇市方面への加古川線の電車が発車(列車Dが発車)
7) 11:09に北条町への北条鉄道の列車が発車(列車Bが発車)
8) 11:10に新開地への神戸電鉄の電車が発車(列車Aが発車)
列車が揃ってから3分後に、粟生から一切の列車がいなくなりました。
このように到着、発車のタイミングを同時にすることにより、どの方向からどの方向への組み合わせであっても、最小の接続時間で乗り換えが可能になっているのです。単に路線を維持するだけではなく、接続にも気を配りネットワークを維持しようという姿勢は高く賞賛されるべきと思います。
写真2. 加古川行きの表示
私が観察したのは休日の午前中でしたので、ダイヤパターンが少々ずれていました。そのため、上記のパターンと異なるものでした。接続の軸を形成する加古川線ホームにいましたが、その電光掲示板は非常に簡素なもので、行き先しか表示されていませんでした(写真2)。ホームさえ間違えなければ良い、という考えが見えます。
写真3. 北条鉄道の列車が到着
北条鉄道の列車が到着します(写真3)。このホームの目の前のホームが加古川線の加古川→西脇市の電車が発着するホームです。
写真4. 北条鉄道の列車からの乗客が加古川線ホームになだれ込む
北条鉄道の列車からの乗客が加古川線ホームになだれ込もうとしています(神戸電鉄方面への利用客かもしれません、写真4)。私の印象では、多くの利用客が階段を登っていたように思います。階段を登るということは、粟生駅そのものに用がある場合を除けば、神戸電鉄方面か加古川方面に乗り換えるということです。
加古川線に乗る
写真5. 加古川線の電車が到着
写真6. 美しい103系
そして、加古川方面への電車がやってきました(写真5)。私もこの電車に乗車しました。私が当たったのは、103系2両編成です(写真6)。常磐線に似た塗色、103系らしい走行音(でもオールM車なので加速ははやいよ)、という環境の中、常磐線沿線で育った私には懐かしさを感じさせるものでした(これで私の育ちが取手以南であることがバレましたね)。
加古川線はけっこう混雑していました。粟生発車直後は着席は可能でしたが、厄神を出る頃には立ちも発生するほどの混雑になっていました。粟生断面では60分間隔だったものが厄神以南では30分間隔に増加するのも納得できます。土曜だから混雑しているのだろうと考えましたが、粟生断面では78分のダイヤホールがあるのですね。
写真7. 加古川で出会った125系
写真8. 125系の中間ドア(ドア増設準備工事)
加古川線には125系も存在します。1両編成で動くことが可能な電車です(写真7)。私が乗車した電車は2両編成でしたが、このような1両編成だったらと思うと、ぞっとしてしまいます。125系は2ドアですが、中間にドア増設準備工事がなされています。おかげで半端な窓が存在します(写真8)。125系は元々小浜線に活用するための車両でした(その増備車が加古川線に入っています)。小浜線は座席が減少して社会現象にもなりました。どうせ2ドアで運用するのですから、ちゃんとした2ドア車として製造すれば何席か増加したのに、と思います。
写真9. 加古川線の中間改札
加古川線には中間改札も存在します(写真9)。加古川線は無人駅が多いため、中間改札で精算してもらって、神戸・大阪地区の駅窓口の負担を軽減しようという意図なのでしょう。その意図はよくわかりますが、精算のために並んで接続列車を逃すのでは目的地に遅く着くことになり、鉄道利用時の所要時間が増加してしまいます。それでは「また加古川での精算か…。精算で時間が取られるから、次回からバスや自動車に切り替えよう」と思わせてしまいます。加古川線の特性上、中間改札の存在意義は否定しませんが、各駅に簡単でも良いので券売機を完備するべきでしょう。