総武線・横須賀線等にE235系導入

総武線快速・横須賀線等(※)にE235系が導入されるとJR東日本から発表がありました。単に速報ではなく、従来の車両と比較することでどのような車両なのか考察してみることにします。

※直通先の成田線などを含めるために「等」という表現をつかいました。決して、他の路線に投入するという意味ではありません。

E235系総武線

図1. E235系のイメージ(JR東日本のプレスリリースから引用)



E235系投入の概要まとめ
両数:745両(基本編成51編成、付属編成46編成)
 ※E217系と同じ
・投入開始:2020年度より順次落成
・投入線区:総武線、横須賀線、成田線、外房線、内房線、鹿島線
 ※久里浜、成東、成田空港、鹿島神宮、上総一ノ宮、君津が活躍エリア
 ※2018年現在、外房線大原への直通はありません

E235系の概要

E235系は現在山手線で運用されている車両です。液晶モニターが多く使われて、広告で乗客を飽きさせないようにしています。

最新の通勤型E235系

写真1. 山手線で運用されるE235系(池袋で撮影)

E235系の前面

写真2. まだE235系が珍しいころ(2016年に駒込-田端で撮影)

詳細なスペックは公式サイトをご覧いただくとして、私が気になったことを記します。

故障に強い車両

故障に強い車両を目指して、以下の特徴を有しています。

・主要機器の二重化(E233系からの流れです、これはE217系との比較でしょう)
・停電などの異常時を想定し、駅間に停車した際に走行できる非常走行用電源装置を搭載
※2018年に新潟県内で生じた列車立ち往生についても意識しているかもしれません。

また、山手線用と同じく、「車両搭載機器や線路及び電力設備の状態監視を行うことにより、故障の予兆を把握」するというシステムが採用されています。

これは車両トラブルなどによる輸送障害そのものを減らそうとする施策と受け取ることができます。この施策については全面的に賛同できます。ただし、輸送障害が発生しても影響が少ないような運行整理も考えるべきでしょう(これは車両とは直接関係ないので本項では省略します)。

情報提供装置の進化

ここが乗客に目に見える最大の変化でしょう。1994年ごろと比較して、情報化社会になっているのでこれは当然でしょう。E217系が登場した1994年はようやく携帯電話が普及し始めたことです(当然電話機能が主体でした)。具体的には、1994年は携帯電話の加入人数が500万人程度、加入者は人口の5%未満でした。一方、現代はほとんどの人が携帯電話を所有し、その多くがインターネットに接続する端末です。このような社会情勢の変化に社会インフラの鉄道も影響を受けます。

1997年から2004年の携帯電話

参考写真. 1997年から2004年の携帯電話の機種例(wikipedia先生より)

3色LEDから液晶モニターへ

情報提供装置が進化します。従来のE217系では単なる電光掲示板(たったの6文字しか表示されない!)でしたが、現代の標準といえる液晶モニターが搭載されます。

E235系の車内の液晶モニター

写真3. 現在のE235系の液晶モニター

荷棚の上には、現在の山手線と同様の広告モニターが設置されます。これは広告効果(紙の印刷よりも動画のほうが目にとまりやすい)もそうですが、紙の広告の貼りかえを合理化する目的もありそうです。なお、中吊り広告も残るでしょう。これは、動画を作成する広告主ばかりではないということを示しているといえそうです(Power Pointで資料を作るのはwordよりも骨が折れますからね)。

ただし、(私の感覚ですが)動画広告の再生時間は長くてせいぜい2分程度です。新川崎-横浜などの長い駅間では、1駅間で動画広告が一巡してしまい、飽きてしまいそうです。だからといって、動画広告が一巡するのに5分も10分もかけていたら、短い駅間(東京-新日本橋など)では広告を見られないという問題もありそうです。なお、動画広告については、落ち着いて乗れないという意見もあります。

無料wifiの設置

さきほど述べた通り、携帯電話の普及率はほぼ100%に近いこと、その多くがインターネットに接続できる端末を持っていることは明らかです。その多くが無料wifiを望むことでしょう。その流れを踏まえてグリーン車に無料wifiが設置されます。グリーン車は4号車と5号車です。グリーン車に近い3号車と6号車でも利用できそうですが、そこはパスワードで制限するのか、まあ良いやで普通車の一部でも無料wifiが使えてしまうのか、が気になります。

それに伴って、座席横にコンセントが設置されます。これは端末の充電を気にされる人には重宝する設備です。私は端末よりも車窓を見たいのですが、日常利用の人にしてみたらそうもいかないでしょう。まあ、窓があるので従来通り車窓を楽しめますから、その点は心配いらないでしょう。

普通車のオールロングシート化

従来のE217系の普通車にはボックスシートがありましたが、今回のE235系は普通車がオールロングシートになります。9号車から11号車のボックスシートがなくなるということです。これは、横須賀線の混雑の悪化(武蔵小杉開業に伴う南武線利用者の流入)がこの大きな要因でしょう。また、相鉄の都心直結のルートということもあり、横須賀線じたいの増発がままならないという理由もありそうです。この他、実質的な利用距離が東京-逗子、千葉ということで乗車時間が短いこともあるでしょう。

「長距離利用は快適なグリーン車で」というのがJRの本音でしょうし、グリーン車の付加価値の向上(上記)、2004年から続く利用しやすい料金体系(定期券とグリーン券で乗車可能、休日料金の引き下げ)などでグリーン車のコストパフォーマンスは高いといえます。ただし、付属編成単体で運行される区間もあり、そこが引き続きオールロングシートであることは関心しません。

性能の向上

E217系では6M9Tなのに対し、E235系では8M7Tとモーター車の割合が増加します。E235系では6M5Tで加速性能3.0km/h/sが実現していることから、同等の加速性能が期待できます。グリーン車の関係でここまで加速性能は確保できないかもしれませんが、2.7km/h/sは確保できるでしょう。いずれにせよ、現在のE217系の加速性能2.0km/h/sよりも向上できます。この向上ぶんを活用して、スピードアップを実現して欲しいものです。

加速性能の向上に伴って、スピードアップはもちろん可能ですし、駅ホームから抜ける時間も短縮できます。これによって、運転間隔を詰めることが可能です。ロングシート化による混雑緩和という小手先の手法だけでなく、このような特性を生かした運転間隔の短縮に伴う増発も実施するべきでしょう。


シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする