長崎県と熊本県は海をはさんで隣り合っています。この両県を直接結ぶのがフェリーです。あまり知られていないフェリーの概要、そしてその実態をレポートします。
フェリーの概要
島原から熊本までのフェリーは、雲仙普賢岳が見下ろす歴史豊かな島原市(長崎県)と、熊本城や水前寺公園といった観光名所として名高い熊本市(熊本県)を約30~60分で結びます。早い業者と普通の速度の業者があるのです。簡単に時刻表にまとめました(表1-2)。
表1. 熊本から島原までの時刻表
表2. 島原から熊本までの時刻表
注. 運行会社が空欄の場合、丸商フェリー運行ということを示す。網掛けの場合は、熊本フェリー運行
注. 丸商フェリーは減便ダイヤになる時期あり、詳細は公式サイトで!
丸商フェリーでは、熊本港から熊本駅まで無料シャトルバスが運行されています。しかし、シャトルバスに乗るためには予約が必要です。熊本港から熊本駅までは距離があり、タクシーを簡単につかまえられる場所ではないので、忘れずに予約したほうがよいでしょう。
フェリーの実態
能書きはこの程度にして、実際の様子を見てみましょう。
島原港へのアクセス
島原港の最寄駅は島原鉄道の島原外港です。実際の道順を以下に示します(図1)。
図1. 島原外港と島原港の徒歩経路(いつもどおりgoogleマップからの引用)
写真1. 島原外港の駅構内
島原外港は小さな駅ですので、駅の出口に迷う心配は全くありません。駅を出たら右に曲がり、そのまま海を目指せば終了です。地図にはさまざまな建物があるように見えますが、1つの小さな建物の中に複数の船舶業者の事務所があるのが実態です。小さなターミナルビルに向かえば問題ありません。
写真2. 駅を出るところ
駅のホームを歩くと、道路が見えます(写真2)。この道路に出たら右に曲がります。
写真3. 大通りを海に向かって歩く
その道路を海に向かって歩きます(写真3)。ん?
写真4. ミッキーが登場!
何の変哲もない道路ですが、ミッキーがお出迎えです。九州の人はわざわざ千葉県に出向かなくとも、ミッキーに出会えることでしょう。
優雅な60分の船旅
小さなターミナルビルは1Fにショップ、食堂、船のチケット売り場が集結しています。2Fに待合室があります。乗り遅れると次のフェリーまで1時間強またなければならないため、早めに2Fへの待合室へ向かいます。また、自動車利用者も1Fのショップにいたようです。事実、館内放送で「自動車でご利用の皆さまは自動車にお戻りください」とアナウンスされていました。自動車に戻って自動車ごと船に入るのです。
写真5. 人が集まりはじめている待合室
風は強いのですが、通路内はクーラーがきいていないため蒸し暑くベタベタします。しばらく歩いていくとフェリーが見えてきました。
写真6. クーラーがきいていない通路
写真7. フェリーが見えてきた
席の指定はないため、自由な場所に座ります。乗る時間は1時間なので、2等客席でも十分な広さといえます。前の方にテレビがあり、甲子園が放映されていました(ただし内容は見ていません)。フェリーの中で食事をしようと売店のラインナップを確認しましたが、スナック菓子やアイスしかありません。フェリー内で食事をしたい場合は、お弁当などをあらかじめ買っておく必要があるでしょう。
ペットを持ち込んでいる人はデッキに出なければいけないため、暑いなかデッキにでていました。
写真8. 2等客室のようす
写真9. ペットはもちこみ禁止
熊本港から熊本駅のシャトルバスは予約をしなければ乗れませんが、シャトルバスの席に余裕がある場合、フェリー内の売店で整理券を配布している場合があります。予約をし忘れた場合やチケット売り場で席がないと言われた場合でも、チャンスはあるので要チェックです。私は売店近くに陣取っていましたので、すぐにチケットを入手できました。
写真10. シャトルバスの整理券
さて、美しい景色をご堪能いただきましょう。
写真11. 雲仙岳が見える
写真12. 美しい海
写真13. 美しい海
写真14. 美しい海
このように、60分ほどして、熊本に着いたのです。
写真15. 小さな熊本港
このフェリーは自動車を積み込める船です。自動車は当然ながら前進が得意な乗り物です。そのため、フェリーに乗るときと降りるときで自動車の進行方向は変えたくないはずです。では、このようなニーズに応えるためにどのような運用をしているのでしょうか?
答えは、自動車の入口と出口を変えているということです。つまり、島原港で自動車を船の後ろから積み込んだら、熊本港では前から自動車を降ろすということです。実際に見てみましょう。
写真16. 白い柱があるほうから自動車を迎え入れる
島原港で自動車を積み込む様子です。前後はわかりにくいですが、白い柱がわかると思います(写真16)。
写真17. 赤い柱があるほうから自動車を送り出す
こちらは熊本港で自動車を送り出す様子です。前後はわかりにくいですが、赤い柱がわかると思います(写真17)。写真16と写真17を比較すると、逆サイドであることがわかります。このように、自動車運転者にストレスなくフェリーに乗ってもらう工夫を施しているのです。今回は九商フェリーの場面でしたが、熊本フェリーしかり、他の航路しかりなのでしょう。カーフェリーにめったに乗らない私には大いなる勉強になりました。イメージとしては入口と出口が逆のエレベータですね。
熊本港から熊本駅までの移動
シャトルバスの席数が限定されていることに疑問をもっていました。実際に見たら納得です。
写真18. ゆるキャラが美しい車体を汚す
写真19. どう見ても立ち乗りは無理ですね
シャトルバスが姿をあらわしました。どう見ても温泉旅館の送迎バスですね。これでは立ち乗りはできませんね。美しい銀色の車体のはずですが、赤・黒・白を主体とした落書きゆるキャラがその車体を汚していますね。
写真20. 熊本港を出発
熊本港を出発します(写真20)。なお、さっきまでの整理券は回収されました。きっと次の乗客に整理券を使いまわすのでしょう。
写真21. 美しい海が見える
写真22. 素晴らしい熊本市内
写真23. 素晴らしい熊本市内
美しい海と別れを告げ、熊本市内をぎゅうぎゅうの車内で進みます(写真21-23)。
写真24. 目的地、熊本駅が見えた
ようやく熊本駅に到着です。シャトルバスは熊本駅西側(新幹線改札口)に発着します。
さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?
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