京阪本線の混雑状況(京橋-野江、平日昼間時間帯、現場調査結果)

記事上部注釈
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2021年に大減便がなされた京阪本線。速達列車の本数こそ確保されているものの、普通の15分間隔運転など大都市圏の路線にしては衝撃的なものです。では、実際にはどのような混雑なのでしょうか。一般的な最混雑区間で実態を確認しました。

写真1. 準急には古豪も充当される

京阪本線の平日昼間(日中)の混雑状況のまとめ

平日昼間時間帯の混雑状況をまとめると以下の通りです。

  • 特急、快速急行、準急はいずれも座席が埋まり、立ちが若干出るレベルの混雑である
  • 普通座席の半分程度が埋まる程度の混雑である
  • 号車ごとの混雑状況にそこまで差はないが、淀屋橋よりの車両がやや混んでいる

詳細は以下の章で記します。

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊サイトではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊サイトでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回は都心部側の拠点駅である京橋と次の野江の間の混雑状況を確認しました。

京阪本線の平日昼間(日中)時間帯の混雑状況の生データ

写真5. 特急はあこがれの存在!

まず、生データを示します(表2)。

表2. 京阪本線の平日昼間時間帯の混雑状況の生データ

普通が空いているように見えます。次の章で混雑状況を詳細に解析します。

京阪本線の平日昼間の混雑状況の解析

写真6. ただでさえ空いている普通から乗客が降りる!

生データだけでは不親切でしょうから、親切で有名な私は混雑状況を分析いたします(やさしー)。

生データでは混雑ポイント(=観測しやすい)を導入していますが、解析では混雑率に変換し、それを計算することにしています。これは混雑ポイントが順序尺度(160ポイントが80ポイントの2倍にならない)に対し、混雑率が比例尺度(160%は80%の2倍)であり、統計処理をしやすいためです。

復習:京阪本線のダイヤパターン

混雑はダイヤに依存します(逆にいうとダイヤも混雑を考慮して作成されます)。そこで、昼間の京阪本線のダイヤパターンを簡単に紹介します。

図1. 京阪本線のダイヤパターン(出町柳方面行き)

図2. 京阪本線のダイヤパターン(淀屋橋方面行き)

京阪本線は30分サイクルのパターンダイヤを採用し、1サイクル当たり以下の構成です。

  • 特急:淀屋橋-出町柳2本(約15分間隔)
  • 快速急行:淀屋橋-出町柳1本(30分間隔)
  • 準急:淀屋橋-出町柳2本(約15分間隔)
  • 普通:中之島-枚方市1本、中之島-萱島1本(中之島-萱島は約15分間隔)

基本的に15分に速達列車が1本、各駅にとまる電車が1本という構成です(萱島-出町柳は準急が各駅に停車)。ただし、これだけでは速達列車が不足します。そのため、30分間隔で快速急行が挿入されています。したがって、特急特急の間隔は完全な15分間隔ではなく、13分/17分の交互となっています。17分開く箇所に快速急行が挿入されます。

大阪側は特急普通だけでは足りませんので、その中間に当たる準急が設定されます。ここで興味深いのは、大阪側(淀屋橋-枚方市)の快速急行急行に準じており、快速急行準急の停車駅は3駅しか変わりません。そのため、大阪側では快速急行準急の補佐も担い、13分/17分の17分間隔の間に挿入されます。

種別ごとの混雑状況

まず、普通が空いていることに気づきます。では、種別ごとの混雑状況をまとめます(表3、表4、図3)。

表3. 種別ごとの混雑率

 

図3. 種別ごとの混雑率のグラフ

表4. 種別ごとの混雑ポイント

普通が空いていることを再認識させられます。これはダイヤを見ると納得できます。普通は守口市で準急と接続しており、守口市以遠の乗客は基本的に準急を使います。そして、野江(京橋の隣)から守口市まで京阪本線の西側200~300m付近に地下鉄谷町線が通っています。梅田など大阪市内各地へは地下鉄谷町線のほうが便利ですから、京橋-守口市の各駅で京阪本線を使う人も限られます

一方、守口市-寝屋川市の各駅は乗り降りが多く、それらの乗客が(守口市で連絡する)準急に流れ込むので、準急が混んでいます。また、快速急行は香里園で普通に接続することもあり、快速急行もそれなりに混んでいます。

これらの人口過密地帯をスルーする特急は意外と空いています。ただし、この調査は3月の平日に実施したものであり、京都観光が盛んな時期であったり土曜・休日であればさらに混むことが想定されます。

号車ごとの混雑状況

写真7. 1号車(出町柳よりの車両)は空いている

では、号車ごとの混雑状況はどうでしょうか。

表5. 号車ごとの混雑状況

 

図4. 号車ごとの混雑状況

8号車がやや混んでいます。逆に、1号車はやや空いています。しかし、それ以上に号車ごとの混雑の差は少ないです。大阪の都心側の乗りかえに便利な位置をまとめましょう!

  • 淀屋橋:8号車よりの車両が便利(御堂筋線は8号車よりもう少し西側にある)
  • 北浜:改札にしろ、堺筋線にしろ、中央よりの車両が便利
  • 天満橋:谷町線は1号車よりの車両が便利、改札には中央の車両が便利
  • 京橋:環状線は中央よりの車両が便利

このように、乗りかえる路線によって便利な車両が異なるので、結果として混雑が分散するのです。とはいえ、大阪のカリスマである地下鉄御堂筋線との乗りかえが便利な車両が選ばれます。その兼ね合いで8号車よりが混むのでしょう。

混雑状況からダイヤを考える

写真8. キモとなる快速急行!

普通の15分間隔化という衝撃なダイヤを見た際には、利便性の大幅な低下を目の当たりにし、そのダイヤを疑ったものでした。しかし、現実の混雑を眺めると、日中時間帯の普通15分間隔は妥当と言わざるを得ません。守口市での準急との接続を解除することも手ですが、準急の混雑もそれほどではなく、守口市-萱島の速達性を捨てるほどの意味はありません。

一方、快速急行や準急の混雑には驚きました。このときは平日の昼間でしたから、この程度の混雑で済んだのかもしれません。今後は訪日外国人の数が増えますから、特急がさらに混むことが予想されます。一方、準急の混雑も甘く見てはいけません。これらに対応するのは快速急行の15分間隔化です。場合によっては、区間急行を30分間隔で設定し、守口市-萱島のフォローを強化するのも良いかもしれません。

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