海外旅行で意外と重要なのは、クレジットカードです。欧州鉄道旅行(ヨーロッパ鉄道旅行)で私はエポスカード(EPOSカード)を選択しましたが、その使い勝手を実際に紹介します。
写真1. ゴールデンパスラインの前面展望席(列車内で精算)でも使用できた(スイスのモントルーで撮影)
エポスカードの使用感まとめ
細かな点はともかく、エポスカードの使用感をまとめると以下の通りです。
- 年会費無料でVISAブランドを使うことができ、コストパフォーマンスが良い
- 多くあるクレジットカードの中でも海外手数料が安く、損しないようになっている(もちろん現金よりも!)
- インターネットで予約する際の利便性も良く、使う際の精神衛生上も良好である
詳細は以下に詳しく記します。
【エポスカード】クレジットカードの選定原理と基本ブランド
写真2. 街歩きでも重要な役割を果たす(ドイツのクヴェードリンブルクで撮影)
多くの会社から多くの種類のクレジットカードが発行されており、その選定は非常に困難です。しかし、ある視点に立つと、使用するクレジットカードを選定する基準は難しくありません。
- 利用する際の手数料
- 通用する国際ブランド
これら2つに限定する理由を紹介します。
クレジットカードを利用するメリットは多くあると思いますが、個人的には「クレジットカードを所持するコストが0であること」「どこでも使えること」が重要と認識しています。
クレジットカードを所持していると多くの特典を受けられます。一方、特典を受けるためには年会費などの支払いが必要な場合もあります。確か特典のメリットと年会費というデメリットを天秤にかけ、最もメリットの多い選択肢を取る手もありましょう。しかし、特典のメリットはその都度変わりますし、生活スタイルの変化(引っ越し、転職、結婚など)で当初の見積もりのメリットがなくなる可能性もあります。一方、そのカードを持ち続ける限り、年会費というデメリットはついて回ります。そのため、特典のメリットを最大限引き出すために年会費有料のクレジットカードを持つことは、いつか損をするリスクが隠れています。
しかし、年会費0円のクレジットカードであれば、年会費を払うリスクがありませんので、損することはありません。「損することはない」と書きましたが、決して「得することもない」とは書いていません。どこのクレジットカードでも同様ですが、支払うことで何かしらのポイントが還元されます。つまり、年会費0円のクレジットカードであっても、現金支払いよりも得です。
では、海外旅行におけるクレジットカード選定の重要度は何でしょうか?それは共通ブランドの効力です。日本国内で流通しているクレジットカードはおおむね以下の3つのブランドのどれかです。
- JCB
- VISA
- Mastercard
JCBであれば、クレジットカードの発行元がどこであってもJCBマークのある店舗等で使えます。そのため、利用者側が気にするのはこの3者のいずれかであるかということです。JCBは日本ブランドであり、海外に弱い側面があります。したがって、海外旅行を考慮すると、VISAかMastercardを選択することになります(確かに海外の国鉄のサイトでもJCBは使えないところが多いです)。
ここまでまとめると、VISAカードかMastercardの年会費無料のクレジットカードが最強ということになります。
為替の影響:現金とクレジットカード
海外旅行では為替のことを考える必要があります。為替について簡単に紹介します。
為替におけるクレジットカードのメリット
海外旅行では現地の通貨で支払うことになります。そこで関心を払うべき項目は為替相場です。ここでいう為替は、1ユーロ=150円などの変換単位のこととご認識ください。現代社会では変動相場性が取られており、都度為替相場は変動します。この動きは非常に多くの要因が関与しているのですが、本記事では深く立ち入りません。
ニュースで為替相場が報道されますが、(現金を別の通貨に変換するような)現実の取引では為替相場よりもレートが悪いことが多いです。レートが悪い?どのようなことでしょうか。本記事を執筆している時点での為替相場は以下の通りです(表1)。この数値そのものは変動しますが、ここでは差を見てください。
表1. 各所での為替レート
為替 [円/ユーロ] | |
為替相場(楽天の発表) | 147.39 |
大黒屋のレート(円→ユーロ) | 152.39 |
大黒屋のレート(ユーロ→円) | 142.39 |
一般に報道される為替相場と実際の変換レートが異なることがわかります。非常に乱暴にいうと、現金を変換するには手数料がかかるという理解です。為替相場そのものは多くの人の意図や魂胆で、個人でどうにかできるものではありませんが、個人の努力で良いレートで変換することができそうなことが分かります。
為替相場そのものは銀行と銀行の間での取引であり、その取引に近い形態だと「良いレート」で交換できそうという直観が得られます。クレジットカード会社は信販であり、ある意味金融取引なので、クレジットカード利用であれば、ある程度公正なレートで変換してくれると理解しています。
また、現金の場合は、再度の変換が必要なことがあります。例えば、表1のレートの際に大黒屋で30478円をユーロに変換したとしましょう。すると、30478円÷152.39円/ユーロ=200ユーロです。しかし、海外で150ユーロしか使わなかった場合は50ユーロ余ります。この50ユーロを再度大黒屋で円に変換すると50ユーロ×142.39円/ユーロ=7119.5円(おそらく7119円)戻ってきます。円→ユーロ→円で10円/ユーロ損していますので、500円損していることになります。
これは現金そのものを両替している以上、大黒屋に限らず生じます。一方、カードの場合は「使い切り」ですので、このような損は生じません。このようにクレジットカードであれば、2度両替するリスクがなく、余計なコストがかかりません。同様に、海外の見知らぬ街で日本円を両替する場所を探す必要もなく、海外で余計なストレスを抱える必要もありません。
このように、両替のことを考えれば、海外旅行では現金でなくクレジットカードを選定するのが得になります。
現金を円からユーロ(ドル)に両替するのは国内のほうが良いとか、チケットショップのほうが良い(空港での両替はチケットショップと同等のレートかつ1ドル2.5円程度の手数料が発生)、などのテクニックがありますが、本記事の本題とは異なるので深く立ち入らないことにします。
クレジットカードによる手数料の違い
クレジットカードによっても手数料が異なります。おおよそ1.6%~2.5%の手数料です。147.39円/ユーロとして、200ユーロの買い物をした場合は以下の計算です。
200ユーロ×147.39円/ユーロ×102.5%/100%=30214.95円(=30215円)
非常にざっくりとした説明ですが、手数料ぶんだけレートが悪くなるということです。147.39円/ユーロであれば、151.07円/ユーロとして決済されるという認識です。とはいえ、現金を両替するよりも手数料が安く、クレジットカードのメリットは減りません。ここで認識するべき内容はクレジットカードの種類によってこの手数料が異なる点です。
エポスカードはこの海外手数料が安く(外部サイトのクレジットカードの海外手数料とは?計算方法・注意点を解説!)、他のクレジットカードよりも良いレートで買い物が可能です。他にも海外手数料が安いカードとしてイオンカードや楽天カードがあります。これらも年会費無料でその点も良心的です。
エポスカードの使い勝手
写真3. ナイトジェットの予約にも大活躍!
ここまで年会費無料でリーズナブルに使える国際ブランドであることがエポスカードの強みであることを紹介しました。では、実際の使い勝手はどうでしょうか。
インターネットで予約する際の使い勝手
エポスカードを使ってみて感じたのは、インターネットでの使い勝手の良さです。ヨーロッパの鉄道は日本でインターネットで予約することが可能です。例えば、ユーレイルグローバルパスは日本で予約できますし、中央ヨーロッパで広く運転されているナイトジェットも同様です。
もちろん、ホテルもインターネットで予約できます(私はgoogleマップで探し、価格の安い宿泊予約サイトから予約しています)。
インターネットで予約できる場面について例を挙げればきりがありません。エポスカードについては、以下の手順で予約が可能です。
- 海外で使用するという事前の申請や手配などをせずに
- 実際の予約サイトでの予約で、該当するサービス(列車やホテルなど)を申し込む
- カード番号などの情報を登録する(これはどのクレジットカードでも同様と思います)
- 登録している電話番号に認証パスワードが届く(いわゆるショートメールです)
- 認証パスワードを確認し、買い物を続行する
ここでのポイントは、事前に申請や手配をする必要がないことです。例えば、楽天カードであれば3Dセキュアを事前にやらねばなりません。いざ予約する際にこれに気づき、利用するために3Dセキュアの手続きをすると、その間に価格が上がったり、予約したいものが埋まるかもしれません。これは精神衛生上問題です。エポスカードはその場でワンタイムパスワードが届くので、精神衛生上も非常に良好です。
このほかに、EPOSアプリ上から4けたの暗証番号を確認することができます(1回タップすると1つの数字が2秒だけ表示されるので、見られても安心です)。また、この際には登録した電話番号にショートメールが届いて確認する方式ですので、セキュリティ対策もしっかりしています。
セキュリティ対策がなされているものの、使い勝手が犠牲になっていないのがエポスカードの良さと感じました。
実際の現地での使い勝手
今回、ドイツ、スイス、オーストリアでエポスカードを使いました。では、実際にはどうでしょうか。使うと、即座にEPOSアプリから送信されることもあり、使用状況を即座に把握できるのが利点です。また、VISAカードですから、(クレジットカードが使える多くの店舗で)使えないこともありませんでした。
また、非接触型決済機能もあるためか、突然ブロックされることもなく、その点も好感をもてました(JCBにはブロックが多い印象です)。さらに、ホテルの都市税(City Tax)にも使用できるのが大きいです。
現地では小銭を使う必要がなく、その手間賃もほぼなし(上の章で述べた通りです)というのが最も大きなメリットと感じました。
【エポスカード】最後に:エポスカードを海外旅行で使ってみて
写真4. 宮殿の入場券にも活躍!
手元から現金が減らないため、使いすぎてしまう傾向にあるクレジットカード。その面は否めませんが、円以外の通貨で同額の買い物をするのであれば、両替手数料の問題や二度の両替の問題(円→海外通貨→円)が発生しないクレジットカードのほうが金銭面のメリットがあります。そして、そのメリットが最も引き出せるカードの1つがEPOSカードなのです。
【エポスカード】