平日夕方ラッシュ時の地下鉄副都心線の混雑状況(池袋→要町、現場調査結果)

記事上部注釈
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比較的新しい地下鉄である副都心線。この路線は新しい路線ですが、渋谷、新宿、池袋というメジャーな拠点を結ぶこともあり、混雑することが予想されます。実際のところはどうでしょうか。現場で確認しました。

東武50070系(池袋、東急車の運用)

写真1. 東急車の運用に入る東武車

夕方ラッシュ時の副都心線の混雑状況まとめ

以下、本文を読むのが面倒な人のために概要をまとめます。

・夕方ラッシュのピークは池袋断面で18:40過ぎである
・東新宿で通勤急行を待つ各駅停車は明らかに前後の電車よりも空いている
・それ以外の電車で考えると、各駅停車でも通勤急行でもそこまで混雑状況に差はない
・先頭車両が混雑しがちである

詳しい内容は、以下に書いています。

混雑調査の概要

今回の混雑調査の方法を紹介しましょう。この記事では、定点観測を行い、一定時間の全列車を対象にして各車両の混雑を目視で確認しています。これはプロも行っている調査方法です。

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊サイトではきちんと方法を示します(さすがー)。

弊サイトでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

今回は副都心の拠点を離れて最初の区間である、池袋-要町で調査しました。ただし、実際は池袋に向かう手前の各駅であっても住宅街が広がりますので、この区間は最混雑区間に該当しません(定期利用が最も多いのは新宿三丁目-東新宿です)。

混雑状況の分析

混雑状況の生データから細かく分析することにします。

生データを見る

まずは、生データをさらしましょう(表2)。

表2. 平日夕方ラッシュ時の副都心線の混雑状況(池袋→要町)

平日夕方ラッシュ時の副都心線の混雑状況(池袋→要町)

夕方ラッシュ時としてはそこまで激しい混雑ではありませんが、決して空いている部類にも入りません。混んだ電車と空いた電車があることに気づかされます。

データの解析

生データだけ示しておしまい、というのはあまりにも不親切です。そこで、生データを解析してみましょう。

どの時間帯が一番混んでいるか

「夕方ラッシュ時」といっても、細かな時間帯によってその状況は異なります。では、どの時間帯が空いていて、どの時間帯が混んでいるのでしょうか。後で述べるように、種別によっても混雑が異なりますから、通勤急行~次の通勤急行で区切って、その混雑率を分析することにしましょう。

表3. 平日夕方ラッシュ時の副都心線の混雑状況(時間帯別まとめ)

平日夕方ラッシュ時の副都心線の混雑状況(時間帯別まとめ)

今回の調査では19:23発まで調査していますが、最後の2本は除外しています。これは、最後の2本だけ通勤急行~通勤急行のサイクルに入っていないためです。

この結果を眺めると、18:35~18:51の時間帯が最も混雑が激しいです。この中間の時間がピークとすると、最ピークは池袋基準で18:40過ぎと推定することができます。現に、18:44発の各駅停車志木行きは前の電車が3分遅れていて、理論上は比較的空いているはず(間隔が狭まれば駅のホームに溜まる人が少なくて、結果として乗りこまない)なのに、実際は混んでいることからも明らかです。

逆に、池袋基準で19:00を過ぎると途端に空いてくることもわかります。個人的な体験談となってしまいますが、ターミナル駅を19:00過ぎに出る電車は空いている傾向にありますので、この結果は納得できます。まっすぐ帰る人の流れが終わりかけ、寄り道をする人の帰宅時間には早いためです。

種別による混雑の違い

次に、種別による混雑の違いを見てみましょう(表4)。通勤急行の直後にやってくる電車が空いていましたので、それを分離して考えることにして、あとは種別ごとに分けることにしましょう。

表4. 平日夕方ラッシュ時の副都心線の混雑状況(種別まとめ)

平日夕方ラッシュ時の副都心線の混雑状況(種別まとめ)

やはり予想通り、通勤急行の直後の各駅停車(=東新宿で待ち合わせする電車)は空いていることがわかりました。逆に、それ以外の電車は混雑状況に差はありません。通勤急行のほうが混んでいると予想していましたが、実際にはそのようなことはありません。やはり実際の状況を確認することは重要なのでしょう。

号車ごとの混雑状況

では、空いている車両や混んでいる車両はあるのでしょうか。車両ごとに混雑状況をまとめます(表5)。

表5. 平日夕方ラッシュ時の副都心線の混雑状況(池袋→要町、車両ごと)

平日夕方ラッシュ時の副都心線の混雑状況(池袋→要町、車両ごと)

1号車、3号車(の位置)、8号車(の位置)が混む傾向にあります。これは副都心線に乗る駅の構造を考えれば納得できます。多くの乗客が乗る駅は新宿三丁目や池袋でしょう。新宿三丁目は1号車よりが便利ですし、池袋は8号車(8両編成は6号車)が便利です。3号車の位置が混んでいるのは、新宿三丁目ではこの位置が先頭であるため、(ホームを40m歩かされた)人が集中しがちな場所であるためです。これらをまとめると、先頭車両が混んでいるので可能であれば避ければ、ある程度混雑を避けることができます。

混雑状況からダイヤを考える

混雑が均等ではないので、まずは混雑を均等にしたいところです。また、各駅停車のみ停車する駅と、通勤急行停車駅の利用には開きがありますので、速達性が重要です。

速達性重視ということを考えると、通勤急行の増発が真っ先に思い浮かびます。例えば、15分に4本の運転として、半数を通勤急行にするということです。そうすれば、各駅停車は必ず東新宿で通勤急行待ちをすることになります。このダイヤ案は、新宿三丁目折り返しの各駅停車を和光市まで(あるいは石神井公園まで)延長するため、増発されています。このダイヤ案と現在のダイヤを比べてみましょう。いずれのダイヤであっても(基本は)渋谷-池袋を先着する電車は15分に2本です。東新宿で抜かれる電車をノーカウントとすれば、現在のダイヤもこのダイヤ案も混んだ電車の混雑率は大きくは変わりません。

現在の有楽町線は(池袋18時台で)毎時14本です。副都心線に運転間隔を合わせて有楽町線を毎時16本とすると、小竹向原では毎時32本の電車をさばくことになります。西武方面に毎時12本(現在は毎時8本)とすれば、和光市方面は毎時24本と、数字上はさばけることでしょう。西武線の池袋発着は混んでいる傾向にありますので、小竹向原経由にシフトさせるこのダイヤ案は魅力的です。

ただし、このようなダイヤでは混雑のアンバランスさは解消できません。混雑のアンバランスさを解消するには全て各駅停車にするのが手っ取り速いですが、そうすると速達性が失われます。そうであれば、現在のダイヤのほうが良いでしょう。

このように速達性と混雑のバランスを取ることは難しいです。この原因は待避設備が東新宿にあることです。東新宿で待避するために待避する電車が新宿三丁目-池袋で先着できません。もしも待避設備が新宿三丁目にあれば、全ての電車が新宿三丁目-池袋で先着できました。今となっては無理な内容ですが、路線設計の際に強引にでも新宿三丁目に待避設備を設置していれば、このような「速達性をとるか、混雑のバランスをとるか」の選択に迷う必要はありませんでした(明治通りがそこまで広くなく、地下空間に制約があることが重々承知していますので、現在の路線設計しかないことも理解しています)。(実現性はともかく)路線設計が路線の使い勝手に大きく影響することを感じた調査となったのです。

副都心線混雑データまとめへのリンク

ここまで特定の駅での混雑調査結果という「狭くて深い」情報を示しました。では、どの区間が混み、どの区間が空いているなどの「広くて深い」情報を示したページはないのでしょうか。そのような声に応えて、以下のページを作成いたしました。

地下鉄副都心線(混雑基本データ)

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