伊豆急行の看板列車といえば、リゾート21でしょう。そして、年末年始の連休という繁忙期に乗ってみました。繁忙期だから混んでいるのでしょうか。それとも冬に伊豆に行く人が少なくて空いているのでしょうか。その実態を観察するとともに、沿線の美しい海岸線も堪能しました。
写真1. 伊豆急下田に停車中のリゾート21キンメ電車
リゾート21の現状
現在、リゾート21は2編成在籍しています。キンメ編成と黒船編成ですね。いずれも伊豆急行線沿線の名物です。現在はこのような装飾がなされていますが、以前は単純な塗装でした。リゾート21は海側の景色が眺められるように工夫がなされた車両です。最盛期は5編成ありましたが、2編成は機械が古いために廃車、最も新しい1編成は付加価値を付ける列車に生まれ変わり、現在は2編成なのです。
リゾート21は2編成しかなく、残りは普通の車両で運転されています。では、リゾート21で運転される列車はどれでしょうか。市販の時刻表には記載がありません。詳しい時刻は伊豆急行のサイトを確認するしかありません。パターンA~Cの3通りがあるようです。フル運用していないので、何だかもったいないですね。
2019年元日は熱海発8:26と12:24に充当されていました。私は8:26発の電車に伊東から乗車したのです。
リゾート21の展望室から展望を楽しむ
さて、伊東でリゾート21がやってきました。私はあらかじめ赤色の乗車口に並んでいましたので、スムーズに車内に入れました。全体的に車内は空いていましたが、展望室はほぼ満席でした。
写真2. 伊東にリゾート21が入線
伊東にやってきたのは、やはりリゾート21でした。電光掲示板もリゾート7両と表示されていましたからね。
写真3. 展望室からは前が見える
展望席からは前が見えます(写真3)。展望席は立ち乗り禁止ですので、20人にしか許されていない空間です。
写真4. キンメの柄が入った座席
座席を見てみると、キンメの柄が入った座席です(写真4)。
写真5. 上りの回送とすれ違う
上りの回送とすれ違います(写真5)。伊豆初日の出の返却回送でしょうか。
写真6. 海沿いを行く
海沿いを行きます(写真6)。川奈と富戸の間の有名撮影スポットもこの近くでしたね。
写真7. 上り普通電車とすれ違い
富戸で上りの普通電車とすれ違います。伊豆急行線内では特急は多くの駅に停車しますが、伊東から伊豆高原まではどこにも停車しません。
写真8. 城ヶ崎海岸はログハウス風
その小駅の1つの城ヶ崎海岸です(写真8)。城ヶ崎海岸は伊豆半島でもそれなりの観光名所ですが、駅から遠い(徒歩30分!)ためか特急は停まりませんね。ただし、それなりに降車があったことは記しておきましょう。
写真9. 城ヶ崎海岸と伊豆高原の間で大島が見えた
その城ヶ崎海岸は大室山(この車窓と反対側!)からの溶岩で形成された台地の淵が海沿いまで迫っています。そのため、海岸線は急ですが、台地はそこまで起伏がありません。ちょっとした高原風の立地、ちょっと海が見えるという状況、そのためか会社の保養所が多いと聞きます。保養所にかける金があるなら、給料に回せと思いますけどね…。
このあたりからは伊豆大島が見えます(写真9)。私は東京都から神奈川県を経由して静岡県までやってきました。それなのに、私の前にうっすらと見える島は東京都なのです。これは簡単にいうと、もともと江戸時代から伊豆諸島は江戸との結びつきが強く、小笠原諸島を統治するには、中央政府の影響力が強い東京都(明治時代は東京府)が統治したほうが良く、その手前の伊豆諸島も東京都管轄が良いと判断されたからという理由のようです。
写真10. 海岸線を行く
伊豆高原を出ると高原は終わります。山と海が迫った場所を行きます。そのため、このような美しい海岸を堪能できます(写真10)。
写真11. プライベート感覚がある海岸線
この海岸はプライベート感覚がありますね(写真11)。
写真12. また伊豆大島が見えた
片瀬白田と伊豆稲取の間は海岸線を走ります。この区間は伊豆急線の白眉といえましょう。
写真13. 海の向こう側に伊豆七島が見える
写真14. 海の向こう側に伊豆七島が見える
このように、伊豆七島が見えます(写真13-14)。何が何の島かは忘れてしまいましたが、新島などですね。
写真15. 海岸線ともおわかれ
1回海岸線ともおわかれです(写真15)。
写真16. 伊豆稲取に停車中
伊豆稲取に停車中です。先ほどよりも視界が低いことに気づいたでしょうか。そう、一番前の席にちゃっかり移りました。伊豆稲取にはバナナワニ園があり、ここに向かう人が降りるのです。
写真17. 美しい海が見える
伊豆稲取から先はそこまで海岸線を走りません。しかし、多少は海が見えます(写真17)。
写真18. 単線なので行き違い待ちがそれなりにある
単線なので、行き違いがそれなりにあります(写真18)。
写真19. 最後は山中を行く
河津から伊豆急下田までは海岸線からは完全に離れます(写真19)。以下の地図をご覧いただきましょう。
図1. 河津から伊豆急下田までの経路(googleマップから引用)
河津から伊豆急下田までの経路を示しました(図1)。これを見ると、だいぶ海岸線から遠ざかっていますね。
写真20. 下田の街並が見えてきた
下田の街並が見えてきました。人口21000人程度ですが、今まで自然の中を走っていたので都会に見えますね。参考までに、熱海市の人口は36000人、伊東市は66000人です。伊豆半島の東側では伊東市が一番人口が多いのですね。
このように、10時前に終点まで着いてしまったのです。
リゾート21の車内を堪能する
さて、車内を撮影する機会に恵まれましたので、車内を公開しましょう。
写真21. リゾート21キンメ編成の出入口
キンメ編成の出入口です。キンメ編成は3次車(といっても3次車は1編成しかありません)で1988年の登場です。もう30年選手です。何となく出入口は洗練されていない様子を感じてしまいます。
写真22. リゾート21のノーマルな車内
洗練されていない出入台と言いましたが、車内は海岸を見るのに最適なものです(写真22)。海を向いた座席は3人がけです。少し気まずいですね。
写真23. 展望室の全景
展望席を下から眺めた様子です(写真23)。間接照明がイカしていますね。
写真24. 足元には段差がある
足元には段差があります。映画館のように前が低く、後ろを高くしていて、どこからでも前面展望が可能なようにしています(写真24)。この段差が立ち乗り禁止の理由です。
写真25. 段差を強調するためにダウンライトが仕掛けられている
その段差が強調されるように、ダウンライトがあります(写真25)。
写真26. 運転席仕切りは一部のみ
運転台仕切りは一部のみです(写真26)。そのため、車内では騒ぐなという趣旨のお願いがあります。
リゾート21の将来を妄想する
リゾート21は「キンメ電車」のように趣向を変えていますが、いかんせん設計の古さは隠せません。そのうち、置き換えの話が出ることでしょう。理想は7両編成のリゾート22(22世紀まで通用する車両)を新設計してくれることですが、そうもいかないように思えます。最悪は大手民鉄(現実的には東急?)の中古車を3両編成に縮小して置き換えでしょう。これでは妄想のしがいがないので、少し構想しましょう。
リゾート21は伊豆急の看板車両でありながら、7両編成という長編成を持て余しているのが現実です。そこで、次期仕様は4両編成で登場というのはどうでしょうか。合わせて2人旅行(あるいは1人旅行)にも合わせるために、山側を転換クロスシートという配列にすれば良いでしょう。4両編成であればフル運用できます。繁忙期は2編成連結の8両編成にすれば「リゾート22(仮)」目当ての観光客もさばけることでしょう。
将来もこのような列車が伊豆急行のフラッグシップトレイン(看板列車)として君臨して欲しいものです。