栄町駅と名鉄瀬戸線

記事上部注釈
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名鉄の離れ小島的な路線、名鉄瀬戸線。栄地区にターミナルがある唯一の大手民鉄で、独特の個性を発揮しています。その瀬戸線に乗ってみましょう。

名鉄瀬戸線の概要
  • 区間:栄町-尾張瀬戸
  • 距離:20.6km
  • 駅数:20駅(栄町、尾張瀬戸を含む)
  • 路線形態:複線電化

瀬戸線はもともと名鉄とは別会社によって建設、運営されてきた経緯があります。そのため、一部の人は「瀬戸電」と呼んでいるようです。これは名鉄のほかの路線と離れている立地条件もその一因かもしれません。現在の起点、栄町まで達したのは1978年と意外と新しいです。これは大変な苦労が伴ったといいます。その苦労も感じながら瀬戸線を満喫することにしましょう。

※大変な苦労については御壕をめぐる攻防~~名古屋鉄道瀬戸線略史(個人サイト)にまとめられています。

栄町を観察する

名鉄瀬戸線の起点は栄ではありません。栄町です。栄は地下鉄の駅で、栄町は名鉄の駅です。昔は地下鉄も栄町といったようですが、地下鉄が栄と駅名を変えてしまったようですね。

写真1. 地下鉄栄駅の入口

この地区の多くの出入口は地下鉄「栄駅」の入口です。ここから入っても名鉄の駅にはつながっていますが、せっかくなので名鉄の入口を探しましょう。

写真2. 名鉄栄町の入口

名鉄「栄町駅」の入口がありました。インターネット先生によると、2か所しかないようです。その貴重な2か所の1つを確認できました。

写真3. 栄町の改札口

写真4. 改札口を反対から眺める

栄町の改札口は1つしかありません(写真3-4)。待ち合わせの時に迷わなくて便利ですね。栄町は1面2線で4両編成対応ホームなので、そこまで駅自体が広くないために改札を多く配置する必要はありません。

写真5. コンコースから(改札口を通らずに)ホームに直結する階段

その一方で、コンコースとホームを直結する階段があります(写真5)。この階段は朝ラッシュ時に活用されるのでしょうか。

名鉄栄町のホーム

写真6. 名鉄栄町のホーム

栄町のホームの光景です(写真6)。コンパクトなホームであることがわかります。利用客的には1面2線のほうがホームを探すのに迷う必要がなく、便利です。1面2線でさばけている以上、いたずらに3線以上にする意味はないのです。

名鉄瀬戸線に乗ってみる

栄町を観察した翌々日に瀬戸線(栄町-大曽根)に実際に乗ってみました。

さて、ホーム上に停車していた電車(普通)に乗ってみましょう。

名鉄3300系の運転席直後の内装

写真7. 運転席後ろの内装

一番先頭が空いていると推定して、運転席後ろに座ります。これがその運転席後ろの内装です(写真7)。名鉄では遮光幕を下ろさないのでしょうか。運転席直後と中間部の仕切窓を着色させて、遮光幕を下ろさないという選択を行っているようです。これはこれでありがたいサービスです。

写真8. 地下区間を行く

その地下区間を行きます(写真8)。

名鉄3300系の液晶モニター

写真9. 1つめの停車駅、東大手に停車中

最初の停車駅は東大手です(写真9)。この駅での乗り降りは多くないですね。

写真10. 地下区間から高架区間へ

地下区間が終わり、高架区間に移行します(写真10)。ところで、前面ガラスが側面に向かって曲線を描いていますね。瀬戸線の専用車両、名鉄4000系はそのようなガラスがないですよね。

名鉄4000系(栄町)

写真11. 名鉄4000系の前面(栄町)

これが名鉄4000系です。どう見ても曲面ガラスがありませんね。

写真12. まもなく大曽根

写真13. 大曽根に停車

このような疑問をかかえつつ、電車は大曽根に近づきます(写真12-13)。大曽根はJR線や地下鉄線との接続駅です。名鉄瀬戸線の第2のターミナルともいえましょう。

名鉄3300系:大曽根

写真14. 大曽根に停車する3300系

その大曽根に着いた車両を撮影しました(写真14)。そう、この車両は4000系ではなく3300系です!車両不足をまかなうために、3300系が投入されています。これは喜多山の高架化工事が終了すれば、本線系統に転用されるのでしょう。

大曽根から多くの乗客が乗り込みます。手元の都市交通年報によると、森下-大曽根は2.2万人/日、大曽根-矢田は3.3万人/日となっています(※)。

※都市交通年報では年間の輸送量が掲載されていますが、わかりやすくするために365で割って1日当たりの輸送量に換算しています。

都心区間の対策

このように、都心区間が閑散としています。せっかく郊外区間で乗客を乗せたのに、ここで多くの乗客が流出してしまったら輸送力の無駄です。何か対策はあるのでしょうか。

名鉄瀬戸線沿線から名古屋駅周辺に向かう乗客が大曽根で流れてしまうのは、仕方のないことです。栄町から名古屋まで地下鉄東山線で移動するのは面倒(東山線は混雑しているため)ですから、ここで中央線に流れるのは仕方ないです。では、その中央線から栄へのアクセスするには?

写真15. 名鉄利用を呼びかけるポスター

そう、中央線から栄までのアクセスを名鉄利用にシフトさせれば良いのです。このようなポスターが設置されていました。しかし、中央線から千種で東山線を利用すれば大曽根から3駅、一方で名鉄瀬戸線だと5駅あります。これでは、あまり魅力はありませんね。また、大曽根は名鉄とJRの乗り換えは不便です。

ただし、運賃の安さは魅力的です。これを前面に押し出して1人でも栄町-大曽根の利用客を獲得するように考えることは良いことです。手持ちの武器で少しでも収益を上げる、これが企業活動の基本ですから。

名鉄瀬戸線の将来

名鉄瀬戸線をめぐる環境は以前と比べて安定しています。以前は名鉄瀬戸線を囲うように新線(地下鉄名城線やゆとりーとライン)が建設されていました。また、車両の置き換えも一段落しています。そのため、ここしばらくは現在のまま推移することでしょう。さらに、瀬戸付近で交差する愛知環状鉄道が以前実施していた名古屋直通についても限定的な運用にとどまっており、こちらに乗客が流出することもないでしょう。ただし、栄町-大曽根が列車本数に比べて空いている傾向があるなどの課題があります。苦労して建設した栄町乗り入れです。これからも栄直結という武器を生かしてうまくやってほしいものです。

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