常磐線の行先は多岐に渡っています。その中に唐木田があります。その唐木田行きの本数が大幅に減少します。その思い出を語ってみましょう。
※2018年3月ダイヤ改正で平日に1本だけ残りますが、ほぼ「さよなら」でしょう。
※2019年3月ダイヤ改正で本当になくなります(取手始発から北綾瀬始発に変更するため)。
唐木田行きとの思い出
2018年3月ダイヤ改正。JR線で大きな変化が生じる線区はそう多くないのですが、常磐線で1つの大きな変化があります。それは、見慣れていた唐木田行きの全廃です。これは小田急のダイヤ改正で多摩線から新宿へのアクセスを重要視するためです。小田急多摩線の視点でいうと、千代田線直通急行を新宿発着の急行に建て替えるのです。
私は2011年まで常磐線利用者でしたので(今でも常磐線沿線に用事はあります)、唐木田行きにある程度愛着があります。そこで、常磐線と唐木田行きの思い出を記すことにしましょう。
※通常の常磐線利用者であれば小田急線内の行き先は特に重要ではないでしょう。代々木上原まで行けば充分なのです。ただし、この記事ではそのような疑問を呈することはやめましょう。この記事の意味がなくなってしまうのです。
唐木田行きと常磐線のはじまり
私と唐木田行きとの出会いは、2002年3月のことでした。このとき、相模大野発着の準急が唐木田発着の多摩急行に建て替えられたのです。それまでは、常磐線から唐木田行きの設定はありませんでした。常磐線~千代田線は12分間隔、千代田線~唐木田は30分間隔でしたので、常磐線から唐木田に直通するのは60分間隔で全て営団車(2004年4月からはメトロ車)による運行でした。小田急車はJRに直通できず、JR車は小田急に直通できなかったためです。
1つの転機が訪れたのは、2014年3月のことです。このとき、常磐線各駅停車が増発されて、日中時間帯12分間隔から10分間隔に増発されました。依然としてJR車も小田急車も使用されませんでした。運用の制約があるため、唐木田発着の多摩急行は綾瀬発着になると予想していました(※)が、なぜかJR線発着となりました。つまり、60分間隔の唐木田行きが30分間隔になったのです。このとき、常磐線沿線住民にとって「唐木田」という駅名はややなじみのあるものになったのです。
※私の予想は、代々木上原-我孫子が10分間隔、唐木田-綾瀬が30分間隔、代々木上原-綾瀬が10~20分間隔(唐木田発着と合わせて10分間隔)というものでした。現実には唐木田-我孫子が30分間隔、代々木上原-我孫子が10~20分間隔(唐木田発着を合わせて10分間隔)、代々木上原-綾瀬が10分間隔というものでした。
唐木田行きと常磐線の関わりの全盛期
それから2年後の2016年3月にさらなる転機が訪れました。小田急が日中時間帯の多摩急行を全廃し、千代田線直通急行を20分間隔に増発したのです。これは、快速急行増発に伴う向ヶ丘遊園フォローのためでしょう。ただし、常磐線の視点からいうと(小田急線内の種別に関わらず、各駅停車と案内するため)小田急線内の種別の建て替えはあまり重要ではありません。むしろ、日中時間帯の2本に1本が唐木田行きになったことや小田急車の乗り入れが開始されたことが重要でしょう。
写真1. 小田急車の運用に入るメトロ車(北千住でarrowsで撮影)
このように、興隆を極めた常磐線からの唐木田行きですが、日中毎時3本を誇ったダイヤ改正からわずか2年足らずで皆無になってしまうのです。
追憶の写真
ここからは撮影した写真を眺めてもらうことにしましょう。
写真2. 我孫子に佇む唐木田行き
写真3. 我孫子で燦然と表示される唐木田行き(ダイヤ改正後は8番線からしか見られない)
写真4. 唐木田には行かない209系1000番台
JR車が小田急線に入るという記述をしましたが、2編成しか存在しない209系1000番台は小田急線に入りません。
これから、JR車が小田急線の緩行線に入ったり、(おそらく)常磐線から伊勢原まで直通で行けたりという新時代が到来するのです。そのような新時代の到来と引き換えに常磐線からの唐木田行きは時代の隙間に消えていくのです。