東京から日光、鬼怒川への結節点となる下今市。日光と鬼怒川の周遊も重要です。下今市でのダイヤを工夫することにより、これらを両立させようとしています。実際の光景はどのようになっているのでしょうか?
接続風景とは
異なる路線だけれども、関係が深い2路線。これらの路線の結節点ではどのような接続が行われているのか(あるいは直通しているのか)、それを探るシリーズが「接続風景」です。この2路線、そしてジャンクションの選定は私が実施いたします。
概要紹介
下今市は東武日光線(東武動物公園-東武日光線)と東武鬼怒川線(下今市-新藤原)の分岐点です。ここで、東京方面からの電車が巧みに接続を取ることで、日光、鬼怒川温泉両方向にスムーズなアクセスを提供しています。
ダイヤ紹介
ここでのダイヤ紹介は、東京方面からの特急に対する連絡、そして日光から鬼怒川温泉方面(あるいはその逆方向)に分けて考えることができるでしょう。
特急連絡としての乗り継ぎ
浅草から鬼怒川温泉に行くときのことを考えましょう。例えば、6:30の特急会津田島行きを逃すと、次の特急は8:00までありません。しかし、7:00の特急に乗ったうえで、下今市で普通鬼怒川温泉行きに乗り換えることで、あとの特急に乗るより早くつくのです。この例では下今市での乗り換え時間は15分と長いです(※)が、多くの例はもっと乗り換え時間が短く、5分もあれば乗り換えが可能です。
※この理由は、この後からくる特急日光号を待ってから接続の普通電車が発車するためです。
この例を1つ1つ文章でまとめていたらキリがありません。そのため、簡単な表にまとめます。
表1. 新宿・浅草→東武日光・鬼怒川温泉方面の連絡表
上の表を見ると、以下の傾向にあることがわかります。
1) 日光方面は直通列車の本数が少ないものの、接続体系はきっちりしている
2) 鬼怒川温泉方面は直通列車の本数が多いものの、接続体系はきっちりしていないことがある
表2. 東武日光・鬼怒川温泉→新宿・浅草方面の連絡表
これも下り方面と同じ傾向といえましょう。
地域連絡(東武日光方面と鬼怒川温泉への行き来)
最近の観光は周遊型の行動も人気です。そのため、東武日光周辺(東照宮など)と鬼怒川温泉の行き来も重要なポイントとなるでしょう。そのような需要にもある程度応えていることが、現行ダイヤの特徴です。
表3. 東武日光→鬼怒川温泉の連絡表
表4. 鬼怒川温泉→東武日光の連絡表
いずれの方向も本数の少ない鬼怒川線に合わせて、東武日光-下今市の連絡列車を設定しています。ちょうど良い時刻に列車の設定がない場合、区間運転をしてまでも接続列車を設定するようにしている努力がわかります。このようにして、1時間程度に1回の乗車チャンスを設定しているのです。
実際に観察する
それでは、ここから私の体験を基に、下今市の接続風景を観察しましょう。
写真1. 会津田島→下今市の列車が東武日光始発に接続
この写真は18:21に下今市に到着する普通電車の車内から撮影したものです。東武日光始発の普通電車(南栗橋行き)にジャストタイムで接続する様子がわかります(写真1)。
この写真に写っている普通電車に、東武日光から乗車すると、下今市で30分待つと特急きぬ号に乗り換えられます。ただし、接続は悪いですね…。
写真2. 下今市どまりの電車が本線上に引き上げる
以前、京王線の調布で本線上で折り返しており(現在は調布でそのような運用は実施していません)、ネットで話題を呼んでいました。汽車発祥の東武鉄道ではそのようなことをしないと思っていたのですが、下今市でやっていましたね(写真2)。
写真3. 下今市の側線に入る
折り返し下り普通電車として運用するのでホームに入線する、そのように思っていました。そしたら、側線に入ってしまいました(写真3)。早くホームに入れば良いのに、なんて考えてしまいました。
写真4. 普通電車東武日光行きが入線
そんなこんなしているうちに、普通電車東武日光行きが入線してきました(写真4)。この電車は18:37に到着し、6分停車します。
写真5. 特急きぬ鬼怒川温泉行きが入線
その6分の間に、特急きぬ鬼怒川温泉行きが入線してきました(写真5)。この特急とさっきの普通電車は相互に接続します。この2列車で下りホームが埋まるので、さっきの普通電車は側線に入るのですね(写真3)。
まとめ
現在、下今市で分割することで、日光・鬼怒川両方向に乗り換えなしで行ける特急リバティが運転されています。このため、下今市での接続が重要視される場面は徐々に減ってきているでしょう。それでも、JR直通特急は分割ができない車両ですので、ここしばらくは下今市での接続風景は受け継がれることでしょう。