京王では特急から各停まで含めたさまざまな列車種別が設定されており、有機的なダイヤとなっています。特に、新宿-調布は日中時間帯でも毎時21本が設定されており、特急から各停まで含めた複雑な運行を行っています。今回は新宿-京王多摩センターでその様子を観察しました。
京王線のダイヤ概説
ダイヤのおさらいをしましょう。2015年9月ダイヤ改正から、新宿-調布は20分サイクルに特急1本、準特急2本、区間急行1本、快速1本、各停2本の7本が運転されています。平均2分50秒間隔という過密ダイヤです。そのうち、区間急行と快速は新線新宿を経由しますので、京王線新宿に発着するのは、20分サイクルに5本だけですね。
高尾準特急で観察する(新宿-調布)
私は休日の準特急高尾山口行きに乗車しました。特急八王子行きの7分後に出発し、停車駅の揃う調布以西は10分間隔になるように(というより別の意図があると思います)、笹塚と千歳烏山に追加で停車します。これに調布で1分ほど時刻調整を入れることで、調布以西を10分間隔としているのです。
写真1. 笹塚の手前で地上にあがる
笹塚の手前で地上に上がります(写真1)。快速橋本行きが待機しています。ここで接続することにより、都営地下鉄からこの準特急への乗車チャンネルを確保するとともに、京王線新宿から快速停車駅への乗車チャンネルも確保しているのです。京王線も京王新線も新宿を通る?そうですよね。と納得してしまう人は新宿の地理に疎い証拠です。京王新線(=都営新宿線)の新宿駅そのものは新宿の繁華街から少し離れています。特に歌舞伎町からは歩きます(以前私は都営新宿駅から東口の繁華街に行こうとしたらえらく時間がかかった記憶があります)。
※都営地下鉄で東口の繁華街に行くときですか?新宿三丁目駅を利用することも視野に入れましょう。
話が脇にそれてしまいました。
写真2. 都営急行が入線
わが準特急が笹塚に停車中に、上りの都営急行が入線してきました。この都営急行は準特急新宿行きを受けて発車します。このリレーによって、橋本から本八幡まで速達列車で結ばれます。
写真3. 5000系準特急とすれ違う
まだ登場して間もない5000系とすれ違いました(写真3)。私の中で東急5000系、京王9000系はまだ「新しい」部類であり、E233系などは「最新型」という認識ですが、時代は確実に変化しています。今や京王の最新型は5000系となったのです。
写真4. 桜上水を通過
桜上水を通過します(写真4)。桜上水では各停は待避していません。日中時間帯は桜上水で待ち合わせをせず、新宿から各停でアクセスする際の所要時間を短縮している様子がわかります。なお、新宿-つつじヶ丘の各停の間隔は8分と12分の交互です。これでは小さな駅の利用者は最大12分待ちになってしまいます。しかし、12分のダイヤホールに快速を挿入し、準主要駅については12分も待たないようにしています。
写真5. 八幡山を通過
桜上水の2つ先、八幡山を通過します(写真5)。八幡山では各停を抜かします。千歳烏山には準特急が停車するので、それ以遠まで利用する利用者は各停を乗り通さないから八幡山まで逃げ切ればOKという考えなのでしょう。各停で乗り通さねばならなくて、八幡山での通過待ちに必ず当たる芦花公園が不憫なのですが…。
写真6. 千歳烏山に停車
そんなこんなで準特急は千歳烏山に停車します(写真6)。準特急の停車駅に千歳烏山を追加するという情報を入手したときに、大いに驚いた記憶があります。他線との接続もなく、緩急結合もできない、こんなところに停車する意味があるのかという驚きです。しかし、調べてみると、11位なのですね!笹塚が12位、京王多摩センターが10位という位置づけです。これならば停車も納得できます。
写真7. つつじヶ丘を通過
列車はつつじヶ丘を通過します(写真7)。つつじヶ丘でも各停が待避しています。この各停はつつじヶ丘で区間急行と緩急結合をとった後に、準特急の通過待ちをします。以前は特急を2本待避していましたが、現在はありません。このために千歳烏山に停車させてダイヤパターンを変更したのでしょう。
写真8. 地下線に入る
調布手前から地下線に入ります。調布付近では連続立体化工事のために地下化されたのです。このようにして調布に到着です。
写真9. 調布で区間急行が先に発車
新宿から調布まで準特急で16分。遅さを感じさせないものでした。特急が14分ですので、2駅停車したぶんだけ遅いということがわかります。なお、橋本発着の準特急は新宿から調布まで17分かかっています。つつじヶ丘と調布の手前で徐行するためでしょうか。
準特急が笹塚と千歳烏山に停車しても所要時間はそこまで伸びていません。新宿から高尾までの所要時間は2015年4月時点で49分、現在では50分です。上りは53分から51分となっています。待避が最適化されたこともあり、特急の所要時間は短縮されています。新宿から京王八王子までは42分だったものが38分まで短縮されたのです。
なお、新宿-橋本は37分から38分に伸びてしまっています。それでも笹塚で都営新宿線の急行に接続することもあって、都心部への所要時間は短縮されています。都営新宿線の経由地があまり魅力的ではない?まあ、そこは…。
調布での観察と相模原線準特急
写真10. 調布で各停が先に発車
橋本発着の準特急が調布に到着する時刻(毎時09分、29分、49分)に、京王線の各停が発車します。この両者は接続するのでしょうか?答えは否!です。準特急の到着を待たずに各停が発車します。ここで接続すれば新宿から西調布から府中の各駅へは便利になります(特に調布へは毎時9本が有効列車になります)が、それだけ後の特急(調布発毎時15分、35分、55分)の所要時間が伸びてしまいます。ここは特急の所要時間を優先させたのでしょう。
写真10で写真に写っている準特急に乗車しましょう。
写真11. 京王多摩川手前で渡り線を渡る
調布を出たら、すぐに地上に上がります(写真11)。地上に上がったら京王多摩川です。この手前で渡り線がありました。
写真12. 多摩川を渡る
京王多摩川を過ぎると、すぐに多摩川を渡ります(写真12)。ここの鉄橋は多摩川に対して垂直になっています。鉄橋の長さを少しでも短くすることによって、建設費を節約しているのです。ただし、鉄橋の前後でカーブが存在し、所要時間が伸びる欠点はあります。
写真13. 小田急が合流
そうこうしているうちに、小田急の線路が見えてきました(写真13)。京王永山と京王多摩センターでモロに競合する小田急のお出ましです。2018年3月ダイヤ改正で小田急は新宿直通を強化します。
写真14. 小田急1000形と出会う
京王永山から京王多摩センターは小田急と並走します。ここでは小田急の各停がやってきました(写真14)。地下鉄直通の急行ならば4000形か他社の車両のはずですから、各停とわかるのです。こちらの京王は各停(実際には快速や区間急行です)が新宿直通であるのに対し、小田急の各停は新百合ケ丘どまりです。ダイヤ改正で新宿直通を強化すると謳っていますが、まだ京王の優位は続きそうです。小田急の各停は6両編成で京王よりも短いこともそのような印象を強くします。
写真15. 京王多摩センターで区間急行を追い抜く
その京王多摩センターで区間急行を追い抜きます(写真15)。ここから橋本まで準特急は2駅通過します。JRなら特急から準特急に変更するタイミングで、京王多摩センター以西を各駅に停車させそうですが、京王はそのようなことをしません。橋本そのものの利用者が多いことや、橋本まで遅いと横浜線利用者を小田急に取られるリスクを考えたのでしょう。
コメント
千歳烏山は商店街の会長さんが全国規模の重鎮さんらしく、発言力が強いのも大きいようですね。
けいたさん、コメントありがとうございます。
商店街の会長さんが全国規模の重鎮といえども、一個人の影響力がそこまで強いかは疑問を抱いてしまいます。ただし、会長さんが全国規模の重鎮になるほど、商店街の規模が大きく、それほど千歳烏山という街の重要性が大きいことを示す1つの材料にはなりそうですね。