西武鉄道で比較的新しい車両の30000系。スマイルトレインとも呼ばれ、やわらかめの車内が印象的でもあります。そんな西武30000系の車内を堪能しました。
写真1. 西武30000系の外観(西武新宿で撮影)
西武鉄道30000系の概要
まず、西武鉄道30000系の概要を紹介しましょう。最初に概要を箇条書きでまとめます。
・車体:4ドアロングシート
・製造初年:2008年(2016年製造終了)
※2017年からは40000系に移行しています
・編成両数:2両編成、8両編成、10両編成
※2両編成は増結用としての用途が主体です
・車体:アルミ製(日立製作所A-train準拠)
西武30000系は20000系の後継車として設計されました。「スマイルトレイン」という愛称で呼ばれることもあり、柔らかさを設計思想に取り入れた点が新鮮です。
とはいえ、一般的な通勤電車の1つであり、基本的な機能は一般的な通勤電車のそれと変わることはありません。そのなかでも快適性を追求した車両といえましょう。
西武30000系の外観を見てみる
では、西武30000系の外観を見てみましょう。
写真2. 30000系の先頭部分(西武新宿で撮影)
先頭部分です(写真2)。曲線を重視した形状であることがわかります。
写真3. 30000系の側面(ラッピング車、高田馬場で撮影)
側面です。たまたまラッピング車に遭遇しました(写真3)。意外と側面を撮っていないことに気づかされます。
写真4. 側面の表示器
写真5. 側面の表示器
側面の表示器です。フルカラーのLEDです(写真4、写真5)。今回の撮影は各駅停車ですので、各駅停車の種別カラーの灰色が地の色になっています。急行や準急などでは別の色が使われますので、種別の色を覚えていれば文字を見る前に種別を推定できるので、利用者にとってもわかりやすいです。
西武30000系の車内を確認する
では、車内に入ってみましょう。
写真6. ドア付近を眺める
複層ガラスの仕上げ化粧板のあるドアです(写真6)。通勤電車では高級な部類に入るドアでしょう。複層ガラスだと結露しにくい長所があります。
写真7. ドア付近の座席
ドア付近の座席を拡大してみました(写真7)。
写真8. 座席の袖仕切
座席の袖仕切です(写真8)。大型でありながら、曲線の美しさが感じられます。
写真9. ドア上の液晶案内
2000年代半ば以降に急速に普及してきた液晶案内です。右に行先などの案内、左に広告を表示する仕様です。
写真10. 座席付近
ドア間の座席は7人がけです(写真10)。それなりに柔らかい座席です。特に不満は感じません。ただし、窓ガラスは関東では標準の単板ガラスです。結露防止のために複層ガラスにしてもらえると良かったですね!
写真11. 吊革は曲線が意識されている
座席前に吊革があります(写真11)。同時期のJR東日本のE233系の吊革は三角形ですが、西武30000系の吊革は曲線を意識した形状です。
写真12. 天井の形状
天井を見てみました(写真12)。ドーム型の天井で、LED式の照明も一体化しています。これは意匠性の高い天井だと思います。
写真13. 照明を見てみる
照明をより拡大してみましょう(写真13)。従来の蛍光灯からLED照明に変更したこともあり、このような意匠性の高い天井が実現しています。従来、蛍光灯にカバーを付ける、付けないという議論がありましたが、このような形で解決するのは1つの見識と思いました。
写真14. 車端部の様子
車端部は3人がけの座席が展開します(写真14)。優先席はオレンジ色の座席で区別がなされています。
写真15. 壁を見る
壁を見てみます(写真15)。貫通扉は透明なガラスが採用されています。一方で扉以外は窓がありません。座席に座っている人どうしの視線が交わることを懸念したのでしょうか。
写真16. 貫通扉の意匠
貫通扉も意匠がこらされています。たまごが孵化する様子が描かれています。これは1号車と2号車の間の扉です。
写真17. 運転台背面の様子
運転台背面の様子です(写真17)。3枚の窓があり、前面展望にも配慮されている様子が伝わります。ここは向かって右側はフリースペースという名の立ちスペースです。
写真18. 運転台背面の拡大
運転台背面の拡大です(写真18)。やはり前面展望はある程度良好です。
西武30000系の車内の様子のまとめ
西武鉄道30000系は、「日立の標準車体の4ドアロングシート車」という制約の中で、それなりの快適性を確保した車両という印象を受けました。単に曲線を多用するのではなく、座席の柔らかさなどの工夫も確認できました。全体として、単に見てくれを重視するのではなく、快適性にもこだわった車内という印象を抱きました。ただし、走行音のうるささなど気になる箇所もあります。
今後の増備は40000系に移行していますが、中堅どころとしてある程度の快適性を備えた車両として、今後も西武鉄道の輸送を担っていくのでしょう。