写真1. 準特急から眺めた快速
新宿を拠点に八王子、多摩ニュータウンを結ぶ京王線。そして、都心部のビジネス街を串刺しにする都営新宿線。これら2路線のジャンクション、笹塚。その笹塚ではどのような景色が展開するのでしょう?
接続風景とは
異なる路線だけれども、関係が深い2路線。これらの路線の結節点ではどのような接続が行われているのか(あるいは直通しているのか)、それを探るシリーズが「接続風景」です。この2路線、そしてジャンクションの選定は私が実施いたします。
概要紹介
笹塚は京王線(新宿-京王八王子)と京王新線(新線新宿-笹塚)の分岐点です。京王新線の電車は都営新宿線と直通しています。また、新線新宿は新宿の繁華街からは遠く、新宿地区からは京王線新宿のほうが便利といえます。京王新線は都営新宿線と一体化しているため、ここでは新宿線直通と称することにします。
ダイヤ紹介
平日日中時間帯のダイヤを解説いたします。20分サイクルのパターンダイヤとなっています。京王線側は毎時15本(1サイクル当たり5本)、新宿線直通は毎時9本(1サイクル当たり3本)となっていて、笹塚以西は毎時21本(1サイクル当たり7本)の運転です。
京王線は以下の内訳です。
新宿-高尾山口の特急と新宿-京王八王子の準特急が各1本、新宿-橋本の準特急が1本、新宿-京王八王子の各停と新宿-高尾山口の各停が各1本です。京王八王子行きと高尾山口行きは北野で接続します。つまり、京王八王子発着の準特急と高尾山口発着の特急はダイヤ的には同等とみなせます。
新宿線直通は以下の内訳です。
本八幡-笹塚の急行が1本、本八幡-橋本の区間急行と本八幡-橋本の快速が各1本です。なお、笹塚より都心よりでは急行以外は各駅に停車します。
笹塚以西は以下の内訳です。
新宿-高尾山口の特急と新宿-京王八王子の準特急が各1本、新宿-橋本の準特急が1本、八幡-橋本の区間急行と本八幡-橋本の快速が各1本、新宿-京王八王子の各停と新宿-高尾山口の各停が各1本です。京王八王子行きと高尾山口行きは北野で接続します。つまり、京王八王子発着の準特急と高尾山口発着の特急はダイヤ的には同等とみなせます。
各停の不等間隔に対する対応
各停の運転間隔は8分と12分の交互ですが、12分空く箇所に停車駅の多い快速が挿入されており、多くの各停利用客は12分も待つことはありません。なお、快速は笹塚で京王線新宿発着の準特急と接続していますので、京王線新宿へのチャンネルも確保されています。つまり、新宿よりの多くの駅で20分に3回の乗車チャンスが確保されているのです。
笹塚の連絡風景
笹塚での接続に必要な機能は以下の2点に集約されます。
a) 新宿線直通電車から京王線新宿へのチャンネル
b) 京王線新宿発着から新宿線直通電車へのチャンネル
これらのチャンネルごとに見ていきましょう。
新宿線直通電車から京王線新宿へのチャンネル
これは直接的にいってしまうと、京王線新宿から区間急行や快速への乗車チャンスをどのように確保しているのかということです。
快速と準特急の接続
新宿-京王八王子の準特急と本八幡-橋本の快速が相互に接続しています。具体的には、以下の通りです。
下りの接続状況の1例を示します。
ⅰ)本八幡始発の快速が笹塚の2番線に13:09に到着
ⅱ)京王線新宿からの準特急が笹塚の1番線に13:11に到着
ⅲ)準特急が13:12に発車
ⅳ)快速が13:13に発車
上りは以下の通りです。
ⅰ)本八幡行きの快速が笹塚の3番線に13:17に到着
ⅱ)京王線新宿行きの準特急が笹塚の4番線に13:18に到着
ⅲ)準特急が13:19に発車
ⅳ)快速が13:21に発車
ここで快速が4分も停車している点が気になります。笹塚の停車時間を2分に短縮(下りは準特急と同時に到着、上りは準特急と同時に発車)した上で、新線新宿での停車時間も短縮すれば、都心へのアクセスがより便利になりそうですね。
区間急行と特急の接続
京王線新宿と区間急行の乗り継ぎは笹塚ではなく、明大前で行う必要があります。接続する列車が特急であるためです。具体的には、以下の通りです。
ⅰ)特急が明大前を13:06に発車
ⅱ)区間急行が明大前を13:08に発車
ⅰ)区間急行が明大前を13:03に発車
ⅱ)特急が明大前を13:06に発車
このように2-3分という短い乗り換え時間で京王線新宿と区間急行を結ぶチャンネルを設定しているのです。
京王線新宿発着から新宿線直通電車へのチャンネル
こんどは、新宿線から笹塚に向かって京王線新宿発着の電車に乗り継ぐダイヤを考察しましょう。ここでは本数が少ない新宿線直通(笹塚発着の急行も含む)に焦点を当てましょう。
快速の場合
新宿-京王八王子の準特急と本八幡-橋本の快速が相互に接続しています。具体的なダイヤはさっきに見たとおりです。
区間急行の場合
区間急行と各停が接続しています。具体的には、以下の通りです。
下りの一例を示します。
ⅰ)区間急行が13:03に到着
ⅱ)区間急行が13:05に発車
ⅲ)各停が13:06に発車
上りの一例も示します。
ⅰ)各停が13:04に発車
ⅱ)区間急行が13:05に到着
ⅲ)区間急行が13:07に発車
急行の場合
急行は笹塚発着です。笹塚で新宿-橋本の準特急に接続します。具体的には、以下の通りです。
下りの一例です。
ⅰ)笹塚どまりの急行が13:15に2番線に到着
ⅱ)橋本行きの準特急が13:16に1番線に到着
ⅲ)橋本行きの準特急が13:17に1番線から発車
新宿線の主要駅を高速で結ぶ急行と、京王線で2番目に早い準特急が、わずか2分の接続時間で結ばれています。
上りは以下の通りです。
ⅰ)橋本からの準特急が13:13に4番線に到着
ⅱ)橋本からの準特急が13:14に4番線から発車
ⅲ)笹塚始発の急行が13:14に3番線から発車
こちらの接続時間はわずか1分です。速達列車どうしのリレーがしっかりされていることがわかります。
今回のまとめ
笹塚で以下の接続がされています。
・京王八王子発着の準特急と新宿線直通の快速が相互接続
・橋本発着の準特急と笹塚発着の急行
ここで話題に上がらない区間急行も明大前で特急と連絡し、京王線新宿発着の乗客も区間急行を利用できるようになっています。これらの接続が20分間隔で展開されるのです。