練馬での接続風景:隠れたジャンクション駅

記事上部注釈
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池袋から埼玉県方面に伸びる西武池袋線。そんな西武池袋線は都心側は地下鉄に直通しています。地下鉄方面と西武線池袋方面に分岐する駅が練馬です。西武線池袋と地下鉄直通の双方のニーズを満たすために練馬での接続は重要です。そのような接続の様子を観察しました。

写真1. 接続のために多くの電車がとまっている

復習:ジャンクションとしての練馬の位置づけ

具体的なダイヤの紹介の前に、練馬の位置づけを確認しましょう(図1)。

西武停車駅

図1. 西武池袋線系統の停車駅案内図

練馬を中心の視点で見ますと、都心側で西武線池袋(※)、地下鉄方面(※)に分岐しています。また、郊外側は所沢方面と豊島園に分岐しています。豊島園への流れは小さく、所沢方面の流れが大きいことも特徴です。

※1:地下鉄直通電車(有楽町線、副都心線とも)も池袋も通ります。そのため、本記事では「西武線」池袋と表記いたします。

※2:正確には西武有楽町線ですが、ここでは簡単のためにさらに直通する方向の「(東京メトロ)有楽町線」「副都心線」と表記いたします。

西武線池袋、地下鉄方面双方の利便性を確保するには、練馬での接続は不可欠です。そのため、練馬での接続が良好かどうかは重要です。

練馬の配線

図2. 練馬の配線(wikipediaより引用)

練馬の配線は下り急行線、下り地下鉄直通線、下り緩行線、上り緩行線、上り地下鉄直通線、上り急行線の順に並んでおり、急行線にホームはありません。これが他のジャンクション駅と異なる点です。逆にいうと、練馬で接続をとっている間に、通過列車の待避もできます。

また、1番線と4番線と西武線池袋方面の行き来はできません。この点も特徴的です。さらに、地下鉄と豊島園の直通も不可能な配線です。逆にいうと、地下鉄直通電車は豊島園発着にできません。

このように、配線に自由度があるように見えて、実は制約が多い配線、それが練馬なのです。

接続ダイヤの実際

ここで、日中時間帯のダイヤを見ていきます。日中時間帯は特急や急行の関係で60分サイクルですが、幸か不幸かいずれも練馬にはとまりません。(各駅停車の行先が微妙に異なるということはありますが)練馬に停車する電車はほぼ30分サイクルですので、ここでは30分サイクル扱いとします。

下りの接続体系

まず、下りについて述べます。下りの接続体系をまとめました(表1)。

表1. 西武線練馬での接続(下り)

西武線練馬での接続(下り)

※08分の準急はありません。当該の列車は急行として運転されるためです。

地下鉄直通電車は毎時10本ありますので、30分に5本の設定です。この5本のうち5本とも接続列車があります。基本的に、以下の接続体系です。

・西武線池袋発着の準急と副都心線直通の快速急行が接続(30分間隔)
 ※この設定で、西武線池袋からも快速急行が使えます

・豊島園発着各駅停車と地下鉄直通各駅停車が接続(30分に2回)
 ※半数は地下鉄有楽町線、半数が地下鉄副都心線です

・西武線池袋発着準急と地下鉄直通各駅停車が接続(60分間隔)
 ※この組み合わせは60分間隔です。もう半数の地下鉄直通各駅停車は接続する電車がありません。

・西武線池袋発着各駅停車と地下鉄直通準急が接続

もう少し詳しく見ましょう。

毎時29分に西武線池袋-豊島園の各駅停車と副都心線-石神井公園の各駅停車が接続します。この2列車はお互いに線路が干渉しませんので、同時発着が可能な組み合わせです。そのため、毎時30分に発車します。

毎時37分に有楽町線から各駅停車が、毎時38分に西武線池袋から準急がやってきます。準急はすぐに発車しますが、各駅停車は準急が発車して2分後の40分に発車します。準急は2番線から外側の急行線に、各駅停車は1番線から内側の緩行線に入ります。この組み合わせは平面交差する組み合わせのため、同時発車できません。このため、各駅停車が2分待つのです。なお、30分後の毎時08分ごろにはこのような接続はありません。準急ではなく急行が運転され、練馬にはとまらないためです。

毎時42分に有楽町線からの各駅停車が、毎時43分には西武線池袋からの各駅停車がやってきます。これらは接続をとり、毎時44分に発車します。1番線から緩行線、2番線から豊島園は同時発車できる組み合わせなので、特に時間調整は不要です。

毎時46分に西武線池袋からの準急が、毎時47分には副都心線からの快速急行がやってきます。快速急行は毎時48分、準急は毎時50分に発車します。快速急行も準急も同じ急行線を走るため、同時には発車できません。個人的にはこの準急を豊島園発着に変更し、同時に豊島園発着の各駅停車を半減させれば、空いている池袋-練馬の各駅停車を減便できて良さそうな気もします。

最後に毎時51分に西武線池袋からの各駅停車が、毎時52分に有楽町線からの準急がやってきます。準急は毎時53分に、各駅停車は毎時54分に発車します。この組み合わせも同時に発車できますが、各駅停車は1分停車しています。なお、組み合わせで池袋からの速達性はそこまで大きくありません。西武線池袋は準急の2分後に発車、乗りかえた有楽町線からの準急は石神井公園で急行を待ち合わせるため、池袋から石神井公園までしか先着しません。それも前の準急の2分後で実用的な意味は大きくありません。

上りの接続体系

上りの接続体系をまとめます(表2)。

表2. 西武線練馬での接続(上り)

西武線練馬での接続(上り)

上りの接続体系も似たようなものなので、詳しい内容まで立ち入りません。下りとの違いは以下の通りです。

・豊島園発着の各駅停車の接続相手が有楽町線直通に限定される
 ※下りは有楽町線と副都心線の半々でした。豊島園から副都心線への行き来はやや不便ですね。

・西武線池袋行きの準急に接続するのが副都心線直通
 ※下りは有楽町線直通でした。

直通先のダイヤの関係で、一部の各駅停車と準急に接続するのが入れ替わっています。接続関係の基本は下りと変わりません。なお、有楽町線直通準急と有楽町線直通各駅停車の始発駅の組み合わせも異なりますが、練馬での挙動には影響ありません。

実際に観察する

実際に観察してみましたので、その様子もお送りします。私は上りホームで観察していました。

豊島園発着と地下鉄直通の接続

西武2000系とメトロ16000系

写真2. 豊島園からの池袋行きと、有楽町線直通の各駅停車が並ぶ

接続の定番の豊島園-西武線池袋と西武池袋線-地下鉄直通の組み合わせです(写真2)。この接続によって、石神井公園方面の各駅と西武線池袋の乗車チャンスを確保しています。

西武線池袋発着と地下鉄直通各駅停車の接続

次の場面で、準急池袋行きと副都心線直通各駅停車の接続です。

写真3. 準急がやってきた

下りと異なり、準急が2分前にやってきます(写真3)。同時発着ができないことは下りと同じですが、全体の兼ね合いで準急が長く停車することにしているのでしょう。もっとも、石神井公園場面で準急は急行の3分後に発車していますので、(練馬での停車時間による)準急の所要時間が長いことによるデメリットは少なさそうです。

写真4. 準急が各駅停車を待っている

準急が各駅停車を待っています(写真4)。

写真5. 副都心線直通各駅停車がやってきた

副都心線直通の各駅停車がやってきました(写真5)。この接続は60分間隔です。この接続があることで、練馬-石神井公園の各駅から西武線池袋までの乗車チャンスは毎時9回確保されるのです。

花形:西武線池袋発着の準急と副都心線直通の快速急行の接続

練馬での接続の白眉、西武線池袋発着の準急と、副都心線直通の快速急行の接続です。

写真6. 準急が停車中

準急が先にやってきて停車しています(写真6)。

写真7. 快速急行がやってくる

快速急行がやってきます。快速急行のほうが新宿三丁目、渋谷、横浜に直結していて利用が多そうに見えますがどうなのでしょうか(写真7)。

写真8. 準急に乗りかえる人が多い

快速急行から準急に乗りかえる人が多いです(写真8)。池袋には準急が早く着くこと、新宿・渋谷方面は池袋からJRを利用しても向かえること、そして池袋で済む用事が多いことがその要因なのでしょうか。

練馬での接続風景まとめ

西武線だけでも4方向へのジャンクションとなる練馬。そのような練馬では列車どうしの接続が重要です。そのセオリー通り、多くの地下鉄直通電車が接続しています。地下鉄直通で接続がないのは1時間に1回だけです。このような接続ダイヤを組むことはとても大変なことでしょう。また、下りと上りで若干接続相手が異なります。このことからも、ダイヤ上の苦労がうかがい知れます。

一方、急行や特急は練馬を通過します。このようなターミナル駅を料金不要の速達列車が通過することは珍しいです。これは、地下鉄直通に興味を示さずに、西武線池袋に直行する利用者が無視できないくらい存在することの証でもあります。

他のジャンクションとは異なる様子を見せる西武線の練馬。これからも限られた本数で可能な限りの利便性を提供するために自らの役割を全うするのでしょう。

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