写真1. 211系電車(イメージです、だってこの車両はJR東海車…)
2001年当初のダイヤの振り返り
2001年12月に湘南新宿ラインが設定されました。このときのダイヤは日中時間帯が中心でした。これでは、日中時間帯のお出かけに限定されてしまいます。幸いなことに新宿も渋谷も日中や休日の目的地ですが、朝夕の需要も大きいので朝夕の運転も望まれていました。そのダイヤの結果、首都圏の路線としては珍しく休日のほうが利用客が多かったのでした。1日当たりの利用客は平日30000人、休日36000人と、休日のほうが2割多かったのです。
首都圏の路線は通勤路線として機能してなんぼの世界です。そこで、朝と夕方に増発されることとなったのです。2002年12月のことでした。この増発に対応して新宿の1、2番線も15両編成に対応できるようにホームを延伸しました。あくまでも2001年12月の段階では暫定的な開業であったことがうかがえます。
2002年12月ダイヤ改正の内容
このようにして、2002年12月にダイヤ改正を実施しました。その内容は、朝ラッシュ時の設定(でも微妙にピークを外している)、夕方の大幅な増加がメインです。また、りんかい線と埼京線の直通運転開始に伴い、大崎にも全列車が停車しました。以下、その詳細を見てみましょう。
朝ラッシュ時の横浜→新宿の設定
大船始発小金井行きを2本設定、具体的な時刻は以下の通り
大船6:31→横浜6:49→新宿7:24
大船8:11→横浜8:29→新宿9:01
※この間に新宿7:46着も設定されている(ダイヤ改正前から)
※増発列車の後に新宿9:51も設定されている(同じくダイヤ改正前から)
このことで、ラッシュ時に2本の設定から4本の設定となって、ダイヤ改正前の倍増となりました。このダイヤを眺めますと、新宿や渋谷に8:30や9:00出社の通勤者にとっては使えないダイヤでした。それでも9:30出社の通勤者にとって使えるようになったのは、1つの進歩でしょう。
写真2. 211系電車(イメージです、これはJR東海車…)
夕方時間帯の増発
新宿断面で18時以降の横浜方面行きも増発されました。ダイヤ改正後の新宿発の列車時刻は以下の通りです。
18:18発快速小田原行き
19:09発普通大船行き
19:47発普通大船行き
20:07発快速国府津行き
20:14発普通大船行き(新宿始発)
21:14発普通逗子行き(新宿始発)
21:48発普通逗子行き
ラッシュピーク(18時台)に微妙に設定がなかったり、20:07発と20:14発と7分続行の後に60分も間隔が空いたり、終電が22時前と新宿や渋谷の街の性格(夜に賑わいますよね!)を無視したりとケチのつけ所多少気になる箇所があるものの、とりあえず深夜の直前まで設定されているという安心感があることは1つの進歩でしょう。
同様に、北方向への列車も大幅に新宿直通が実現しています。池袋始発よりも乗客のニーズが高いのはいうまでもありません。また、埼京線の混雑も緩和したのでしょう。
例外的で興味深い列車
このときのダイヤで興味深い列車は以下のものです。
・夜間・深夜時間帯の新宿始発の宇都宮・高崎線の存在
※22:07発普通籠原行き、22:45発普通小金井行き、23:33発普通籠原行き
・南方向からの大宮行き(土曜・休日のみ設定)
※大船8:16→新宿9:06→大宮9:39、宇都宮線直通、高崎線直通のどちらで案内されたのでしょう?
ダイヤ改正の効果確認
このダイヤ改正の効果が横浜支社から示されていました。平日の利用者数が56000人、休日は42000人となりました。朝夕に設定されたので、平日の通勤にも「とりあえず」使えるダイヤとなったため、通勤に使う人も増えたのでしょう。そのため、平日の利用者数が休日の利用者数よりも多いという、首都圏の通勤路線の姿になったのです。この時点で「新サービス」から「通常のサービス」に変わった第一歩といえましょう。
浮き彫りとなった問題点
朝・夕方ともにピーク時に設定が存在しない
横浜地区から新宿地区への通勤を考えた場合、新宿に8時台に到着し、新宿を18時台に発車する列車が多数設定されることが必須です。このときのダイヤ改正では朝ラッシュピーク時には設定がなされず、夕方のピーク時もわずかに1本を数えるのみです。これでは通勤に利用しにくいでしょう。
朝・夕方の設定本数が少ない
日中時間帯の毎時3本と比較して、毎時0~2本というのは非常に利用しにくいです。朝こそ特定の列車を選択しますので、待ち時間が問題になりにくいでしょう。しかし、夕方は残業、会社の飲み会(ここではその是非については触れません)、プライベートの用事(内容は各自なので私からは干渉しません)などで帰宅時間がバラバラです。そのときに1時間待ちでは利用する気が起こりません。
新宿のホームがバラバラ
手元の時刻表を眺めますと、新宿の北行こそ4番線に統一されていますが、南行は1番線から4番線を使用しており、新宿のどのホームに向かえば良いのか、わかりにくいです。りんかい線との直通を優先して、湘南新宿ラインは空いたホームに入線させたという舞台裏が見えてしまいます。
2002年12月ダイヤ改正の振り返り
このダイヤ改正の内容を振り返ると、りんかい線直通に合わせてできる内容の修正を精一杯実施したというものです。改善されていること自体は高く評価したいですが、完成形には至っていないことは指摘できる内容です。
では、なぜこの時点で完成形に至っていなかったのか、どのような制約があったのか、それを次回に述べてみましょう。