現在の湘南新宿ラインの弱点~ダイヤ作成の肝

湘南新宿ラインの現在の弱点を探る

湘南新宿ラインの運行開始後、池袋立体化ダイヤ乱れ事前対策などの策が講じられてきました。それでも弱点を抱えながら運行しています。今回はその最大の弱点を探ってみましょう。


横須賀線と湘南新宿ラインの分岐点の確認

湘南新宿ラインは新宿と横浜を結ぶ役割が強いといえます。その区間のほとんどはいわゆる横須賀線を使用します。その横須賀線との分岐点の状況を見てみましょう。

現地情報

蛇窪の写真

写真1. 湘南新宿ラインが横須賀線から分岐する地点(wikipedia所有の写真)

これではわかりにくいですか?それでは、簡単に解説しましょう。写真の手前は横浜方面です。奥が都心方面です。よく見ると、左右に分岐している様子がわかります。左が東京方面、右が新宿方面です。地図の向きと逆に思えますが、これで良いのです。

300px-大崎付近概略図

図1. 分岐点付近の略図(これもwikipedia先生より)

横浜方面から右(写真1でも図1でも右です)に向かった列車は、東京方面に向かう線路をくぐり、その線路の左側につながります。蛇足ですが、鉄道ジャーナル2000年1月号に写真1と同じような写真と解説がありますが、長いあいだ私は混乱していました。写真の解説と地図の向きが逆であることの解説がないため、私の貧弱な脳みそでは理解できなかったのです。そのため、その点の解説を付け加えました。

ともかく、この分岐点を蛇窪といいます(現在、厳密には大崎駅構内とされていますが、ここが重要なポイントです。そのため、弊ブログでは旧名称の蛇窪信号場の名前をとって、多くのファンに通用する表現である「蛇窪」と呼ぶことにします)。ここが弱点なのです。

では、蛇窪がなぜ弱点なのでしょうか?

弱点の確認

もう一度、写真をご覧ください。蛇窪では立体交差になっていませんね。ここが弱点なのです。言い換えると、蛇窪で平面交差していることが弱点なのです。蛇窪が平面交差であるために、横浜→新宿の列車と東京→横浜がここを同時に通過することができません。ここで、立体化した池袋と比較しましょう。2017年時点で、池袋と蛇窪で湘南新宿ラインの本数は同じです。一方、横須賀線は埼京線よりも本数が少ない状態です。そのため、池袋と蛇窪を比較すると、蛇窪が平面交差する確率が低くなっています。そのような現状があるために、現在は平面交差でも何とかなっています。重要なことは「何とかなっている」だけの現状で、これ以上の増発が困難なことです。

池袋と同じように、蛇窪を立体交差にすれば良いように思います。この場所を立体交差に変更することは大変困難です。もう一度、写真を見てみましょう。よく見ると、この上に線路が通過していることがわかります。この線路は東急大井町線です。田園都市線とお台場への重要なチャンネルです。大井町線のウンチクは脇に置いて、この分岐点の上に線路が存在し、立体的な制約が存在することが重要です。大井町線の上には新幹線もあるので、大井町線の上をまたぐことも難しいのです。

解決法の模索

この解決法は、横浜→新宿方面の線路を新たに設定することです。その概要を示しましょう(図2)。

大崎短絡線

図2. 大崎短絡線の概要

横浜→新宿の列車が横須賀線を横切ることが問題なのですから、両者が立体交差する地点に短絡線を設けようという発想です(図2の赤線、「大崎短絡線」というようです)。この短絡線を設ければ、横浜→新宿の列車が横須賀線を横切ることはなくなります。この線路は急勾配となるので電車専用となりますが、電車以外の車両-代表例は貨物列車-が通過する機会はそう多くないので、平面交差が問題になることはほとんどなくなります。

ただし、大崎短絡線の建設には、

a) 急カーブが存在して新たなダイヤの弱点となり得ること
b) 大崎駅構内に入れない場合、短絡線だけでは15両編成の列車がおさまらず、横須賀線の線路をふさぐこと
b) 人口密集地のため、住民の理解を得にくいこと

などの難点が存在し、なかなか建設に至らないようです。私としては、輸送安定化の切り札となること、日中でも混雑しがちなので増発が必要なこと、などの理由で必要と考えています。私のようなマニアが考えてもしょうがないと指摘を受けても反論できませんが…。

こちらもチェック!関連リンク
その大崎短絡線の建設現場も実際に訪問しています。

大崎短絡線の現場を訪問する

湘南新宿ラインの現在の弱点のまとめ

・横須賀線から湘南新宿ラインが分岐する地点(通称は蛇窪です)は、平面交差であるために横須賀線の横浜方面行きと湘南新宿ラインの新宿方面行きが同時に通過できない
・大崎短絡線(大崎駅のやや南側)を建設すればこの問題はほぼ解消されるが、諸般の事情で建設に至っていない
・池袋と比較して問題の度合いは小さいために、現行の運用で何とかなっている(している)


シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

『現在の湘南新宿ラインの弱点~ダイヤ作成の肝』へのコメント

  1. 名前:帝都高頻度鈍痛営団 投稿日:2017/12/14(木) 23:33:51 ID:91bdb3740 返信

    大崎行きをスカ線のメインとすれば、つまり横須賀線は品川に行かず全列車を湘南新宿ラインにしてしまう。
    さすれば、蛇窪の平面交差の問題は実質上無くなり、需要に適する。
    できれば大崎に高架に頭端式のホームを作り、総武快速線は大崎まで延長、大崎〜品川は山手線だけなのを解消でき、昼間に乗って貰えないスカ線地下区間の活用にもなり、車両配置もより地域にあったものにできるのでは、と勝手に考えちゃいます。

  2. 名前:tc1151234 投稿日:2017/12/19(火) 20:51:06 ID:91e171186 返信

    帝都高頻度鈍痛営団さん
    コメントありがとうございます。確かにご指摘の通り、横須賀線方面からの列車は全て大崎(ひいては新宿方面)に振り分ければ、平面交差の問題点が解消します。しかし、それには以下の弱点があるでしょう。
    1) 武蔵小杉から品川・東京へのアクセスが不便になる
    武蔵小杉の拠点性が上昇しています。この武蔵小杉から品川や東京への直通をなくすことは利用者の反感を買うことでしょう。また、反感を買った利用者が東急ルートに切り替えるリスクもあることでしょう。
    2) 山手線の増強にならない
    ご提案では(土地の問題はともかくとして)大崎-品川の輸送力増大が実現します。しかし、大崎-品川の利用客が多いと言っても、多くは渋谷か新宿から品川への流れでしょう。ご提案の内容では大崎での乗り継ぎが必須となるため、利用客の多くは山手線をそのまま利用することになるでしょう。つまり、大金を払っても効果が薄いと想定できます。
    ご提案に対し、やや否定的な見解となってしまいましたが、帝都高頻度鈍痛営団さんの見識も一面では真理なのかもしれません。
    私もこのような柔軟な発想が必要であると改めて実感いたしました。