湘南新宿ラインの歴史と今後~運転開始に合わせた東急の対応

湘南新宿ラインは、新宿と横浜を結び、さらに横浜の先に藤沢や小田原という都市が控えています。これらを結ぶ路線として、東急と小田急が存在します。当然ながら、これらの路線は影響を受けます。渋谷-横浜で競合している東急では、どのような対策をとったのでしょうか?



東急渋谷駅の発車案内表示

写真1. 渋谷から頻繁に発車する様子

湘南新宿ライン開業以前

21世紀に入る前、東急自身は両者を結ぶ役割を軽視していたのか、東横線は各停中心のダイヤであり、速達列車も停車駅の多い急行だけ、それも15分間隔というありさまでした。急行の所要時間は32分でそれほど早くありません。これでは湘南新宿ライン設定後に東急を利用しようという乗客は減ってしまいます。

2001年3月:特急の設定

このようなことがあり、2001年3月28日に特急の運転を開始しました(目黒線の活用で輸送力に余力が生じていたことも見逃せませんね)。特急の渋谷-横浜の所要時間は27分とJRよりも遅いものの、運賃の安さと運転間隔でカバーしました。当時(2001年)の湘南新宿ラインは平均20分間隔、東急の特急は15分間隔で勝っていますし、東急には急行の設定もあります。そう、特急はほぼ純増という形で設定されたのでした。渋谷と横浜の2点間の移動は東急に軍配が上がるでしょう。当初、特急は中目黒を通過していましたが、2003年3月19日に停車するようになりました。これにより、都心部から日比谷線経由で東横線にアクセスしやすくなったといえましょう。この停車による所要時間の増加はありませんでした。

※鉄道ジャーナル2001年8月号にこのことに関する記述があります。東急ファンによる興奮した記述が見えます。

みなとみらい線との直通

しかし、横浜駅そのものは横浜の中心部ではなく、横浜観光の目的地の中華街・山下公園エリア、再開発が進むみなとみらいエリアはJR根岸線のほうが近く、ここは東急の出る幕はありませんでした。そればかりが理由ではありませんが、横浜-元町・中華街まで新線が建設されました。この新線と東横線が乗り入れることになりました。2004年2月1日に同区間が開業し、渋谷から元町・中華街まで1本で結びました。これと引き換えに桜木町から東横線に乗車できなくなりました。それでも、観光の名所や再開発(=オフィスが建設されて通勤の目的地になる)が進むスポットまで直結できたのは大きな意味を持ちます。

副都心線への直結

新宿・池袋地区への直結

長いあいだ、東横線は渋谷から乗車するという概念がありました。渋谷こそ流行の最新(だった時代は終わったのかな?)であるものの、街の規模や拠点性は新宿に劣ります。新宿から横浜へ向かう乗客はJRのほうが圧倒的にラクでした。これでは多くの需要を逃してしまいます。また、副都心線が池袋方面から渋谷まで建設されることになっていました。双方を渋谷で切断するのではなく、直結させるほうが利用しやすくなります。そのような意図があったのか、渋谷を境に東横線と副都心線の乗り入れが実現しました。2013年3月16日のことです。これによって、新宿三丁目や池袋から東横線に直結したばかりか、埼玉県からのダイレクトアクセスも可能になったのです。

東急線内を走る西武車(菊名、2017年1月)

写真2. 東横線を走る西武車

着席しずらいという問題点の極小化

副都心線と直通運転する東武東上線と西武池袋線は10両編成が前提、一方の東横線は8両編成が最大と段差が生じていました。このときまでに急行停車駅の10両編成対応工事を実施し、一部の急行と全ての特急を10両編成としました。これによって、「渋谷始発でなくなるために必ず着席できるという保証が消える」という問題点を、座席数の増加で極小化したのです。立ちが発生するから、座れないという問題が発生するのです。座席が増加すれば立ちが発生する可能性は減少するのです。

その他の速達性向上策

内容を詳細には記していませんが、朝ラッシュ時と夕方以降も通勤特急として設定当初よりも増発されています。特に、朝ラッシュ時の渋谷着は設定当初10:00着が最初だったのに対し、2017年10月時点では渋谷着7:14から設定されています。また、朝ラッシュ時については、日比谷線直通の小さな車両による8両編成の廃止(大きな車両による8両編成に置き換わった)、速達列車の10両編成化によって、従来よりも少ない本数で運べるようになりました。そこで、本数を減少させて所要時間を短縮しました。

東急の湘南新宿ラインへの対応まとめ

このように、速達化と直通運転の拡大、そして編成増強による座席増加という改善策を徐々に実施していったのです。これによって、元々の強みの安さと本数の多さも含めてJRに対抗したともいえましょう。また、直通運転の開始でいつの間にか所要時間が伸びるという現象がありますが、特急で渋谷-横浜まで27分ということは変わっていません。所要時間の伸びが全くないことも重要な要素でしょう。


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