埼京線・湘南新宿ライン渋谷駅切替工事

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2018年6月3日。何の変哲もない日曜のように思えますが、1つだけ大きく違うこと、そしてそれが将来を変える重要なきっかけとなること、がありました。今回はそのことに焦点を当てます。また、完成形の様子へのリンクもあります。

渋谷駅切替工事とその意義

2018年6月3日。埼京線・湘南新宿ラインの渋谷駅線路切替工事が行われた日です(2018年5月26日、27日、6月2日も該当します)。そのため、埼京線・湘南新宿ラインは新宿-大崎で区間運休しました。この様子を観察する前に、「なぜ線路を切り替える必要があるのか」を考えましょう。

不便な渋谷駅

埼京線や湘南新宿ラインを利用された人であれば、渋谷駅のホームが離れていて不便であることは実感していると思います。特に、駅の北側に位置するハチ公口からはとても不便な位置にあります。

図1. 渋谷駅周辺の地図(地図の下にあるのが埼京線・湘南新宿ライン)

地図を見ればわかりますが、埼京線・湘南新宿ラインのホームが南側にずれています。このため、埼京線や湘南新宿ラインは北側の車両ばかり混雑します(この理由は新宿や池袋の構造も原因の1つです、渋谷ばかりが悪者ではありません)。では、なぜ埼京線と湘南新宿ラインのホームが南にずれているのでしょう?それはこのホームを建設した当時は東横線の駅があったので、ここしか空いていなかったためです。

しかし、2013年3月にその前提条件は変わります。東横線が地下に移されて一気に空間があいたのです。その空間はさまざまな用途に使われるのですが、その1つに埼京線・湘南新宿ラインのホームの移設があります。余談ですが、東横線が副都心線に直通(=渋谷の地下化)して「(山手線を始めとする)各路線への乗りかえが不便になった」という論調がネット上にあふれました。このときにそもそも渋谷で乗りかえがいらなくなった人がいたり(例えば新宿東口エリアから東横線への利用)、長期的には埼京線や湘南新宿ラインが便利になるという論点を見ない人が多かったように思います。ネットというのは一部の不満の声を拾っているのかもしれません(渋谷での着席可能性については始発が減少したのと引き換えに速達列車の一部が10両になり、座席供給数は増えています)。

渋谷駅の線路切替工事の意義

大人の事情で不便な位置に甘んじていた埼京線・湘南新宿ラインの渋谷駅。これを便利な位置に移動できる前提条件がそろいました。そのためには線路を従来の位置から別の位置にずらさなければなりません。このための工事が線路切替工事です。私がとやかくいうより、公式の情報を確認してみましょう。

2018年初夏切り替え工事

図1. 今回の切替工事の概要(JR東日本公式サイトより)

渋谷切り替え工事2

図2. 2回目の切替工事の概要(JR東日本公式サイトより)

渋谷切り替え工事3

図3. 3回目の切替工事の概要(JR東日本公式サイトより)

渋谷切り替え工事4

図4. 最後の切替工事の概要(JR東日本公式サイトより)

4つのステップで線路を切り替えるようです(図1-4)。最後の工事が終わりましたら、埼京線・湘南新宿ラインのホームが便利な位置にシフトするのです。

新宿の折り返しを見る

当日は埼京線、湘南新宿ラインともに新宿-大崎で折り返し運転を行いました。折り返しができる場所がこの2駅しかないためです。せめて恵比寿で湘南新宿ラインの折り返しができれば、もう少し影響は少なかったのでしょうが…。

その新宿での様子を見てみましょう。

写真1. 新宿のコンコースの様子

新宿のコンコースの電光掲示板を確認すると、渋谷方面の列車が全く表示されていません(写真1)。運休になっているためです。また、成田エクスプレスも新宿から発車しません。「東京でお乗り換えください」という表示が出ていました。せめて8番線の電車で東京まで向かってお乗り換えという表示を出して欲しかったですね。新宿から東京まで成田エクスプレスで24分程度、中央線の快速であれば14分程度ですから、じゅうぶんにリカバリーできるのです。

写真2. 3-4番線は湘南新宿ライン(宇都宮・高崎線)ホーム

新宿でのホーム区分がどうなるのかということを注意深く観察していました。どうやら、3番線と4番線は湘南新宿ラインのホームのようです(写真2)。湘南新宿ライン運行開始当時は3、4番線のみの発着でしたから、昔に戻った気分ですね。

写真3. 1-2番線は埼京線のホーム

そして1-2番線は埼京線のホームです(写真3)。これも昔に戻った感じがします。

湘南新宿ラインはあからさまに空いていました。湘南新宿ラインのメインとなる流動は新宿と宇都宮・高崎線(あるいは東海道・横須賀線)でしょうが、他にも南北を縦貫する流動や、渋谷と宇都宮・高崎線を結ぶ流動も大きいことを改めて実感しました。やはり、東京の南北を結ぶ需要はあるのです。

大崎の折り返しを見る

もう一方の駅である大崎でも折り返しを観察しました。

写真4. 8番線から湘南新宿ライン(横浜方面)が発車

写真5. 7-8番線の電光掲示板

8番線に降りると、湘南新宿ラインが停車していました(写真4)。この方向(手前が南側)に向けて前照灯を照らしていることが、このホームから横浜方面に向かう証拠です。このホームは湘南新宿ライン専用ホームになっていました(写真5)。

写真6. 湘南新宿ラインとりんかい線だけ表示されている

湘南新宿ラインの新宿方面は表示されていません(写真6)。埼京線も表示されていませんでしたが、写真を撮影し忘れていました。

写真7. 7番線は埼京線・りんかい線ではなくて湘南新宿ラインホーム!

通常であれば7番線から湘南新宿ラインが発車することはありませんが、この日は特別なやりくりがなされていました(写真7)。手書きの案内が4日限りであることを物語っています。

写真8. りんかい線以外の案内は消されている

5-6番線はりんかい線ホーム(注. 大崎以南はりんかい線です)になった

りんかい線は5番線と6番線から発車します。そのため、その他の路線についての案内は白紙で隠されています。せめてデザインに合う黒い紙にすれば良かったのに…。

よく見たら変!

このとき、大崎にはE233系が停車していました。いつも大崎に停車している車両なので、そこまで変な光景ではありません。

写真9. 大崎に停車している埼京線E233系(右端に見える)

よく考えてみましょう。この日はりんかい線で折り返し運転です。ということは埼京線の車両はずっとりんかい線に閉じ込められています。埼京線の車両はJRの持ち物です。JRからしてみたらずっと他社線で運用していることになります。前日や翌日の運用の兼ね合いでしょうが、ずっと他社線運用ということもなんだか変ですね。

渋谷での工事をチラ見する

肝心の渋谷の工事の様子も観察できました。というより観察するために運転席後ろに立っていました。今の時代は携帯電話という持ち運びラクなカメラがあるので便利ですね。混雑調査での写真撮影もメールやライン画面を操作するふりが可能な時代になったのです(でも駅の端で車両に視線を向けていたらバレバレ?)

写真10. 上下線の間隔が空いた

上下線の間隔が空いています。この空間にホームを設置するのです。

写真11. 工事の真っ最中!

写真12. 工事の真っ最中!

写真13. 工事の真っ最中!

工事が行われていることがよくわかります(写真11-13)。昼間から大の渋谷駅で工事が行われる場面はそうそうないことでしょう。この工事の直後に取り立てて利便性が変わることはありませんが、東京の鉄道は少しずつ、でも確実に進歩しているのです。

また、変化後の様子も実際に観察しました。以下のリンクからどうぞ!

変化する渋谷駅(銀座線と埼京線・湘南新宿ラインホーム移設)

東京でも多くの利用客を誇りながらもごちゃごちゃした印象を覆せない渋谷駅。その渋谷駅を少しでも便利にしようと、2020年に大きな工事が行われました。この工事後の様子を観察してみました。
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