那覇観光の目玉が首里城です。とはいえ、首里城は中心部から離れており、坂道を上がるなど、アクセスには一工夫必要です。周囲の雰囲気を満喫するとともに、アクセスも工夫してみました。
写真1. 朱が印象的な首里城
首里城へのアクセス方法概要
以下、各ルートの詳細や実際について述べます。ただし、長い本文を読みたくない人もいるでしょうから、簡単に結論だけを示します。
・ゆいレールではなく、バスで現地入りすると上り坂を最大限回避可能、終了時は7系統で去るのが最善策だが、時間が合わない場合はゆいレールの儀保駅に抜けるのが次善策
・ゆいレールからのアクセス:首里駅または儀保駅から徒歩、高低差は首里駅のほうがないが、最短距離は儀保駅から
・バスアクセス:首里城前バス停が最寄、ただし本数が少ない、次善の策として首里城公園入口バス停利用も手。
※首里城前バス停へは7系統(と1日数本レベルの8系統)しかやってこない、おもろまち地区から便利で1時間に1本レベル
※那覇バスターミナルや国際通りへは14系統と346系統。両者ともに走行経路は類似しているが、国際通りで停車するバス停が異なるので要注意
・石畳観光を織り込む場合は、石畳観光で首里城周辺の観光を締めて、そのまま7系統で去るのが坂道を登ることを最大限回避可能
※この手段は正月には利用不可、その場合は首里城公園入口バス停か儀保駅まで歩くしかない
復習:首里城の概要
さて、首里城とはどのようなものでしょうか。簡単に概要をおさらいしましょう。
首里城は琉球王国にとって重要な建物です。明治以前の沖縄は琉球王国という日本とは別枠の国でした(ただし島津藩と協力関係はあったと聞いています)。その琉球王国の王などが住んでいたのが首里城です。明治維新以降、琉球王国はなくなりましたが、沖縄の人が「琉球人」としてのアイデンティティを保つことができた1つの要素がここ首里城なのでしょう。
もともと琉球王国は日本と中国(清)との中継貿易で栄えたという側面があります。そのため、琉球王国のシンボルである首里城は日本のお城を中華風に味付けしたような印象があります。このように、日本と中国の両方の香りを味わえるのです。
首里城は現在の那覇市北東部に位置します。沖縄本島は丘陵が多く、首里城も原則から逃れることができません。現に首里城は丘陵の上にあります。丘陵の上のほうが防御しやすいこともありましょうが、現代の観光客の感覚でいうと、「坂の上に登る必要がある」というのが正直なところです。このことも踏まえて、観光ルートを考えるとスムーズに観光できます。
首里城のアクセスの詳細
さて、実際に那覇市中心部からアクセスするにはどうしたら良いのでしょうか。ゆいレールによるアクセスと路線バスによるアクセスの2つに分けられるでしょう。
アクセス1. ゆいレールで向かう
那覇市内(と浦添市内)にはゆいレールというモノレールが通っています。沖縄県唯一の鉄道路線でもあります。一般に首里駅から向かうとされています。確かに首里駅からだと主要道路からアクセスが可能です。
図1. 首里駅から首里城への徒歩ルート(googleマップから引用)
ただし、この最短ルートだと、首里城観光のスタートからたどることはできません。裏道から入るイメージです。なお、首里城の入口までは首里駅から1.1kmとされています。そのため、首里駅からのアクセスは最短ではありません。
一方、となりの儀保駅からだと首里城の入口までは850mとされていて、首里駅から歩くよりも短い距離で済みます。ただし、高低差があるので、首里城から帰りに適切なアクセスです。
図2. 儀保駅と首里城入口の位置関係(googleマップより引用)
私は実際に首里城からの帰りにこの経路を利用しました。
写真2. 龍潭池近くの交差点を左に曲がる
首里城入口を右に曲がった後、少し進むと突き当たりの交差点(池端交差点)が見えます。その池端交差点を右に曲がります。すると、すぐに交差点が見えます。池が現れる直前ですね。その交差点を左に曲がります(写真2)。
写真3. 観光客が通らなさそうな通りを進む
すると、観光客が通らなさそうな通りを進みます(写真3)。完全に生活道路という感じです。
写真4. 生活道路を進む
生活道路を進みます(写真4)。新興住宅地という感じはしますが、沖縄らしさが漂う一帯でもあります。
写真5. まだ生活道路は続く
まだ生活道路は続きます(写真5)。本当に駅が近づいているか不安になりますが、心配ご無用です。
写真6. さらに下り坂の角度が険しくなる
さらに下り坂の角度が険しくなります(写真6)。反対方向に歩くとなると嫌気がさすでしょう。しかし、私は下り坂ですので、そこまで苦にはなりません。
写真7. 那覇の住宅地を歩く
観光名所でも何でもないただの住宅地です(写真7)。しかし、後で思い返すと、このような道を歩いた記憶のほうが鮮明に残っているものです。
写真8. また道が狭くなってきた
また道が狭くなってきました(写真8)。自家用車やレンタルカーでの移動では、このような狭い道を通ってもらいたくないものです。レンタルカーを借りてわざわざ儀保駅を使う観光客はいないでしょうが。
写真9. 自動車がやってきた
そう言っていたら、自動車がやってきました(写真9)。確か、ゆっくりと進んでいました。
写真10. 坂を下りきった
坂を下りきりました(写真10)。この交差点を右に曲がります。
写真11. 通りを進む
今度は歩道と車道が分離されている道路です(写真11)。この道路は右側の歩道を進めば問題ありません。この後さらに右に曲がりますので、進行方向左側の歩道を進むと無駄に道路を2回渡ることになります。
写真12. ここも道なりに進む
ここも道なりに進みます(写真12)。ここで右に曲がってしまうと、儀保駅に向かうには遠回りになってしまいます。
写真13. モノレールの軌道が見える
モノレールの軌道が見えたら、右に曲がります。モノレールに沿って歩くのです(写真13)。
写真14. 儀保駅が見えた
儀保駅が見えました。あとはホームに上がって、(日中は)8分間隔の電車を待つばかりです。
写真15. 儀保駅からの風景
高架にある駅なので、見晴らしは素晴らしいです(写真15)。
アクセス2. バス路線で向かう
図3. 首里城周辺のバス路線図(沖縄バスマップより引用、引用後首里城周辺は枠で囲む)
まず、バス路線図をご覧いただきましょう(図3)!この図の有無によって、後の理解が全く異なるためです。
首里駅だと高低差は儀保駅よりも小さいですが、ゆいレールでのアクセスは駅から坂道を登るという難点があります。そこでおすすめなのが、バスによるアクセスです。バスは難しい?そうでしょう。私もそう思いますから、路線選定から紹介することにしましょう!
まずは、最寄りのバス停を示しましょう。
・首里城入口(図4):7系統と8系統が発着
図4. 首里城入口バス停(googleマップより引用)
・首里城公園入口(図5):7・8系統のほかに1・14系統、346系統と17系統が発着
図5. 首里城公園入口バス停(googleマップより引用)
最も首里城に近いバス停は首里城入口です(図4)。ただし、7系統と8系統しかやってきません。7系統が1時間に1本強の運行、8系統が1日1本レベルでしかありません。那覇バスターミナルから直通で向かうことができますが、おもろまちを経由するので時間がかかります。那覇バスターミナルから所要時間は33分程度、おもろまち四丁目からだと15分程度です。
なお、詳細な時刻表はバスマップ沖縄に掲載されています。当たればラッキーくらいの感覚ですね!
次に近いバス停は首里城公園入口です。ここは先ほどの7系統、8系統のほかに、1系統、14系統(かなり似た場所を通るので、1まとめにします)、346系統と17系統が通ります。17系統は中心部を微妙に外します。地元利用に特化した系統なのでしょうか。
また、上記の路線図には掲載されていませんが、346系統も運行されていて、1時間に2本程度が確保されています。那覇バスターミナルからの所要時間は17分です。14系統(毎時1本程度の運行)と同じ経路を通るので、ある意味毎時3本程度確保されていることになります。
346系統の時刻表も示します。
私はその346系統で首里城周辺に向かいました。
写真16. 那覇バスターミナルにやってくる346系統
那覇バスターミナルに346系統がやってきました。道路に面した8番のりばから発車します。
写真17. 後ろのドアがふさがれている
沖縄のバスは前乗り、前降りが多い印象があります。そのためか、後ろのドアがふさがれています(写真17)。後ろ乗り、前降りのほうが乗降がスムーズになり、定時運行をしやすいのに、それをしていません。沖縄はのんびりしている風土であることがうかがえる1つのシーンでもあります。
写真18. 那覇市内を走る
那覇バスターミナルと首里城の間に那覇の中心部(国際通り)がある構図です。そのため、しばらくは中心部に向かって走ります。中心部の入口の県庁入口の手前の風景です(写真18)。
写真19. 県庁北口付近を走行中!
県庁北口付近を走行中です(写真19)。この付近から国際通りを走ります。このあたりはゆいレールの県庁前駅に近いです。ゆいレールの県庁前は沖縄県で最も利用の多い駅です。
写真20. 国際通りを走る
国際通りに入ります(写真20)。この346系統は国際通りから乗ることができ、国際通りから首里城近くまで向かう系統ともいえます。ただし、国際通りでは市内線(1・14系統)と市外線(346系統)でとまるバス停が異なります(※)。注意が必要です。
※7系統は国際通りを通らず、港高橋を通ります。よって、国際通りから7系統に乗って首里城に向かうことはできません。
写真21. 国際通りの中央付近を走行中
国際通りは「奇跡の1マイル」とも評されています。そう、アメリカ管理時代に大きく発展した通りです。その1マイルの中央付近の風景です(写真21)。
写真22. 近代的なビルも並ぶ
近代的なビルもあります(写真22)。このあたりは牧志駅に近いエリアです。
写真23. 牧志駅付近を通過!
牧志駅付近を通過します(写真23)。牧志は「まきし」と読みます。国際通りはこのあたりで終了です。
写真24. 郊外的な風景を眺める
国際通りを抜け、郊外的な風景の中を走ります(写真24)。那覇市は人口密度が高く、中心部以外も建物が多いのです。
写真25. 坂を登り始める
そう思っていたら、坂を登り始めます(写真25)。首里の高台に近づいたのでしょうか。
写真26. 坂を登る
坂は続きます(写真26)。何も予備知識を持たずに貸自転車に頼っていたらしんどいところでした。
写真27. 沖縄らしい建物がある
沖縄らしい建物があります(写真27)。きっとここは観光名所にはなっていない普通の建物でしょう。このような建物1つ1つは観光名所にはなりえませんが、このような建物の集合体が地域らしさを作り、それが地域の魅力になるのです。
地域の魅力を演出するために無理に古い建物を残す必要はありません。地域にふさわしい建物を建てて、その集合体がその地域の特色を作り出すのです。
写真28. まもなく首里城公園入口
まもなく首里城公園入口です(写真28)。ここでバスを降りることにします。
さて、首里城公園入口バス停に着きました。どのように首里城まで向かえば良いのでしょうか。
図6. 首里城公園入口バス停から守礼門までの経路(googleマップより引用)
参考に経路を示します(図6)。
写真29. バスからの光景
バス停からの光景です(写真29)。地図を見るとどこかわかりにくい印象を抱きますが、実際には看板が設置されています(写真29)。ほんの少しだけバスが来た道を戻ります。
写真30. すぐに左に曲がる
来た道を戻ったら、最初に信号があります。そこを左折します(写真30)。
写真31. 道を進む
左折したら、進行方向左側の歩道を進みます(写真31)。進行方向右側の歩道だと道路を2回余計に渡ることになり、不合理です。
写真32. 多少の上り坂を歩く
多少上り坂がありますが、ここは足の鍛えどきとプラスに解釈することにしましょう!(写真32)
写真33. 交差点が現れる
交差点が現れます(写真33)。ここを左に向かうと、首里城です。
写真34. 城前の通りを振りかえる
左折後、あとは1本道です。後ろを振り返ってみました(写真34)。
写真35. レストハウスがある
レストハウスがあります(写真35)。ここで一休みするのも良いと思います。
写真36. 守礼門に到着!
首里城からの帰り
写真37. 風情ある石畳
首里城からの帰りは、行きの反対ルートを行くのが1つの手です。ただし、これは素人がやる手です(私は別の事情で「素人」と同じ手段にせざるを得ませんでした)。首里城観光の締めに石畳散策を織り込むと、終始下り坂で観光することができます。
では、「石畳散策で坂を下っても結局また坂を登らないといけないでしょ?」という意見もありましょう。しかし、正月を除いてはこれを回避する裏技があるのです。
図7. 石畳入口バス停
そう、石畳の中腹に石畳入口バス停があります。石畳を降り切ると再び戻る必要がありますが、それでも首里城公園入口バス停まで戻るよりはラクできます。
ただし、石畳入口バス停にやってくるバスは7系統と8系統しかなく、バスが遅れることもあり、気をもむ場面があります。そのようなときはあらかじめバス停の位置を下見し、下見後に周囲を散策するのも手です。バスの場所がわからない?そのようなときは、バスロケーションシステムでバスの現在位置を確認しましょう。私は親切ですから、以下にリンクを整備しています。
なお、石畳を降り切った場所にもバス停があります。しかし、ここには1日4~5往復しかやってきませんから、観光利用には不向きです。そのため、本記事では省略することにしましょう。
正月は周囲の道路事情を考慮して、7系統も石畳入口や首里城前を通りません。年始に首里城を観光しようと考えている人はその点に注意が必要です(本来であれば、バスに誘導するためにこのような措置を行うのは愚策と思います)。私は正月に訪問したので、このようなトラップに引っ掛かり、儀保駅まで歩きました。
首里城のアクセス方法のまとめ
首里城のアクセス方法は、一般的にゆいレールで向かいましょう、というものです。しかし、ゆいレールで首里城入りするのは詰めが甘い証拠です。そのため、本記事では坂の上り下りまで考慮してバス路線アクセスを紹介してみました。
また、正月を除いて石畳観光を最後に持ってきて、7系統で去る方法を紹介させていただきました。一味違うアクセス方法で首里城にアクセスし、現地で観光する体力を温存したいものです。そして、路線バスで一味違う観光を楽しみたいものです。
さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?
首里城のアクセス(ラクな方法も収録!)←今ココ!
今回の旅行記全体を知りたい人はこちら!
※それぞれ別ウィンドウで開きます。