東京の山手線内で唯一の路面電車である都電荒川線。路面電車というとダイヤがないようにも思えますが、実際はダイヤが決められています。そんな都電荒川線のダイヤを紹介します。
写真1. 大塚付近はバラが美しい!
朝ラッシュ時の都電荒川線のダイヤパターン
朝ラッシュ時はおおよそ4~5分間隔で運転されます。1両編成で輸送力が足らなくなさそうにも思えますが、地域輸送の意味合いが強く(ある路線と別の路線を連絡する意味合いはあまりない)、バスのようなものと考えれば、この程度の本数でも問題ありません。
上記の本数は全線通しのものです。大塚駅前、王子駅前と荒川車庫前で折り返し運転もできますから、区間運転も別途設定されています。
利用客が最も多いのは王子駅前ー栄町(1つ三ノ輪橋よりの駅)ですから、ここの本数が一番多いです。栄町断面で早稲田方面に向かう電車は最ピーク時(7:23~8:22)は以下の通りです。
・早稲田行き:13本
・王子駅前行き:1本
・大塚駅前行き:3本
合計は17本であり、平均3~4分間隔です。王子駅前ー三ノ輪橋は近くに普通鉄道の駅が少ないので、都電荒川線が地域の足として貴重や役割を担っていることが読みとれます。
日中時間帯の都電荒川線のダイヤパターン
平日は6~7分間隔(計画上は6分30秒間隔なのでしょう)、土曜と休日は6分間隔です。
計画上は以上の通りなのでしょうが、たまに大塚駅前で折り返す様子も見かけます。沿線には「小さなお出かけ」スポットが多数あり(飛鳥山など)、沿線のお出かけ需要が高まると、臨時増発がなされているのでしょう。
提案
都電荒川線の沿線は「お出かけスポット」が多くあり、沿線の風景も味わい深いものがあります。しかし、沿線の観光案内などは特になされていません。一方で日常利用の人にとっては、これらの案内はわずらわしく感じてしまいます。
そこで、観光客向けに乗りかえ駅と「お出かけスポット」にだけとまり、座席を必ず提供する「観光電車」の運転も手です。この観光電車は定員制かつ料金徴収とすれば、東京都交通局の収益もやや上向きます。車両は観光客向けの内容の9000形とすれば、雰囲気もぴったりです。ロング部分を転換クロスシートにすれば、観光客向けのプレミアム車両となりましょう。
「お出かけ」のためにせっかく乗ったら立ちんぼという事態を回避するには良い施策でしょう。
夕方ラッシュ時の都電荒川線のダイヤパターン
基本的に5分間隔で運転されます。ただし、夕方ラッシュ時の終わりになると、大塚駅前折り返しの電車も設定され、大塚駅前ー早稲田の本数は減ります。大塚駅前ー早稲田は多くの路線があり、池袋や新宿などに向かわない都電荒川線はどうしても利用されません。
都電荒川線のダイヤパターンまとめ
都電荒川線は路面電車で速度も遅く、のんびりとしたダイヤで運転されています。これはこれで地域輸送をこなしていると表現できます。
しかし、これでは機能不足な面も否定できません。例えば、三ノ輪橋から浅草、早稲田から神楽坂までそれぞれ地下で延伸、地上の専用軌道のスピードアップ(40km/hから60km/h)を行えば、さらに使い勝手が上がります。都電荒川線はいわば「マイナーな場所」を結ぶ路線です。人口が900万人の23区です。このような路線があったほうが都市交通全体の機能の底上げに寄与します。
このような計画は皆無ですが、このような考えがあると都市交通全体の機能の底上げだけではなく、既存の路線の混雑緩和にもつながります。