上野東京ラインについて考える~将来を占う[ダイヤ案への落とし込み]

東京に停車中の常磐線特急
写真1. 常磐線の花形である特急列車(東京で撮影)

以前の記述で「上野東京ラインに大きな影響を与えるものは、以下の通り」と述べました。
1) 北海道新幹線、北陸新幹線の延伸
2) 東京‐大阪間のリニア開業
3) 圏央道を中心とする郊外‐郊外の道路網の発達(私はこれについてはあまり詳しくありません)
4) JRの羽田直結構想
これらを踏まえた簡単なダイヤ案を示しましょう。


宇都宮・高崎線~東海道線のダイヤ案

ダイヤ案としては、以下の通りです。

快速系の運転系統

1) 宇都宮-東京-熱海を経由する速達快速(30分間隔)/ins>
※観光客が少ない平日の日中時間帯は、小田原-熱海間は60分間隔として間引く
※観光客の多い休日朝下りと休日夕方上りは、2本ほど黒磯発着などのアレンジを行う

2) 高崎-東京-逗子を経由する速達快速(30分間隔)
※鎌倉の観光需要が高いこと、逗子から東京方面への移動に京急を使わせないために、横須賀方面からの速達性を向上させます。

3) 宇都宮-新宿-逗子を経由する快速(30分間隔)
※小山-宇都宮は各駅に停車。自宅の横を通過する「大宮-小山間快速」の湘南新宿ラインは混雑しているように見えますから、現行の60分間隔から増加させます。

4) 高崎-新宿-熱海を経由する快速(30分間隔)
※熊谷-高崎、小田原-熱海は各駅に停車。自宅の横を通過する湘南新宿ライン特別快速は混雑しているように見えますから、現行の60分間隔から増加させます。停車駅は現行の「特別快速」に恵比寿を追加(恵比寿はナウいスポットですからね、私が行くかどうかは別問題です)します。

大宮-東京-戸塚では1)と2)を交互に完全15分間隔で走らせます。大宮-新宿-戸塚では3)と4)を交互に完全15分間隔で走らせます。宇都宮線内は1)と3)、高崎線内は2)と4)、東海道線内は1)と4)、横須賀線内は2)と3)をそれぞれ15分間隔(末端側は停車駅が異なるのでだんだん間隔がずれていく)とするのです。

大宮-戸塚で新宿経由は東京経由よりも15分遅く設定して、大宮と戸塚で上手に接続するようにします。

草津に到着する新快速223系 

写真2. こんな長距離利用の車両はどうでしょうか?(2017年夏に草津で撮影)

普通の運転系統

高崎線-東京-東海道線の普通、宇都宮線-東京-東海道線の普通をそれぞれ毎時4本運転します。東海道線の平塚以西は毎時8本も運転する必要はなく、毎時4本でじゅうぶんでしょう。
速達快速も含めれば、大宮-東京-戸塚は毎時12本にもなりますが、東京と横浜という大都市を結ぶわけですから、その程度は当たり前といえましょう。
また、高崎線-湘南新宿ライン、宇都宮線-湘南新宿ラインについても毎時2本あると便利でしょう。これにより、湘南新宿ラインの快速通過駅であっても、毎時4本(15分間隔)の頻度が確保できます。快速と合わせれば湘南新宿ラインは毎時8本となりますが、新宿・渋谷-横浜のような流動の多い区間なのですから、その程度確保することはむしろ当たり前といえます。
スムーズに運行する場合、複線での限界は毎時18本程度なので、何とかなるでしょう。

宇都宮・高崎線の提案ダイヤ案に対する輸送力の検討

高崎線の特急の設定本数

特急が前橋や草津から各々毎時1本で輸送力過剰ではないか、というご指摘があるでしょう。ここで、それに対して検証します。高崎以南の利用客は速達快速に乗るため、高崎以北の利用客が主体と仮定します。検討の結果、似た規模の都市や観光地から毎時1本程度確保していること、羽田アクセスという付加価値(それだけ客が乗る)があることから、ひどい空気輸送にはならないと判断しました。以下、その詳細を記します。

前橋からの利用

前橋は人口30万人の都市です。同じく人口30万人の都市といえば、和歌山市が挙げられます。
大阪から和歌山へは、南海が毎時2本(指定席車が毎時8両)運転されています。南海は和歌山だけを相手にした商売ではないのは確かですが、指定席だけを考慮すると、和歌山が流動のメインだと思います(堺などは自由席車を利用するのでしょう)。前橋へも毎時1本(6両編成)ならば、あからさまな空気輸送ではないでしょう。
同じく両毛地区をターゲットとする東武特急「りょうもう」号も同程度の本数で成立していることも、この考えの妥当性を補強する材料になり得ます。
※以前から日中時間帯は前橋直通の特急が設定されていませんね。なぜなのでしょう?

草津温泉への輸送

草津温泉の年間の観光客数は年間300万人と言われています。一方、天橋立の観光客数は年間270万人とほぼ同じです。天橋立へは特急が毎時1本程度運転されています。それならば、草津温泉まで毎時1本程度運転しても過剰ではないでしょう。
また、伊香保温泉へのアクセスも兼ねるので、もう少し利用客が見込めるでしょう。

補足.空港アクセスという付加価値

私の提案では、高崎線特急は羽田空港発着としています。つまり、高崎線特急には羽田アクセスという側面もあります。確かに新特急時代は利用が振るわなかったかもしれません。この原因は色々考えられますが、その1つに始発が上野という都心からやや外れた場所だったということがあります。今回の構想では東京駅を通ります。また、郊外(大宮や熊谷など)と羽田を結ぶ利用も期待できます。
羽田からの特急を宇都宮方面に運行するのも1つの手ですが、北海道新幹線と航空機の競合が激しいため、東北新幹線と並走する路線はあまり羽田アクセスを便利にしない、そんな姑息なことを考えました。

一般列車の設定本数:交通量データからの考察

ダイヤ案の概要は、大宮断面(大宮-土呂/宮原)で特別快速、快速がそれぞれ毎時2本、普通が毎時6本の合計毎時10本というものです(高崎線はこれに特急が毎時2本加わります)。現在は快速系統が毎時1本、普通が毎時5本の合計毎時6本なので、毎時10本にすると毎時4本の増発になります。これでは輸送力過剰という声が出てきます。そこで、ここでは輸送力と輸送量のバランスについて確認します。

日中時間帯のダイヤ(輸送力)と輸送量を確認するための良いデータはないでしょうか?輸送力は時刻表で確認できるでしょう。輸送量は終日のそれでも良いですが、終日利用が存在する路線(例えば山手線)と朝夕のみに利用が傾く路線(例えば鶴見線)では論点が異なってくるでしょう。朝夕の利用者は毎日利用する傾向にあり、日中利用者はたまに利用する傾向にあると考えれば、普通乗車券利用者で考えるのが1つの手法でしょう。

また、経営学的にどの程度が過剰なのか、不足なのかはよく考えねばわからないことですし、私自身もそのようなデータを持ち合わせていません。そこで、東京の民鉄を参考にすることとします(民鉄は色々あれど経営が成立していると考えます)。
これで長い前置きが終わりました。日中時間帯のダイヤ(輸送力)と輸送量を確認するための方法の1つが、民鉄の輸送量とダイヤ(本数)のバランスから推察することとなるでしょう。また、比較する区間は本数が減少しだした区間(東上線であれば東松山-森林公園ではなく川越市-霞ヶ関)とすれば比較条件は揃えられるでしょう。

各線の輸送力と本数

図1. 京成や東武との比較(伊勢崎線の本数は急行以下です)

ここでは、高崎線と比較して輸送量が少ない宇都宮線(東北線)で考えてみましょう。ここで定期外の輸送量がほぼ等しい区間は京成線の津田沼-大久保や東武線の北越谷-大袋が挙げられます。前者は毎時9本、後者は毎時12本です。そのため、大宮-土呂で毎時10本あってもおかしくはありません。輸送量の多い高崎線ならなおさらです。定期券利用者はこの2路線よりも多いのですから、定期券を所有して日中に利用する利用者の存在も考えれば、なおさらこの判断を支持できます。

常磐線のダイヤ考察

前提の確認

この記事については、以下の前提があります。
・常磐線の新宿直通が実現すること(私の中では渋谷方面まで直通させることまでは考えていません)
※これで、上野折り返しの容量の一部を新宿に建て替えることが可能です。

・東京-上野間の線路容量が増加すること
※ラッシュ時を含めて宇都宮・高崎線は上野折り返しはなし、常磐線はラッシュ時のみ上野折り返しを設定

・宇都宮・高崎線のダイヤは上記の通り
・羽田アクセス線が開業していること

常磐線ダイヤの基本

現在、常磐線は60分サイクルで以下の列車が運転されています。
・特急ひたちと特急ときわが各1本
・特別快速(品川-土浦):1本
・快速(品川-土浦):1本
・快速(上野-水戸方面):2本
・快速(上野-取手):2本
・快速(上野-成田):1本
簡単にまとめると、上野-我孫子間は毎時9本(特急含む)あることを意味しています。では、果たしてそれで適正なのでしょうか?大手民鉄の輸送量と本数の関係を整理しましょう。

表1. 各民鉄の輸送量と本数の関係
各線輸送実態(定期外)

図1. 表1の散布図

表1は資料を当たったもの、図1はそれを散布図にまとめたものです。図1を眺めると常磐線の輸送量であれば、毎時14本程度の本数であっても適正レベルであることがわかります。

この14本をどのように分配しましょうか?特急の2本は確定です。特急は品川発着(あるいは羽田空港発着)で良いでしょう。これで残り12本を配分することになります。大まかにいうと日暮里から上野方面(東京・品川方面)に向かう乗客は2/3程度、日暮里から田端方面(池袋・新宿方面)に向かう乗客は1/3程度です。そのため、12本を2:1に分配することになるでしょう。つまり、特急毎時2本、新宿直通が毎時4本であり東京方面へは毎時8本となります。この本数であれば、15分サイクルの上野東京ラインや湘南新宿ラインと合うためこの点からも好都合です。

常磐線ダイヤの詳細を考える

私のダイヤ作成の考えの基本に、特殊系統どうしをまとめることがあります。そうすれば、きれいなダイヤとなり、利用しやすくなります。羽田直通という特殊系統と(上野東京ラインにおける特殊系統の)常磐線をまとめるということもその1つです。
新宿直通、成田直通という考えも常磐線における特殊系統といえましょう。そのため、この両者をまとめることも重要でしょう。また、新宿へは特急が直通しません。そのため、無料速達列車を新宿に振ることも1つの考えでしょう。特別快速は特急を補完する役割があることを考えますと、取手-土浦も速達化(牛久のみ停車)することは重要でしょう。これらを簡単にまとめました(表2)。

表2. 常磐線のダイヤ案

常磐線ダイヤ案(日中、本数のみ)

新橋での線路容量が足らないことを懸念して、快速(取手発着)については東京発着としました。羽田空港発着の中電は毎時4本として、羽田空港から新橋・東京までは15分間隔を確保しています(私のダイヤ案では東京-取手間の中電は完全15分間隔としています)。また、高崎線の有料特急も羽田空港に直結することを妄想しています。羽田アクセスの運転間隔は京急の10分間隔には劣りますが、許容範囲内でしょう。

取手-水戸間も増発していますが、現在の本数ではつくばエクスプレスに対抗できないでしょう。そのため、取手-水戸間も毎時2本増発しています。柏-取手で輸送力過剰というのであれば、一部の快速を我孫子止まりにする手法もあります。なお、柏で折り返すことはできません、やるとすれば我孫子3番線(上下線間の中線)での折り返しです。それをやるならば我孫子で折り返すのが良いと思うのです。なお、ここでは我孫子-取手の輸送力について触れることにはしません。


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