上野東京ラインについて考える~平日の拠点での混雑状況からダイヤを考える

記事上部注釈
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赤羽に停車中の特急草津

写真1. 利用の少なかった草津号

平日昼間時間帯の混雑調査

物ごとの将来を考えるには、まずは現状把握が必要不可欠です。そこで、2015年の10/19に北側(赤羽駅)と南側(品川駅)で利用状況を確認いたしました。この日は毎日が充実して忙しい私に時間が空いたということ以外は、何もない平日でした。つまり、平常の利用実態を反映していると考えられます。

なお、KOYA様が提案された、混雑ポイントという概念を導入しました。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

赤羽での混雑状況

北側の混雑状況を確認するために赤羽で調査いたしました。以下の調査では4号車と5号車、そして有料列車については除いております。あらかじめご容赦願います。

赤羽下りの混雑状況

まずは生データをご覧いただきましょう(表2)。

表2. 赤羽下りの利用状況

上野東京ライン混雑:赤羽北行

数字の羅列だと見る気がしないでしょうから、鋭い私が解析を加えます。

上野始発列車の利用が目立って少ないです。利用客の東京直通思考が読み取れます。
・15両編成の11号車から15号車の利用は目立って少ないです。

赤羽上りの混雑状況

表2. 赤羽上りの利用状況

上野東京ラインの混雑:赤羽南行

これも下りと同様の解析が可能です。

赤羽での混雑状況の解析

上下線の解析で、以下の結論が導き出されるでしょう。
・上野発着列車の東京方面延長が必要
・現状の運転本数から考えると、10両編成でも対応可能(というより15両編成の意味は少ない)である。

品川での混雑状況

品川でも上り(川崎→品川)での混雑状況を確認いたしました(表3)。

表3. 品川断面での利用状況
上野東京ラインの混雑:品川上り
数字の羅列だと見る気がしないでしょうから、鋭い私が解析を加えます。
・10両編成だと混雑する。
※当該列車は平塚で快速の待ち合わせを行うため、他よりも利用が少ないと推察できるにもかかわらずです。
・15両編成の11号車から15号車の利用はやや少ないが、赤羽断面ほど差はない。
・10両編成だとしたら、毎時8本とするのが適切である。

東京での混雑調査

私は別の日に東京で同様に混雑を調査いたしました(表4、表5)。

表4. 上野→東京での混雑状況
上野東京ライン混雑:東京南行

表5. 東京→上野での混雑状況

上野東京ライン混雑:東京北行

ここでは、各車両の混雑状況のほかに、10両編成に換算した混雑率も掲げました。以下のように分析できると思います。

・13号車~15号車の乗車率はかなり低い。
→15両編成であっても最混雑車両の混雑を緩和するには効果が低い。それよりも本数を増やす方が効果は見込まれる
・10両編成、10分間隔だとすると宇都宮・高崎線の混雑率はおよそ50%となる。乗車率50%ということは座席が全て埋まり、一部立客も発生する程度である。
・宇都宮線より高崎線が混雑していた。運用の都合上、この時間帯は宇都宮線に15両編成が多かったが、本来は高崎線に15両編成の比重を高めるべきである。
・常磐線は空いていた。これは上野東京ラインの本数が多くないゆえに、多くの乗客が日暮里で乗り換えるためであろう。
全体としていえるのは、10分間隔であれば10両編成では不足するということ

補足.赤羽→品川の混雑確認

赤羽で調査を終えた私は、品川で調査するために上野東京ラインに乗りました。乗車する中で利用状況を確認いたしました。その結果、以下の印象を抱きました。

赤羽→上野:比較的空いている
※尾久の乗降は少なかったです。
上野→東京:同上
東京→新橋:座席が埋まる程度
新橋→品川:やや立ち客あり
品川発車:もう少し混んでいる

総じて北側(宇都宮線側)よりも南側(東海道線側)が混んでいる感触でした。
この理由として以下のことが考えられます。

・時間帯的に上りより下りが混む。すなわち、上りとなった赤羽→東京は空いていて、下りとなる東京以降は混んだ。
・そもそも日中は北側よりも南側が混雑する

同じ「上り」の混雑も南側が激しいことから、後者の要因が大きいのでしょう。

ネット上を見ると地域間対立を煽る感情論も見えますが、私のように冷静に鋭く分析している方は見受けられませんでした(私の探し方が下手という指摘は無視します)。そのため、このような調査をしてみました。

混雑状況からダイヤを考える

現状把握したデータからダイヤを考えてみましょう。あくまでも現状ベースとしています。

混雑調査からの考察

混雑状況を調査した上での気づきは、南北両方向ともに毎時8本が望ましいということです。
つまり、東海道線は毎時2本の増発を意味します。東京と横浜という2大都市を結ぶのですから、過剰ではないでしょう。また、この他に、特急踊り子、特急草津が加わります。これらは東京発着で良いでしょう。

東京で双方に折り返すのが不合理ならば、踊り子は上野発着、草津は品川発着でも構いません。

ダイヤ修正案の提案

一つの案としては、東京発着の相対時刻は以下のように考えられます。

※相対時刻とは:ある駅において列車の発着順序を示すために、仮の時刻を設定したもの。実際は他の駅の都合などで前後することがある。例えば、下の例で特急の発車時刻を00分としたが、(例えば)伊東線の行き違いの関係で5分ずらすという場合は他の列車も5分ずらす。

南側(東京発東海道線)の発車時刻案

(特)00 02 05 07 13 17 22 (特)30 (快)32 37 43 47 50 52
(特)は特急踊り子、(快)は快速アクティ、青色は常磐線(品川行き)、他は普通電車
ここで、毎時02分発の普通電車は戸塚で新宿方面からの特別快速に相互接続、毎時32分発の快速電車は戸塚で新宿方面からの普通電車に相互接続という形にすれば利便性は向上します。

北側(東京発宇都宮・高崎・常磐線)の発車時刻案

(特)00 02 04 07 17 22 24 26 (特)30 32 37 47 52 54
ここで、橙色の列車は高崎線、緑色の列車は宇都宮線、青色は常磐線(品川始発)を示します。

また、下線で示した列車は大宮で相互接続を取ります。例えば、毎時02分発の高崎線は大宮で新宿方面からの宇都宮線と相互接続をとるということです。東海道線、宇都宮線、高崎線それぞれの行き先、待ち合わせなどはそれぞれの線区の事情を鑑みて総合的に決定できます。

上野での平面交差を考察する

ここで、上野駅の平面交差を簡単に考えましょう。
上野駅での平面交差は常磐線下りが宇都宮線・高崎線上りと干渉することです。平面交差の有無を考察するには、常磐線下りが上野駅発車時点でどのような動きをするのか考えれば良いのです。

04分発:上野発車は09分頃、この時刻に上野を発車する宇都宮・高崎線は02分と12分。問題ありません。
24分発:上野発車は29分頃、この時刻に上野を発車する宇都宮・高崎線は27分と32分。おそらく問題ありません。
26分発:上野発車は32分頃、この時刻に上野を発車する宇都宮・高崎線は32分と42分。問題ありません。
54分発:上野発車は59分頃、この時刻に上野を発車する宇都宮・高崎線は57分と02分。おそらく問題ありません。

ダイヤ修正案の提案まとめ

これで、当面のダイヤは示すことができました。しかし、現状の上野東京ラインは1点重要な欠点を持っています。この欠点を克服するには別のことを行う必要があります。次回の記事(上野東京ラインについて考える~現状の大きな欠点と上野駅改良)では、この欠点とその解決法をお示しします。

この欠点、多くの考察者の間では行われていません(多分気づいていないでしょう)。それに気づく私は鋭いのです。

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