115系(113系)リニューアル車両(山陽地区)の車内

記事上部注釈
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JR西日本で活躍する115系のリニューアル車両。そのリニューアル車両の車内を観察してみました。また、同等のリニューアルが実施された113系電車についても触れています。

※2ドアで車内が異なる3000番台、地方向けの2両編成については本記事では言及しません。

113系リニューアル車車内

写真1. 113系とは思えない内装(2016年に岩国で撮影)

復習:40Nリニューアルと30Nリニューアルの違い

以下の記述で40Nリニューアル(以下40N)と30Nリニューアル(以下30N)という概念を持ち出しますが、その基本概念について紹介します。

2000年ごろJR西日本では老朽化する国鉄型車両の処遇について考えていました。新車を投入するペースから逆算し、国鉄型をしばらく残すことが明らかとなっていました。そのため、しばらく残る国鉄型車両を新車(223系)並みの車内にリニューアルして、製造後40年使用できるようにしました。これが40Nリニューアル車両です。

しかし、そこまでリニューアルすると費用や工数がかかってしまいます。そこで、使用年数を10年短くしてリニューアル内容を要点に絞ったものにしました。このような車両を30Nリニューアル車両と呼ぶことにしました。

ここまでまとめると、

・40N:製造後40年使用できるようにするために車内を徹底的にリニューアル
・30N:製造後30年使用できるようにするために車内をピンポイントでリニューアル

ということです。

本記事では山陽本線岡山地区を走る113系、115系について取り上げます。いずれも形式ごとに違いは特にありません。

写真2. 113系のN40とN30の外観

旅行中にちょうど良い写真を撮影できました(写真2)。左側が40N、右側が30Nです。40Nは雨どいが撤去されていて、外観がすっきりしているのに対し、30Nは雨どいがそのままです。外観から見分ける有力な手段です。

雨どいが40N車両並みになっているのに、内装がそのままの車両もあったと聞きますが、そのような例外はここでは忘れることにしましょう!

113系、115系の車内の紹介

そのリニューアル車両に入ってみましょう!写真は113系N40車、115系N30車の双方を掲載しています。

113系リニューアル車車内

写真3. 113系40Nの車内(2016年に岩国で撮影)

113系40Nの車内です(写真3)。もともとのボックスシートから転換クロスシートに変更されています。当時の新製車両223系電車と同等の車内です。また、茶色系のカラーを採用して落ち着きのある雰囲気も演出されています。

その転換クロスシートは扉間に5列設置されています。

113系リニューアル車車内

写真4. 扉近くのボックスシート

扉に近い場所は座席が固定されています。扉間5列を設置しようと思うと、このような配列にならざるを得ないでしょう。

写真5. ボックスシートに座ってみた(2021年に糸崎で撮影)

そのボックスシートに座ってみました(写真5)。これは30Nです。要点をしぼったリニューアル工事になっているので、蛍光灯にカバーが付いていません。とはいえ、乗客的には同等の車内ととらえることが可能です。

写真6. ボックスシートに座ってみた(2021年に糸崎で撮影)

ボックスシートからの視点でもう1枚撮影しました(写真6)。

写真7. 転換クロスシート部分に座る(2021年に福山-備後赤坂で撮影)

転換クロスシート部分に座っています(写真7)。運転台仕切り窓も見えますが、運転台仕切り窓は大きくなっていません。JR東海車では仕切窓が大型化されていましたが、JR西日本は発想が異なります。

写真8. 窓割と座席割は合っていない(2021年に福山-備後赤坂で撮影)

窓割と座席割は合っていません(写真8)。私が見たところ、ドア間5列のうち、3列目だと展望が悪そうです。なお、朝の福山始発で空いていたので、多くの座席が進行方向と逆向きでした。

ただし、もともと戸袋窓があり、窓の面積が比較的大きいので、窓割と座席割が一致しないという問題は極小化されています。

写真9. 天井の蛍光灯部分(2021年に福山-備後赤坂で撮影)

天井の蛍光灯部分です(写真9)。40N車両でしたので、蛍光灯にカバーが付いています。

写真10. 荷棚を撮影(2021年に福山-備後赤坂で撮影)

荷棚をクローズアップしてみましょう(写真10)!もともとのパイプから手が加えられています。

写真11. 30Nの天井部分(2021年に撮影)

30Nも同様の部分を撮影していました(写真11)。意匠的には40Nとあまり変わりません。30Nリニューアル工事は40Nと同等の車内にしつつ、工事費用を削減するために「ピンポイント」としたことがわかります。確かに、車外に凹凸はありますが、JR西日本によくあることなので、問題にはなりません。

写真12. ドア付近を眺める

ドア付近を眺めます(写真12)。ドアの見た目は全く変わっていません。ステンレスむき出しの扉、単板ガラスの窓と113系のままです。関東の私鉄のリニューアル車では化粧板が貼られた複層ガラスの車両も見ます(小田急1000形、東武9000系、10000系など)が、そこまでのことはやられていません。

なお、N40車ではドアエンジンが交換されていて、ドアの開閉が静かです。撮影された方がいらっしゃたので、その動画を転載いたします。

JR西日本 113系 リニューアル車(半自動) ドア開閉

写真13. ドアボタンが付いている(2017年に柘植で撮影)

ドアボタンが付いています(写真13)。車内保温のためには重要な設備です。なお、発車時は車掌さんがドアを一括で閉めますので、乗客がドアを閉めないと発車できない、ということはありません。

写真14. トイレ付近にはロングシートがある

トイレ付近はロングシートが残っていました。車端部はボックスシートにするよりも、ロングシートにしたほうが多様化するニーズには応えられそうですが。

なお、私が乗った115系N30車両のトイレは和式のままでした。ここはリニューアル対象外だったのでしょうか。

リニューアル車両に乗ってみて

窓割と座席割が合わない部分があったり、ドアがそのままという改造車ならではの粗が見えてしまったものの、現代的な車内にリニューアルされていて快適でした。窓割と座席割が合わないといっても5列中1列だけですし、ドア部分は現代的な車両でも同等のものがあると考えると、許容範囲内でしょうか。

新車投入がままならない中、旧型車両でも新型と同等のサービス水準に引き上げた功績は大いに称賛されるべき内容ですし、乗客にとっては新型・旧型などというより中身が重要です。

確かに、40Nと30Nのリニューアル車両が連結されて外観がちぐはぐになっている、リニューアル車と非リニューアル車が連結されている、などの問題点をあげつらうこともできます。前者については山手線でも生じていることですし、後者については非リニューアル車両が優先的に廃車になっているためか、あまり見かけませんでした。

リニューアルしているとはいえ、旧型車ですので、寿命もそう長くないでしょう。それでも、このリニューアルで作り上げた快適な車内を後継車両に、さらには日本全国に広めてもらいたいものです。

写真13. (参考)山手線のE235系(手前から2両目だけ車体断面が異なります)

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