新潟地区で広く使われているE129系。セミクロスの部分とオールロングの部分が分かれているという特殊な車内です。そんなE129系を紹介します。
写真1. 弥彦駅に停車中のE129系電車
復習:E129系電車の概要
E129系電車の概要をまとめましょう。
- 所属:JR東日本
- 編成:2両編成と4両編成
- 形態:3ドアセミクロスシート(ロングシートが多め)
- 運用:上越線(水上-宮内)、信越本線(直江津-新潟)、越後線、白新線、弥彦線、羽越本線(新津-村上)
E129系電車は新潟地区に残存する115系電車の置き換えのために投入された電車です。効率的な輸送を可能にすることを目的とするためか、2両編成が基本となっています。ただし、終日4両編成で運用することも考慮し、4両編成の組成もあります。2+2両の4両で運用すると、乗客側にとっては運転席スペースのぶんの乗車スペースの減少、会社側にとっては運転席機器ぶんの製造コスト上昇という形で双方にデメリットが生じるためです。
室内は特徴的で、運転席直後のドア~中間のドアはオールロングシート、中間のドア~連結部のドアがセミクロスシートとなっています。これは、ワンマン運転時に多くの乗客が前側のドアから降りることを考慮しているように感じます。運転席に近く、通路を通る乗客が多い箇所はロングシートとして通路幅を確保した形です。
そこまで混むのであれば、増結なり増発なりで対処するのが正道だと思うのですが…。
4両編成のレイアウトは2両編成のレイアウトを踏襲した形です。中間車でも車両の半分はロングシートが占めています。
基本的に新潟地区の在来線の普通電車に使われています。逆に電車運転列車で他の形式が来ることはまれです。
E129系の車内を眺める
さて、実際にE129系の車内を眺めてみましょう。
写真2. E129系の全景
運転席側から車内を撮影しました(写真2)。手前(運転席)側にロングシートが広がり、その奥にセミクロスシートが広がります。ロングシートは11人掛け、セミクロスシートは片側12人(ロングシート4人、ボックス席8人)掛けです。
前身の115系やE127系は緑系の車体なのに対し、E129系は赤系の飾り帯です。何かイメージチェンジしたかったのでしょうか。車内の座席もE127系の緑系から赤系に変わっています。
(参考)写真3. えちごトキめき鉄道ET127系(=元E127系)の車内
写真4. ロングシート部分
ロングシート部分です(写真4)。3ドアのぶん、首都圏の7人掛けよりも座席が多い11人掛けで多くの人が座れます。
写真5. ロングシート部分
ロングシート部分を別角度から撮影しました(写真5)。
写真6. セミクロス部分の全景
セミクロス部分の全景です(写真6)。
写真7. セミクロス部分
セミクロス部分です(写真7)。
写真8. セミクロス部分
セミクロス部分を別の角度から撮影しました(写真8)。ドア間に2組のボックスシートが配置されています。
写真9. セミクロス部分
通常のボックスシートですが、首都圏の4ドア車のそれよりもシートピッチが広く、乗り心地は勝っているように感じます(写真9)。ここまでやるのであれば、転換クロスシートにしてもバチは当たらないように感じます。
写真10. ボックスシートに着席したときの視野
ボックスシートに着席した際の視線です(写真10)。UVカットガラス越しの緑色がかった風景を眺めることができます。JR東日本の通勤車らしく、カーテンはありません。
写真11. 優先席部分
車端部の様子です(写真11)。2両編成のもう1つの車端部はトイレと車いすスペースです。
写真12. 優先席部分
優先席部分を別の角度から撮影しました(写真12)。4人掛けのロングシートです。
写真13. 優先席付近の窓配置
優先席付近の窓配置です(写真13)。これは2両編成の車端部(と4両編成の1両目と2両目、3両目と4両目の境界)に相当します。4両編成の2両目と3両目の境界はもう少し小さな窓です。
写真14. 4両編成の2両目と3両目の境の車端部
4両編成の車端部には先ほどの写真と異なる部分があります(写真14)。2両目と3両目の境界に相当します。2両編成の運転台に相当する部分です。
写真15. ドア部分
客用ドアを見てみましょう(写真15)。白い化粧板が貼られた清潔感があるドアです。JR東日本の通勤型でいうE531系以前のステンレスむき出しの冷たさを感じさせる銀色のドアではありません。
運転台仕切り窓が見えますが、ワンマン運転対応ということもあり、運転席仕切り窓は大きいほうです。これは、仙台地区のE721系も同様です。
写真16. ドア部分
ドア部分を別の角度から撮影しました(写真16)。
写真17. ドア窓は単板ガラス
ドア窓は単板ガラスであり、複層ガラスではありません(写真17)。この車両の前後に投入されたE721系、E233系、E235系という通勤車は複層ガラスを採用していることを考えると、この車両だけ単板ガラスになっている理由は何でしょうか。首都圏ほど混雑せず(=ドア前に立つ機会が小さい)、仙台地区ほど寒くない(=ドア窓が結露しにくい)と考えた結果なのでしょうか。サービスアップを考えるのであれば、複層ガラスを採用したほうが良いと思います。
写真18. トイレの様子
E129系にはトイレも付いています。そのトイレの様子です(写真18)。
写真19. トイレの様子
そのトイレを別角度から撮影しました(写真19)。
E129系の車内を眺めてみて
写真20. 吉田で並ぶE129系
E129系はセミクロス部分とロングシート部分があり、通勤・通学輸送で混雑する場面と中距離利用の場面の双方を満たす車両として投入されているように感じました。そのような意味で地方都市圏の車両としてはそれなりのレベルと思います。
ただし、特急の本数が少ないこともあり、この車両が長距離輸送を担う場面も散見されます。その機能をボックスシートに担わせるのはある意味酷といえます。新潟地区はバスも強いライバルです。それであれば、ボックスシートの部分を転換クロスシートにするなどの工夫を考える必要がありました。今からE129系全車をそのように改造するのは現実的ではないでしょうが、直江津快速に充当する車両の一部を指定席に改造し、その部分を回転リクライニングシートにするなどの手はあるように感じました。