特急大雪の乗車記(19年GW、グリーン車)

記事上部注釈
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旭川から網走まで結ぶ特急大雪。2017年に旭川でオホーツクを分割したことで誕生した列車名です。その大雪に旭川から網走まで乗り、実際の様子を確認しました。もちろん、グリーン車の車内や沿線の美しい車窓も記しています。また、将来像も軽く考えてみました。

183系気動車大雪(旭川)

写真1. 旭川に停車中の大雪

復習:特急大雪の概要

まずは、旭川と網走を結ぶ特急の概要を示します。

旭川と網走を結ぶ特急の概要

・列車名:オホーツク、大雪
 ※札幌直通(1日2往復)はオホーツク、旭川発着(1日2往復)は大雪
・本数:1日4往復
・所要時間:3時間50分前後(札幌-網走は5時間30分程度)
・停車駅:上川、白滝、丸瀬布、遠軽、生田原、留辺蘂、北見、美幌、女満別
 ※一部の列車は白滝、丸瀬布は通過(両方通過はなし)

旭川と網走の間は1日4往復の運転です。札幌直通は半分しかありませんが、もう半分は旭川で特急ライラックに接続することで、札幌と網走のチャンネルを確保しています。網走自体の人口は稚内よりも少ないですが、途中に北見があるので、本数は稚内系統よりも多く確保されています。特急券は1列車につき1枚が基本ですが、ライラック(なりカムイ)と大雪(なりサロベツ)を旭川で乗り継ぐ場合は、通しの特急券で利用できます。つまり、旭川での系統分断による料金面の不都合はないのです。そのため、両者を乗りつぐ場合は両者の特急券を同時に購入する必要があります。

所要時間は札幌-網走で5時間30分程度とかなりかかっています。これは、もともと最高速度100km/hの車両を使っていたこと、石北本線もそれに合わせた95km/h運転しか行っていないためです。現在は最高速度110km/h運転が可能な車両を使っていますが、旭川-新旭川しかその性能を発揮できません(注.この区間は最高速度130km/h対応可能な宗谷本線であり、石北本線ではありません)。この効果は微々たるものでしょう。表定速度は60km/h~65km/h程度です。なお、ハイデッカーグリーン車が連結されていて、道内の他の特急には見られない特長となっています。北海道の景色が雄大すぎてハイデッカー程度ではそう景色が変わらないという現実からは目を背けます。

沿線にはほとんど都市はありません。そのため、函館本線の尺度では「こんな駅に停車するの」という駅もあります。なお、遠軽では進行方向が変わります。

ここで注意したいのは特急「大雪」の読みかたです。私はてっきり「いせつ」と思っていましたが、正解は「いせつ」です。実際の山脈には両方の読みが認められていますが、列車名は濁らない読みかたが正解です。

また、利用する上での注意点は、車内販売が一切ないことです。したがいまして、飲食物は駅であらかじめ入手したほうが良いです。特に、お昼をまたぐ利用のときは。

特急大雪のグリーン車車内

では、特急大雪のグリーン車車内を見てみましょう。2019年現在、道内で唯一のハイデッカーグリーン車です。一部、普通車に設置された共用設備も収録しています。

グリーン車車内の紹介

まずは、グリーン車車内の紹介です。

183系気動車グリーン車車内

写真2. ハイデッカーグリーン車への入口

ハイデッカーグリーン車への入口です。デッキからしてすでに高さがあります(写真2)。

183系気動車グリーン車車内

写真3. デッキからグリーン車へのスロープ

デッキ部分とグリーン車の間にもスロープがあります(写真3)。このスロープを上がるとグリーン車です。入口の左に見えるのがかつての喫煙スペースです。今は車内全面禁煙なので、このスペースが生かされていません。どうせなら、荷物スペースに転用すれば良いのに。

183系気動車グリーン車車内

写真4. グリーン車への入口

グリーン車入口です。木目調のドアが目立ちます。この車両(183系気動車)が登場したのは1980年代後半です。この頃は木目調のインテリアが流行したと聞いています。

183系気動車グリーン車車内

写真5. グリーン車全景

グリーン車全景です(写真5)。仕切壁の木目調、茶色の座席があり、茶色の雰囲気が色濃く出ています。照明も電球色ですので、暖かみのある車内です。

183系気動車グリーン車車内

写真6. 1人がけ座席の全景

1人がけの座席です(写真6)。座席が大きく、ゆったりくつろげます。

183系気動車グリーン車車内

写真7. 天井の電球色の照明

天井を見てみましょう(写真7)。後に登場した車両とは異なり、天井はノーマルなカラーですが、電球色の照明が良い雰囲気の車内にしています。

183系気動車グリーン車車内

写真8. グリーン車の座席の概要

グリーン席の概要が背面テーブルに示してあります(写真8)。とてもわかりやすい案内です。背面テーブル、ドリンクホルダ、足のせ、補助照明、そしてパソコン用電源があります。

183系気動車グリーン車車内

写真9. 足元には足のせを装備!

さて、足のせを見てみましょう(写真9)。ここに足を置いても快適そうです。

183系気動車グリーン車車内

写真10. 足のせを展開!

しかし、足のせはさらに展開できます(写真10)。こちらのほうがより快適そうです。というより、くつろげました。

183系気動車グリーン車車内

写真11. ボトルホルダもある

ペットボトルを置くためのホルダもあります(写真11)。

183系気動車グリーン車車内

写真12. ボトルホルダを展開した様子

このように展開できます(写真12)。

183系気動車グリーン車車内

写真13. 座席背面テーブルを展開

座席背面にテーブルが付いています。そのテーブルを展開すると、このようになります(写真13)。

183系気動車グリーン車車内

写真14. 座席背面テーブルを手前に寄せた

グリーン車は座席間隔が広いので、自分の体とテーブルの距離が長くて使いにくいです。そのため、テーブルを手前に持ってくることができます(写真14)。

183系気動車グリーン車車内

写真15. 照明スイッチがある

電球色の照明で全体的にくつろぐことを想定している車内ですので、作業をする際に暗く感じることもあります。それを補うために、グリーン席は座席に内蔵された補助照明があります。ひじ掛けにその操作ボタンがあります(写真15)。

183系気動車グリーン車車内

写真16. 座席内蔵の照明が点灯した

その照明が点灯しました(写真16)。このように、大雪(やオホーツク)のグリーン車は快適に過ごせる設備が整っています。まわりの人を軽く眺めると、4人組のグループ客はいなくて1人利用が多いように見えます。たしかに静かなグリーン車であれば、おしゃべりしにくいですからね。

普通車に設置された共用設備の紹介

私は3号車よりの座席に座っていましたので、普通車(3号車)のトイレを使いました。その車内も紹介しましょう。

183系気動車グリーン車車内

写真17. 機能的な洗面台

グリーン車は2号車に付いていますが、3号車の洗面所を使いました。洗面所の全景です。1980年代に登場したので、2019年現在では30年以上経過したことになります。30年経過すると、水回りに老朽化が目立ちます。

183系気動車グリーン車車内

写真18. 機能的なお手洗い

お手洗いも現代の車両と比べると見劣りしてしまいます(写真18)。

183系気動車グリーン車車内

写真19. かつての売店カウンターはカーテンが閉められている

かつては売店カウンタ-がありました。今はカウンターどころか、車内販売もありません。そのため、この空間は何ら活用されていません。大雪なりオホーツクは乗車時間が長いのですから、飲み物の自動販売機を設置するべきです。

特急大雪の車窓を楽しむ

では、実際に乗ってみて、車窓を堪能しましょう。

写真20. 旭川の特急大雪の発車案内

特急ライラックから大雪への接続時間は16分です。旭川では同じホームを使うので、物理的には2分あれば乗りかえ可能です。列車が3分遅れたとしても、接続時間は5分もあればじゅうぶんです。それなのに、16分もかけています。11分程度は無駄な時間を過ごさせるのです。

写真21. 旭川の市街地を高架で走る

旭川を出ると、市街地を高架で走ります(写真21)。旭川市内だと旭川四条(旭川の次の駅)が目的地に近い場合もあるでしょう。そのような需要を取り込むためにも、札幌と旭川を結ぶ特急のうち何本かを新旭川まで延長するべきでしょう。幸い、新旭川までは複線電化の路線なのですから。

写真22. 新旭川を通過

新旭川を通過します(写真22)。ここから一気にのどかな景色に変わります。ここまで説明的な文章が続いたので、景色をご堪能いただきましょう!

写真23. 川を渡る

写真24. のどかな景色を行く

写真25. 大雪山系が見える

写真26. 川を眺める

このように、人里ではあるものの、住宅街とは異なる風景が展開します(写真23-26)。

写真27. 快速とのすれ違い

途中の中愛別で快速とすれ違います(写真27)。実際は特別快速きたみなのですが、快速と表示されています。

写真28. のどかな景色を行く

写真29. のどかな風景を行く

上川まではのどかな景色が続きます(写真28-29)。そして上川を過ぎると、上川地方と網走地方の境界の山越えが始まります。

写真30. 山越え:川沿いの山道を走る

川沿いに山の中腹まで登ります(写真30)。スピードが落ちてきました。

写真31. 雪が増えてきた

標高が高くなると気温が下がり、溶け残っている雪があります(写真31)。

写真32. 山中を行く

完全に山中の景色です(写真32)。

写真33. 再び人里に近づいてきた

トンネルを抜けると、網走地方に入ります。このように、人の手が入っている景色に変わります(写真33)。

写真34. 白滝を通過

上川と白滝は隣の駅ですが、37.3kmも離れています。中央線の新宿-八王子の営業キロが37.1kmですので、この両駅がどれほど離れているかというものです。この両駅は普通列車(特快きたみ含む)が1日2往復と、この峠を越える地域需要がないことがわかります。もっとも、白滝からも1日4往復しかないのですが。

写真35. 美しい景色

写真36. 川沿いを走る

再び美しい光景の中を走ります。このような景色は北海道らしい景色ですよね(写真35-36)。

写真37. 丸瀬布に停車

丸瀬布に停車します(写真37)。函館本線の札幌-旭川であれば特急は通過するレベルのように見えますが、ここは石北本線です。

写真38. のどかな中を走る

写真39. 川を渡る

遠軽町ののどかな景色を走ります(写真38-39)。

写真40. 遠軽が近づいてきた

遠軽が近づいてきて、遠軽に停車します。遠軽で何人か乗ってきたようです。ただし、グリーン車の乗客は動きません。遠軽から北見や網走までであれば、自由席でじゅうぶんですからね。

写真41. 再びのどかな景色

写真42. 酪農家が見える

このあたりの産業は酪農が主体なのでしょうか。牧場が多いように思えます(写真41-42)。

写真43. 山中に入る

遠軽から先はずっと畑と牧場が広がると先入観がありましたが、生田原(いくた「は」らと読みます)と留辺蘂(るべしべと読みます)の間でも山越えがあるのですね。知りませんでした(写真43)。

写真44. 再び畑が現れる

再び人の手が入っている土地が現れます(写真44)。

写真45. 川を渡る

それにしても川が多いです(写真45)。このような川の存在が地域を潤すのです。

写真46. 工場がある

久々に工場の建物を見たように思います(写真46)。工場があるということは、そこに産業があることを示します。

写真47. 北見が近づいてきた

網走地方で一番人口の多い都市である北見が近づいてきました。旭川を出て始めて住宅街が見えてきました(写真47)。

写真48. 北見に停車!

北見に停車します(写真48)。旭川発車時点では5割程度の乗車率だったわがグリーン車も空席が目立ちます。これは普通車指定席であっても同様でしょう。

写真49. 北見市の高架区間を行く

北見市内は西側が地下区間、東側が高架区間(写真49)と連続立体化工事が完了しています。石北本線レベルであれば、立体化をする意味がなさそうですが、地元の判断です。

写真50. 川を渡る

写真51. 網走湖が見える

のどかな景色が広がり、何駅かに停車し、網走湖が左側に見えます(写真51)。もうまもなく終点の網走です。

写真52. 終点網走に到着!

網走に着きました。駅に到着した私は駅舎の外に放り出されたのです(写真52)。

大雪に乗ってみて

大雪に乗ってみて、GWであっても4両で満席にならない現実に直面しました(グリーン車は半分しか埋まらない)。4両編成で大切に運転するのはわかりますが、3両にするかわりに本数を増発(ただし増発ぶんは北見どまりか北見-網走は普通)にしたほうが良いでしょう。現在は特快きたみが走っていてサービスを向上しようという意欲は感じますが、いかんせん4時間のダイヤホールがあります。この穴を埋めるように、旭川-北見を増発すれば、バスにも対抗できましょう。

また、スピードの遅さも目につきました。北海道では唯一高速化が実施されていません。これは沿線自治体の考えかたもありますが、部分的であっても110km/h対応にしてもらいたいものです。そうすれば、札幌から網走まで5時間台になることでしょう。とはいっても、並走する国道の通行量の少なさも気になりました。したがって、130km/hまで高速化することもありません。また、沿線には原野や北海道らしい景色も広がっています。観光列車の運行も良いでしょう。

ともかく、現在の石北本線は非常に寂しい状況です。少しでも活性化してもらいたいです。

このカメラは今回の記事のような移動時には便利です。シャッターが合う速度が早いので、走行中の車内からの撮影が便利なのです。

前後を読みたい!

さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?

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★今回の旅行の全体的な計画~まとめは以下のページに記載しています。
北海道鉄道旅行の計画とまとめ(19年GW)

※それぞれ別ウィンドウで開きます。

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