2022年3月ダイヤ改正における常磐線の変化を探る

継続して減便気味の常磐線(快速)。大きな社会変化が生じた影響で2022年3月ダイヤ改正でもその傾向は継続されています。その様子を解析しましょう。

写真1. 上野手前の常磐線快速(鶯谷付近で撮影)

常磐線(快速)のダイヤ改正のまとめ

2022年3月ダイヤ改正による常磐線(快速)の変化は以下の通りです。

  • 朝ラッシュ時は中距離電車は毎時1本、快速は毎時1~3本減便される
  • 日中は一部時間帯を除き、特別快速が減便されるかわりに、品川直通が増強
  • 夕方ラッシュ時は上野発着の快速が毎時1本減便される
  • 減便対象は上野発着だけであり、品川発着が減便になる時間帯はない
  • 日中時間帯は土浦で運転系統が分断される
  • 特急は終日30分間隔に統一される

以下でその詳細を解析します。

特急列車の変更点

E657系

写真2. 松戸付近を走る特急列車

特急列車について変更があります。主要な変更点は以下の通りです。

  • 上り朝ラッシュ時の45分のダイヤホールが解消され、終日30分間隔に
  • 下り18:15、19:15、20:15の特急を廃止

上りの特急は上野着毎時05分ごろと35分ごろですが、朝ラッシュ時は変則的になっていました。これは、一般の快速や中距離列車の本数が必要で、上野断面で8:00~8:30に設定できないためでした。これを一般列車を減便することで、特急を設定するゆとりを産み出しました。ただし、一部の特急は統合されており、増発ではなく減便です(表1)。

表1. 22.03 常磐線の変化(朝の上り特急)

22.03 常磐線の変化(朝の上り特急)

また、夕方下りは上野発15分の多停車型の特急が設定されています。もともとそこまで利用も多くないため、これらの特急は廃止に至りました。

これ以外には大きな変化はなく、全時間帯30分間隔化と多くの特急の品川延長で(在来線を走るゆえに時間帯による所要時間の差はありますが)、どの時間帯でもおおむね均一なサービスが提供されると理解できます。

平日ダイヤの本数増減を確認する

写真3. 夕方の取手の光景

さて、平日ダイヤの本数増減を確認しましょう。ここでは、下りの上野と、上りの松戸を抽出しました。

上野発車時刻から下りのダイヤを探る

上野発車時刻から下りのダイヤの変化を探りましょう。

上野の発車時刻を示します(表2)。

表2. 22.03 常磐線の変化(上野発車時刻)

22.03 常磐線の変化(上野発車時刻)

ここでは簡単のために、あえて中距離電車の行先を示していません。また、本数の増減を確認できるように、右側に本数の増減を記しています。

まずはプラス面を見てみましょう。

  • 16時台に増発されており、その増発ぶんは特別快速である
  • 日中時間帯は品川発着が毎時2本から毎時3本に増えている

まず、16時台に増発されています。具体的には品川発着の中距離電車を特別快速に変更し、別途中距離電車を設定してます。特別快速に変更されているので、従来の中距離電車と比べて土浦まで速達化されています。ダイヤ改正前後の時刻を見てみましょう。

(改正前)品川15:55→上野16:12→松戸16:31→取手16:50→土浦17:19
(改正後)品川15:55→上野16:11→松戸16:28→取手16:44→土浦17:08

このように、品川から土浦まで9分短縮されています。通過駅があるので取手まで6分短縮、土浦まで後続の特急から逃げ切り、龍ケ崎市での通過待ちが省略され、土浦まで3分短縮されています。16時台は日中と夕方の切り替わり時間帯ということもあり、そこそこ混む傾向があります。その時間帯に増発がなされたことは大きな進歩でしょうか。

ただし、16:13発の中距離電車は(ダイヤ改正前の16:12発よりも)取手まで1分余計にかかっており、その影響か後続の特急ときわ号が柏-土浦で所要時間が5分増加しています。この列車を1分スピードアップし、特急ときわ号含めてスピードアップするべきでしょう。

また、日中時間帯の品川発着が毎時2本(中距離電車1本+特別快速1本)から毎時3本(中距離電車3本)に増発されています。とりわけ、特別快速通過駅の4駅については東京・品川直通が3倍に増えており、飛躍的な利便性向上につながっています。また、後で述べる減便傾向に関わらず、品川発着の本数は維持(か増発)されています。

次に、マイナス面を見てみましょう。日中時間帯の土浦分断については、別途記しますので、ここでは触れません。

  • 朝時間帯は毎時2本の減便
  • 日中時間帯は毎時1本の減便
  • 夕方時間帯は毎時1本の減便

2022年3月ダイヤ改正での最大の特徴は上下各15本の減便が敢行されることです。朝はもともとそこまで混んでいませんので、減便することそのものは受け入れることは可能でしょう。それでも、7:52~8:05の13分のダイヤホールや8:22~8:33の11分のダイヤホールは首都圏の重通勤路線としては、あまりにも間隔が開きすぎているように感じてしまいます。

日中時間帯は美しい10分間隔です。特別快速のぶんが減便されています。20分間隔の中距離電車と20分間隔の快速の交互です。特急待ちがあるので、取手以遠はきれいな20分間隔になりません。

また、毎時42分発は成田行きです。そのため、この時間帯は我孫子以遠で21分のダイヤホールです。成田行きを毎時42分発から毎時02分発に変更すると、特急待避の関係があり、我孫子以遠のダイヤホールは17分に減少します。成田行きのタイミングを考えることも1つの手です。あるいは、成田行きが走るタイミングで我孫子-取手で各駅停車を運行するかです。

夕方ラッシュ時は毎時1本減少してます。ダイヤ改正前は毎時11本の運転でした。具体的には、毎時00分~30分は6本設定、30分~00分は5本設定でした。昔は毎時15分発の特急が運転されていたので、毎時00分~15分、15分~30分にそれぞれ3本設定(2本設定だと少ない)としていたのです。この毎時15分発の特急がなくなったので、わざわざ30分に6本を設定しなくても良いという判断なのでしょう。確かに2分続行はある意味無駄な設定であり、毎時18、23、25分発を毎時20、25分発とすることには一定の合理性がありましょう。

松戸発車時刻から上りのダイヤを探る

松戸発車時刻から上りのダイヤを探りましょう。

松戸の発車時刻を示します(表3)。

表3. 22.03 常磐線の変化(松戸発車時刻)

22.03 常磐線の変化(松戸発車時刻)

ここでは簡単のために、快速や中距離電車の始発駅の違いは書いていません。

まず、良い点を見つけましょう。

  • 日中を中心に、品川直通が増発されており、8:52~17:08まで22分も待てば品川行きが来る
  • 9:40発が中距離電車から特別快速に変更され、スピードアップされている

日中を中心に品川発着が増強されています。日中時間帯でいうと、毎時40分発から毎時18分発まで38分の待ち時間があったのですが、毎時01分発が上野行きから品川行きに延長されました。このことで、品川行きの最大待ち時間は38分から22分になっています。

また、松戸発9:40が中距離電車から特別快速に変更され、スピードアップが図られています。ダイヤ改正前と時刻を比較しましょう。

(改正前)土浦8:57→取手9:22→松戸9:41→上野10:00
(改正後)土浦9:00→取手9:24→松戸9:40→上野9:57→品川10:14

この列車はもともと水戸始発でしたが、土浦始発に変更されました。とはいえ、水戸からの列車は土浦に8:58に到着し、水戸方面からの乗車チャンスも確保しています。通過駅の設定によって取手から上野まで5分短縮しています。また、上野行きから品川行きになり、利便性も向上しています。

ただし、この特別快速の設定で通過駅は減便されています。例えば、特別快速通過駅の我孫子では9:15~9:30の15分のダイヤホールが生じています。

次に、マイナス面を見てみましょう。

  • 朝ラッシュ時はおおむね3分間隔から4分間隔に減便
  • 日中時間帯は特別快速が減便
  • 夕方も減便があり、10分間隔が開く箇所も発生

最も目立つのは、朝ラッシュ時の減便です。おおむね3分間隔で運転されていたものが4分間隔まで開きます。救いなのは、乗客が集中するであろう品川行きの本数は維持され、減便対象は上野行きだけであることです。

気になるのは「おおむね4分間隔」と言いながら、6分間隔の箇所(7:38~7:44、8:08~8:14)があることです。なぜでしょうか。7:38~7:44に相当する箇所には特急ときわ56号(品川行き、上野着8:02)、8:08~8:14に相当する箇所には特急ひたち2号(品川行き、上野着8:32)が設定されています。ダイヤ改正前までは上野着7:57~8:43には特急が設定されず、長距離移動は不便でした。今回のダイヤ改正で上野断面で終日30分間隔で特急が設定できたことは、大きな改善でしょう。ただし、朝ラッシュ時に一般列車を6分のダイヤホールを生じさせることは明らかです。通勤客の多く乗る柏に停車させても良いでしょう。

日中時間帯は特急が関係するのできれいな10分間隔にはなっていませんが、快速と中距離電車が各20分間隔で、それが合流する取手以南は基本的に10分間隔です。ただし、毎時49分~毎時02分の13分のダイヤホールは存在します。一部時間帯は毎時01分発に設定しているので、これに統一されれば最大待ち時間は12分に減少します。なお、天王台では16分のダイヤホールが存在します。これは成田始発が入るためです。これも各駅停車を毎時1本取手まで運転し、フォローしてもらいたいものです。

夕方の減便は下りに準ずる流れでしょう。下りの送り込みともいえる上りですので、下りの本数が減った以上は上りも減便です。減便されたとはいえ、毎時8本は確保されています。もう少し均等に運転する工夫は欲しいところです。

所要時間を考察する

写真4. E531系は在来線では有数の速さで走れる(我孫子で撮影)

「社会状況が変化したことによる経営環境の変化」に対応して本数を減らすのは良いとしましょう。では、所要時間はどうでしょうか。ここでは朝の上り、日中時間帯、そして夕方の下りの特定の列車を取り上げて考察しましょう。

朝ラッシュ時上りの所要時間

上野東京ラインに直通する中距離電車と快速を1本ずつ取り上げます。

(改正前)土浦7:08→取手7:33→松戸7:53→上野8:14→東京8:20→品川8:30
(改正後)土浦7:15→取手7:39→松戸8:00→上野8:21→東京8:27→品川8:39

(改正前)取手7:24→松戸7:47→上野8:09→東京8:16→品川8:24
(改正後)取手7:29→松戸7:52→上野8:15→東京8:22→品川8:31

上野東京ラインは宇都宮線や高崎線と線路を共用し、そのための時刻調整が場合によって必要という理由は理解できます。しかし、取手から上野まで1分スピードダウンがあるのは、理解しにくいです。乗客目線では、本数が減らされ、電車は前より混雑し、その電車も所要時間が長くなるのです。4分間隔ということは、朝ラッシュ時でもそれなりの速度を出せることを意味します。快速の120km/h運転、中距離電車の130km/h運転でスピードアップをするべきでした。

日中時間帯の所要時間

日中時間帯の所要時間も考察しましょう。

(改正前)品川11:54→上野12:09→松戸12:26→取手12:43→土浦13:08(特別快速)
(改正前)品川11:55→上野12:12→松戸12:32→取手12:51→土浦13:22

(改正前)品川12:17→上野12:32→松戸12:53→取手13:13→土浦13:44
(改正後)品川12:17→上野12:32→松戸12:53→取手13:13→土浦13:44

(改正前)土浦12:00→取手12:24→松戸12:40→上野12:58→品川13:13(特別快速)
(改正後)土浦11:57→取手12:21→松戸12:40→上野13:00→品川13:18

(改正前)土浦12:30→取手12:55→松戸13:18→上野13:42→品川13:59
(改正後)土浦12:35→取手12:59→松戸13:18→上野13:41→品川13:59

ここでは、日中に毎時2本設定されている品川直通を比較しました。下りは特別快速から中距離電車に振り替えられた便は所要時間が13分増加する一方、上りは8分の増加に留まっています。これは、下りは新たに龍ケ崎市で特急待避が加わり、その所要時間が増加したためです。とはいえ、ダイヤ改正後は取手まで39分かかっています。E531系の性能であれば37分程度で走れましょうから、ひたち野うしくまで特急より先行することも可能です。そうすれば、土浦までの所要時間増加ももう少し減少できました。

上りは特急待ちがないままなので、所要時間の増加は小さいです。残念なのは、上りの上野で3分停車していることです。高崎線~東海道線の上野東京ラインが上野を毎時01分に発車していることが原因ですが、そうであれば、土浦発車時刻を2分繰り下げることも可能です。

もう1つのほうは下りは所要時間はほぼ変わらず(土浦到着が1分遅いのは3番線到着だからか)、上りは5分の短縮です。詳細に確認すると、取手から松戸まで流して走っていたのが、キビキビ走るようになって4分の短縮です。ただし、上野での停車時間が長いのは残念です。これも東海道線系統の上野東京ラインと時刻が干渉するためです。

夕方ラッシュ時の所要時間

最後に夕方ラッシュ時の所要時間を考察しましょう。

(改正前)品川18:24→上野18:39→松戸19:00→取手19:19→土浦19:48
(改正後)品川18:24→上野18:40→松戸19:00→取手19:19→土浦19:48

(改正前)品川18:09→上野18:25→松戸18:49→成田19:51
(改正後)品川18:07→上野18:25→松戸18:49→成田19:51

夕方ラッシュ時の上野東京ライン直通で比較しましたが、特に大きな変化はありませんでした。ただし、上野18:25発の品川-東京の発車時刻が繰り上げられ、上野で時刻調整が発生しています。品川発の大宮方面は18:05、18:12となっているので、(18:09のままで問題なさそうなのに)2分繰り上げた意味がわかりません。

土浦での乗りかえの解析

さて、今回のダイヤ改正のポイントの1つが土浦での分断です。

土浦分断の妥当性とホーム使用の解析

ダイヤ改正前の土浦-水戸は10両編成が30分間隔で運転され、その乗車率は低いものでした。とはいえ、本数を半減させるのは利便性が大幅に低下します。そのため、本数を維持しつつ5両編成に変更することにしました。5両編成で上野や東京まで運転するとグリーン車なしとなりますし、輸送力が大幅に低下します。そこで、土浦以南は従来の10両編成、土浦以北は5両編成、土浦で同一ホーム乗りかえとすることで、これらの課題を解決することにしました(図1)。

22.03 常磐線の変化(土浦乗りかえの案内、水戸支社)

図1. 土浦での乗りかえ(JR東日本公式サイト発表資料より引用)

品川-土浦を3番線、土浦-水戸方面の普通を2番線に発着させるということです。下りの特急は1番線、上りの特急は2番線を通ります。干渉するのは、上りの特急と土浦-水戸方面の普通です。干渉について確認しましょう。

(水戸方面到着)12:32/12:48(水戸方面発車)
(特急通過)12:56(推定)
(水戸方面到着)13:06/13:16(水戸方面発車)
(特急停車)13:25/13:26

確かに特急と干渉しません。2番線と3番線の役割が異なっても良いのでしょうが、土浦-水戸のほうが本数が少なく、干渉の確率も低いという判断なのでしょう。

土浦分断の利用者への影響

では、利用者目線ではどうでしょうか。ここでは輸送力や着席チャンスという側面でなく(もしもこれが問題になると想定されていたら土浦分断はしないでしょう)、あくまでも所要時間だけで考察します。

(改正前)上野12:12→土浦13:24/13:30→友部14:10→水戸14:24
(改正後)上野12:32→土浦13:45/13:48→友部14:19→水戸14:35

(改正前)上野12:52→土浦13:58/14:02→友部14:42→水戸14:57
(改正後)上野12:52→土浦14:00/14:16→友部14:46→水戸15:01

下りは1本は水戸まで9分スピードアップ、1本は4分スピードダウンであり、そこまで悪い結果ではありません。惜しむらくは上野毎時12分発が土浦に到着するのは毎時22分と6分差で接続できていないことです。これが4分程度スピードアップし、土浦発が毎時19分であれば、所要時間は大幅に短縮されました。土浦発毎時12分の列車と土浦着毎時17分であれば、干渉もしないでしょう。

(改正前)水戸12:00→友部12:15→土浦12:45/12:46→上野14:02
(改正後)水戸12:04→友部12:21→土浦13:06/13:12→上野14:21

(改正前)水戸12:30→友部12:44→土浦13:13/13:14→上野14:21
(改正後)水戸12:37→友部12:53→土浦13:32/13:35→上野14:41

1本目は水戸から上野まで15分スピードダウン、もう1本は13分スピードダウンで目を覆うばかりの遅さです。これはダイヤを詳細に検討すると、理由がわかります。いずれも石岡で長時間停車しています。何とか土浦まで逃げ切り、1本前の列車に接続できそうですが、これは不可能です。土浦である程度停車する間に、特急がやってきます。その特急にホームを明け渡すためには即時荒川沖の中線に回送させねばなりませんが、それは難しく、下手すると荒川沖手前で特急に追いつかれてしまいます。

これをクリアするには、土浦での到着ホームを3番線の水戸よりに変更することです。あるいは、水戸発車時刻を5分ほど早めるかです。このような工夫の余地があるのに石岡(一部は神立)での長時間停車を許容するのは理解しにくいです。

土浦でのホームに制約があることは理解できますが、それで上りの所要時間が大幅に増加しているのは利用者の立場としては許容できるものではありません(土浦で乗りかえしない人にも良くない改正です)。

常磐線のダイヤ改正のまとめにかえて

写真5. この路線では2022年3月に増発されたが…

2022年3月ダイヤ改正で特急を含む減便が行われた常磐線(快速)。社会情勢の変化もあり、減便は仕方のない部分もありましょう。しかし、減便のしかたがスマートではない部分があり、所要時間の増加を招いているのは問題です。乗客視点では減便だけでも受け入れがたいものです。駅で長い時間待ってようやく乗った列車が所要時間がかかるのでは踏んだり蹴ったりです。会社側の視点で見ると、所要時間の増加は労働時間の増加を招きます。これはコストアップとなります。

JR側の事情もあるのでしょうが、減便してスムーズに走れるようになったら、同時に時刻調整を廃止してスピードアップし、コストダウンとサービス水準維持を両立してもらいたいものです。

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