2020年3月ダイヤ改正における地下鉄有楽町線と西武池袋線の変化

2020年3月ダイヤ改正で日中時間帯の増発がなされた地下鉄有楽町線と西武池袋線。実際にどう変化したのか探ってみました。そして、革命的なできごとが、実は大きな果実を伴わないという現実も見えてきました。

西武6000系と東急5000系(練馬)

写真1. 練馬での接続は今も昔も重要(2018年に撮影)

ダイヤ改正の概要

まず、どのようなダイヤになったのか変化をまとめます。

・有楽町線の日中の運転間隔が6分から5分に変化
・西武線直通の快速急行が新桜台を通過

長いこと地下鉄有楽町線の日中時間帯の運転間隔は6分でした。確かに、混雑状況的にはそれで問題ありません(日中時間帯の目的地を通らないため)。しかし、小竹向原以北で線路を共用する地下鉄副都心線は15分間隔を基本とするダイヤであり、それには6分間隔を基本とするダイヤが都合悪いことは確かです。そのような背景もあるのでしょう。地下鉄有楽町線の日中時間帯は6分間隔から5分間隔に変更されました。毎時10本が毎時12本とコストが増大するのは事実ですが、利用客にとっても待ち時間の減少というメリットがあります。

有楽町線の増発はわかりました。新木場-小竹向原では毎時2本増発しますが、小竹向原-和光市はダイヤ改正前でも毎時14本あり、急行があるなかではそれなりに過密ダイヤです。そのため、この区間の増発は得策ではありません。ということで、西武線方面にその増発列車を流すことにしました。ダイヤ改正前には小竹向原-練馬は毎時8本設定されていました。これが毎時10本に増えます。途中駅の新桜台はそう利用が多いわけではありません。ということは、新桜台に停車する本数さえ確保されていれば、快速急行は通過しても問題ありません。新宿・渋谷地区と西武線沿線を少しでも早く結ぶことも意図して、快速急行は新桜台を通過することになりました。

ここでは、有楽町線増発 → 西武線直通の増発 → 快速急行の速達化 という流れで説明しましたが、実際には逆の思考回路である可能性もあります。つまり、快速急行を速達化するために、有楽町線の増発がなされたという考えです。どちらが先にきたのかは西武鉄道なり東京メトロしかわかりません。

快速急行の停車駅削減

西武線の快速急行(※)の停車駅が減少することになりました。では、どの程度速達化がなされたのでしょうか。主要な区間の所要時間をまとめます。いずれも平日の下りで示します。

※地下鉄副都心線内は急行。小竹向原で種別が入れ替え(注.西武鉄道と東京メトロの境界駅は練馬ではなく、小竹向原です)

・渋谷-所沢:ダイヤ改正前39分、ダイヤ改正後40分
・新宿三丁目-所沢:ダイヤ改正前32分、ダイヤ改正後33分
・渋谷-飯能:ダイヤ改正前59分、ダイヤ改正後59分
・新宿三丁目-飯能:ダイヤ改正前52分、ダイヤ改正後52分

全く速達化が実現していません。では、上りはどうなのでしょうか。

・所沢-渋谷:ダイヤ改正前39分、ダイヤ改正後39分
・所沢-新宿三丁目:ダイヤ改正前33分、ダイヤ改正後33分
・飯能-渋谷:ダイヤ改正前58分、ダイヤ改正後59分
・飯能-新宿三丁目:ダイヤ改正前52分、ダイヤ改正後53分

こちらも全く速達化がなされていません。つまり、新桜台通過による速達化は全くないということです。増発してまで駅を通過したのですから、少しは速達化をしてもらいたいものです。良い方向に考えれば、ダイヤの乱れを持ち込みにくくするために、小竹向原-練馬で余裕時間をとったと解釈することもできます。

有楽町線増発列車の解析

もともと有楽町線は毎時10本運転されており、今回のダイヤ改正を機に毎時12本となりましたが、その内訳をまとめます(表1)。

表1. 有楽町線の列車一覧

系統本数[本/時]
改正前改正後
新木場-和光市4本4本
新木場-東上線2本2本
新木場-西武線(各停)4本4本
新木場-西武線(準急)2本2本

このように、有楽町線-西武線の準急が増発されています。しかし、一見すると変な組み合わせです。増発された準急は保谷までしか向かわず、小手指まで向かうのは各駅停車です。遠い小手指に向かうのが準急、近い保谷折り返しが各駅停車というのが一見親切です。しかし、現実はその逆なので、違和感がある組み合わせです。

でも、実際のダイヤを見れば納得できます。増発された準急は石神井公園で池袋発着の急行に接続します。そうであれば、準急の小手指延長は意味がありません。遠方に急ぐのであれば、石神井公園で急行に乗りかえれば良いのですから。

上りはダイヤパターンが異なり、準急は小手指始発です。ひばりヶ丘で快速急行に抜かれます。当該の快速急行は小竹向原で和光市方面からの有楽町線に接続します。ということは、(ひばりヶ丘以遠から有楽町線への利用客は快速急行利用のほうが早いので)ひばりヶ丘以遠から有楽町線への速達列車としては機能していません。そして、急行池袋行きは石神井公園で準急新木場行きには接続せずに、各駅停車に接続しています。上下でダイヤパターンが異なるのは不可解です。

考えてみれば、準急と急行は練馬-石神井公園で同じ線路を通ります。したがって、石神井公園では同時に入線できずに、準急と急行の接続には2分程度のロスタイムが生じます。一方、各駅停車と急行は練馬-石神井公園で異なる線路を走ります。したがって、石神井公園で同時に入線できます。一方、練馬-石神井公園での各駅停車と準急の所要時間差は4分程度です。つまり、接続する種別でそこまで所要時間は変わりません。

西武池袋線の変化

そのほかの西武池袋線の変化を列挙しましょう。

・上りの小手指始発の快速急行が各駅停車に接続してから発車
・一部の急行の所要時間増加

上りの快速急行はダイヤ改正前は飯能始発の各駅停車を待たずに発車していました。これはダイヤの定時性確保という意味合いがあったことでしょう。接続するのであれば、各駅停車が遅れたら快速急行も遅れてしまいます。しかし、接続しないのであれば、快速急行は遅れずに済みます。いくら定時性確保といえども、接続しないのは感じが悪いです。それを是正するために、小手指始発の快速急行は飯能始発の各駅停車を待つことになったのです。

では、どのようにして定時性を確保するのでしょうか。駅間で所要時間にゆとりを持たせれば良いのです。そのような考えのもと、一部の急行の速達性を犠牲にしました。日中時間帯の急行は毎時3本設定されています。では、どのように変わったのでしょうか。

下りの急行の所要時間についてまとめます。

・(ダイヤ改正前)池袋12:00→所沢12:22/12:24→飯能12:48
・(ダイヤ改正後)池袋12:00→所沢12:21/12:24→飯能12:48

・(ダイヤ改正前)池袋12:20→所沢12:42/12:44→飯能13:08
・(ダイヤ改正後)池袋12:20→所沢12:42/12:44→飯能13:12

・(ダイヤ改正前)池袋12:50→所沢13:12/13:14→飯能13:38
・(ダイヤ改正後)池袋12:50→所沢13:12/13:14→飯能13:38

上りの急行の所要時間についてもまとめます。

・(ダイヤ改正前)飯能12:15→所沢12:38/12:39→池袋13:02
・(ダイヤ改正後)飯能12:15→所沢12:38/12:39→池袋13:02

・(ダイヤ改正前)飯能12:25→所沢12:48/12:49→池袋13:13
・(ダイヤ改正後)飯能12:24→所沢12:48/12:49→池袋13:14

・(ダイヤ改正前)飯能12:45→所沢13:08/13:09→池袋13:34
・(ダイヤ改正後)飯能12:44→所沢13:08/13:09→池袋13:34

下りの池袋→所沢こそ所要時間が平均0.3分短縮されていますが、飯能までは平均1.3分増加しています。これは、下りの急行が入間市で特急の待ち合わせをしているためです。ただし、これによって特急の池袋からの所要時間は1分短縮しているのも事実です。

上りは所沢→池袋で所要時間が平均0.3分増加しています。また、飯能→池袋では所要時間が平均1.0分増加しています。上りは特急の所要時間も短縮されていませんので、単に所要時間が増しただけの結果です(前述の小手指始発の快速急行が接続したことで、飯能→池袋の乗車チャンスは増加していますが)。

小竹向原での接続

有楽町線と副都心線の運転サイクルが合ったことで、小竹向原での接続は改善されたのでしょうか。それぞれの方向で接続時刻表を示しましょう(表2と表3)。

表2. 小竹向原接続時刻表(下り方面)

小竹向原接続時刻表(下り方面)

下り方向はそこまで接続が改善されたという感覚はありません。停車時間合計もダイヤ改正前が19分、ダイヤ改正後が24分です。電車1本あたりで考えると、0.86分から1.00分とわずかながら延びています。ただし、有楽町線と副都心線の本数が合ったこともあり、平均的な待ち時間は減少しています。

表3. 小竹向原接続時刻表(上り方面)

小竹向原接続時刻表(上り方面)

上り方面はだいぶ接続が改善されたように感じます。多くの電車が同時に入線・発車しており、(組み合わせによりますが)乗りかえによるロスタイムはあまりありません。また、停車時間後受けもダイヤ改正前が20分、ダイヤ改正後が16分です。電車1本あたりで考えると、0.91分から0.67分とかなり短縮しています。停車時間の短さといい、接続時間のムダのなさといい、上りについては理想的な接続が実現されています。

今回のダイヤ改正のまとめ

有楽町線の増発という歴史的な内容のダイヤ改正です。副都心線とダイヤサイクルが合ったこともあり、上りの小竹向原の接続は理想にかなり近いものが実現しました。また、西武有楽町線の増発によって、快速急行の新桜台通過という革命が実現します。新桜台開業以来、通過列車が設定されるのは史上初だからです。とはいえ、その革命の果実はあまり大きくなく、快速急行の所要時間は短縮されないという現実もかいま見えます。

また、夕方の小竹向原-練馬は日中時間帯よりも少ない毎時8本に甘んじることも明らかとなりました。夕方も毎時10本に増発して、朝ラッシュ時も含めて快速を新桜台通過にして、混雑している池袋-練馬の混雑緩和(=東長崎経由から小竹向原経由にシフト)も手でしたが、今回はそこまで踏み切っていません。

増発そのものは都心部での移動が便利になるので、一利用者としてはありがたく感じるところです。しかし、増発の効果が限定されていることも事実です。今後も快速急行の所要時間短縮や、下りの小竹向原での接続改善など、さらなるチューンアップを期待したいものです。

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