写真1. ラッシュ時に活躍する常磐線(柏で撮影)
以前の記事で上野東京ラインの常磐線直通についてダイヤを解析いたしました。今回は純粋な常磐線のダイヤを解析いたします。なお、今回の記事での対象は平日ダイヤといたします。
下りのダイヤ解析
まず、上野断面で見比べて解析してみましょう(表1)。青字は中電、緑字は快速、赤字は特別快速、赤枠は特急です。ここでは見やすさを重視して、各種別の行き先は示していません。
表1. 上野の発車時刻の比較
まず、21:15発の特急と22:15発の特急が消滅していることがわかります。18時台~20時台については、15分発の特急が残りましたが、中電以下の利用者にとっては邪魔といえましょう。これら3本の特急については、通勤快速(2006年3月ダイヤ改正まで存在していました)に建て替えたほうが喜ばれるでしょう。
この他に、朝の下りと20時台で減便がなされていることがわかります。
具体的には、以下の通りです。
7時台:1本減便(快速2本減便、中電1本増発)
8時台:2本減便(快速1本増便、中電3本減便)
18時台:1本増発(快速1本増発)
19時台:1本増発(快速1本増発)
20時台:2本減便(快速2本減便)
もともと20時台の本数と18時台の本数が釣り合っていませんでした(ラッシュピーク時の18時台よりも20時台が多いのは変な話です)。そのため、20時台の快速を減便するかわりに、18時台と19時台の増発に踏み切ったのでしょう。具体的には、毎時25分発が増発されています。これによって、毎時23分発と33分発の間の10分のダイヤホールが8分に短縮されています。私が常磐線を日常的に利用していたのは、2010年までですが、18:33発を待つ人々の列が日暮里のホームを埋め尽くしていたように記憶しています。そして、その中を特急を通過するという安全上、疑問が生じていた状況でした。現在はホームの拡張(キャパシティ増加)や上野東京ラインに開業に伴う日暮里乗り換えの減少(供給の減少)などのような変化はありますが、日暮里のホームに乗客が溜まらないようにするダイヤ改正は賞賛に値するでしょう。
日中時間帯~夕方の以降時間帯-具体的には16:00~17:30-の中電の本数が日中時間帯よりも少ない現象は解消されていません。16時台にも特別快速を増発という形で設定するとともに、17時台前半の中電を増発すると良いでしょう。増発によるコスト増大を懸念するのであれば、18:15~20:15発の特急を減便すれば良いでしょう。また、最も混雑する18時台には通勤快速を設定することも1つの手法でしょう。
夕方の品川直通が快速3本から中電2本+快速2本に変更したことに関係して、夕方の中電の発車時刻が変更されています。具体的には毎時45分頃の中電が毎時50分過ぎに変更されています。
7時台と8時台の減便は、従来上野で折り返していた下り列車を、品川直通後に電留線に格納したためでしょう。そのこと自体はやむを得ませんが、残った中電を等間隔にすると使いやすいです。将来的には上野を立体交差に変更して、朝の下りを頻繁に運転できるようにしてもらいたいところです。
上りのダイヤ解析
まずは、柏の発車時刻を掲げます(表2)。品川直通の快速と中電には下線を引きました。
表2. 柏の上り発車時刻の比較(松戸行きは省略)
朝ラッシュピーク時の品川直通の増加が印象に残ります。細かな時刻の変動はあれど、朝ラッシュ時(ピーク)は増発も減便もされていません。7時台が2本増加していますが、そのぶん6時台と8時台が1本ずつ減少していると考えれば、納得できます。
その朝ラッシュ時の混雑はどうなのでしょうか。多くの乗客が降りる日暮里の手前で調査しました。
その先の上野発車時の上野東京ラインの混雑も調査しています。
朝ラッシュ後に眼を向けてみましょう。さりげなく、8時台後半の快速が減便されています。8:34発~9:08発の本数を数えると、1本減少しているのです。この時間帯の中電の本数が少ないことも問題です。以前は30分以上のダイヤホールが存在していた(9:16~9:51)のですが、2015年ダイヤ改正で9:36発が増発されたりして、ダイヤホールを解消しようとしていることは賞賛に値します。それでも中電の本数は不足気味です。減便ぶんの快速を補うイメージで1本中電を増発させると良いでしょう。
日中時間帯の14分のダイヤホール(毎時39分と53分)は解消する気はないようです。これに関係して15:39~15:56の間に17分のダイヤホールが存在します。ダイヤ改正前は15分のダイヤホールで済んでいましたが、これを17分まで広げた意図は不明です。15:56発の快速を5分程度前倒ししても良いと思います。なお、このダイヤホールは都内では12分まで縮まります。
夕方以降は本数は確保されているものの、一部で間隔が空きます。ざっと眺めますと、20時台で3本減便されています。この時間帯の上りの需要は少ないのでやむを得ない処置でしょうが、4分続行の後に14分待ちなど利便性をあまり考えていないことが分かってしまいます。
次に、土浦の発車時刻を掲げます(表3)。
表3. 土浦の発車時刻の比較
ざっくり眺めると増発も減便もないようです。一部列車の時刻変更にとどまっているようです。朝ラッシュ直後に中電を1本増発すれば更に良いダイヤになることでしょう。
その他の気づいた点
土日限定ですが、午前中の下りにダイヤホールが発生しています。
具体的には取手発9:08(勝田行き)、9:38(土浦行き)、9:52(水戸行き)となっています。通常15分程度の間隔の取手-土浦が30分間隔、通常30分間隔の土浦-水戸で49分間隔となってしまっています。平日よりも稼働する車両は少ないはずですから、取手発9:20ごろに水戸方面行きを設定すると良いでしょう。
関係路線のダイヤパターン
今回の記事は変化点を探るという「狭くて深い」内容の記事でした。では、それぞれの路線についてダイヤパターンを簡単に紹介する記事はあるのでしょうか。そのような声を踏まえて、関係する路線のダイヤパターンをまとめました。