芸備線の山中を堪能する(乗りつぎ時刻表と車窓も収録、備後落合→三次、21年GW)

記事上部注釈
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芸備線は広島近郊の都市圏輸送の表情、広島県山奥のローカル線という両極端な表情を持ち合わせています。そのうち後者の様子を実際に見てみました。

写真1. 備後落合に停車中の芸備線列車

芸備線ローカル区間の利便性

芸備線の新見-三次の間は非常に利便性が悪く、ふらっと乗り鉄で訪問しても「少ない列車本数」という鉄壁の防御に阻まれてしまいます。特に、三次-備後落合の本数が少なく(1日3往復!)、乗車が大変困難とされています。

新見5:18→備後落合6:34/6:43→三次8:08
新見13:02→備後落合14:25/14:43→三次16:03

三次13:01→備後落合14:21/14:38→新見16:01
三次17:30→備後落合18:46/20:12→新見21:35

上手に乗り継ぎが行くパターンは以上の2往復です。道中の風景を楽しもうと思ったら、実質的に1パターンしかありません。せめて奥出雲おろち号が運転される日は三次-備後落合の臨時快速(当然全席指定制!)を走らせれば良いのにね★

当該区間の芸備線はすべて備後落合で乗りかえることになります。新見-備後落合は岡山支社管轄、備後落合-三次(広島)は広島支社管轄、(そして宍道-備後落合は米子支社管轄)と支社の境界があるうえ、山中で通し需要がないという事情もありましょう。

なお、備後落合-三次は5往復も設定されており、三次よりの備後庄原-三次は7往復も運転されています。東城-備後落合の2倍以上という高頻度運転だね!

このように、実質的に使えるのは1日1往復ととても使いにくいダイヤです(地元目線でも1日3~5往復だと使いやすいとは言えないでしょう)。

今回、私は木次線から備後落合にやってきて、三次に向かいました。

秘境駅.備後落合の接続

そんなローカル線の真っただ中にある備後落合ですが、最低限のサービスとして、日中時間帯の1往復については接続が完璧です。

(木次線)到着14:33/発車14:41
(芸備線新見方面)到着14:25/発車14:38
(芸備線三次方面)到着14:21/発車14:43

3方向から同時にやってきて、同時に3方向に発車するダイヤです。最短は木次線から芸備線新見方面の乗りかえで14:33に到着してから14:38に発車するまでの5分間だけです。長い組み合わせであっても、芸備線新見方面から三次方面で14:25に到着してから14:43に発車する18分間です。多くのローカル線の乗りかえで30分程度は待ち時間が生じることを考えると、1日3往復程度のローカル線どうしの乗りかえで20分足らずの待ち時間というのは上出来です。

写真2. 芸備線三次方面から列車がやってきた

芸備線三次方面から列車がやってきました。広島支社色の120系気動車です(写真2)。この時点でこの場所にいる私の状況、ボックスシート争奪戦に敗れることは必至です(そして敗れました)。

写真3. 三次方面からの列車が到着!

三次方面からの列車がホームに着いています(写真3)。ワンマン運転で後乗り、前降りです。備後落合で終点ですから、前よりの扉から降り、進行方向後ろよりの扉から新たな乗客を迎え入れます。両者のドアは同じ位置ですので、降りる乗客を待つことになります。

写真4. 新見からの列車が到着!

新見方面からの列車が到着しました(写真4)。車両の色が異なり、管轄する支社が異なることがわかると思います。どこかで見たことある色だと思ったら、大糸線で遭遇した車両と同じ色です。大糸線は金沢支社管轄ですが、もともと岡山支社の車両だったため、岡山カラーなのです。

写真5. 木次線の列車が到着!

木次線の列車が到着しました(写真5)。これも色が異なり、米子支社の木次線カラーです。

写真6. 山中の駅に3本の列車が並んだ

3本の列車が並びました(写真6)。備後落合はかつては陰陽連絡線の重要な拠点と聞いていますが、現在も一部の時間帯で同様の光景が広がるのです。逆にいうと、新見側、木次線側、三次側いずれからも山奥という「どんづまり」の条件がそうさせるのかもしれません。

写真7. 木次線が発車した

先に発車するのは芸備線新見方面、次に木次線です。その木次線が発車しました(写真7)。

このように、1日1回だけ見事な接続風景が展開されているのです。ふと、スイスのベルン駅を思い出しました。

備後落合での食事どころ

私は備後落合まで奥出雲おろち号でやってきました。この列車は備後落合に12:36に到着します。一方、今回乗車した芸備線は14:43に発車します。実に127分待ちです(広島支社も気を利かせて全席指定席の快速を運転すれば良いのに!)。この待ち時間に食事を済ませようと考えました。

図1. 備後落合駅からドライブインおちあいへのルート(googleマップより引用)

幸いなことに、備後落合駅から徒歩15分程度の場所に、ドライブインおちあいという食堂があります。国道314号と183号の分岐点に位置します。といっても、3方向ともに通行する自動車の量が少なく、信号もありません。比較的リーズナブルな価格で、干渉しない接客を行っており、好感が持てるものでした。

実際の車窓を堪能する

さて、実際の車窓を堪能しましょう!ボックスシートの争奪戦に敗れたので、やむなく最前部のシートに座りました。ちょうど私の前に自転車を置いた人がいました。私のような乗り鉄以外にも多様な趣味の人が乗るものです。

写真8. 備後落合を発車!

備後落合を発車しました(写真8)。この列車が一連の列車の中で最後の発車です。でも撮影している人もいます。この人たちは自動車で乗り付けた人たちでしょう。このような人たちから入場料金を取れば良いのにもったいない!

写真9. 木次線と並走する

少しの間だけ木次線と並走します(写真9)。木次線は山を下り、芸備線は山を登るので、徐々に高低差が出てきます。

写真10. 秘境という風景が広がる

秘境的な風景が広がります(写真10)。前述のとおり、ここが最も山深いところです。

写真11. 木次線が離れていく

木次線が離れていきます(写真11)。

写真12. 山を行く

山を行きます(写真12)。

写真13. 渓流が姿を現す

渓流も見えます(写真13)。海外の風景の良いところがクローズアップされがちですが、日本にも風景が美しい場所は多くあります。山を行く渓流はその1つのように思います。

写真14. 里を行く

里を走ります(写真14)。備後落合から比婆山までは25km/h制限が多く、とても遅いです。

写真15. 里を行く

里を走ります(写真15)。備後落合の辺鄙な姿に目が慣れたので、これでも都会に映ります。

写真16. 比婆山に停車!

最初の駅、比婆山に停車します(写真16)。比婆山と書いて「ひばやま」と読みます。

写真17. 備後西城付近の集落

備後西城付近の集落の様子です(写真17)。古い民家が主体で非常に絵になります。

写真18. 集落を走る

備後落合付近の集落がなくなると山間部の風景が広がりますが、再び集落の中を走ります(写真18)。

写真19. 前面展望は良好!

120系気動車の良いところは、前面展望が良好なところです。その前面展望を満喫しましょう。ここは平子を発車したところです(写真19)。

写真20. 晴れ間を走る

先ほどまで雨が降っていましたが、また晴れてきました(写真20)。

写真21. 里山を走る

写真22. 里山を走る

芸備線の備後落合-三次はずっと山間部を走ると想像していましたが、意外と開けています(写真21、写真22)。そのため、木次線や新見方面の3往復体制ではなく、5往復体制なのでしょう。

写真23. まもなく備後庄原

まもなく備後庄原です(写真23)。人口3万人以上いる庄原市の代表駅です。

写真24. 備後庄原に停車中

備後庄原に停車中です(写真24)。ここである程度の乗り降りがありました。

写真25. 備後落合行きがやってきた

備後落合行きがやってきました(写真25)。ここまで1日5往復体制でしたが、ここから1日7往復体制となります。

写真26. 備後三日市に停車!

備後三日市に停車します(写真26)。1日7往復に増えたとはいえ、ローカル線の風情には変わりありません。

写真27. 里山を走る

里山を走ります(写真27)。

写真28. 住宅が並ぶ

住宅が並びます(写真28)。備後庄原までとは異なり、人気の全くない山中という風景はそうありません。

写真29. 川を渡る

川を渡ります(写真29)。この川を渡るともうすぐ塩町です。

写真30. 福塩線が合流

塩町はジャンクション駅です。福山と塩町を結ぶ福塩線の終点であり、芸備線と福塩線の合流点なのです(写真30)。

写真31. 塩町に停車!

塩町の駅名標です(写真31)。

写真32. 神杉に停車!

塩町からは芸備線の1日7往復、福塩線の1日6往復の合計13往復が走ります。合わせて沿線の風景も住宅が増えてきたような気がします(写真32)。

写真33. 馬洗川と並走

馬洗川と並走します(写真33)。1日13往復というローカル線としては本数の多い区間に入っても、25km/h制限があったりと運営はローカル線そのものです。

写真34. 道路と並走

今度は道路と並走します(写真34)。

写真35. 切通がある

切り通しがあります(写真35)。

写真36. 八次に停車

三次の1つ手前の八次に停車します(写真36)。もう三次の市街地という立地です。なお、駅名は「やつぎ」と読みます。三次が特殊な読みかたをするにも関わらず、ここは普通の読みかたです。

写真37. 三次の市街地を走る

三次の市街地を走ります(写真37)。

写真38. 三次の駅構内が見える

三次の駅構内が見えます(写真38)。2018年3月までは三次は三江線との結節点でした。しかし、三江線は廃線となり、三次は路線上は単なる途中駅に変わってしまいました。

芸備線の山中区間に乗ってみて

芸備線の山中区間に乗ってみました。事前の予想と異なり、備後庄原-三次は人家もそれなりにあり、途中駅での利用もそこそこ認められました。

備後落合-備後庄原の実態はしょうがないとはいえ、備後庄原-三次の運営はもったいないものを感じました。備後庄原-三次は毎時1本あっても過剰ではないでしょう。それは無理であっても、一部の快速を備後庄原まで、せめて三次の市街地にある八次に延長してもらいたいものです。そして、備後落合-備後庄原の風景は良いものがあります。旅行者としてはこのような日本らしい風景を楽しめて、良かったと思いました。

前後を読みたい!

さて、前後ではどこに行ったのでしょうか?

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※それぞれ別ウィンドウで開きます。

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