宮崎県と鹿児島県を結ぶ日南線。美しい風景が展開する路線でもあります。風情豊かなローカル列車と個性的な特急列車に乗りましたので、その様子を収録します。
写真1. 宮崎に停車中の海幸山幸
復習:日南線の概要
まず、日南線の概要を紹介しましょう。
日南線の概要を紹介します。
- 区間:南宮崎-志布志
- 営業キロ:88.9km
- 運転本数:8往復(志布志断面)~17往復(田吉断面)
- 所要時間:2時間30分(快速)~3時間程度(普通)
- 電化区間:南宮崎-田吉
日南線は宮崎市の南宮崎と、鹿児島県の志布志を結ぶローカル線です。人口40万人の宮崎市よりの区間では1日17往復(特急海幸山幸を含み、後述の宮崎空港線関連は除く)が運転されていますが、末端の南郷-志布志は1日8往復しかありません。また、特急海幸山幸はその南郷までの運転です。
全線を乗り通すと、2時間30分~3時間程度かかります。
南宮崎-田吉は電化区間です。田吉-南宮崎は宮崎空港線が建設されており、日豊本線の電車が宮崎空港まで直通できるように、この1駅だけ電化されています。したがって、日南線の南宮崎-田吉は宮崎空港線の電車も運転されています。ただし、本記事では宮崎空港発着列車については原則として省略します。
今回は志布志から油津までは普通列車、油津からは特急を利用しました。
ステージ1. 普通列車(志布志→油津)
さて、志布志から普通列車に乗ってみましょう。
写真2. 志布志の駅舎
志布志は終点の駅だけあり、駅舎が併設されています(写真2)。駅としては無人だけど、観光案内所があって実質的にそこが窓口という扱いだったような記憶があります。私は事前に都内の駅で乗車券を購入していたので、そこの係員と触れ合うことはありませんでしたが。
写真3. 国鉄車が停車中
国鉄車が停車中です(写真3)。私が見た限りでは、日南線の普通は全てこの車両です。発車10分前に入れた記憶があります。
写真4. 40系気動車の内装
その内装です。ボックスシートが並んでいます。67系気動車を廃車するのではあれば、この車両のほうが先のような気がしますが、そうならない理由があるのでしょうか。
写真5. ボックスシートの様子
ボックスシートの様子です(写真5)。乗客サービスをうたうのであれば、転換クロスシートのほうが良い気はします。
写真6. ボックスシートの様子
そのボックスシートの様子です(写真6)。それなりに柔らかかったです。
写真7. 志布志を発車!
志布志を発車しました(写真7)。
写真8. 海が見える
海が見えます(写真8)。日南線は太平洋沿いを通る路線ですが、意外と車窓から海を眺められる区間は少なく、海の風景は貴重です。
写真9. 高台にのぼる
高台に上ります(写真9)。このあたりに志布志港があり、大阪方面のフェリーが出ていると聞いています。
写真10. 駅に停車!
駅に停車します(写真10)。車内は旅行客が多いように見えましたが、地元のご婦人が乗られていて、最初の駅で降りていました。地味ながらも地元の人の足として使われている場面です。
写真11. 海が見える
海が見えます(写真11)。鹿児島県や宮崎県の海は冬でも穏やかに見えます。
写真12. のどかな風景
のどかな風景です(写真12)。
写真13. 川を渡る
川を渡ります(写真13)。
写真14. のどかな風景が広がる
のどかな風景が広がります(写真14)。北国の厳しい風景よりも南国ののどかな風景のほうが好きですね。
写真15. 串間付近
串間は日南線南部の主要駅で、それなりに乗り降りがありました。
写真16. 住宅がある
そんなのどかな風景のなかでも住宅があります(写真16)。
写真17. 意外と住宅も多い
意外と住宅があります。このような立地で1日8往復は少なく感じます。可能であれば1時間間隔を実現してもらいたいものです。
写真18. 日向大束に停車!
「ひゅうがおおつか」に停車します。東京に住む人であれば、「おおつか」は大塚と当たり前のように刷り込まれていますが、ここでは「大束」と書きます。
写真19. 川を渡る
川を渡ります(写真19)。
写真20. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真20)。
写真21. 山に向かう
ここからちょっとした峠を越えます(写真21)。
写真22. 快速とすれ違う
快速日南マリーン号とすれ違います(写真22)。快速とはいえ、末端部分は各駅に停車します。
写真23. 山を走る
山間部を走ります(写真23)。日南線は海岸沿いのイメージしかありませんでしたので、このような風景は想定外です。
写真24. のどかな風景が戻ってきた
山あいの風景からのどかな風景に戻ってきました(写真24)。
写真25. まもなく南郷
まもなく南郷です。ここから特急の運行があったり、普通列車の本数が増えたりと、末端側と都市側の切り替えに当たる駅です。日南線全体がローカル線という指摘もあるのでしょうが…。
写真26. 海が広がる
南郷から油津までは海岸沿いを走ります。そのため、海を眺めることができます(写真26)。
写真27. 美しい海
このように美しい海が広がります(写真27)。
写真28. 美しい海
青い海が広がります(写真28)。南国風情たっぷりです。
写真29. 海岸に公園がある
海岸に公園があります(写真29)。
写真30. 海が見える
海が見えます(写真30)。
写真31. 海が見える
海が見えます(写真31)。そろそろ海岸線ともお別れです。
写真32. 油津が近づいてきた
油津が近づいてきました(写真32)。
写真33. 油津の街が見える
油津の街が見えてきます。ここは赤レンガなどがあり、散策にも良い場所です。
写真34. 油津に到着!
油津に着きました(写真34)。
写真35. 1両編成はここまで
油津に着きました(写真34)。1両編成の列車はここまでです。私が見た限り、宮崎よりでは2両編成を多く見かけました。
ステージ2. 特急海幸山幸(油津→宮崎)
日南線には特急海幸山幸が運行されています。この特急列車に乗りましたが、まずは概要を紹介しましょう。
特急海幸山幸の概要
写真36. 特急海幸山幸の外観(宮崎で撮影)
- 運行区間:宮崎-南郷
- 停車駅:南宮崎、田吉、子供の国、青島、北郷、飫肥、日南、油津
- 運転本数:1日1往復~2往復
- 運転日:土曜・休日中心
特急海幸山幸は宮崎と南郷を結ぶ特急列車です。独特の内装とサービスが展開されており、観光客向けの列車です。したがって、基本は土曜・休日のみの運転です。ただし、多客期は平日でも運転されます。基本は以下の列車が運転されます。
- 宮崎10:13 → 南郷11:45
- 宮崎13:53 → 南郷15:23(最繁忙期のみ運転)
- 南郷11:52 → 宮崎13:27(最繁忙期のみ運転)
- 南郷15:30 → 宮崎16:53
最繁忙期は1日2往復運転されますが、その他の土曜・休日は1日1往復のみの運転です。沿線の人が宮崎に出向くには良いダイヤではないことも、沿線外の観光客に向けた列車であることがわかります。
停車駅に田吉が設定されていることが印象的です。田吉は宮崎空港線との接続駅であり、日南線沿線と宮崎空港のジャンクション的な位置づけです。航空機で宮崎入りする人も視野に入っていることが読み取れます。
特急海幸山幸の車内
では、車内を見てみましょう。
写真37. 車内の様子
自分の席から車内の様子を観察しました(写真37)。海幸山幸は2両編成にもかかわらず、アテンダントさんが2人も乗っているので、車内観察がやりにくいです。
写真38. 車内の様子
車内の様子を角度を変えて撮影してみました(写真38)。もともと車両の横幅が狭く、横に3列しかありません。また、「山幸」とされる車両(南郷より)は窓割と座席割を合わせるため、いくらかシートピッチが広いです。
写真39. 木が強調される車内
木が強調される車内です(写真39)。この内装はいかにも水戸岡先生デザインの車内です。もう少しシックな内装のほうが良さそうに見えます。ただし、鉄道旅行に興味がなさそうな人にも「海幸山幸」のことが知られている場面を見たので、そのような意味では偉大かもしれません。
写真40. ライトがイカしている
イカしたライトが窓枠に展開されています(写真40)。
写真41. 座席のひじ掛け
ひじ掛けを見てみましょう(写真41)。
写真42. ひじ掛けを開く
ひじ掛けを開きます(写真42)。
写真43. テーブルが出てきた
テーブルが出てきました(写真43)。向かい合わせで旅行するグループ向けにはちょうど良い設備ですね。
写真44. 事実上のフリースペースがある
山幸の南郷よりにはフリースペースがあります(写真44)。アテンダントさんの拠点としても機能しているようです。私は厚かましくも、そのスペースに座らせてもらいました。
写真45. 後ろを眺めることもできる
後ろを眺めることもできます(写真45)。この車両はもともと高千穂鉄道で使われていた車両を、特急車両として仕立てたものです。そのため、もともとのローカル鉄道用の設備がこのような場所に残っています。
写真46. フリースペースの座席
フリースペースの座席です。もともとロングシートの区画をそのまま残すのは上手に感じます。もっとも、乗客が少ないと想定されるので、このような芸当が可能なわけですが。
写真47. フリースペースの様子
フリースペースを別の角度から撮影してみました(写真47)。アテンダントさんがちょうど不在でしたので、このような撮影が可能でした。
写真48. フリースペースの様子
このような表情も展開されます(写真48)。
私が乗ったのは山幸ですが、海幸の車内も簡単に撮影しました。座席割と窓割が合致するのは山幸ですから、基本的に山幸を選択するのがベストです。
写真49. 海幸の車内
海幸の車内です(写真49)。山幸とは異なり、座席の色が青系です。
写真50. 海幸のショーケース
海幸のショーケースです(写真50)。
写真51. トイレの様子
トイレの様子です(写真51)。明るい色あいで清潔感ある空間です。
写真52. トイレの様子
別の角度から撮影してみました(写真52)。
写真53. トイレの様子
トイレにも絵が飾られていますね(写真53)。
海幸山幸に乗る
さて、実際に乗ってみましょう。私は油津から宮崎まで乗りました。
写真54. 油津に入線する海幸山幸
油津に入線してきました(写真54)。私のほかに数人グループの観光客がいましたが、その1人が海幸山幸についての基礎的な知識を同行に話していました。それだけ鉄道に興味ない人にも知られた車両ということです。
写真55. 後方を眺める
後方を眺めます(写真55)。もともとローカル線用の車両でしたから、このようなスペースもあります。
写真56. 川沿いを走る
川沿いを走ります(写真56)。
写真57. 田園風景を走る
田園風景を走ります(写真57)。観光列車だとさまざまな車窓案内がありますが、たいてい忘れてしまいます。
写真58. 北郷に停車!
北郷に停車します(写真58)。
写真59. 田園風景が広がる
田園風景が広がります(写真59)。
写真60. 川を渡る
川を渡ります(写真60)。それにしてものどかな風景です。
写真61. トンネルに入る
トンネルに入ります(写真61)。アテンダントさんは九州でも長い直線区間と案内していました。車内に雰囲気がありますね。
写真62. 森を走る
森を走ります(写真62)。
写真63. 海岸沿いに出る
海岸沿いに出ます(写真63)。
写真64. 海岸沿いを走る
海岸沿いを走ります(写真64)。
写真65. 海が見える
海が見えます(写真65)。
写真66. 鬼の洗濯板
ここが日南線でも有名な景勝地です。鬼の洗濯板と呼ばれる日南海岸です(写真66)。
写真67. 鬼の洗濯板
もう少し鬼の洗濯板をご覧いただきましょう(写真67)。ここはアテンダントさんの放送があり、徐行運転していました。
写真68. 日南海岸を眺める
日南海岸を眺めます(写真68)。きれいな海岸です。
写真69. 海岸沿いを走る
さきほどより海岸が身近に見える場所を走ります(写真69)。
写真70. 下り列車とすれ違う
下り列車とすれ違います(写真70)。
写真71. 南国の住宅地が広がる
青島より北側は比較的住宅が多い場所を走ります(写真71)。その証拠に、青島からふらりと乗るであろう「日常使い」の人が乗ってきました。宮崎に17時前に着くのですから、平日もこのダイヤで快速列車を運転するのも良さそうです。
写真72. 南国らしい風景を走る
志布志のある鹿児島県よりは北に位置しますが、宮崎県もじゅうぶん南国らしい風景です(写真72)。
写真73. こどものくにがある
日南線に子供の国という駅があります。子供の国という施設はありませんが、こどものくにという施設はあります。お子さんの遊び帰りにこのような列車に乗るのも良い経験になりそうです。
写真74. 川を渡る
川を渡ります(写真74)。これは加江田川でしょうか。
写真75. 南国の住宅街を走る
南国の住宅街を走ります(写真75)。このような区間でも日南線は毎時1本さえありません。このような場所を走るのであれば、毎時1本の普通と2時間に1本の快速(海幸山幸も含む)が最低限のマナーでしょう。
写真76. 清武川を渡る
清武川を渡ります(写真76)。どうしても「清武」というと巨人を思い浮かべてしまいます。
写真77. 宮崎空港線が合流
宮崎空港線が合流します(写真77)。
写真78. 田吉に停車!
田吉に停車します(写真78)。ここで宮崎空港行きに乗りかえることができ、乗りつぎダイヤとしては良いと思います。車両は8両しかない713系です。
写真79. 窓割との合致具合
ここで多くの人が降りました。宮崎空港から全国各地に帰る人が多いことを感じさせる一幕です。そのため、隣の席の窓割を確認できました(写真79)。「山幸」の場合、窓割と座席割が合致していますが、南郷行きのほうに重点が置かれ、宮崎行きだとやや眺めが悪いです。とはいえ、今までの車窓写真からわかるとおり、そこまで風景は犠牲になっていません。
写真80. 南宮崎に停車!
日南線の起点の南宮崎に停車します(写真80)。ここは車庫に併設された駅という感じです。日南線の多くの列車はとなりの宮崎まで直通しますが、ここを始発・終点とする列車もあります。私が見ている限り、南宮崎発着の列車は日豊本線の宮崎方面と接続しています。
写真81. 宮崎の住宅街を走る
宮崎の住宅街を走ります(写真81)。宮崎県は辺境にあるイメージもありますが、宮崎市そのものは人口40万人の都会です。市街地は線路の西側に展開しているので、中心街はこちら側から眺めることはできません。
写真82. 大淀川を渡る
大淀川を渡ります(写真82)。義務教育時代にこの川の名前は覚えさせられた記憶があります。
写真83. 宮崎駅が近づく
車内は「ご乗車ありがとうございました!またのご乗車を!」という感じの雰囲気が漂っていました。車窓には都会の風景が展開しています(写真83)。
写真84. まもなく宮崎!
まもなく宮崎です(写真84)。アテンダントさんは感じが良く、好印象でした。運転上はワンマン運転で、車掌業務も担っています。ただ、アテンダントさんと話そうとするのは良くないと思うよ★(私は放ってほしいほうなので、そんなことはできません)
写真85. 宮崎に到着!
宮崎に到着です(写真85)。
日南線に乗ってみて
今回、日南線に乗ってみました。想像よりも沿線に住宅が多く、住みやすい南国の状況ゆえの定住人口であると認識しました。特に、末端部分にも都市があることに驚かされました。これで末端部分は1日8往復なのは少なすぎるように感じました。1時間間隔でも高望みではないように感じます。また、宮崎よりでは毎時1本~2本あっても良いくらいの沿線状況でした。可能であれば、青島まで毎時2本体制を望みたいところです。
これとは別に、特急海幸山幸に乗車する機会にも恵まれました。内装も凝ったものになり、アテンダントさんの接客も良好と感じました。また、車掌さんが乗務していない(運転関連は運転士さんが実施)ので、ローコストで運転可能です。これはこれで廉価な観光特急としては理想的な姿でしょう。ただし、水戸岡先生デザイン特有の内装ということもあり、やや飽きを感じさせるのも事実です。今後は別のテイストの内装の車両も求められましょう。
さて、前後ではどこに行ったのでしょうか。
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