鹿児島県南部にある志布志。鹿児島市から直通の鉄道路線はなく、鉄道だと宮崎市を経由せねばなりません。では、容易に移動できる方法はないのでしょうか。今回はその方法を探りました。
写真1. レトロ感あるバスがやってきた
鹿児島と志布志の行き来の概要
鹿児島中央駅から志布志への行きかたの概要は以下の通りです。
- 鹿児島中央駅から国分駅まで日豊本線に乗る
- 国分駅から国分駅入口まで歩く
※駅前ではないので注意 - 国分駅入口から志布志までバスに乗る
ここで、バスに乗れるのは国分駅前ではなく、国分駅入口です。駅入口とありますが、駅から距離があり、注意が必要です(図1)。
図1. 国分駅入口バス停の位置(実際は道をはさんで反対側です、googleマップより引用)
参考までに駅からの経路も示します(図2)。国分駅を出発地点とすると、駅を迂回する経路を指定されます。そのため、駅前の店を出発地点としました。
図2. 国分駅から国分駅入口の経路(googleマップより引用)
鉄道の本数はそれなりにありますが(おおむね毎時1本以上確保されています)、バスは1日5往復しか運行されておらず、バスの運転時刻を事前に調べることが重要です。
いわさきグループの公式サイト時刻表が掲載されています。
鹿児島中央と志布志の乗りつぎ時刻表を作成してみましょう(表1)。
表1. 鹿児島中央と志布志の乗りつぎ時刻表
赤字で記したのは特急きりしまです。速度はそれなりで、車内設備も申し分ないので、快適に移動できるでしょう。自由席も連結されており、気軽に利用できるのも強みです。
バスは空港連絡バスですが、空港直通のリムジンバスという風情でなく、路線バスが鹿児島空港に延長されたという感覚です。予約不要で乗ることができます。
バスと列車の時刻に気を付ければ、気軽に乗れるルートです。
実際に鹿児島から志布志に向かう
さて、実際に乗ってみましょう!
ステージ1. 鹿児島中央から国分までの鉄道移動
写真2. 普通宮崎行きがやってきた
普通宮崎行きがやってきました。鹿児島中央を発車する日豊本線方面の電車は、国分行きか都城行きが多く、宮崎行きは1日3本しかありません。とはいえ、都城行きに乗れば、都城で宮崎方面行きに連絡することが多いです。興味深いのは、都城-宮崎方面の電車は都城ではなく、西都城始発なことです。都城の中心部が西都城に近いこともあり、西都城までの便宜を図っているのでしょう。
写真3. 車内の様子
車内の様子です(写真3)。817系のドア間の座席が4列しかなく(同じ3ドア転換クロス車の多くは5列です)、座席数が少ないこともありますが、立ちが生じる程度には混んでいました(もっともこの混雑は隼人までに解消されましたが)。国分まで30分間隔運転を実現したほうが良いと確信した次第です。
写真4. 鹿児島中央を発車!
立ち客を乗せて、鹿児島中央を発車しました(写真4)。
写真5. 鹿児島市内を走る
鹿児島市内を走ります(写真5)。南九州最大の都市だけあり、住宅も多いです。
写真6. 鹿児島付近を走る
ここまでこの記事では鹿児島の駅として鹿児島中央として紹介していました。しかし、鹿児島市内には鹿児島駅もあります。九州新幹線開業までは現鹿児島中央駅は西鹿児島駅と称していましたが、事実上の中心駅は西鹿児島であり、鹿児島ではありませんでした。その鹿児島駅周辺の風景です(写真6)。中心部の駅らしさはなく、中心駅の役割がなくなったことが読み取れます。
写真7. 木々が多くなる
鹿児島を出ると日豊本線に入り(鹿児島中央-鹿児島は鹿児島本線です)、木々が多くなります(写真7)。ここから2駅は山が海に迫る地形を走ります。
写真8. 竜ヶ水に停車!
そんな地形の中に立地しているのが竜ヶ水です(写真8)。普通でも通過の設定があるほどの駅です。
写真9. 川を渡る
開けた場所に変わり、川を渡ります(写真9)。
写真10. 川を渡る
別の川を渡ります(写真10)。日豊本線沿いも住宅が多いことがわかると思います。
写真11. 住宅が広がる
住宅が広がります(写真11)。
写真12. のどかな風景も展開!
のどかな風景も展開します(写真12)。
写真13. 隼人に停車!
隼人に停車します(写真13)。ここで車内の混雑はだいぶ和らいだように覚えています。
写真14. 肥薩線が分岐
隼人を出ると、肥薩線が分岐します(写真14)。肥薩線が直線で、日豊本線が右にカーブします。普通なら幹線が直線で、ローカル線がカーブという形態ですが、ここでは逆です。これは、もともと肥薩線ルートで福岡県と鹿児島県を結ぶ鉄道が建設され、肥薩線ルートが九州の「南北軸」だった時代があったためです。
写真15. のどかな風景が広がる
のどかな風景が広がります(写真15)。鹿児島県第2の都市、霧島市の中心の国分に近いわりにのどかです。これは、国分の市街地が線路の南側を向いており、こちら側ではないためです。
写真16. 国分に到着!
国分に到着です(写真16)。昔はここから志布志まで鉄道が伸びていましたが、1980年代に廃止されています。
ステージ2. 国分から志布志までのバス移動
さて、国分から志布志までバスで移動しましょう。
写真17. 国分駅東口のバス案内
国分駅東口のバス案内です(写真17)。やはり志布志行きのバスはありません。駅員さんに聞き、駅入口発着と判明した次第です。どうせなら、国分駅入口に入る系統についても案内表示があればベストです。
写真18. バスがやってきた
バスがやってきました(写真18)。一般的な路線バスです。乗りましょう!
写真19. 市街地を走る
バスに乗りました。国分の市街地を走ります(写真19)。
写真20. 高規格道路がある
高規格道路があります(写真20)。この道路を通れば、志布志まで所要時間が短縮できそうですが、このバスは一般的な路線バスであり、東九州自動車道は通りません。
写真21. 海が見える
海が見える区間もあります(写真21)。
写真22. のどかな風景を走る
のどかな風景を走ります(写真22)。
写真23. 畑が広がる
畑が広がります(写真23)。このあたりはシラス台地とされている場所で、水はけが良い場所です。したがって、水田はあまり多くありません。そのような教科書的知識が実感できます。
写真24. 市街地を走る
途中で市街地に入ります(写真24)。しかし、志布志ほど大きな市街地ではありません。
写真25. 志布志の市街地に入った
志布志の市街地に入りました(写真25)。志布志バス停は市街地の中心にあります。
写真26. 志布志駅前に到着
志布志駅前に到着しました(写真26)。バスはすぐにどこかに向かって発車しました。
鹿児島から志布志に向かってみて
鹿児島から志布志に向かってみました。国分からのバスは本数が少なく、運行されているだけ良いとするものと感じました。一方で、志布志の中心部には人がある程度いて、そこまでの過疎地とは感じませんでした。
かつては国分から志布志までの鉄道路線がありましたが、鹿児島へは大回りするためか利用が振るわず、廃止されてしまいました。バスは小単位での輸送には最適ですが、経路が見えずにわかりにくい側面もあります。鉄道の利点はそこにあるのかもしれません。