南海特急サザンの乗車記(和歌山市→難波、車内と車窓を収録)

大阪と和歌山を結ぶ路線。1つが阪和線、もう1つが南海電鉄です。南海電鉄はミナミの中心から30分間隔で速達列車が運転されており、利便性が高い路線でもあります。そんな南海電鉄の特急サザンの指定席車両に乗ってみました。

写真1. 和歌山市に停車中の特急サザン難波行き

復習:大阪と和歌山の移動方法概要と南海特急サザン

まず、大阪と和歌山の移動方法について概要を紹介しましょう。そして、その有用な手段の南海特急サザンを紹介します。

大阪と和歌山の移動方法概要

特急サザンの紹介の前に、大阪と和歌山の移動方法の概要を紹介します。

図1. 難波と和歌山市の位置関係(googleマップより引用)

もともと大阪-和歌山の輸送は阪和電鉄(現.JR阪和線)と南海電鉄で激しいデッドヒートを繰り広げてきました。阪和線沿線の発展による対和歌山輸送の重要性の低下などの要因があり、2022年現在ではかつてほどの戦いはありません。それでも、JRと南海の競合関係があるのは事実です。

表1. JRと南海の競合関係

 JR阪和線南海電鉄
区間天王寺-和歌山難波-和歌山
所要時間(日中)70分~72分(43分)59分
運転頻度15分間隔30分間隔
運賃870円(2390円)930円

※JRの(内)は特急くろしお利用時(通常期)

JRと南海の競合関係をまとめました。基本的にJRは15分間隔の紀州路快速が走り、60分間隔で特急くろしおが走っています。紀州路快速は日根野(厳密には熊取)以南は各駅にとまるので、時間がかかり70分程度です。ただし、大阪駅(梅田地区)に直結する強みがあります。もう一方の特急くろしおは新大阪に直通し、天王寺-和歌山の所要時間が43分と圧倒的な速度と快適性を誇りますが、全席指定席で1520円の指定席特急料金を支払う必要があります。

そのJRの紀州路快速と特急くろしおの中間的な位置づけが南海の特急サザンです。大阪ミナミの中心である難波から和歌山市まで59分とそれなりの速達性があります。とりわけ大阪ミナミから和歌山に向かうとしたら南海1択でしょう(天王寺から難波まで乗りかえ時間含めると16分程度はかかると思います)。本数も30分間隔で都市間輸送としては及第点です。ただし、梅田地区に向かう場合は難波で地下鉄に乗りかえる必要があり、その点は不便です。

特急サザンの概要

その南海でメジャーな手段が特急サザンです。特急サザンは自由席車両と指定席車両の双方が連結されていることが大きな特徴です。難波より4両が自由席車両、和歌山市より4両が指定席車両で、自由席車両は通常の通勤電車の内装、指定席車両はリクライニングシート付きの車両で内装が大きく異なります。

もちろん指定席車両には座席指定券が必要で、530円課金されます。ここで興味深いのが南海電鉄の特急列車の案内です。公式サイトの特急列車の案内を見ると、以下の通りに書かれいます。

  • 特急ラピート:特急券
  • 特急こうや・りんかん:特急券
  • 特急サザン:座席指定券

そう、特急サザンだけ座席指定券扱いなのです。南海電鉄の他の特急列車は全席指定席である一方、特急サザンだけ自由席が連結されています。もしも、JR阪和線という競合相手が存在しなければ、特急サザンも自由席がなく、料金不要の速達列車の存在は今と異なっていたかもしれません。

写真2. 特急サザンの自由席車両と指定席車両

特急サザンの自由席車両(手前)と指定席車両(奥)の境界を撮影してみました(写真2)。特急サザンには新しい車両も充当されていますが、私が乗った列車は旧式車両でした。全てが新型車両とはいかないのです。

写真3. 特急サザンの指定席車両の様子

指定席車両の様子です(写真3)。一般的な特急列車という感じでしょうか。

特急サザンの座席指定券の予約方法

特急サザン(ほかの南海特急もですが)は、インターネットで座席指定券を予約できます。南海電鉄公式サイトの特急空席照会から予約までできます。

簡単に予約画面(PC用)を示しましょう。私は旅行中にモバイルで手配しましたが、画面の大きさが異なるだけで流れは変わりません。

日時選択

図2. 日時選択画面

トップに日時選択画面が現れます(図2)。特急サザン・ラピートであれば、南海線・空港線を、それ以外であれば高野線・泉北線を選択します。路線を選択すると、出発駅と到着駅の組み合わせを選択できます。ここでは天下茶屋から和歌山市を選択しましたが、実際の利用駅に合わせて組み合わせを変更してください。

列車選択

図3. 列車選択画面

直近の5列車が表示されます。そのなかで都合の良い列車を選びます(図3)。ここでは最も発車の早い列車を選んでみました。

ログイン画面

図4. ログイン画面

次にログイン画面が表示されます(図4)。南海電鉄をよく利用する人は会員になっても良いですし、すでに会員になっているかもしれません。私のように南海電鉄をめったに使わない人は「会員登録せずに~」を選択することも可能です。現に私はそうしました。

同意画面

図5. 同意画面

同意画面が現れます(図5)。「個人情報を適切に利用しますので、その旨を同意してください」といういつもの画面です。

座席指定トップ

図6. 座席指定トップ画面

次に座席を指定します(図6)。おまかせ購入と座席表を見ながら購入するパターンがあります。座席にこだわりがない場合は、下のほうのおまかせ購入を選択しましょう。今回は、座席を自分で選択することにします。この場合は座席表示をクリックします。

号車選択

図7. 号車選択画面

次に号車選択画面です(図7)。新型車両ではない特急サザンの場合、中間の2両が新しいので、今回は2号車を選択しました。

図8. 座席を選択

座席を選択します。選択すると青い丸で表示されます(図8)。

図9. カード情報を入力

クレジットカード情報を入力します(図9)。こうして一連の手続きを終えると、登録したメールアドレス(私はgmailです)に以下のようなメールが自動送信されます。

鉄道ラボ 様

いつも南海・特急チケットレスサービスをご利用いただきありがとうございます。
購入いただいた特急券情報をお知らせいたします。
乗車日 :2022/05/○○
券番号 :612-○○○○○○
列車名 :サザン32号
和歌山市 13:30発 → 難波 14:29着
人数 :1名(大人1名、小児0名)
号車 :03
席番 :26
購入額 :520
決済方法 :クレジットカード

※セキュリティ上の理由により一部情報を改変

あとは指定された列車に乗るだけです。指定された席に座っている限り、車掌さんとのやり取りもありません。発売済み情報と照合し、発売済の座席に座っている人は正しく乗車していると処理しているのでしょう。

もしも、佐藤さんが座席指定券を購入し、それを無連絡キャンセル(=座席指定券を無駄にした)し、その座席に(佐藤さんと全く面識のない)鈴木さんがちゃっかり座っていたら、車掌さんはスルーすることでしょう。しかし、この場合、南海電鉄に入る収入は変わりませんので、特に問題ないのです。

特急サザンの車内

特急サザンの指定席車両の車内を紹介しましょう。今回私が乗ったのは、10000系の中間増備車です。

客席の紹介

まず、客席の紹介です。

写真4. 1号車と4号車の車内

1号車と4号車の車内の様子です(写真4)。もともと2両編成として登場し、後に4両編成に増結された経緯があります。そのため、中間の2号車と3号車は多少新しいです。ただし、組み換えた編成がありますので、全ての2・3号車が多少新しいとも限りません(本記事を書いていて改めて調べて知った次第です)。

写真5. 増備中間車の様子

私が乗った増備中間車の様子です(写真5)。先ほどの車両よりもレトロ感が薄く、天井の照明などやや意匠が凝っていることがわかります。

写真6. 増備中間車と先頭車の違い

車体外観でもこのような区別は可能です(写真6)。増備中間車は連続窓風味になっていて、窓もやや広くなっています。

写真7. 中間車の角度を変えて撮影

角度を変えて撮影してみました(写真7)。

写真8. 着座した視点で車内を眺める

着座した視点で車内を眺めます(写真8)。グレーの落ち着いた配色の車内に、ピンク色の座席カバーが良いアクセントになっています。関西圏の民鉄特急車では常識の荷棚下の照明もあります。

写真9. 座席の様子

座席の様子です(写真9)。一般的な2人掛けの回転リクライニングシートです。

写真10. 座席背面の様子

座席背面の様子です(写真10)。テーブルがなく、荷物入れがあります。

写真11. ひじ掛け

座席のひじ掛けです。「背面テーブルがない場合はひじ掛けを見よ」という格言の通り、ひじ掛けにテーブルが内蔵されています。

写真12. テーブルが出てきた

テーブルが出てきました(写真12)。インアーム式テーブルが内蔵されているのです。

写真13. 横の座席を眺める

横の座席を眺めます(写真13)。

デッキ付近の紹介

次に、デッキ付近を紹介します。

写真14. 洗面台の様子

洗面台が付いています(写真14)。特急列車としては最低限の設備といえましょう。

写真15. 洗面台の様子

洗面台の様子です(写真15)。客席そのものはそこまで古さを感じさせませんでしたが、洗面台を見ると古さは否定できません。

写真16. 通路の様子

通路の様子です(写真16)。

写真17. トイレの様子

トイレの様子です(写真17)。それなりに清潔ですが、やや古さも見えてしまいます。中間増備車は比較的新しいとはいえ、最終増備が1992年で、乗車時は30年程度経過しています。それでは古さが見えてしまいますね。

写真18. 壁の色は明るい

壁の色が明るく、1990年代前半のデザインを感じさせます。

特急サザンからの車窓を堪能する

さて、車窓を堪能しましょう!

写真19. 和歌山市を発車!

和歌山市を発車しました(写真19)。和歌山側の南海の拠点は和歌山です。この和歌山市にはJR紀勢線も乗り入れます。

写真20. JR線と分かれる

JR線と分かれます(写真20)。

写真21. 紀ノ川を渡る

紀ノ川を渡ります(写真21)。

写真22. 住宅街を走る

住宅街を走ります(写真22)。

写真23. 少し住宅が減ってきた

少し住宅が減ってきました(写真23)。このあたりから切り通しを進みます。

写真24. 和歌山大学前に停車!

和歌山大学前に停車します(写真24)。ここには大学やイオンモールがあり、特急を含めて全列車が停車します。同時に和歌山県側最後の駅でもあります。

写真25. トンネルを走行

トンネルを走行します(写真25)。

写真26. 緑の中を走る

大阪府に入っても風景はそう変わりません(写真26)。

写真27. みさき公園に停車!

みさき公園にとまります(写真27)。ここまで2駅しか通過していませんが、13km以上走っています。

写真28. のどかな風景を走る

のどかな風景の中を走ります(写真28)。

写真29. 淡輪を通過!

淡輪を通過します(写真29)。

写真30. 緑の中を走る

緑の中を走ります(写真30)。

写真31. 住宅が多くなってきた

住宅が多くなってきました(写真31)。

写真32. 尾崎に停車!

尾崎に停車します(写真32)。ここも特急停車駅です。もともと特急は通過していましたが、泉佐野以南の急行を削減する際に、ここにも特急をとめた経緯があります。特急に自由席が付いているからこそ、そのような合理化が可能だったのです。

写真33. 男里川を渡る

男里川を渡ります(写真33)。

写真34. 住宅街を走る

住宅街を走ります(写真34)。

写真35. 車庫の横を走る

羽倉崎近くの車庫を走ります(写真35)。

写真36. 多くの車両がとまっている

多くの車両がとまっています(写真36)。

写真37. 高架線に上がる

高架線に上がります(写真37)。南海での一大ジャンクションの泉佐野が近づいてきました。

写真38. まもなく泉佐野に停車!

まもなく泉佐野に停車します(写真38)。

写真39. 空港急行が停車中

空港急行が停車中です(写真39)。特急サザンと空港急行の連絡で和歌山市方面と関西空港のアクセスの利便性も考慮されています。

写真40. 泉佐野を発車

泉佐野を発車しました(写真40)。

写真41. 住宅街を走る

住宅街を走ります(写真41)。

写真42. 高架線を走る

高架線を走ります(写真42)。泉佐野から難波までは岸和田・堺・天下茶屋と新今宮にとまりますが、天下茶屋以降は大阪市内の着駅という位置づけです。泉佐野までよりも通過駅は多いです。これは、途中の主要駅は空港急行に一任しているという理由も大きいでしょう。その貴重な特急停車駅にとまります。

写真43. 岸和田を発車!

岸和田を発車しました(写真43)。大阪市内までは堺にしかとまりません。

写真44. 川を渡る

川を渡ります(写真44)。大津川でしょうか。

写真45. 泉大津付近を走る

高架線に上がりました。泉大津付近を走行中です(写真45)。

写真46. 高架線を走る

高架線を走ります(写真46)。

写真47. 高石を通過!

立派な高架駅の高石も通過します(写真47)。

写真48. 阪堺電車をくぐる

阪堺電車をくぐります(写真48)。

写真49. 高架線を走る

高架線を走ります(写真49)。

写真50. 高架線を走る

まだ高架線を走ります(写真50)。

写真51. 堺に停車!

堺に停車します(写真51)。普通車と連絡し、特急にも人が乗ったと思いますが、座席指定車には乗ってきません。

写真52. 堺を発車!

堺を発車します(写真52)。

写真53. 大和川を渡る

大和川を渡ります(写真53)。この川を渡れば、そこはもう大阪市です。

写真54. 複々線を走る

複々線を走ります(写真54)。意外と知られていませんが、南海本線には岸里玉出-住之江は複々線区間です。ただし、日中時間帯は上手に活用されていないように見えますが…。

写真55. 複々線を走る

複々線を走ります(写真55)。

写真56. 高野線が見えてきた

岸里玉出を過ぎると高野線が見えてきます(写真56)。

写真57. 泉北車とすれ違う

泉北車とすれ違います(写真57)。

写真58. 天下茶屋に停車!

天下茶屋に停車します(写真58)。ここでは地下鉄堺筋線と乗りかえることができます。南海線と日本橋方面や阪急線方面への接続駅です。

写真59. 特急サザンの新型「サザンプレミアム」とすれ違う

特急サザン和歌山市行きとすれ違います(写真59)。あちらは新型車両です。

写真60. 高野線電車とすれ違う

今度は高野線電車とすれ違います(写真60)。

写真61. 萩ノ茶屋を通過!

萩ノ茶屋を通過します(写真61)。ここは高野線系統の線路にしかホームがなく、南海本線系統の電車は通過します。

写真62. 新今宮に停車!

新今宮に停車します(写真62)。大阪環状線や大和路線との連絡駅で、昔から特急以下全列車の停車駅です。

写真63. 人でにぎわう

その新今宮は人でにぎわっていました(写真63)。

写真64. 新今宮を発車!

新今宮を発車しました(写真64)。東京の感覚では環状線(山手線)の内側に民鉄の複々線が伸びているのは変な感じですが、ここは大阪であり、東京ではありません!

写真65. 大阪の市街地を走る

大阪の市街地を走ります(写真65)。

写真66. 今宮戎を通過!

今宮戎を通過します(写真66)。ここも高野線系統の電車しかとまりません。このような違いがあるので、南海本線の普通は各駅停車ではなく、普通と呼ぶのです。高野線は各駅停車と呼びます。関東では常磐線が普通と各駅停車に大きな違いがありました。常磐線では2004年10月16日から上野-取手間は快速と呼んでいて、普通と各駅停車の混在は解消されました。

写真67. まもなく難波!

まもなく難波です(写真67)。

写真68. 難波に到着!

難波に到着しました(写真68)。都市の中心にここまで大規模なターミナルがあるのは、関東の視点では珍しく感じます。このような大きなターミナル駅があるがゆえに、地下鉄との直通に舵を切っていないという側面がありましょう。もっとも、南海電鉄はなにわ筋線との直通で大きく輸送体系が変わる予感もあります。

写真69. 折り返し特急和歌山市行きに変わる

折り返し特急和歌山市行きに変わります(写真69)。

特急サザンに乗ってみて

今回、徳島から大阪までの移動にフェリーと南海電車の組み合わせを選んでみました。これはかつての四国連絡のルートです。現在は四国連絡の意味合いは薄れてしまっていますが、その役割は完全に消失したわけではありません。

難波から和歌山市までの所要時間は59分です。決して遅くありませんが、速さは感じませんでした。もう少し速度を出しても良い気がしました。数分のスピードアップで四国連絡の主力になるわけではありませんが、力を持て余している感じがあり、その点はもったいなく感じました。

なにわ筋線との直通もあり、大きな変化が予想される南海電鉄の特急サザン。これからも大阪と和歌山の気軽な交通手段として君臨してもらいたいものです。

前後を読みたい!

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南海特急サザンの乗車記:ここ

山口・徳島旅行記のまとめ→(次)

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